みなさま、こんにちは。

ついこの間3月になったと思ったら、もう4月が目前。
あっという間に時が過ぎていきます。
あたたかい春の日を、みなさまもお楽しみください。

さて、今日はとうとうこれをアップします。
先週放送が終わった『六龍が飛ぶ』最終回第50話。

49話ラスト。
キル・ソンミに狙われたバンウォンの元に駆けつけたムヒュル。

ムヒュルはバンウォンとプニを逃がし、キル・ソンミと対峙します。
剣を交え、以前とはまるで違っているムヒュルに驚くキル・ソンミ。

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一方バンジはチョク・サグァンと対峙していました。

互いに相手が変わったと感じている二人。
チョク・サグァンはもう斬られても動揺せず、バンジも傷ついた体をまるで気にする様子がありません。

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かたやムヒュルはキル・ソンミとの闘いで急所を突かれるも、おばあちゃんのお守りに守られ。

不意をつかれたキル・ソンミは首を切られてしまいます。

キル・ソンミはムヒュルに破れ、首を切られて瀕死の状況。ムヒュルは止めを刺さずにその場を後にするのですが、ヨニャンがキル・ソンミを発見。息も絶え絶えの姿に狼狽するヨニャンを、後ろからはユク・サンが狙っていて。

ユク・サンはヨニャンがイ・バンジが息子であることを知っていて隠していたことを知り、ヨニャンが密かに自分への怒りを募らせていたと分かったため殺そうとしたのですが、最後の力を振り絞ってキル・ソンミがユク・サンに切りかかったため、ヨニャンは難を逃れます。

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ムヒュルはチョク・サグァンとの決闘に加勢し、2対1で戦い。

「なぜヨンギュ兄を殺した?」と憤るムヒュルに、「なぜ班村に武器庫を作ったのですか?」と問い返すチョク・サグァン。バンジが代わりに「政変を起こして三峯先生を殺すために作ったんだろう」と答えます。

「そう。それがあなたたちの大義。ポウンを殺し、王様を殺して建てた国で、互いに殺しあうだけでは飽き足らず、子どもまで殺した」

チョク・サグァンの言葉に、武器庫で子どもが犠牲になったことを初めて知るムヒュル。

「それで、誰を殺すつもりだ?」と尋ねるバンジニ、チョク・サグァンは「5人の罪人。あの方を無理矢理王位につけた無名。王様と王氏を全て殺したイ・ソンゲ。チョン・ドジョン。班村の武器庫の持ち主イ・バンウォン!」

三つ巴で刀を交える3人でしたが、結局チョク・サグァンはムヒュルを助けようとしたバンジにより致命傷を負います。

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「強い剣術を持ってしても、結局誰も守れなかった、罪人・・・・・・」

5人目の罪人を口にするチョク・サグァンの振り絞るような独り言に、「あなたが最後の罪人だったのですね」と頷くバンジ。
バンジの脳裏にはヨニにかつて言われた言葉が甦っていました。
『あんたのせいじゃない。あんたが悪いんじゃない。世の中がおかしいのよ』

その言葉をそのままチョク・サグァンにかけてあげるタンセ。

「あなたのせいじゃない。世の中がおかしいんだ」

「‘世の中がおかしい’・・・・・・。気持ちが楽になるわね。ありがとうございます、殺してくれて」

こうして息絶えるチョク・サグァン。

かつてチョク・サグァンを助けた時は「ありがとうございます。助けてくれて」と置手紙をもらっただけに、ムヒュルの心中は複雑です。

二人きりになり、「俺を助けてくれたんだな。今度は、俺たちの番か?」と尋ねるムヒュルに、「もっと強くなって、俺を殺しにきてくれ。頼むよ、ムヒュル」と去っていくタンセです。

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その後現れた母ヨニャンに一緒に南京まで行こうと誘われるタンセ。
そのあとは好きにいいからと言う母にタンセは口ごもりますが、その時プニも現れ、自分もそうして欲しいと言います。

どのみちタンセはここで生きていくことは出来ないので、生き残ったからには新たな人生を送って欲しい。自分は遠い島に行く。面倒見て守ってあげなければならない人たちがいるからとプニ。

「面倒見て、守ってあげなければいけない人か・・・・・・。それはよかった」

プニの言葉を繰り返し、涙を見せるタンセ。

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廃人になりますよね。
つらすぎませんか。
全ての重みがタンセ一人の身にずっしりと。

強い剣術を持ってしても誰も救えなかったチョク・サグァンの悲しみすらも背負い、守ってあげることが生きる意味にもなっていたヨニを失い、もう一人の生きる意味だったプニとは呆気なく生き別れ。
自分にはもう守ってあげられる人がいないタンセが、面倒を見て守ってあげる対象のいるプニに「よかった」と言うのも、言葉とは裏腹に悲しすぎて。

もう色々あんまりじゃないかな、っていう気がします。

そしてプニはどうしてそんなに切り替えが早いのっていう。あの抱きしめは、完全に「よしよし」とタンセを「慰め」てるんじゃないの? 「別れを惜しんでる」のではなくて。
とまたプニに当たりかかる視聴者ですが、もしやあれは精一杯惜しんでたんでしょうか? 
プニからのメッセージが分かりずらくて最終回も戸惑います。(笑)

このあと、チョンニョン和尚はハリュンの秘密を知っていることを本人に明かします。ハリュンはもと「無名/ムミョン」の下っ端組織員で、上司と部下を殺して逃げたことがあったのです。
身分を隠して生きても誰にも分からないというチョンニョン和尚。ハリュンが「無名/ムミョン」の残党を始末するのを手伝う代わりに、もう一つの名前を白達元(ペク・ダルウォン)を名乗り、これからは褓負商(ほふしょう。行商人)として生きることをハリュンに認めさせます。

もっとも、チョンニョン和尚はヨニャンから「必ず生き残り、後日また集まろう」と命じられたのを遂行しているまでなのですが。

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ちなみに白達元は実在の人物。朝鮮初期の商人で、褓負商団の始祖とされ、朝鮮建国前、女真族との戦いで怪我を負ったイ・ソンゲを助けた対価として商業活動において優遇されたとされています。

この白達元は『根の深い木』のほうにも出てくるのでしょうか?
私は見ていないので分からないのですが、とにかく最終回は『根の深い木』に繋がるシーンのオンパレードのようです。(笑)

ムヒュルは結局、プニからの手紙を渡しつつ、バンウォンに刀を返して去ります。

「誰も笑っていないという言葉、肝に銘じるよ」と神妙に送り出すバンウォン。

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一人になり、プニからの手紙を開いてみるバンウォン。

『大君が私にオッコルムを下さった時に交わした約束、土地と百姓の夢。それだけは忘れないで下さい。そうすれば‘虫’にはならないでしょう。そうして下されば、プニはどこかで笑っていられます。お元気で』

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「オッコルム(チョゴリのリボン状の紐)なんていつあげたっけ?」

と記憶が既に定かでない視聴者ですが、物語はどんどん進み。

バンウォンが王になるまでを急いで描かなくてはならないので、まずは第2次王子の乱。

60人の私兵でバンウォンを排除しようとしたすぐ上の兄バンガ。

捕らえられ、バンウォンに命乞いをします。

兄に恩情をかけ命を奪わなかったバンウォン。
そんなバンウォンを褒めつつ、「もう休みたい」と譲位した兄バングァ。
これによりバンウォンがとうとう3代目の王・太宗に即位。

即位後は、妻の兄弟を次々と粛清するバンウォン。

表向きには、義兄弟たちが王世子を守るためのほかの王子を殺そうと主張したためでしたが、王妃となったミン・ダギョンは、そんな理由ではなく自分が何もかも独り占めするためだろうと激しくバンウォンをなじり。

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そんな妻にも「分かっているなら王妃も気をつけなさい」と脅してますので。

結婚生活、完全に破綻してます。(笑)

その後、息子イ・ドの様子を見に行くと、たくさんの書物を読んで楽しんでいるところでした。そんなに勉強して王世子になりたいのか、政治がやりたいのかと詰問するバンウォン。

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バンウォンは息子に政治とはなんぞやと尋ねます。
「孔子が仰るには・・・・・・」と答えようとする息子に、自分の考えを話せと促すバンウォン。
イ・ドは「分けることです」と答えます。
その答えに驚くバンウォン。イ・ドは言葉を続けます。

「国の多くの財をどのように分けるのか、誰に収めさせ、誰に与えるのかを決めることです」

チョン・ドジョンを髣髴させる息子に狼狽するバンウォン。
「それはお前の考えか? それとも何かで読んだのか?」と尋ね、イ・ドの答えも待たずにここにある本を全て捨てろと命じます。

ところがイ・ドは本を読ませて欲しいと即座に懇願。王世子の前途を邪魔したりはしないと。

王世子が6年かかった書物をふた月で読破すること自体が王世子の行く手を阻む行為だと怒るバンウォンですが、「でも父上。だからといって何もしないで生きていくことは出来ないではないですか。生きていれば、何かしらしなければならないではないですか」とイ・ドは懸命に訴え。

バンウォンは、今度はその言葉にプニを思い出してしまいます。

バンウォンはムヒュルに会いに行くと、息子イ・ドの護衛武士として戻ってきて欲しいと頼みます。

「おかしなやつなんだ。私に似ず、懐かしい人たちに似ている」と息子をムヒュルに引き合わせるバンウォン。

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ムヒュルはバンウォンの気持ちを察し、プニのいるムヘン島に連れて行きます。

ムヒュルは島の行首として相変わらず人々を束ねているプニに会い、浜でバンウォンが待っていることを伝えますが、プニは会いに行きませんでした。

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プニは、バンウォンに会えばそのあとまたつらくなるので、遠くからその姿を見つめるだけにしたのでした。

そこへ、ひと目でバンウォンの息子と分かるイ・ドがやってきたため、「一度抱きしめさせて欲しい」とイ・ドを抱きしめ涙するプニ。

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プニの涙に驚くイ・ドに、幼い頃を思い出したのだとプニ。

「王様は、おかわりないですよね?」と尋ねるプニに「相変わらず、孤独でいらっしゃる」とイ・ドは答えます。

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時がたち。

イ・ドが王となった世界。

プニは初めて島から出ます。

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そこでは世宗王が作ったという文字が、子どもたちに盛んに普及されており。

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遅くても10日、早い人だと半日で覚えられるほど簡単だという宮女たち。
文字はたったの28個だと聞き、プニは驚きます。

かつてチョン・ドジョンと最後に交わした言葉を思い出すプニ。
百姓との疎通はまだ解決できていないと、あの時チョン・ドジョンは話したのでした。
字がわかる百姓はいるものの、全員が理解できるようになるのは到底不可能だと語っていたチョン・ドジョン。プニは「考え続ければきっと解決できます」と答えたのですが、それをバンウォンの息子イ・ドが成し遂げたのかと感激するプニ。

墓標一つないチョン・ドジョンの墓に参り、来るのが遅くなったと詫びながら、バンウォンの息子が何かをやり遂げたようだと心で報告するプニ。

プニはハングル文字が書かれた紙を手に、チョン・ドジョンの墓で眠るように息絶えます。

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そして再びあの日の浜辺。

イ・ドに別れの挨拶をし分かれたプニに、バンウォンが「あんまりじゃないか?」と声をかけ、二人はしばし共に過ごします。

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あれほど夢見た王となり、どう過ごしているかと尋ねられ「毎日胸が踊り、毎日恐ろしくて、毎日が孤独だ」と答えるバンウォン。
同じく尋ねられたプニは「毎日忙しくて、毎日孤独です」と答え。
プニの答えに「よかった。お前も孤独で」とバンウォン。
プニは「それでもみんなで一緒に開墾し、一緒に分け合って食べているので」と答えます。「自ら計民授田を行ったのだな」と感心するバンウォンに、「計民授田というには、まだまだ収穫物が足りません。倭寇も心配ですし」とプニ。
会話の途中、バンウォンは今もプニが自分の贈った髪飾りをしているのを目に留めます。
「これしかなくて・・・・・・」と言いわけのように言うプニを見つめ、「会いたかったよ、プニ隊長」と思いを吐露するバンウォンです。

ん~。なるほど。

初めてこのシーンを見たときは「プニがまだバンウォンを想っているとか、ありえなくない?」と思ったのですが、改めてみてみると「この二人は昔から思い合っているけど、添い遂げられない定めだったんだな」と納得できてしまいました。これってバンウォンの表情が上手すぎるせいでしょうか?!(笑)

兄タンセとも生き別れ。
兄の恋人であり自分をとっても大事にしてくれたヨニも死に追いやり。
希望だった三峯先生も殺し。

全部バンウォンの仕業なんですけどね。
それでもまだバンウォンを想ってるというのが、通常ならば納得しがたいのですが。

バンウォンを遠くから見つめ、息子を代わりに抱きしめ、バンウォンと別れたあとは「多分死ぬまで愛してる」と言われたことを回想して涙したりしてるのを見ると、相当気持ちが深いということなので、プニはやっぱりバンウォンには昔から思いを寄せているんですね。バンウォンの善良な面や葛藤、心の変遷を一番近くで見てきて、なおかつ、他はさておいてもことプニだけはバンウォンは常に大切な人として接してきているので、悪感情を抱けないのも当然かもしれません。
年をとったプニが相変わらず独り身らしいのは、バンウォンへの思いだけでなく、タンセとヨニへの罪悪感もあるのでしょう。

って、気づけば最終的にプニの感情に納得してしまっているんですが。(笑)

そして、プニと再会を果たしたバンウォンに尋ねるムヒュル。

「なぜあの時プニさんを行かせてあげたのですか? 私が行くのも許してくださいました。そうしないこともできたではないですか?」

バンウォン答えて曰く。「そうしないわけにはいかなかった」

そして心でこう続けるのです。

「それは、私自身へのささやかな慰めだった。私が今の私ではなかったことを示す、ある時代の痕跡。ただそういうものを残したかったのだ。お前たちは、本当に難儀な人たちだった。あえて私に反対したり、向かってきたりはせずとも、私に心を全て預けてくれもせず、私の手中に収まりもしなかった。風がそうであるように。百姓がそうであるように・・・・・・」

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島を出る前、このあたりの倭寇が本拠地にしている場所が対馬だと聞き、対馬を討つ計画を立てるよう指示するバンウォン。

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プニのためかと尋ねるムヒュルに「私にそんなロマンがまだ残っていると思うか?」と答えるバンウォン。あとは頼むといわんばかりに息子イ・ドの肩に手を添えるバンウォンで、ラスト。



最後の最後に、かつてみんなで夢を語り合った時のシーンが出てきたのは、複雑な思いに駆られました。
あのシーンが出てきた時から、のちの悲しみを際立たせるためのものとは分かっていましたが。

さて、そんなわけで終わってしまいました『六龍が飛ぶ』。

イ・バンウォンが最終的な主役であるだけに、途中からは感情移入が難しくなりましたが、最後のムヒュルを前にしてのバンウォンの独白は、色んな納得いかない思いに落としどころをつけてくれる内容だったように思います。

力で権力をもぎ取った、天下に怖いものなどない筈のイ・バンウォン。
そのバンウォンが語る言葉。

『お前たちは、本当に難儀な人たちだった。あえて私に反対したり、向かってきたりはせずとも、私に心を全て預けてくれもせず、私の手中に収まりもしなかった。風がそうであるように。百姓がそうであるように・・・・・・。』

バンウォンの外見をし、チョン・ドジョンとプニの要素を併せ持つ、ある意味完成形のイ・ド。
ただ、のちに世宗王となるイ・ドの中にチョン・ドジョンを見出すのはいいとしても、プニをも同格に扱うのは大変な違和感を引き起こしかねない荒業だったと思うのですが、このプニを「バンウォンの恋慕する女性」としてみるか、「民百姓の代表」としてみるかで、実は印象やメッセージがまったく変わってきます。
私は後者として捉えました。

血塗られた権力者イ・バンウォンをしても、民は手強いばかりの存在であり、理想とする君主像の中に偉大なチョン・ドジョンと偉大な民の存在が掛け合わされているというメッセージ。プニをプニそのものではなく民百姓の象徴として置き換えると、伝えようとするメッセージはより明確になり、より納得のいくものとなります。
バンウォンが最後わざわざ「会いたかったよ、プニ隊長」と「隊長」をつけて呼びかけたのも、プニを単なる女性ではなく民の象徴、民のリーダーとして一般化し、意味を浮き上がらせるためでしょう。

権力者が民に恋慕すれば、通常なら強いほうが弱いほうを飲み込む構図になるわけですが、その構図になることを最後まで双方拒否したことには、フィクションとはいえ好感も覚えます。

ドラマの終盤、権力者バンウォンの孤独がクローズアップされることにはやはり気持ちがついていかず、このドラマが最初から最後まで民衆・民の視点を主軸に描かれていればより良かったのにという思いが残ったのは、残念でした。

そうした残念な思いを最後まで抱えつつも、主演のユ・アインさんは本当に見事の一言で。50話の間、はっきりと「成長している」感があり、ユ・アインさんには何度も舌を巻き、感嘆させられました。
バンウォンには色々文句がありますが、ユ・アインさんにはまったく文句なしです。(笑)
ピョン・ヨハン見たさで見始めたのが、気づけばユ・アインの再発見となりました。



全50話という恐ろしい長さでしたが、ご覧になられたみなさま、お疲れさまでした。
とにかく内容が濃くて、疲れるドラマでした。いえ、決して悪い意味ではなく。(笑)
最後の最後、タンセがどうしているかを少しだけでも描いて欲しかったので、そこも正直残念ですが、そのうち『根の深い木』を見て、「なるほどー」と新鮮に唸りつつ、新たな発見ができればとも思います。

なにやら3部作の計画もあるそうで、次はキム・ジョンソと首陽大君の「ケユジョンナン」になるかもしれないとのことですが、今はひとまずフル回転しすぎた頭を休めることとします。(笑)