みなさま、こんにちは。

引き続き、tvNのドラマ『未生/ミセン』第6話、まいります。

6話の冒頭は、チャン・ベッキにフォーカス。

誰よりも早く出社し、スタイリッシュなテレビドラマの登場人物かのように始業前のひと時を楽しむベッキ。イケてる自分に酔いしれるもつかの間、ベッキに一切仕事をさせようとしない先輩の出社によって現実に戻される姿が描かれます。

 

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完無視されてるハイスペックなはずの男子。
なかなかキビシイ現実。

ソンニュルいわく、ベッキが有能なので自分が追い越されないように先輩がけん制してるんですって。
さもありなんというべきか。つらい飼い殺しです。

かたや朝から課長の雄たけびを轟かせ、めちゃめちゃ盛り上がってる営業3課。

結果待ちだったウズベキスタンの案件がまとまったと現地駐在員から連絡が入り、オ課長もキム代理も大はしゃぎしてます。隣りのコ課長も嬉しそうに寄ってきて。輪の中には、高卒男子チャン・グレの姿も。

ベッキがこれ見て相当妬んでることが、想像に難くない瞬間。(笑)

「よっしゃ! コーヒーおごったる! 行くぞ!」

 

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子犬のようについていく可愛すぎるグレ。(笑)

でもおごってくれないんですけどね。

結局給湯室のインスタントコーヒーですませるっていう。
きっとお小遣い少ないんです。子ども三人いますから。(笑)

こんなことだと思ったとブーたれるキム代理。
でもここでほっこりするひとコマ。

課長はまず、グレからコーヒーを渡すんですよね。

恐縮し先輩に譲ろうとするも、キム代理も先に飲めと促し。

 

 

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営業3課でとっても大事にされてるのがモロわかりのグレ。

和気藹々とした営業3課を見てもやもやしつつ給湯室にきたのに、目の前でまたこの展開。ベッキのジェラスが更に深まった瞬間だったことでしょう。(笑)

そしてこの回の主役、登場。

 

 

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取引先に生易しすぎると上司に怒鳴られている、IT営業課のパク代理。

この人の物語は、後ほど。

新人紅一点かつ‘アルファーガール’の呼び声も高い、超有能女子アン・ヨンイは。

あれから更にいじめらていました。

 

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ハ代理がわざとヨンイに間違った指示を出し、そのミスを課長がなじるの図。
なんなの、この集団は。
組織的なイジメ。終わってる。

実はヨンイ、言っちゃったんですよね。
キャビネットの暗証番号を教えたかと聞かれて、そうだと。

 

「だから女は信用できないんだよ!」

 

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はぁ。ため息。

ちなみに‘アルファーガール/アルファガール’は、ハーバード大の児童心理学者ダン・キンドロン教授が2007年に記した著書‘Alpha Girls’で定義された「学業、スポーツ、対人関係などあらゆる分野で同世代の男子学生と同等もしくはそれ以上の成果を収めているエリート階層の女性」を称する言葉で、この数年韓国でも使われるようになっている用語です。

いじめられるヨンイを目撃し、すぐにグレに報告しに行くハン・ソンニュル。
聞こえてしまったオ課長も内心穏やかではありません。

何しろオ課長に教えたのは、ヨンイじゃありませんしね。
ってそういう問題じゃないですよね。(笑)

それにしてもソンニュル。知らないことがないんです。
キム代理が「ウィルマートの件はさぁ」とぶつぶつ言うのをちょっと小耳に挟んだ瞬間、あの件は営業3課が苦労しても実績は営業1課と2課が全部持っていく案件な上、当のウィルマートはナシのつぶてで打つ手がないと、まるで担当者のような実感こもったため息をついてみせ。

気に入られちゃいそうです、営業3課に。(笑)

なんて思ってたら、ほんとに気に入られちゃいました。

暇つぶしに来てるソンニュルをグレが追い払おうとした瞬間、キム代理に入るウィルマートからのメール。まるで自分の上司のように「オ課長、連絡が来ました!」なんて言いながらまた戻ってくるソンニュル。(笑)

ウィルマートの担当者名がなんと高校時代の同窓生だったため、オ課長は大喜びなんです。

昔どれだけ仲良かったか、ソンニュルに話してます。なぜだか。(笑)

 

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「昔大学受験に3回落ちて、軍隊行った後留学に出されたやつなんだけど、うまくやってるんだな!」

このセリフを聞いて、ピンとくるべきだったのかもしれません。この後の展開。

会議をしに訪れたオ・サンシクに、こーんな顔で喜んでいたくせに。

 

 

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実はオ課長とグレを待たせて、囲碁ゲームやってるんですよね。

決裁する書類があるからなどと嘘ついて。

 

 

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そんなこととは思いもしないオ・サンシク。

上機嫌に昔彼がクラスのケンカ相手に椅子を振り上げた時、俺が素手で払いのけてやったんだと武勇伝までグレに披露してます。

 

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ビミョーに固まってるグレ。

てか、それ敵同士じゃん!(笑)

結局この元同級生、散々待たせた挙句、資料が足りないのでまた送れと要求します。オ課長の用意してきた補完資料には目もくれようとしない元同級生のウィルマート部長。急に友だちモードから仕事モードに声色を変えてくるんです。

「ずいぶん仕事を簡単に済まそうとするんだな。オ・サンシク。オ課長。妥当性を検討して、またご連絡します」

 

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当惑しつつ、仕事モードの敬語で返すオ課長の姿に、早くも胸がビリビリきちゃう視聴者。

しかもオ・サンシク、会議に出るのにネクタイを忘れたという元同級生に、大事な自分のネクタイを差し出すんですよね。

グレは子どもたちがお小遣いをためて誕生日プレゼントしてくれたネクタイなのにと心配しますが、返してもらうのを口実にまた来れると笑ってみせるオ課長。切なさが増す視聴者です。

しかもオフィスでは。

契約書の雛形を作ってウキウキ待ってるキム代理。
のみならず、営業1課も2課も部長からこの件は決まったも同然と聞かされた状態。オ課長の親しい同級生と聞き、みんなうまく行くものと信じて疑わなかったんです。

屋上で一人ラーメンをすする、わびしすぎるオ課長。

そこへかかってくる一本の電話。

 

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かけてきたのは、元同窓生のピョン部長。

さっきは悪かったと言いながら、夕飯一緒に食べようと誘ってきます。グレも連れて来いと言われ、これは一気に契約だぞとまた持ち直すオ課長。もう視聴者としては見ていられません。

ちなみにこの人のあだ名は、”쌈마이 변/三枚ピョン”。

このドラマ、韓国で使われる日本語の隠語がそこかしこに登場するんですよね、実は。
この「三枚」は日本の歌舞伎で言う「三枚目」が転じて、韓国で「三流、とるに足らないもの」の意味で使われている日本語起因のスラングなんです。例えば「三流映画」の意で「三枚映画/サムマイヨンファ」と言ったりするわけですが、語源である日本ではこういう使い方をまったくしないですよね。

最初のメールが入った時「三枚ピョンだ!」とオ課長が言った時点で、相当ちっさい人間だと既に予告されていたこの悲しさよ。ああ悲しさよ。

オ課長は三枚ピョンが大好きだった豚足屋に連れて行こうとするのですが、そんな店冗談だろうとまた表情を変え、接待用のクラブに連れて行く三枚ピョン。
しかもわざとオ課長が嫌いそうなことをするんです。クラブのママの太ももを撫でたりして。

「大丈夫か? 俺は飲みたい時に飲めるけど、お前は人に合わせて飲まなきゃいけないんだろ?」

「大丈夫なわけないさ。肝臓も胆嚢も駄目にしたよ。ハハハ」

 

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自分が上だと見せ付けたい三枚ピョンは、オ課長にどんどん屈辱を与えます。

せっかく勉強できても商社でこんな苦労してるんじゃ世話ないなと笑う三枚ピョン。オ課長は負けじと笑顔を見せ、「それでも韓国でなになにマンと呼ばれるのは証券マンと商社マンだけだ」なんて言うのですが、「どっちも甲乙の乙じゃないか」と馬鹿にします。

甲乙は上下に置き換えていいと思うのですが、これも韓国でやたらに使われる表現ですね。

「ハハ。そんなことないさ。たまには甲の時もあるよ」

「たまーにな!」

 

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・・・・・・ぶっ飛ばしていいっすか?

散々接待させ、タクシーの窓から大事なネクタイを放り投げる蛮行を犯しながらも、三枚ピョンは結局契約しないんですよね。

初めから契約するつもりなどなかったと、翌日平然と電話でのたまう三枚ピョン。わけを尋ねるオ・サンシクに、「学生時代はいつもお前のほうが上だったから、一度俺が上に立ってやったんだ」と理不尽な本音を吐きます。

同窓会で会おうと電話を切った三枚ピョンにとことん踏みにじられたオ・サンシク。笑いながら契約書を破り捨て、空を見上げ。

 

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泣くわ。(涙)

もうほんと。
気づけばすっかりオ課長のキャプ画だらけですよ。おっさん好きの人みたいになってますよ。

正気に戻らなきゃ! シワン君、カモーン!(笑)

でもね。
やっぱりオ課長。

傷つきすぎて、抜け殻のようになってしまってます。
視聴者も放っておけるわけありません。

同じく放っておけない男子二人、社内メールで静かにやり取り。

 

 

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かなり傷ついてらっしゃると思う。
営業で一番しんどいのがどんな時か、分かる?

どんな時ですか?

 

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個人的な知り合いを接待する時。
それよりもっとつらいのは、友達を接待しなきゃいけない時。

 

 

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接待にはどうしても主従関係、垂直的な関係が持ち込まれざるを得ないんだよ。
友だちだからこそ、もっと惨めな屈辱を味わうんだ。
そんな時は、こんな思いをしてまで会社勤めしなきゃならないのかと思ったりもするもんだよ。

 

可哀想なオ課長。
そして心優しすぎる部下たちに、涙。

 

そして6話の軸をなすもう一つの物語り。

冒頭で触れた、この方。

 

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部長に怒られてうなだれるIT営業課のパク代理。

優しすぎて気弱と言える性格。
相手の立場を尊重しすぎるあまり、取引先にも妻にも強いことが言えません。

納期を何度も遅らせる取引先に部長の指示で直接出向いても、「娘が交通事故にあった」などと言われるとすぐ要求を引っ込めてしまいます。
全然駆け引きしたり脅したりが出来ないんです。

専業主婦と思しき奥さんも、つらい会社勤めで家計を支えている夫の気も知らず子どもに高額な習い事をさせたり、夫との話し合いで結論が出ていないものに勝手に入会したり。

パク代理は大学院に進学していいところに就職した友人のように、自分も会社を辞めて大学院に行きたいと願っているのですが、金を使うことしか頭にない妻のおかげで踏ん切りがつきません。
さもありなんすぎて、視聴者泣いたんじゃないでしょうか。

大学院に通うまでの間、生活費はどうしていたのかと尋ねるパク代理に、友人は「何かをやりたければまず自分のことだけを考えろ。みんなを満足させることは出来ない。自分の決断に責任を取れ」と核心に迫る忠告。自分に重くのしかかるばかりの「家」を外から眺めながら、「幸せだけど、家が嫌いだ。帰りたくない」とへたり込む、世捨て人症候群のようなパク代理です。

家に帰りたくなくて不必要に飲んで帰るサラリーマン、実際にも結構いますよね。パク代理の本音に、ギクッときてる奥さんもたくさんいそうです。
ま、中には身勝手な理由で帰りたくない人もいますが。
・・・・・・え? 大半?!(笑)

そのパク代理、グレとベッキのOJTの現場研修の一環としての取引先訪問を担当することになり。

ベッキは仕事のいかにもできなさそうなパク代理に、行く前からうんざり顔。
給湯室でも怒られてるのを見ちゃってますしね。

一方グレは、破いた紙切れを拾って来いとオ課長に言われ、屋上へ。そこで辞表を見つめていたパク代理に遭遇し、OJTを受ける新人だと進んで自己紹介します。

パク代理は自分なんかが教えても役に立たないといきなり自己卑下するのですが、グレはそんなことはないと即座に応答。

「うちの課長がパク代理は学ぶべき点が多い方だと仰っていました。取引先との関係でも誠意ある対応をなさる、模範的な方だと」

 

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思いがけないオ課長の褒め言葉を聞き、他にも何か言っていたかと前のめりになるパク代理。

グレは「端的に言えば外柔内剛型の商社マンだと。営業に不可欠な徳を備えた方だと仰ってました」などと伝え。

その結果。

「営業は戦争だよ。負けたら死ぬ! 肝が据わってなきゃ駄目なんだ」

 

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まるきり自分ができてないことを調子に乗って講演。(笑)

取引先が納期を守らなかった時は、自分は手続きどおり処理する、つまりペナルティを課すなどと強気な発言をし、グレを意外がらせたりしているのですが。

事件が起きます。

取引先に到着後、担当者に紹介するまでの間、実はここは配送がしょっちゅう遅れていると言うパク代理に、他の新規取引先に回しているんじゃないかと鋭い突込みを入れるベッキ。うちとは安定的な関係だから、高を括っているのではと。

ここはそういうことをする会社じゃないと笑って否定するパク代理でしたが。

 

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聞こえてしまうんです。

まさにベッキの言っていたとおりのことを中で話し合っているのが。

ワン・インターナショナルのパク代理は気が弱いので、いくらでも言いくるめられると高笑いする声まで。

笑いながら出てきて、驚愕する担当者。

 

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一旦外に出る3人。

ベッキは意気消沈するパク代理を置いて先に会社に戻ろうとしますが、グレはまだ残ると返し。

二人で担当者の元に戻ります。

あんな本音を聞かれた直後なのに、すぐ納めるからと、まだいつもの調子を見せる取引先。
それもそのはず、パク代理は完全に戦意喪失しているのがアリアリなんです。

俺なんか。俺なんか。向いてないんだ。辞めちまえ。

戦う前から白旗を揚げているパク代理を思いとどまらせたのが、グレのこの顔。

 

あなたの力を見せてくれ!

 

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お目目キラキラ。(笑)

グレの応援する目を見た途端、不思議に力が沸いてくるパク代理。

急速に振り返りモードに入ります。

結局俺は誰にでもいい顔したいだけだったんじゃないか。

会社の利益を責任もって代弁してこなかったんじゃないか。

自分はここで踏ん張らないとどこへ行っても同じだと悟るパク代理。

で、翼が生えちゃうっていう。

 

 

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レッドブルか!

ってすみません。(笑)

取引先に断固たる口調で「取り決めどおりにしましょう!」と宣言した、見違えるようなパク代理。

・・・・・・とここまでは良かったのですが。

 

勢いで言ってはみたものの、気弱なパク代理は賠償や契約解除のペナルティを負わせることに、すぐに尻込みし始めます。

その気弱さを知っているからこそ、わざと部下を怒鳴りつける取引先社長。

 

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自分さえ目をつむってあげればすむのに、10年続いた取引関係が自分のせいで終わってしまうと冷や汗を流すパク代理。今にも前言撤回しそうな雰囲気に、グレも気が気ではありません。

 

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危機を打開すべくリスクを承知で打って出た取引先のこの手法を、囲碁の「妙手」に置き換えるグレ。こういう状況になることまで想像できていなかったパク代理に前言撤回させるため、社長は芝居を売っている。あれは部下に顔こそ向けているものの、その実パク代理をなじっているのだと看破します。

相手が妙手に出たときは、こちらは正攻法で受けて立つ。

そう結論付けたグレは、キム代理にひそかにメールを送り、電話を一本かけてもらいます。

取引先の芝居がまさに功を奏しそうになった寸前にかかってきたキム代理からの電話。

「はい。もう少しかかりそうです。来てみたら問題が発生してまして。こちらの社長が会社にお越しになって直接説明されるそうです。はい。ご本人がそう仰いました。終わり次第すぐご報告します」

 

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なんと相手の社長を引っ張り出しちゃいました。

賢い子!

法務部を含め、全社を上げてなにやら大掛かりな緊急会議が招集されそうな物々しい雰囲気に、誰よりも先に気づくハン・ソンニュル。

 

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暇人なんで。

アンド野次馬でもあります。(笑)

ほぼほぼALLワン・インターナショナルな様相の会議。相手側は社長以下役員も出向き。と思ったらなぜかそこにチャン・グレまで?!

野次馬根性発揮して、エレベーターボーイよろしくアテンドし始める、お茶目なソンニュル。

 

 

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野次馬を見抜いたグレは途中で降ろそうとしますが、まったく下りる気ありません。(笑)

その上その大事な会議に、パク代理はグレも同席させてくれと部長に頼み。
その様子を見て更にたまげるソンニュル。

早速みんなに報告に。

「ワン・インターナショナルの全社を上げた重要会議に、チャン・グレ出動っすよぉぉお!」

 

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絶対ファン増えてる、この人。

動きと表情が最高です。(笑)

演出なのかアドリブなのか分かりませんが、興奮しすぎて休憩室で腹筋し始めてるんですよね、ソンニュル。
「チャン・グレが一番最初に出世したりして?! 高卒神話築いちゃう?!」などと言いながら。
かわいすぎる。(笑)

この状況が解せないベッキに、逆になぜ帰ってきたのかと尋ねるヨンイ。
短い言葉の中にもグレを評価するようなヨンイが、ベッキは当然気になります。

どうせ優柔不断なパク代理は、厳しい証言もできずにうやむやに終わらせるはずだと分析してみせるベッキです。

一方会議室では。
これまで7度に渡る遅延で取引先が社に与えた損害規模を分析する面々。

詳しいいきさつを述べるよう求められ、またしてもパク代理は相手に与える損害を思って怖気づいています。

グレは戸惑うパク代理に参考資料と称しメモを渡し。

 

 

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そこに書いてあった「無責任におなりください」の文字に、力を得て、また羽が生えるパク代理。

‘逢危須棄’。危うきに逢わば、いらぬものを捨てるべし。
無責任におなりください。捨てなければ。彼らを全て背負うことはできません。パク代理が生きなければならないんですから。

心でつぶやくグレに押されるかのように、パク代理は堂々とこの間のいきさつを話し始めます。

これまでに7度、貨物のリレーがあったこと。
新たな取引先を増やそうと、そちらに物流を集中させていた事実を、今日会社を訪問して知ったこと。
リレーの過程で当社製品の運送が遅延したこと。
この間の欺瞞について、今日その責任を問いただしたこと。

 

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よくやったと口々にねぎらう役員たち。

これでもう大丈夫だと安堵するグレでしたが。

パク代理の言葉はここで終わりませんでした。

「でも今日もう一つ明らかになった事実として、7度も問題が起きている間担当者である私はなんらの対策も講じず、この問題の深刻性を初期に認識できなかった点があげられます」

突然の告白に驚くグレ。

パク代理は言葉を続けます。

「それに私は、自分の仕事に自信がありませんでした。欺いていたのは、私です。そうしてもいいと彼らに思わせたのは、私なのです。私が自分の責任を果たせなかったからそうなったのです。会社が責任を問うべき相手は、私です」

 

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粉々に砕け散る翼。

・・・・・・あ。実際は脱いでませんよ。
漫画チックに表現してるだけで。

「燃料費が値上がりし、他社が運送費を引き上げた時も、わが社はむしろ削減させました。私は会社を代表して彼らを説得することができませんでした。その結果、彼らは新たな収益を模索したのです。
自分の仕事が信じられず、辞めることばかり考えてきました。そんな私だから、このような問題が起きたのだと思います。
私に責任を取らせて下さい。あの方々を救済して下さい。取引を停止しないで下さい。ペナルティを課さないで下さい」

 

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パク代理の思いがけない行動に、うなだれるグレ。

正直すぎるパク代理の前で、自分が恥ずかしくなっています。

これでパク代理は万事休すかと思いきや。

実は常務、入社4年のキム代理に青臭いと言いながらも好感を示すんですよね。お前に責任などどうやって取れるんだ、10年続いた取引関係を簡単に解除するはずないだろうとみんな口々に笑いながらも、今そういうことに気づくのは大切だと常務が言うんです。

気づくのがもっと遅ければ、より一層大きな損害を自分にも家族にも会社にもかけると常務。そういう理想は悪くないので、これからもそういう気持ちで仕事に取り組んでくれと語る常務に、役員たちも内心笑みを浮かべ。

通じたんです。
キム代理の誠実な一手が。

パク代理の受け取った「無責任」とは、取引先に対する無責任ではなく、ありのままを話すことで生じる自分に降りかかる不利益をも含んだ「無責任」だったんでしょうね。

グレは心でつぶやきます。

 

碁のどんな試合よりも無残だった

誰にでも自分なりの碁があるのに

俺ごときがこんな卑怯な手を教えようとしたなんて

 

情報通のソンニュルは、ベッキに電話をかけ、緊急会議の結末を伝えます。

契約は破棄されず、パク代理も責任を問われず、取引は継続。
パク代理の働きが素晴らしかったらしいと聞かされ戸惑うベッキは、どうしてそんなことを自分に報告するのかと苛立ちます。

「気にしてるだろうと思って。知りたかったんじゃないの?」

勘までいい子。(笑)

ソンニュルの言葉にまたもやもやしたベッキは外に出るのですが、そこでしょんぼりベンチに座るグレを発見。
何もできなかったと落ち込んでいるグレにほっとしながら、まだ何もできるわけないじゃないかと励ましともつかぬ言葉をかけるのですが。

直後、グレに近づいてくるパク代理とすれ違います。

頭を下げるグレに、グレのおかげだと感謝するパク代理の声。

ベッキは思わず振り返ります。

 

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「君が俺の貧相な殻を破ってくれたんだ」

そう言葉をかけられ、涙ぐみながら頭を下げるグレ。

「申し訳ありませんでした」

「ありがとうございました」

 

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互いに頭を下げあう様を見て、戸惑いを隠せないベッキです。

ますます一人置いていかれてる感のベッキ。
この回いいとこなしみたいですが。

実は私が省いただけで、冒頭いいとこありました。(笑)

いじめられるヨンイ。部長と外出するため駐車場にきたグレが、重いサンプルを運び出そうとしていたヨンイを手伝おうとしつつB/Lの件を心配するのですが、大丈夫だと断るシーンがあるんです。

そこへやってきた憎たらしさナンバーワンのハ代理は営業3課に手伝ってもらえばいいじゃないかと嫌味をいい、部長がヨンイを「本妻がよその妾になった」と称していることまで明かすのですが、抗議するヨンイはやり取りの中でサンプルを落とし、足の甲に怪我をするんです。

エレベーターでヨンイに遭遇したベッキは怪我に気づき、無理矢理サンプルをもぎ取ると医務室に連れて行くんですよね。

ヨンイをかばうために自分がオ課長に教えたのに(推定)、そのことも言い出せないベッキは、「だからやめろと言ったのに」と言うのが精一杯。

実は不器用なんです。

ちょっといいヤツなのに不器用なベッキのシーンは、こちらから。

 

 

 

ちなみにパク代理の一件の結末は、こうなりました。
会社は取引先と自社に有利な条件の契約書を作成し、パク代理はなぜこういう事態になったのか経過報告書を書くように言われ。

パク代理がなにかしら懲罰を受けると思っていたと話すグレに、キム代理は総合商社ではリスクにどんなに備えても不測の事態は免れないので、個人の責任を問えばきりがない。だから事後改善の方向で落としどころをつけるものなのだと解説。

ならばなぜキム代理のことは懲罰にかけようとしたのかと不満がるグレに、オ課長が割って入ります。

「だからナンセンスなんだよ。それに報告書だって冷徹に書かないと、類似の問題が起きた時は、今度は責任を取らされるんだ」

会社の厳しさをまたオ課長から教わるグレ。

気遣ったキム代理は自分がウィルマートの報告書をまとめようかと申し出ますが、オ課長は自分が書くと断ります。

同情しながらオ課長のデスクを覗き込み、ため息のキム代理。

消してたんです、オ課長。書きかけの報告書。

「チョンマニ チョンマニ チョンマニ」しか書いてないやつ。

言葉の意味は、5話にお戻りください。(笑)

色々あっても、ラストはほのぼの。

三枚ピョンの一件でつらいオ課長でしたが、妻が送ってきた末っ子の動画に笑顔を取り戻します。

「商社マン」と書かれた名札をつけ、商社マンはメガトン級の英雄で、地球のどこにでも必要なものを送り届けられる。スーパーマンやバットマンにもなれる存在なのだと誇らしげな息子。

 

 

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嘘だと突っ込むお友だちに、「お前なんか売っちゃうぞ!」と暴言(?!)で応じる息子。泣き出しケンカになる幼児たちに、顔がにやけっぱなしのオ課長。

イヤホンのジャックがちゃんと入っておらず、その音はみんなに筒抜けでした。

「末っ子はお前そっくりだな。代々商社マンになるんじゃないか?」  byコ課長

「“やれ! やってくれよ! お前が!” そっくりですよ」  byキム代理

 

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一緒に動画を見ながらほっこりを分け合う面々の優しい顔に、じんわりきます。

これをやりがいに商社マンをやってるんだと、伏せたままの家族写真に目をやるオ課長に、またジーン。

まぁ、くれぐれも子どもの夢と安寧と平和を壊すような暴力的なものは売らないで頂きたいですけどね。とそこは一瞬現実に戻される視聴者。貧しい国から資源奪ったりね。水奪ったりね。作物の種子奪ったりね。武器売ったりね。そんな商社山ほどありますから。
って、ドラマがぶち壊しなんで。スルーしましょうか。(笑)

ラストまでの動画も、貼っておきます。

グレに教育的説明をするキム代理のシーンから。

 

 

 

いやぁ、毎回濃いです、このドラマ。

ギッシリみっちり内容が詰まってます。

CM挟んで70分ドラマなので、正味60分ちょっとでしょうか。
他と変わらないのにすごく濃くて、でも見てるとあっという間。

そしてこのドラマの特筆すべきところは、主役のグレがスーパーマンではないところ。

窮地に陥った上司をただ胸を痛めながら見守るしかなかったり、でしゃばって問題を解決できるほどの力量もなかったり。一生懸命等身大で生きる以外、なんの術も持たない主人公。
ただ謙虚に、静かに、そこにいるしかやれることがないんですよね。まだ。

でも、無力ではありつつ、少しずつ人々の教えを自分の物にして、噛み砕いていく姿は丁寧に描かれていて。

いいんですよねぇ、この「以上でも以下でもない」感じ。

そして本当は、多くの人がグレの持っている「碁」を違う形で心に持っているんじゃないかと。実は大切に育んできた自分自身を形作るぶれない軸を、多くの人もグレみたいに持ってるんじゃないかと。それがいま直接仕事にかかかわるものじゃなくても。利益を生み出す何かに一見見えなくても。
そういう気もしてくるんです。

グレには碁がある。そして私にはこれがある。

そんなふうに気づく人もたくさん出てきそうな予感。
そんな意味でも素敵なドラマです。

そのうち、「ドラマ的な」派手なエピソードも登場するのでしょうが、それはそれで楽しみにしておきましょうか。(笑)

いやーしかし、あれです。

誤算は、オ課長。

日に日に私が取り上げる比重が高まってるんですが。

待って。違うの。そうじゃない。

私はシワン君が好きなはずなのに。

おっさんの魅力、恐るべしです。(笑)

 

ミセンOST