みなさま、こんにちは。

『優しい男』16話、まいります。

手をつないで坂道を上がるマルとウンギ。
二人は、かつてのマルの家に向かって歩いていました。

マルの足を止め、話しかけるウンギ。

「以前、マルさんがどんな人だったか、思い出すように私に言ったでしょ?」

ウンギをみつめ、次の言葉を待つマル。

「思い出したの。ソ・ウンギが全てをかけて愛した人だって」

「胸が詰まるほど、大好きだった人。記憶を失う前のマルさんは、私にとって、そんな人だった」

ウンギの言葉が心に突き刺さり、涙目になるマル。

開始早々、視聴者の胸にも暗雲を垂れ込めさせる、16話冒頭です。

かつてのマルの家の前までやってきたウンギは、マルに尋ねます。

「ここで私がマルさんに言ったこと、覚えてる?」

不安げにマルの顔を覗き込むウンギ。

「ねえ、覚えてる?」

マルの脳裏に浮かぶ、あの雨の夜のウンギ。

『カン・マルという人のおかげで、朝起きて、息をして、生きているということが、初めて嬉しいと思えました』

『今の私の唯一の望みは、あなたと毎日顔を合わせて、毎日愛してると言い合って、毎日同じ夢を見ながら、子どもも産み、育て、一緒に老いていくこと。
可能ですか?』

ウンギの告白を回想するマル。
ウンギはマルの返事を心配そうに待っています。

「覚えてるよ」

その言葉に、安心したように微笑むウンギ。
あの夜の言葉を口します。

「可能ですか?」

返事が出来ないマル。ウンギが再び尋ねます。

「可能、ですか?」

マル、表情を和らげます。

言葉の代わりに、ウンギにキスをするマル。

マルのキスに勇気付けられ、ウンギが思いを伝えます。

「結婚、しましょう。私、マルさんと結婚したい」

「結婚しましょう。嘘の婚約者じゃなくて、本当に。結婚して、私もマルさんの家族になりたいの。暖かくて、頼もしい、家族に」

あの夜のように正直でいじらしいウンギのプロポーズ。

マルは答えに詰まります。

マルの手をとるウンギ。

「結婚しようよ。ね?」

マルがようやく沈黙を破ります。

「うん。結婚、しよう」

私もマルと結婚したーーーい!

と全世界のマルファンが叫んだ瞬間です。

ウンギは行きたい場所があると、マルの手を引きます。
ウンギの行き先は、ブライダルショップでした。
ショーウィンドウに飾られた純白のウェディングドレス。

ドレスを指し、「気に入った?」と尋ねるウンギ。マルがうなづくとウンギは嬉しそうな笑顔を見せます。

「私、結婚式でああいうの着るんだ」

その言葉に、寂しげに視線をそらすマル。

結婚式を挙げる日が来るとは思えないマルの悲しみなど、知る由もないウンギ。満面の笑みを浮かべています。

そんなウンギを見つめるマルです。

色づき始めた街路樹の並木道を歩く二人。
ウンギは明日からにでも結婚の準備に入ろうとはしゃぎます。

「ドレスはさっき選んだし。あと、式場も探さないといけないわね。他に何が必要かな?」

マルが答えます。

「そうだな。新婚旅行も行かないとね」

その言葉に「そうよね!」とうなづくウンギです。

子どもは何人にしようかと尋ねられ、男の子と女の子一人ずつと答えるマル。
ウンギはそれでは弱いと言います。
9人産んで、野球チームをつくろうと言うウンギ。
そんなウンギに、思わず頬が緩むマル。

「ううん、やっぱり野球チームはやめ。自分たちのやりたいようにさせてあげよう。そんなふうに育てよう、私たち」

幸せそうなウンギに、嬉しそうに微笑むマルです。

一方。

ジェヒはマルの家の近くの大衆食堂で焼酎をあおっていました。
場違いな美しい装いのジェヒに、酔客が近寄ってからみます。

男を大声でののしるジェヒ。
あんたらなんかが声をかけられないほど、自分はおそれ多い人間なのだと怒鳴り散らします。

そこへ現れたアン弁護士。ジェヒはまた尾行かとうんざりします。

かつてマルとよく来た馴染みの店だとジェヒ。
マルはまだこの店に来るだろうかと呟きます。

ジェヒを連れ出すアン弁護士です。

並木道を歩くウンギとマル。
ウンギは新婚生活には、他になにが入用だろうかとマルに尋ねていました。

歩みを止めるマル。
結婚はウンギの記憶が戻ってからにしようと言います。

驚き、なぜかと尋ねるウンギ。
マルはウンギに、記憶が戻ったら、心変わりするかもしれないからと答えます。

ムキになって否定するウンギ。

「どうして? そんなことありえないわ。絶対ない」

マルが静かに応じます。

「それは分からないよ。君の記憶が全部戻ったら、素敵な人が君を待ってるのを思い出すかもしれないじゃない?」

「だったとしても、行かない」と言下に否定するウンギ。

マルが言葉を続けます。

「人の心は分からないって言うでしょ?」

ウンギは絶対に自分の心は変わらないと断言します。

マルはウンギの言葉に静かに微笑み、言葉を続けます。

「もしそうだとしても、今はやめとこう。
君が記憶を取り戻しても、僕と結婚したかったら。それでもカン・マルという男と結婚したかったら。その時に結婚しよう。僕と結婚して、子どもを産んで、一緒に老いていきたいと思うのなら、その時に。その時も君の心が変わらなかったら、僕も君を離さない」

マルはウンギを抱きしめます。

「絶対に離さない。なにがあっても。誰に何を言われようとも」

ジェヒはアン弁護士に付き添われ、帰宅していました。

ベッドに横たわったジェヒに、キスしようと顔を近づけるアン弁護士。
ジェヒは冷たく顔を背けます。

ベッドに体を起こしたジェヒ、どう考えてもウンギのほうが異常だと声を荒げます。
自分はテサンを手に入れるためにマルを捨てたのに、マルを手に入れるためにテサンを捨てるなんて。異常なのはウンギで、自分こそ世の中標準だ、正常だと興奮するジェヒ。

アン弁護士はその言葉にこう返します。

自分は誰よりも信じてくれたソ会長を裏切った。あなたがそうしたいと言ったから。そして、ソ会長を死に追いやって、ここまできた。目的地を見失うのは、今日までにしてもらいたい。
我々の道連れはソ会長だけにしてもらいたい。
カン・マルまで付け加えることなく。

その言葉に驚愕し、どういう意味かと聞き返すジェヒ。

アン弁護士は、もう一人いたと付け加えます。
カン・マルが濡れ衣を着てくれた、例の人も、と。

ジェヒが軌道から逸脱したら、マルを殺し、ジェヒの殺人の真相をばらすとアン弁護士に脅され、震えるジェヒです。

一方ウンギは、家で一生懸命記憶を思い起こそうとしていました。
必死にトンネルの記憶を掘り起こそうとしますが、どうしても相手の顔が見えません。

つらそうな表情を浮かべているウンギに気づいたチョコが声をかけます。
お兄ちゃんもウンギさんも、若いのにこんなにつらい目に遭ってと同情するチョコ。

医師に言われた、人生で死にたいほどつらかったときの記憶を思い出すという課題を思い出すウンギ。

もしかしたら自分の事故のことが記事になっているのではと思いつきます。

チョコにパソコンを借りるウンギ。

検索ワードを入力すると、記事が続々と出てきました。

相手の名は、イニシャルでKと報じられていました。
30歳のK。この人はどうなったのだろうとウンギはチョコに尋ねます。
ウンギが事故の報道を調べているのに気づき、驚愕するチョコ。
事故の報道なんて調べることないと取り繕おうとしますが、ウンギには既に強烈にインプットされた後でした。

そうとも知らず、部屋でテサンの資料を読み込むマル。

そこへチェギルが入ってきます。

入ってくるなり、「お前、死にたいのか?」と怒り出すチェギル。
怪訝な顔のマルに、マルの医大時代の先輩に会ってきたと言います。
神経外科のドクターに。
その言葉に、顔色の変わるマル。

チェギルは腰が抜けたように座り込み、泣き出します。

「お前がそんな重い病気だったなんて、全然知らなかった」

マルが慌ててチェギルに駆け寄ります。

「やめろ、聞こえるだろ」

チェギルはさらに大声を上げます。

「知るべきだろ! ウンギさんも、チョコも!」

たまらずチェギルの口を押さえるマル。
 

マルの手を払い、なおもチェギルは続けます。

「全部話す! 知らせるべきだよ、ウンギさんやチョコに」

立ち上がろうとするチェギルを押さえるマル。

「頼むよ。頼むから」

家を出て、飲み屋で向かい合う二人。

「お前、俺が死ぬとでも思った?」

笑みを浮かべるマル。チェギルはその言葉を信じません。

今すぐ病院にいこうと、泣きながら訴えるチェギル。

「まったく先輩ったら。お前になにをどう話したんだ?」

「医者って本来そういうもんなんだよ。
責任を回避するために、到底起き得ないような確率のことまで、大袈裟に言うもんなんだ。とりあえずそう言ってるだけなんだって」

マルにチェギルが泣きながら怒鳴ります。

「手術受けようって言ってんだろ!」

なおもマルはチェギルをごまかそうとします。
あの先輩は、もともとホラ吹きで有名なのだと。

業を煮やしたチェギルは、だったらウンギとチョコに話すと言います。
チョコとウンギのせいで、お前がどれだけ大変なことになっているか、全部話す。少なくても知っておくべきだと。

マルの顔色が変わります。
立ち上がろうとするチェギルをとどめるマル。

「チョコとウンギのために俺が治療受けないと思ってんの? なんで? 
あの二人が、自分の命よりも大切だと俺が思ってるとでも? 全然関係ねえよ」

チェギルは心にもないことを言うなと言います。
それでも続けるマル。

「あの二人には、もうやるだけのことはしてやった。チョコを人並みにするために、吐き気を催しながら体も売ったし、ウンギにだってここまでやってやったんだから、もう借りは半分返したと正直思ってる。
残り半分はウンギの責任だよ。俺みたいな野郎のことを素直信じたのは、彼女なんだから。半分は彼女が引き受けなければならないツケなんだ」

チェギルは激しくテーブルを叩き、マルの言葉を遮ります。

「うるせぇよ! 嘘こいてんじゃねえよ!」

チェギルに怒鳴られ、視線を落とすマル。

「もし、失敗したら? 俺が植物人間になったら? 術後に麻痺症状が出て、記憶喪失にでもなったら、俺ってなんだったんだって思わない? 可哀相過ぎると思わないか?」

チェギルが首を振ります。

「なんでお前はいつも悪いほうにばっかり考えるんだよ?」

マルが静かに答えます。

「俺の人生、いつだって悪いほうに転がってきたからさ」

泣き顔になるチェギル。マルが言葉を続けます。

「俺、いま、幸せすぎておかしくなりそうなんだ。チョコが病気しなくなっただけでも、いくら感謝してもし足りないくらいなのに、ずっと待ってたウンギが、俺のところに戻ってきてくれて、俺んちで眠って、一緒に飯食って、一緒に会社に行って、会社から帰って来て。
俺が振り向くと、明るく笑ってるんだぜ。こんなの、ありえないだろ?」

「俺、もうちょっと、いまのまま幸せでいるよ、チェギル。いまのありえない幸せをもうちょっとだけ味わったら、手術受けるからさ」

涙で顔が歪むチェギル。

マルがチェギルを慰めます。

「死なないって、俺は。だから、あんまり心配しないで、顔に出さないでくれよな? 俺にも幸せってもんを味わわせてくれよ」

マルが言い終えると、とうとうチェギルが大声で泣き出します。

「バカやろう・・・・・・」

言葉にならないチェギル。
チェギルが悲しく慟哭する様を、辛そうに見つめるマルです。

マルーーーー!!(泣)

視聴者も号泣です。

そんなことになっていると夢にも思わないウンギ。
ベッドで一人呟きます。

「もうすぐだから。もうすぐ全部思い出せるから。待ってて、マルさん。逃げないでね」

朝。

ウンギがマルの好物のどじょう鍋を作ろうとしていました。

どじょうにおっかなびっくり近づくウンギ。
チェギルがからかうように、どじょうをつかんでウンギとチョコの前に突き出します。
悲鳴を上げて逃げ惑う二人。

マルはその声を、ベッドに横たわったまま聞いていました。

流れるマルのモノローグ。

僕の友だちと、僕の妹と、僕の恋人の声が聞こえてきます

チェギルがレシピを読み上げ、下ごしらえをするウンギとチョコ。

二人とも料理の手際はひどいものです。

そして流れるマルのモノローグ。

彼らは僕が夢見ることの出来る、この世で一番美しく、甘やかで、神秘的な夢です

目を開けたら消えてしまいそうで、僕は目を開けることが出来ません

チェギルとチョコの目を盗み、マルに近づくウンギ。

こんなに素敵な朝を僕にプレゼントしてくれて、ありがとうございます

これ以上、欲ばりません

もうこれ以上、望みません

僕はいま、幸せです

一方、ジェヒの家には朝からジェシクが押しかけていました。

朝食を中断し、家を出ようとするジェヒにジェシクが絡みます。
ジェシクのすねを蹴り上げ、1分以内にこの家から出ろと凄むジェヒ。

「お前もマルに消えて欲しいのか?」とやぶから棒にジェシクが切り出します。

「ある人にマルを消すように頼まれたもんで、今アンケート調査中だ」

アン弁護士が本当にマルを消そうとしていることを知り、愕然とするジェヒです。

ジェシクはその足で、マルの家を訪ねていました。

やはりここでもやぶから棒に、マルがいなくなってもチョコはチェギルと結婚して守ってもらえと言い出すジェシク。
その言葉に胸騒ぎを覚えるチェギルです。

一方テサンでは。

ウンギの元彼に、ジェヒが報酬を約束していました。
競合する予定だった某会社買収の件から、約束どおり降りるとジェヒ。
男がウンギが記憶喪失だとマスコミにリークしたのです。

自分たちの手を汚さずともウンギを引きずり下ろせるとほくそ笑むジェヒと、満足げなアン弁護士。

事態を把握したパク弁護士は、急ぎマルに報告していました。
ウンギが記憶喪失だという噂が証券界に広まっていると聞き、緊張を高めるマル。
ウンギを禁治産者にさせないために、実は了承を得ずにあることを決めさせてもらったと言いながら、ネットの記事をマルに見せるパク弁護士。

そこには、ウンギが婚約者のマルと結婚すると書かれてありました。

ジェヒもその記事を目にしていました。
マル結婚の文字に、震えるジェヒ。

マルと結婚すれば、ウンギが禁治産者になったとしても、後見人は配偶者になる。
向こうに先手を打たれたようだとアン弁護士も悔しがります。

たまらずマルの部屋を訪れるジェヒ。

「結婚するなら、まず親に報告すべきでしょう?」

本音を隠し、筋論で攻撃するジェヒ。
マルはまったく相手にせず、本当は式を挙げてから発表するはずだったのにと応じます。

ウンギはさておき、あなたは一体全体正常なのかとなじるジェヒ。
メンタルを問題視するなら、一番問題なのは会長ではと、マルは冷笑を浮かべます。

「目的達成のための、政略結婚なの?」

マルが切り返します。「そう思い込みたいんですか?」

突如ジェヒは態度を変え、マルにもう一度結婚を考え直すよう懇願し始めます。

「ウンギを選ぶのが最適な選択なのか、他に方法はないのか、理性を持って客観的に、もう一度考え直してみて、マル」

マルの手をとって切々と訴えるジェヒ。その手をマルが冷たく振り払います。

ジェヒに顔を近づけ、低い声でささやくマル。

「俺がウンギを必要としてるんだよ。もうウンギなしでは、一時たりとも耐えられないんだ」

その言葉に涙をためるジェヒ。
顔を離し、マルが続けます。

「これで答えになりました? 会長」

涙をこらえきれないジェヒです。

うつろに廊下を歩いていたジェヒ、ウンギと顔を合わせます。

テサンをすべて受け渡す筈ではと尋ねるジェヒに、自分はいらないものの、私を必要としている人がいるので仕方なくとウンギは答えます。

一体マルがどんな男か十分調べたのかと尋ねるジェヒ。十分知っているとウンギは答えます。
ジェヒはウンギを試すように、チョコは今でも寝ながら泣くかと尋ね、なぜそれを知っているのかとウンギはいぶかしみます。
ちょうどその時パク弁護士が、会議の時間だからとウンギを連れて行き・・・・・・。

パク弁護士は、ウンギに今日の理事会でどのように対応すべきかレクチャーしていました。
禁治産者にさせないために、マルと結婚してもらうとパク弁護士。
ウンギは本当は戦略ではなく、本物の結婚がしたかったと明るく応じます。
その言葉にショックを隠せないパク弁護士です。

理事会で、ウンギの記憶喪失の噂が持ち出されるだろうから、想定問答集を作っておいたとパク弁護士。
何かあればこのとおりに答えて欲しいと言います。

ミーティングを終えたウンギ、パク弁護士に聞きたいことがあると言います。
自分が事故を起こした相手の人は、いまどうなっているかと尋ねるウンギ。

パク弁護士は、気にしなくてもその「女性」は怪我が完治し、外国に行ったと答えます。
応分の保障もしてあるので、その件は忘れていいとパク弁護士。

ウンギは化粧室で顔を合わせたヒョン弁護士に、自分が車で突っ込んでしまった相手について、調べて欲しいと言います。

パク弁護士は被害者を女性といったが、自分の記憶の中では明らかに男性だと伝えるウンギです。

その頃チェギルはチョコのオーディション会場に来ていました。
マルと飲み屋で話したことを思い出すチェギル。

あがり症のチョコは、またしても歌いだしに失敗していました。
声が上ずり、震えてしまうチョコ。
諦めて会場を去ろうとすると、チェギルが入ってきます。

審査員たちに、自分が伴奏したらちゃんと歌えるから、やらせて欲しいと頼むチェギル。

チェギルのピアノに落ち着きを取り戻したチョコ、美しい歌声を披露します。

『チョコ。マルが病気なんだ。これからは俺たちが、マルに返す番なんだよ。俺たちがしっかりして、マルを支えよう、チョコ』

チョコに心の中で語りかけるチェギル。

テサンではヒョン秘書がパク弁護士に確認していました。

「理事がぶつかった相手って、カン・マルさんだったのですか?」

ウンギが自分の言葉を信じず、ヒョン秘書に調べさせたことを知ったパク弁護士。

性別を勘違いしただけで、その人は外国に移民に行ったと口裏を合わせるよう、ヒョン秘書にお願いするパク弁護士です。

一方ウンギは。
デスクの上においてあった茶封筒の中身を取り出します。

そこに入っていたのは、ウンギの事故記録。
被害を与えた相手として明記されていたのは、カン・マル。

その瞬間、ウンギの脳裏にはっきりと事故の記憶がよみがえります。
アクセルを踏む自分と、対向車線を走るマル。

同時に次々と思い出される会話。

事故など調べなくていいと言ったチョコ。
相手の「女性」は快復し、外国に行ったと告げたパク弁護士。

皆が自分に嘘を言っていたことを知ってしまったウンギ。

その場に崩れ落ちます。

何も知らないマルが、理事会の時間になったとウンギに知らせにきました。
平静を装うウンギ。

マルは、臆することなく資料にあるとおりに答えれば大丈夫だとウンギを励まします。
廊下を歩きながら、再びフラッシュバックするある日の光景。

海辺で、愛する人ジェヒと旅行に来るはずだったのに、来れなかったと言うマル。

俺が手に入れたいのはハン・ジェヒで、ソ・ウンギではないと言うマル。

命がけのフリをしたから、お前みたいな高慢ちきな女が俺に一発でなびいたんだと言うマル。

ジェヒ姉さんを手に入れるためなら、できないことなどないと言うマル。

ウンギは全て思い出してしまいました。
静かに微笑をたたえ、何事もないようにマルに応じるウンギです。

ウンギは予想通り、理事たちに記憶喪失の噂についてただされます。
せっかく用意した想定問答集があるのに、一言も喋らないウンギ。

パク弁護士とマルが気を揉むのをよそに、ウンギが立ち上がって告白します。

「私は事故で記憶喪失になりました。実は脳にも若干の損傷を負っています」

ざわめく一同。
事実を正直に話し、経営の一線から退くべきだったのではとの声が上がります。

ウンギは続けます。

「記憶を失い、自分が何者なのかを確かめる作業から、私のリハビリは始まりました。いままで、死力を尽くしてきたのです。私は皆様の予想とは異なり、代理人の後ろに隠れるつもりはありません。皆様から見て、私がテサンの理事に不相応だと思うのなら、理事職から降りるつもりです。
そして、私の出来る、私がいるべき場所から、いちから始め直したいと考えています。テサンの一員としてまた新たに始めるために、チャンスを下さい」

理事会を終え、自室に戻ったウンギ。
マルが静かに歩み寄ります。

「よくやったよ。ソ・ウンギはああでなくっちゃね」

ウンギを励ますマル。
振り返って、マルに礼を言うウンギ。

「ありがとう。他の人はみんな怒ってるのに、マルさんだけが褒めてくれるのね。マルさんだけが私を褒めてくれた」

マルは優しくウンギの手をとります。

「今日、給料日なんだ。欲しいもの、ない? 何でも言ってみて。僕、結構お金持ってるんだ」

ウンギは欲しいものを一つずつ挙げていきます。

「そうね。お花。あと、バッグ。それから、サムギョプサル」

小さく吹き出すマル。

ウンギが言葉を続けます。

「それと・・・・・・キス」

マルはウンギにプレゼントするため、バッグを選びます。

花屋で花を買うマル。

そしてウンギは、父の眠る納骨堂を訪れていました。

「遅くなってごめんなさい。お父さん」

ウンギの脳裏によみがえる、幼き日の父との記憶。

今日からテサンの後継者として、お前に全てをかけると言った父。
息子など要らない、お前がやればいいだけの話だと厳しく申し伝える父に、幼き日のウンギはべそをかきます。
ウンギの泣きべそを見て、叱る父。テサンの後継者がそんなに弱くてどうするのかと言います。

「つらい時ほど笑え。泣きたいときは一人で泣け。
誰にも弱いところを見せるな。誰のことも信じるな。そして、誰にも本心を見せるな。それがテサングループのソ・ウンギが生き残る道だ」

父はウンギの抱いていた人形を投げ捨てます。

『お前は女ではない。お前の母親は私を裏切ったが、お前は絶対私を裏切るな。お前は私がこの世で信じる、唯一の人間だ』

父の言葉を思い出し、涙を流すウンギ。

「ごめんなさい、お父さん。
あの日私がカン・マルのところにさえ走らなければ、あの悪党のところにさえ行かなければ、亡くならずにすんだかもしれないのに。
ごめんなさい。ごめんなさい、お父さん」

心で父に懺悔するウンギです。

ウンギの記憶が戻ったことなど、露知らぬマル。

約束の場所でウンギを待っています。
幸せそうな笑みを浮かべるマル。

納骨堂で座り込むウンギと、ウンギを待ち続けるマル。

ようやくウンギが約束の場所に行くと、マルの姿がありません。
ベンチに置かれた、花と飲み物とバッグを見つめるウンギ。

その時、マルがやってきます。

「いま来たの? 用事は済んだ? 会いたい人には会えた?」

優しく語り掛けるマルにうなづくウンギ。

プレゼントは気に入ったかと尋ねられ、気に入ったと答えるウンギ。

「全部素敵。全部私の好みだわ。ありがとう」

その言葉にほっとするマル。

「そして。4つ目のプレゼント」

愛するウンギに、マルは約束どおりキスをします。

熱烈なキスを交わすマルとウンギ。

そのウンギの目が冷たく見開いたところで・・・・・・。

ラスト。

イヤーーーー!!!(泣)

もうヤダ。もう無理。無理です。

全20話のうちの16話でこの展開って。分かっちゃいたけど、酷すぎます。
来週とてもじゃないけど見れません。(涙)
しかも、予告もなし。そりゃ、見たくないとは言いましたが。



まさか、あそこから、元のウンギに戻っちゃうんでしょうか? いや、それ以上の酷い方法でマルを傷つけるんでしょうか?
なんだか、サッド・エンディングな予感・・・・・・。

Noー!!
あなたのためにどれだけマルが献身したと思ってーーーー!

以上、涙と絶叫とため息の16話でした。
はぁ。