みなさま、こんにちは。

今日は6月18日にソン・ソッキ(손석희)さんのニュース番組「JTBCニュースルーム」に出演したBIGBANG、G-DRAGONさんのインタビュー内容を取り上げてみます。

 

jtbcnews20150618_1

 
 

jtbcnews20150618_2

 

 

なかなかお目にかかれない、この組み合わせ。(笑)

G-DRAGONさんのインタビュー内容について書く前に、まず聞き手のソン・ソッキさんについて少しご紹介したほうがいいですよね。

ソン・ソッキさんといえば、韓国で最も信頼のあつい名アンカー。
MBCのニュースキャスターとして世に名を知られたソン・ソッキさんは、社会部記者を経てアンカーとなった元MBCアナウンサー局長です。
2002年からMBC退社後(2006年)の2009年まで司会を務めた時事討論番組『100分討論』(邦題仮)での鋭い切れ味と視点で、大衆からの信頼と支持を確固とした方です。

前大統領執権以降、「報道機関としての公正な報道」が軒並み危機に陥ったKBS、MBC、ニュース専門チャンネルのYTNでは、政権の意を汲む報道や番組作りを強いる社長の退陣を求める社員との間で衝突が起きたのですが、抗議する社員たちを不当に左遷したり辞職に追い込むなどの問題が発生する中、ごたごたする社を離れケーブルテレビに移籍するプロデューサーや名物記者、アナウンサーが各社で現れるようになりました。
オルタナティブなメディアに行く人がいる一方、色んな人がケーブルテレビに移籍しましたが、世間に最も衝撃を与えたのが、2013年当時教授職に就いていたソン・ソッキさんのケーブルテレビ総合編成チャンネルJTBC入りといえるでしょう。

前政権下で認可を受けたケーブルテレビにおける総合編成チャンネルは、JTBC(中央日報系列)のほかにTV朝鮮(朝鮮日報系列)、チャンネルA(東亜日報系列)、MBN毎日放送(毎日経済新聞系列)の4局。
総合編成チャンネルとは地上波三社と同様にニュースから娯楽番組、ドラマまでを全て網羅できるテレビ局のことをさし、韓国では「総編」と呼ばれますが、中道リベラルの新聞社は排し、合理性を欠いた保守色で知られる朝鮮日報系列や東亜日報系列など4社のみを総合編成チャンネルとして認可したことは、多くの人々の強い批判を招きました。自身を大統領に当選させるために紙面上で全面的に応援キャンペーンを展開したことへの見返りではないかと疑う声も、少なくありませんでした。

その総合編成チャンネルの一つであるJTBCに、公正報道の代名詞でもあったソン・ソッキさんがまさかの「移籍」。のみならずJTBCの報道部社長の座にまで収まったため、人々は2013年当時、当惑しながらこの行方を見守っていたのですが、蓋を開けてみたらソン・ソッキさんは変わらぬ公正なスタンスで自らアンカーをつとめるニュース番組を送り出していました。

ソン・ソッキさんへの信頼を物語る最近の例で言うと、各テレビ局の報道姿勢に怒ったセウォル号行方不明者家族たちが、事件当時、待機している体育館から報道のカメラを閉め出す事態が起きたのですが、唯一家族たちがインタビューに応じ、生放送で心境を吐露した相手がソン・ソッキさんでした。

そんなソン・ソッキさんのニュース番組『ニュースルーム』は現在月曜から金曜の夜7時55分から放送されており、その時間のみyou tubeのJTBCnews公式チャンネルではライブ放送もされているのですが、実はこの番組。毎週行われる大衆芸能分野で活躍する俳優や歌手を招いてのインタビューが、ひそかな目玉コーナーなんです。

ずっとご紹介しようと思いつつ手がつけられずにいるのですが、昨年10月20日に行われたソ・テジさんとのインタビューなどは、まさに大興奮ものでした。

 

 

jtbcnews20141020_1

 
 

jtbcnews20141020_2

 

 

jtbcnews20141020_3

 

 

この時は生放送でのインタビューだったのですが、ソ・テジさんは滅多にテレビに出ない上、ニュース番組にでるのも、生放送でのインタビューに応じるのも、これが初めて。

秘密主義で知られるソ・テジさんでも、ソン・ソッキさんの番組には二つ返事で出てしまうんですよね。

他にも、80年代の韓国歌謡界を代表する歌手イ・ムンセさんや「国民的俳優」のアン・ソンギさん、ハン・ソッキュさん、歌手であり俳優であるキム・チャンワンさん、女優のユン・ヨジョンさん、『未生/ミセン』の原作者ユン・テホさん、JYP社長のパク・チニョンさん、『サムシセキ漁村編』でお馴染みになった俳優のユ・ヘジンさんなど、大衆芸能の分野で活躍する多様で意外なゲストが顔を見せてくれています。

ソン・ソッキさんは誰に対しても、淡々としつつも厳しい質問、きわどい質問も投げかけてくるので、憧れていても覚悟がないとなかなか対峙できない方だと思うのですが、そんなソン・ソッキさんの前になんと驚くべきことに出ちゃいました。BIGBANGのリーダー、G-DRAGON。

 

 

jtbcnews20150618_3

 
 

G-DRAGONことクォン・ジヨンさん。
聞かれることに実に真摯に、一生懸命答えていました。

天下のGDでもさすがにソン・ソッキの前ではこんなに緊張するんだなと思ったり、緊張しつつも自分の主張すべきことはちゃんと言うんだなと感心したり。
なかなか面白かったです。

普段は特にBIGBANGの曲を聴きませんが、最近出た“LOSER”は結構好きでこのところ聴いていたのもあり、興味深くインタビューを見ました。

インタビューのテーマは2つ。

ひとつは最近開かれている、GDをモチーフにしたソウル市立美術館での展示について。

 

 

peaceminusone_poster

 
 

これはソウル市立美術館とBIGBANGの所属事務所YGが共同主催している「舞台をこえて(Beyond the Stage)」(邦題仮)と題された展示会で、6月9日から8月23日までソウル市立美術館ソソムン本館にて開催されています。
GDを客体としてアーティストが表現したもののほか、GD自身の作品も展示されているとのこと。
韓国語のみですが、詳細はコチラの公式サイトをご覧ください。

たかがアイドルが人気に物を言わせて芸術の分野にまで首を突っ込んできたと、冷ややかな前評判が聞かれていたのですが、いざ展示が始まってみると「意外にいい。というか、いい」という声をよく目にします。
インタビューでもまずはそのあたりのことを尋ねられるGD。

その後は新しいアルバムについてや、自分と他のアイドルとは何が違うと思うのかと問われたり、10年後の自分は何者になっていると思うかと尋ねられたり。

 

 

jtbcnews20150618_5

 

 

緊張しっぱなしで殆ど笑わなかったGDがほぼ唯一はっきり笑ったのは、終盤。かつての自分の言葉を紹介された時。

 
 

jtbcnews20150618_6

 

 

また、最後のソンアンカーからの「お願い」には、頭をかきながら神妙に答えていました。

 

jtbcnews20150618_7

 
 
jtbcnews20150618_8

 

 

せっかくなのでインタビューを全て翻訳してご紹介します。

映像はJTBCyou tube公式サイトより。

 



ソン・ソッキ:毎週木曜日は大衆文化界の人物にお会いする時間です。MERS(マーズ)のために非常に重いムードではありますが、前回ユ・ヘジンさんをお招きした時も、多くの方が「慰めを得られた気がした」と良い感想をお聞かせくださったので、今日はまた違う方をお招きしましたが、非常に喜んで頂けると思います。とても特別な方です。
韓流スター、最高のアイドルを超えて、いまやアーチストと呼ばれる若い芸術家です。BIGBANGのG-DRAGONさんを隣りにお招きしました。今日もいい時間になりそうです。こんにちは。

GD:こんにちは。

ソン・ソッキ:お会いできて嬉しいです。

GD:お会いできて嬉しいです。

ソン・ソッキ:最近、ご存知かと思いますがGDを取り巻く二つの大きな話題がありまして。ひとつは歌手として、BIGBANGのメンバーとして新しいアルバムを準備中であるということ。新曲はシングルで既に出しましたよね。

GD:はい。

ソン・ソッキ:ワールドツアーも現在進行中だとか?

GD:はい、いま回っているところです。

ソン・ソッキ:そしてまた、最も議論となっているところですけれども、ソウル市美術館に向かわれましたね。現代美術の客体にも、主体にもなって参加し、そのことで美術方面の方々からは賛成反対の声が上がっているようですが、今日の話はその二つが主軸になると思います。

GD:はい。

ソン・ソッキ:現代美術については、もともとご本人が美術に関心がかなりおありなんですよね?

GD:ええ。関心があるだけでした、子どもの頃から。絵を描くことも、専門家のようにではありませんが好きでしたし、ミュージックビデオやファッションに関心が強いので、美的なものに対する幻想は大きかったです。

ソン・ソッキ:いくつかのメディアでは、耳障りな言葉になるかもしれませんが、「美術で包装した巨大な商品である」、「芸能事務所の戦略に公共の美術館が動員された」、「芸術を脇役においやる美術館に、ファンの少女たちが押しかけたからといって、何の意味があるのか」。
非常に強いトーンで批判したメディアもありますね。

GD:ええ。

ソン・ソッキ:勿論、そうではないメディアもあります。

GD:最初だからだと思います。色んな議論は、常に始まる時に最も熱く交わされると思うのですが、長期的に、長い目で見た時には、いまのこの始まりを基盤に、後には良くなるだろうという確信がありますし、その確信のもと、私自身が何らかの始発点になるということだけでも、大きなやりがいを感じられると思っていました。
それに、音楽の時も常にそうですが、議論になることはある意味ではいい作用をもたらすとも思っていて、多くの方が理解してくださるだろうと思っています。

ソン・ソッキ:具体的な作品で見てみましょうか。恐らく多くの方が「一体どんな作品なんだ?」と思われていそうなので。作品を見ながらお話しましょうか。
クォン・オソンさんの作品を代表作として用意したのですが、タイトルが、「無題のG-DRAGON、名が空白となった場所」。
上がG-DRAGONだというのは分かるのですが、下に踏まれている人は誰です?

GD:下も私です。

ソン・ソッキ:そうなんですか?

GD:あの作品は聖ミカエル大天使が悪魔と戦う昔の図像、古代の図像なんですが、ネットに出回っている私のイメージ写真をもとに、それを再解釈して作った、写真のピースでできた作品でして、ご覧のとおり悪魔も私で、天使も私なんです。

ソン・ソッキ:どんな意味なんでしょう?

GD:一緒に表現しようとしたのは人間の善と悪についてで、込められた意味としては、作家の先生がご覧になった時に、GDという歌手は常に自分の中で戦っている気がしたのだそうです。自分のイメージを変えるために、より良いアルバムをつくるために、常に自分自身と戦っているイメージを表現されようと。

ソン・ソッキ:分かりました。面白いですね。別の作品をお見せしましょう。こちらはビデオウォールにずらっと映し出してお見せしますけれども。マイケル・スコーギンスの作品。この方は米国の作家です。GDには会ったこともないそうですね?

GD:はい。話はしました。
この方を選んだのは、今回の展示会は殆どが韓国内の方なのですが、そのかたがたはどうしても私についてあらかじめご存知じゃないですか。歌手G-DRAGONについて。私についてまったく知らない、G-DRAGONについて、人間クォン・ジヨンについてまったく知らない作家の方が私を表現するに当たって、また違う作品が生まれるのではないか。そういうワクワクから始まりました。

ソン・ソッキ:全てビデオウォールに映し出したのですが、こちらを見ると2014年7月7日と一番上に日にちがあって、下のほうには“I Can’t Breathe 僕は息が出来ない、息が出来ない、”と最後まで。そして作家の名前が最後にあります。どういう意味なんでしょう?

GD:作品の一番上に日付があるのですが、その日というのが黒人だからということでニューヨーク警察から過剰鎮圧を受けたエリック・ガーナーという人が(亡くなった日で、その人が)最後に残した言葉が“I Can’t Breathe”という言葉だったそうなんですね。それで・・・・・・。

ソン・ソッキ:それとGDとはどんな関係が?

GD:その“Breathe”というのが私の歌の歌詞なんです。スコーギンスという作家が私の歌を聞いた際に、そのことを思い浮かべたそうなんです。ご覧のとおり、この方の特徴は、一見すると子どもたちがいたずらした、落書きのような絵なのですが、その中に社会的なメッセージを込めているところが特徴なんです。

ソン・ソッキ:代表的な作品を二つだけ見ていきましたが、作品を見てもう一度質問を差し上げます。先ほどの質問と似ているかもしれませんが、見たあとの感想があるだろうと思って申し上げるのですが、大衆音楽の人間として、やはり商業性から出発せざるを得ないと思うんですね。なぜ自分がこれをしなければならないのか、これが現代美術を商業化するもう一つの否定的な出発点になりうるかもしれないという懸念。ここについてもう一度伺いたいのですが。

GD:懸念はあるのですが、それが悪いとは思っていないんです。商業的なものが悪いという考えもないですし。単純に考えて、私はまだ年も若いですし、これからも発展できる時間がたっぷりあると思っているんです。なので、単純に私の現時点での考えでは、例えばきれいなものや美味しいものがあれば親しい友だちに紹介したり、一緒に食べたいと思うような感じ? そういう気持ちなので、私がこうした美術を、勉強とは違う学びの中で感じた多くの長所を、もう少し多くの人々に紹介したいと思いましたし、近しく、親しみを感じつつアプローチできるようつくれたらと思っているんです。

ソン・ソッキ:お答えを聞いていると、随分色々お考えになってきたようですね。なぜなら、かなりの議論になってますので。それについての自分の考えを明らかにしておく必要があったってことですよね?

GD:もともと深く考えるほうです。

ソン・ソッキ:BIGBANGの話をします。少しは話しやすいですか?

GD:ええ、少し楽です。

ソン・ソッキ:アルバムの出し方が独特ですよね。これまでは、以前イ・ムンセさんも出てくださいましたけど、何月何日何時にドーンと音楽が世に出なきゃいけないわけじゃないですか。これまでの常識で言えば。
でも今、BIGBANGのアルバムは正規のものが出る前にシングルが出て-一月に2曲でしたっけ?

GD:ひと月に2曲ずつ、毎月1日です。

ソン・ソッキ:そうやって全部出した後、最後に集めて出すんですよね?

GD:はい。

ソン・ソッキ:正規アルバムが出る頃には冷めていませんか?

GD:そうかもしれませんけど、個人的には・・・・・・。

ソン・ソッキ:“BEBE”のような曲を全部聞いたあと、正規アルバムでまた聴くのは、ちょっとってところがあるじゃないですか?

GD:それはありえますが、個人的にはそれだけ既に持っている歌に対する自負心というのか、自信があるので、こういう方法をとったんです。それに、一番最初にこうした方法をとった理由としては、私たちは3年ぶりにカムバックしたんですね。それだけ国内市場で多くのファンの方々と長らく出会えなかったので、どうしたら少しでも長く多くの人に多様な歌と多様なミュージックビデオをプレゼントできるだろうかと考えて始めたことなんです。

ソン・ソッキ:ご存知のとおり、最近の音楽は文字通り消費されてしまう状況なので、チャートに上がっても次の週には落ちてしまうじゃないですか。それをひと月に2曲ずつ何ヶ月かやるとなると、たとえば6月1日に発表した曲は9月や10月には全て忘れられてしまう状況なのに、そこに自信があるということですか?

GD:私は、自信があります。

ソン・ソッキ:根拠は?

GD:根拠ですか? 根拠はないです。自信はあります。

ソン・ソッキ:それが若さの特権でもありますね。そうなると、近頃競争になっている-競争という言葉はどうお受け取りになるか分かりませんが-EXOやSHINeeも最近アルバムを出して活動中ですよね。

GD:そうですね。

ソン・ソッキ:彼らと差別化できる点はなんだと?

GD:差別化できる点は、私たちは自分たちの歌を自分でつくるという点です。
そしてそれが大衆にしっかりアピールできているという点。大衆がその歌を喜んでくれるという点が違いだと思います。どうしても・・・・・・。

ソン・ソッキ:私たちがこういう会話を交わした途端、EXOとSHINeeのファンが凄く怒るのでは?

GD:怒るかもしれませんが、事実なので。仕方がないと思います。

ソン・ソッキ:ああ。とても堂々としていらっしゃいますね。

GD:つくってるので。

ソン・ソッキ:つくるということが、とても重要みたいですね?

GD:重要であらざるを得ないと思います。なぜなら歌手という職業は、例えば私がある作曲家の方の歌をもらって歌うなら、私なら個人的に自信が持てません。なぜなら、ほかの方はどうか分かりませんが、私は表現する方法を、幼い頃から、自分がつくった歌を自分が表現するという方法を選んできたので、他の今活動されている歌手の方よりも(他の人の作品を)うまく表現できないだろうと思います。

ソン・ソッキ:3年ぶりにアルバムを出したと仰ってましたけど、3年の間、先ほども申し上げたとおり非常に(世間は)消耗的に過ぎていくわけですが、自分たちが忘れられたらどうしようという不安はありませんでしたか?

GD:そうですね。グループでいる時もソロ活動をする時も、今のところは成功裏に活動できています。そのせいか、今のところはそういう心配をしたことがないんですが、今後についての心配ならいつもしています。

ソン・ソッキ:どんな心配をですか?

GD:うーん。まだ私は30歳になっていないんですが。

ソン・ソッキ:28歳ですよね。

GD:はい。数え年で28歳なんですが、今後10年、短くは5年後について、色んなことを今考えています。

ソン・ソッキ:いわゆるアイドル出身者たちの共通した悩みかもしれません。5年後、10年後に自分がどんな仕事をしているだろうかというのは。それと同じような悩みだと考えていいですよね?

GD:そうですね。だからこそこうした美術館との協業ですとか、他の分野の作家、芸術家との協業などでたくさん悩み、引き続きチャレンジしているんだと思います。

ソン・ソッキ:ひとまず現実的な悩みとして一つ質問を差し上げますが、いつかは発表しても1位を取れないことがあるんじゃないですか?

GD:あるでしょう。あると思います。

ソン・ソッキ:不安ですか?

GD:うーん。見ようによっては贅沢な話なのですが、勿論、アルバムを発表したのに1位になれなければ、寂しく感じるとは思います、今や。贅沢な話ですが、いままでたくさん(1位に)なってきて、あるタイミングからは当然視されるという。人々からも。なので、そういうことが大きなプレッシャーとなって感じられているのが、いまの時期なんです。
なれなければ残念に思うでしょうし、寂しく思うと思いますが、そういうことがむしろ私たちの考えを変えてくれたんです。デビュー当初は「1度1位になろう、大賞を取ろう」と思って歌手を始めたとするなら、ある程度の中間地点を越えてからは、1位や賞などがやや無意味になるような。大事なのはそこではなく、自分たちがどんな音楽をやり、どうやって世界を変え、どうやって人々の文化をアップグレードできるのかということのほうを遥かに悩んでいるので、1位になれないとしても他の分野で私たちが望むものを手にできるなら、それが大きな喜びになると思います。

ソン・ソッキ:では、こう質問しようと思います。いついつと日にちを決めることはできませんが。時期を定めることはできませんが、およそ10年後のGDとは、誰でしょう?

GD:実はこういう質問をたくさん受けてきたのですが、そのたびにうまく答えられなくなるんです。なぜなら、常にイメージメイキング、トレーニングはしているんですが、私はただ明日、今日より良い明日、昨日より良い今日、そう考えて日々を一生懸命生きているので、むしろ10年後や5年後を考えるのは、あまりに遠く感じてしまいます、今のところは。

ソン・ソッキ:第三者としてはこう申し上げられる気がします。いまのGDとBIGBANGはトップであり、トップにいる間は充分楽しむのも大切だと。

GD:そうですね。

ソン・ソッキ:そう申し上げたいです。
最後に一つ質問します。かつてGDがどんなことを言ったかと言いますと、「青少年にとって僕は有害だと思う。それでも音楽の力を信じる」と。どういう意味ですか?

GD:私は、今の姿もそうですが、実際韓国的情緒の中では、ある意味ではちょっと突然変異と言えばいいのか。最初に世に出た時もそうでしたが。

ソン・ソッキ:逸脱した存在?

GD:そうです。ある意味では。なので、多くの同世代や年下の人たちが私を見て逸脱を夢見たり、代償的満足を得たり。そういうところが私の魅力の一つになっているみたいです、自分で思うに。それでそういう人たちが私の真似をし、憧れ、好きになってくれるみたいなんですが、私自身も幼い頃に自分のような歌手を見ながら夢を描いていたので、そう言ったんだと思います。

ソン・ソッキ:分かりました。先ほど最後の質問と申し上げたんですが、いまのお話を聞いたらこれが気になって言わずにいられないのですが。軍隊(兵役)はいつ行きますか?

GD:軍隊は、行く時に行かないと。

ソン・ソッキ:行く時に行くと。

GD:はい。

ソン・ソッキ:では一つだけお願いして終わりましょうか。軍隊に行った後も、その感性を失わないでください。

GD:それが私の最も大きな悩みです。失わないようにします。

ソン・ソッキ:はい。GD。クォン・ジヨンさん。G-DRAGONとの対話でした。ありがとうございました。

GD:ありがとうございました。

 

 
相手がかのソン・ソッキということも多分に影響しているんでしょう。
が。とにかく受け答えが真摯です、クォン・ジヨンさん。
20代のアイドルがこの番組のインタビューに出てきたのはこれが初めてですし、今後もアイドルでソン・ソッキと相対そうという人が現れるとも思えないので、実はこれは凄いことだったのかも。
政治家や公職者なら答えざるを得ないとしても、芸能人はわざわざ自分に中身がないことをさらけ出すメリットがないですからね。自信と覚悟がないと出てこれない気がします。
ただ、呼んでもらっただけでも光栄すぎて、自信がなくても出ちゃうのかもしれませんが。(笑)

自分で自分たちの曲を作っていることにGDがあれだけ自信を持っているのを垣間見れたのも、このインタビューの収穫でした。
言われてみれば、確かに。
アイドルに詳しくありませんが、自作できる人はそんなにいない気がします。
あったとしても、代表曲にまではなれてなかったり。

これをみた他のアイドルが「なにくそ」と奮起して曲を自作し始めたりしたら、面白いですよね。(笑)

そして、最後の「お願い」に答える場面は、GDの顔を見ている視聴者のほうがちょっとつらくなってしまいました。

 

 

jtbcnews20150618_9

 
 

今トップの座にいる人間が、この国の男子に生まれたという理由で約2年もの間を国家に無償奉仕しなければならないのですから、兵役という制度の理不尽さを思い起さずにおれませんでした。
GDと軍隊、実に合いません。みんな合わないですが、彼の場合はさらに合わないと感じます。
ナイーブで美しいものを好む、自由を謳歌するGDのような人が、国を守るという美名の下、内実は命を奪う訓練を集団で行う場にいやおうなく投げ込まれるのですから、そのギャップの激しさたるや。
ソン・ソッキさんがその感性を失わないで欲しいというのも、うつむいて「失いません」と答えるGDも、あの世界がどんなものか分かっていて、想像できるからこそのやりとりなのでしょうね。
最後のやり取りで急に悲しくなった人、結構多い気がします。

長くなるので載せませんでしたが、ちょうどJTBCのウェブサイトに文字おこしをしたものがありましたので、貼っておきますね。

インタビューの韓国語文字おこしはコチラから。

ともあれ、間違いなく時代の寵児であろうBIGBANGとG-DRAGON。

イ・ムンセの時代よりも、ソ・テジの時代よりも、はるかに音楽が消費されるだけの今にあって、どれだけ自ら望むように大衆の文化を彼らがアップグレードできるのかわかりませんし、私にはまだ口ずさめる彼らの曲が一曲しかないですが、それでも好きなことをして目一杯輝いて欲しいと、このインタビューを見て思います。

ちなみにGD。このインタビューは収録だったのですが、終わった後インスタグラムにこんなメッセージを載せてました。
 

“아직도 떨려 후덜덜. 손석희 앵커님과 함께한 JTBC 뉴스룸 녹화. 잘 봐주세요 / まだ震えてる。ガクガク。ソン・ソッキーアンカーとご一緒したJTBCニュースルーム。見てくださいね”

 

素直に緊張を告白するGDも、またキュートです。