みなさま、こんにちは。

日に日に暖かく、初夏の緑が目に眩しい季節になりました。
半袖でも過ごせそうな陽気になってきましたね。

・・・・・・などと書いていつもあとから気づくのですが。
東西南北に分布する日本列島。
どこを基準に天気を語るかで全然違ってきますよね。
むずかしい。
全然そんな気候じゃないというみなさまには、すみません。(笑)

さて、今日は“ガチョウの夢”(邦題仮)という歌をアップします。

“거위의 꿈”は「コウィエ クム」と読みます。
意味は「ガチョウの夢」。

「みにくいアヒルの子」でもなく、「ガチョウ」ってところがミソなんですよね、この歌。
みにくいアヒルの子だと、つらい時期があっても大きくなったら美しい白鳥になるわけですが、ガチョウはずっと平凡にガチョウのまま。

そんな平凡なガチョウが、それでも抱く夢。

なんかもうこれだけでウルッときませんか?(笑)

人生は悲しくて腹立つことだけに偏ったり、逆に楽しくて嬉しいことしかないなんてことはなくて、悲しいことと腹立つことに嬉しいことや楽しいことが織り交ざってるものですよね。後者が多い時はそのままでいいけど、前者のほうが多すぎる時にはつとめてバランスをとり心の安寧を計るのが肝要だろうと思うのですが、この歌はそういう時の切り替えに向いている歌なのではないかと思います。
人を癒す力のある歌詞なんですよね。

オリジナルは、1997年10月に発売されたCarnival(カーニバル)のファーストアルバムの1曲。


Carnival1st_image

カーニバルはイ・ジョクさんとキム・ドンリュルさんのプロジェクトユニットで、発表されたのはこのアルバム1枚のみです。
イ・ジョクさんはその前に「パニック」という男性デュオで活動、キム・ドンリュルさんも同じく男性デュオ「展覧会(チョルラメ)」で活動していました。映画『建築学概論』で挿入歌として使われた『記憶の習作』をご記憶の方もいらっしゃると思います。あの歌声が「展覧会」時代のキム・ドンリュルさんです。


leejuk&kimdongryul_image1

左がイ・ジョクさんで、右がキム・ドンリュルさん。

上記の写真は2008年の時のもの。

「カーニバル」の頃はこんな感じ。


leejuk&kimdongryul_image2

滲んでますね。若さと時代が。(笑)

この歌をおよそ10年後の2007年1月にカバー曲として発表したのがインスニさん。

インスニさんによってこの歌はより幅広く知られることになり、ライブなどでたくさんの歌手に歌われるように。


insuni_image2

insuni_image1

この曲は作曲をキム・ドンリュルさんが、歌詞はイ・ジョクさんが担当。
イ・ジョクさんは今年2月に行われたソロライブで、実はこの歌は30分ほどの短い間に作詞したのだと明かし、ファンを驚かせもしました。
すごいですよね。30分で作詞とは。(笑)
きっと言葉がギュッと詰まってたんでしょうね、胸の中に。

では、どうぞ。
まずはカーニバルバージョン。


거위의 꿈

난 난 꿈이 있었죠
버려지고 찢겨 남루하여도
내 가슴 깊숙히 보물과 같이 간직했던 꿈

혹 때론 누군가가
뜻 모를 비웃음 내 등뒤에 흘릴 때도
난 참아야 했죠
참을 수 있었죠 그날을 위해

늘 걱정하듯 말하죠
헛된 꿈은 독이라고
세상은 끝이 정해진 책처럼
이미 돌이킬 수 없는 현실이라고

그래요 난 난 꿈이 있어요
그 꿈을 믿어요 나를 지켜봐요
저 차갑게 서 있는 운명이란 벽 앞에
당당히 마주칠 수 있어요

언젠가 나 그 벽을 넘고서
저 하늘을 높이 날을 수 있어요
이 무거운 세상도 나를 묶을 수 없죠
내 삶의 끝에서 나 웃을 그날을 함께 해요

늘 걱정하듯 말하죠
헛된 꿈은 독이라고
세상은 끝이 정해진 책처럼
이미 돌이킬 수 없는 현실이라고

그래요 난 난 꿈이 있어요
그 꿈을 믿어요 나를 지켜봐요
저 차갑게 서 있는 운명이란 벽 앞에
당당히 마주칠 수 있어요

언젠가 나 그 벽을 넘고서
저 하늘을 높이 날을 수 있어요
이 무거운 세상도 나를 묶을 수 없죠
내 삶의 끝에서
나 웃을 그날을 함께 해요

私には夢がありました
打ち捨てられ 引き裂かれ ボロボロになっても
胸の奥深く宝物のように大切にしてきた夢が

またある時は誰かが
よく分からないあざけりを私の背に投げかけても
私は耐えねばなりませんでした 
耐えられました その日のために

いつも心配するかのごとく言うのです
空疎な夢など毒に過ぎないと
この世は終わりの定められた本も同じ
既に取り返すことなど出来ないのが現実だと

そう 私には夢があります
その夢を信じています 見ていてください
あの冷たく立ちはだかる運命という壁の前に
堂々と向き合ってみせます

いつか私はその壁を越え
あの空を高く舞い上がれるでしょう
この重苦しい世界も 私を縛り付けてはおくことはできない
人生の最後に笑う その日をともに迎えて下さい

いつも心配するかのごとく言うのです
空疎な夢など毒に過ぎないと
この世は終わりの定められた本も同じ
既に取り返すことなど出来ないのが現実だと

そう 私には夢があります
その夢を信じています 見ていてください
あの冷たく立ちはだかる運命という壁の前に
堂々と向き合ってみせます

いつか私はその壁を越え
あの空を高く舞い上がれるでしょう
この重苦しい世界も 私を縛り付けてはおくことはできない
人生の最後に笑う その日をともに迎えて下さい

ナン ナン クミ イッソッチョ
ポリョジゴ チッキョ ナヌハヨド
ネ カス キスッキ ポムグァ ガッチ カンジッケットン ク

 テロン ヌグンガガ
トゥッ モル ピウス ネ トゥンディエ フ テド
ナン チャマヤ ヘッチョ
チャムス イッソッチョ クナル ウィヘ

 コッチョンハドゥッ マハジョ
ホッテン クムン トギラゴ
セサウン クッチ チョンヘジン チェッチョロ
イミ トリキス オヌン ヒョンシリラゴ

クレヨ ナン ナン クミ イッソヨ
ク クム ミドヨ ナル チキョバヨ
チョ チャガケ ソ インヌン ウンミョンイラン ピョガッペ
タンダンヒ マジュチス イッソヨ

オンジェンガ ナ ク ピョグ ノコソ
チョ ハヌル ノッピ ナルス イッソヨ
イ ムゴウン セサンド ナル ムックス オチョ
ネ サメ クッテソ
ナ ウス クナル ハケ ヘヨ

 コッチョンハドゥッ マハジョ
ホッテン クムン トギラゴ
セサウン クッチ チョンヘジン チェッチョロ
イミ トリキス オヌン ヒョンシリラゴ

クレヨ ナン ナン クミ イッソヨ
ク クム ミドヨ ナル チキョバヨ
チョ チャガケ ソ インヌン ウンミョンイラン ピョガッペ
タンダンヒ マジュチス イッソヨ

オンジェンガ ナ ク ピョグ ノコソ
チョ ハヌル ノッピ ナルス イッソヨ
イ ムゴウン セサンド ナル ムックス オチョ
ネ サメ クッテソ
ナ ウス クナル ハケ ヘヨ

そして、インスニさんバージョン。

こちらのプロモーションビデオは庶民のささやかな夢語りを織り交ぜたつくりになっています。

1997年、イ・ジョクさんが23歳の時の作詞した歌を、2007年、50歳になったインスニさんがカバーしたわけですが、インスニさんが歌うとまた全然違う重みが浮かび上がってくるのが、歌の妙味です。駐韓米軍の軍人だった父。父の顔を一度も見ることなく差別と貧困の中で育ったというインスニさん。

ちなみにこの「ガチョウの夢」、色んな人が色んな形で歌っていますよね。

ほんとに色んな方がいるのですが、私のえこひいきでSISTARのヒョリンちゃんバージョンを最後に貼っておきます。

いずれもyou tubeのものなので、リンク切れになるかもしれません。

ヒョリンちゃん、相変わらずの歌唱力。素晴らしい。

一瞬オリジナルキーで歌っているのかと思うほどの低音ぶりを発揮していますね。実際は2音上げたところでしょうか。

悲しみをこらえながら頑張ろう、人に笑われても自分を信じて奮い立とう、みたいなイメージの沸いてくるこの歌ですが、曲のタイトルがガチョウなだけに華々しい変身もそんなに期待できない切ないこの感じ。
そのへんがさらに人々の哀愁を誘うのでしょうか。



頑張って、頑張っても、駄目かも知れない。
でも、駄目かもしれなくても、やっぱり諦めないで頑張る。

そんな弱きものたちの切ない前向きさとかすかな希望が込められた歌だからこそ、時々人々は歌いたくなるのでしょうね。
おそらく自分を慰め、また前を向くために。