みなさま、こんにちは。

2016年もとうとう今日が最終日となりました。
今年の締めくくりとして、今日は2016年に公開された韓国映画のうち観客動員数TOP10の作品をアップしようと思います。


昨年は観客動員数1000万人を超える映画が二本も登場しましたが(『ベテラン』、『暗殺』)、今年2016年に1000万人を超えたのは、これでした。

累積観客動員数11,565,479を記録した『釜山行き』(2016.07.20公開。邦題『新感染 ファイナル・エクスプレス』。統計はすべて2016年12月29日現在)。














影の主役「マブリー」ことマ・ドンソクさんをフィーチャーしてみました。(笑)

『釜山行き』(邦題『新感染 ファイナル・エクスプレス』)、歴代韓国映画観客動員数Top10入りも果たしました。
9位にランキング。素晴らしい!

「ゾンビ映画なのに泣ける」っていう、ちょっと新しいジャンルです。
本当に、観ている間も、観終わっても、号泣。(笑)

観客が本気で殴ってやりたくなる悪役ぶりを見せてくれたキム・ウィソンさんのユーモラスなSNSでの交流も話題となりました。(関連記事はコチラ

なにが起きているのかも分からない極限のなかで、自分で自分の身を守るしかない状況に追い詰められた人々。
親しくなった人も愛する人も、いい人も悪い人も感染すればすべからくゾンビになってしまうという例外のなさが本当に冷酷な。そしてだからこそ最期の瞬間まで「人間」であろうとする人々の姿が心を打つこの映画。

ゾンビが苦手でなければ是非お勧めしたい映画です。

しかしこの映画、邦題は駄洒落を効かせたのでしょうか?
確かに事件の舞台となるKTXは韓国の新幹線とよく称されますが、『新感染』って。「山田君、座布団1枚持ってきて!」のノリを狙ったかのようなネーミングですね。(笑)



そして第2位は。

惜しくも1000万には届かなかったものの累積観客動員数9,707,581名を記録した『検事外伝』(2016.02.03公開。邦題仮)。














実はこの映画も観たのですが、特にとりあげておりません。
というのも、観てみたら内容が全然良くなかったんです。
はっきり言い切ってすみません。(笑)

カン・ドンウォンとファン・ジョンミンの人気にぶら下がり、なおかつ『ベテラン』的な雰囲気を観客にかがせるだけで、970万人が観にいってしまうんですよね。

カン・ドンウォンはいいです、確かに。観ていて目の保養になります。でも、本当にそれだけの映画。
何のために、どんな志でこの映画を作ったのかと監督に問いただしたくなった人、かなりいたことでしょう。事実多くの人々はファン・ジョンミンさんつながりで前作『ベテラン』のような正義に根ざした義憤をもう一度見れるのかと期待してうっかり足を運んでしまったので。
監督の志の低さに対する不満を俳優が代わりに受け止めさせられるという、ファン・ジョンミンさんにとってはとても気の毒な展開にもなりました。「同じ演技で飽きた」の声があちこちから上がってしまったんです。
志の低い、人を食ったような映画に主演すると、俳優も疑われてしまうという典型のような映画だったと思います。


そして、第3位は。
ソン・ガンホさんとコン・ユさん主演映画、『密偵』(2016.09.07公開。邦題仮)。

1920年代、日本の植民地統治下において祖国の独立を目指して闘う「義烈団」の人々と、彼らを取り締まり弾圧する立場にある朝鮮人日本警察官との一筋縄ではいかない関係を描いたこちらの映画は、累積観客動員数7,500,420名となりました。















この映画には、日本の俳優である鶴見辰吾さんが出演されています。

この映画は1920年当時、朝鮮人でありながら日本の官憲として朝鮮の治安弾圧に当たっていた実在の人物ファン・オクにまつわる、歴史的評価を二分する「黃鈺警部事件」をモチーフにしています。
「義烈団」の活動家キム・ウジンをコン・ユ、日本の警察イ・ジョンチュルをソン・ガンホがそれぞれ演じ、イ・ジョンチュルは実際のところどちらの味方だったのか、どちらの「密偵」だったのかを追っていく物語です。

朝鮮が日本の統治下にあったあの時代、「独立軍支援派」や「植民統治受容派」に人々が単純明快に分かれていたはずもなく、一人の人間の間でもいかに生きるべきかの葛藤がその時々に絶え間なく存在していたであろうことを描いたこの映画。簡単に白黒付けられない複雑な人物像として描き出した点が秀逸だったと思います。

毛色のまったく違う2つの映画(正確には『男と女』を含めて3つ)の映画で脚光を浴びることになったコン・ユさん。現在はtvNのドラマ『トッケビ』にも主演し、高い評価を受けています。
2016年は間違いなくコン・ユさん当たり年となりました。



そして第4位は。
同じく700万人台をキープしたハ・ジョンウさん主演の『トンネル』(2016.08.10公開。邦題仮)。
こちらは累計観客動員数7,120,508名でした。













帰宅途中にトンネル崩落事故に一人巻き込まれてしまったジョンス(ハ・ジョンウ扮)。
見渡す限り瓦礫の山という絶望的な状況で、来ると信じた救援がこない。
こう書いただけでもお分かりかと思いますが、救援されない夫を待つ妻セヒョン(ペ・ドゥナ扮)の絶望的な心境を含め、この映画を「セウォル号」の悲劇に重ね合わせて観た観客が大半でした。
人々がなにを想定し、なにに共鳴するかが事前に十分に読めるとしても、決して安直なお涙頂戴ではない緻密さでリアリティを追求し作品を作り上げた監督に、賞賛の声が寄せられた映画でした。



そしてここ数年必ず一本はある「国策(的)映画」が第5位にランクイン。

累計観客動員数7,049,643名の『仁川上陸作戦』(2016.07.27公開。邦題仮)。








朝鮮戦争を描いているのですが、内容を真面目に論じる気すら起こらない、単なる「反共プロパガンダ映画」です。「反共」さえ掲げておけば人々を黙らせられた軍事独裁政権時代のマインドを復活させたい亡霊が、この国にまだまだ跋扈しているということでしょう。

この映画は公共放送KBSとKBSメディアが30億ウォンを投資して制作されたのですが、映画宣伝用の報道やドキュメンタリー番組を過剰に流すだけでは飽き足らず、映画に低い評価を与えた批評家を批判する報道を行うよう、去る7月、KBS幹部が文化部所属の2名の記者に指示。
これに対し記者たちは「偏ったリポートはできない」、「個別の映画を過度に取り扱うことは広報につながるため、従来も行っていない」 との趣旨で拒否したのですが、局側は「正当な指示に背いた」との理由で最終的に記者に対し減給2ヶ月の懲罰を10月19日決定しました。
この事例を見ただけで、どんな類の映画かおのずと分かるというものです。



・・・・・・ボルテージ上がったので、気を取り直しましょうか。(笑)


第6位。

きました、ユ・ヘジンさんの『ラッキー』(2016.10.13公開。邦題仮)。

こちらは累計観客動員数6,975,291名と、大健闘!















・・・・・・ヘジンさんがカッコイイ!?(笑)

何も考えずにみれる代表作ではないでしょうか。
ユ・ヘジンさんの演技が光るコメディー映画です。
長年脇役が多かったユ・ヘジンさんがワントップで700万人近い観客を映画に呼べるまでになったことが、『三食ごはん』でへジンさんを見守っていたファンとしては嬉しい限りです。
・・・・・・って、鑑賞ポイントがずれてますか?(笑)

ちなみにこの映画のヒットのおかげで、日本の原作映画『鍵泥棒のメソッド』への関心も高まりました。
日本にも入ってきてくれるといいですよね。


そして7位はR18指定(数え年なので韓国ではR19)ながら6,879,908名もの観客を動員した『哭声(コクソン)』(2016.05.12公開)。














映画については以前とりあげています。記事はコチラ

なんとこの映画、日本でも公開されるのですね!
タイトルはそのまま『哭声/コクソン』。公開は来年の3月11日だそうです。
あー、ネタバレ書かなくて、良かった!(笑)
『哭声/コクソン』の日本公式サイトはコチラです。

しかし私が見終えて感想を書かなかったのは、いつか日本で公開されるだろうからネタバレを控えて、というわけではありません。
この映画をどう紹介、いや、それ以前にどう解釈すべきなのか定まらないからなんです。

オープンラストというと語弊がある。
否、はっきり決着がついていると見るべき映画でしょう。
でもって、その見終えて理解した構図に、激しくモヤモヤさせられるんですよね。

ネタバレはいたしません。ただ、描写が相当気持ち悪いということは、述べておきます。(笑)


8位は5,599,229名を動員したソン・イェジンさん主演の『徳恵翁主/トッケオンジュ』(2016.08.03公開)。

この映画は朝鮮王朝最後の姫、徳恵(トッケ)の生涯をモチーフにしたものです。














徳恵姫は日本による朝鮮併合後に生まれた朝鮮王朝最後の血筋なのですが、父・高宗(コジョン)の死後兄ともども東京に「留学」に出された後、対馬の宗家と婚姻を結ぶことになり、結婚後ほどなく精神の病を発症。宗家と離婚後、1962年になってようやく帰国の途に着けることになった人物です。
映画では徳恵姫が独立軍との接点を持ちますが、このあたりは完全に映画的な設定だと監督自ら述べています。


9位と10位は12月に公開されたばかりの映画がランクインしました。


まず9位はキム・ナムギルさん主演の『パンドラ』(2016.12.07公開。邦題仮)。

ひと月足らずで既に400万人を超え、累積観客動員数4,153,596名となっています。















キム・ナムギルさん、この映画の役作りで体重をかなり増やしたそうです。

今回の滞在中是非とも見たかったのですが、「災害映画は嫌!」と頑強に拒否する友人に阻まれてしまい、残念ながら叶いませんでした。
一人で観に行くのはなんとなく・・・ですよね。
この映画は福島原発事故を機に制作された、原発事故を扱った映画なんです。

東日本大震災に伴う福島原発事故については韓国でも多くの人が心を痛めていますが、その一方で「自分たちは大丈夫」と根拠もなく自信を持っているというのがこれまでの韓国での代表的意見でした。
根拠なくと書きましたが、実際には「韓国には地震がないから」というのが「根拠」となっていました。

この映画は釜山の原発が巨大地震により損傷し、大災害につながるという設定なのですが、地震による原発事故など起きるはずがないと思い込んでいた韓国の人々を震え上がらせたのが、9月に起きた慶州でのM5.8の地震でした。
これ以降いまだに韓国では慶州地域を中心に地震が続いており、もはや韓国に巨大地震が起きないとは誰も言えない状況の変化がある中、この映画が公開。
「いま災害に見舞われたらひとたまりもない」というリアリティを伴った恐怖感を、映画を見た人々が口々に伝える映画となっています。
クチコミパワーでもう少し動員数が伸びそうです。


そして最後は、12月21日に公開されたイ・ビョンホン、カン・ドンウォン、キム・ウビン主演映画『マスター』(邦題仮)。

こちらもまた物凄い勢いでスコアを伸ばしていて、29日現在で4,069,270名となっています。















幸か不幸かこの政局の最中に公開されることとなり、イ・ビョンホンさんをして「映画が現実に追いついていない」と公開前に落胆させたこの映画。
「建国以来最大の詐欺劇」とのうたい文句が鼻白んで感じられてしまうほど現実が「先をいっている」ので、クリエイターの敗北感いくばくかと慰めの言葉でもかけてあげたくなりますが、興業面で言えば既に400万人を突破しているので、いまのところ大成功の予感ですよね。
この映画は必ず見ようと思っているので、いずれ取り上げます。


以上が2016年の観客動員数TOP10にランクインした映画でした。


上記の映画でいうと、私は『釜山行き』が最も良かったです。
何度も言いますが、ゾンビ映画なのに、泣ける!(笑)
やられたらみんな例外なくゾンビになっちゃうってあたりが、本当に恐ろしかったです。

日本公開の暁には、是非みなさまもご覧くださいませ。
映画館で見れば、恐怖倍増でございます。(笑)


そして。

興業的にはまさかの大失敗となった『隠された時間』。
この映画、もうちょっとカン・ドンウォンさんの出演分量が多かったら観客動員も伸びただろうか、などと下世話な考えもよぎりますが、私は実はこの映画がこの後も心に残りそうです。

今思い出しても、まだ悲しい。

いなくなってしまった人、もう会えなくなってしまった人が、実は止まった世界の中で今も生きているかもしれない。
そんな願望を秘めた映画にも思えます。

ともあれ、今年も数々の印象的な映画に出会えました。


さて、年の瀬を迎えた2016年の韓国。

今韓国では、多くの人たちが「2016年の秋と冬を失った」と口にしています。
韓国のメインのお正月は旧正月ではありますが、クリスマスも年末年始もあったのかなかったのか分からないほど、前代未聞の事態を前に人々は日常を楽しむ感覚を取り戻せずにいるんですよね。

それでも一つ区切りを付けて、新しく生まれ変わることへの希望を見出しながら、クリエイターたちはきっとまた何かを生み出してくれることでしょう。
新しい年には韓国の人々がどんなものを紡ぎだしてくれるのか、2017年も期待を込めて待ちたいと思います。

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最後に、今年もこのブログを訪れ、多くの言葉をかけてくださいました皆様に、心からお礼申し上げます。
いつも温かく楽しい言葉で応援してくださり、本当にありがとうございます。

来る2017年がみなさまにとって幸多き一年となりますよう、心より願ってやみません。
私たちの世界が平和であたたかなものでありますように。


새해 복 많이 받으세요!


みなさまどうぞ、良いお年をお迎えくださいませ。