*記事はtvNの放送(全16話)基準のため、日本のテレビ放送とは該当部分が異なります*

みなさま、こんにちは。

寒いですね。
日は一日と長くなるのに、この寒さ。
この寒さを乗り越えた先に、春がくるんですよね。

さて、tvNドラマ『鬼〈トッケビ〉』の人物紹介&ハイライト映像に続き、今日も第3話のまとめをアップします。

物凄い集中力で見てしまいます、このドラマ。
特には第3話まで。
スタートダッシュの素晴らしさ、他に類例がありません。
私は第3話終了と同時に、このドラマに完全にロックオンされてしまいました。(笑)

大事な展開が色々詰まっている第3話、ざっくり振り返っておこうと思います。

人物紹介のところでも書きましたが、ドラマの主人公であるウンタクは、満8歳の年に母を亡くし、ろくでなしの叔母のところに引き取られています。
この叔母もシングルマザーで男女一人ずつの子どもがいるのですが、ウンタクの母親が残した保険金1億ウォンあまりをウンタクが成人する前に横取りしようと狙っていて、通帳を出せと毎日のようにウンタクを脅しているんですよね。
ウンタクの保険金を担保にヤミ金からお金を借り、返済を迫りにきた男たちにウンタクが通帳を持っているとけしかけたりもするとんでもない叔母なんです。
おかげで2話のラスト、ウンタクが男二人に車で連れ去られる事件が勃発。

ウンタクには首の付け根のところにあざがあり、ウンタクに語りかける幽霊たちがいうにはそのあざが「トッケビの新婦」の証なのだそうですが、男たちに連れ去られながら心のなかでシンに助けを呼ぶウンタクの声は、実際にシンに届きます。あざからのシグナルをシンが感知したのです。

こうして同居人の死神とともに助けにくるシン。
2話に引き続き、第3話もここから幕あけです。

完全に狙ってますよね。
ヒロインを助けにくるイケメン二人組みの構図。
女心がこの構図に弱いことを、作り手は完璧に見抜いてます。(笑)

怒りを露にするトッケビ。

街灯を消す芸当を見せただけでは飽き足らず、車を真っ二つに。

泣き叫んでます、ウンタク。

ほどなく車の動きが止まり、顔を上げてみたら、なんと目の前に死神。

またもや命を回収しに来たのかと恐れをなすウンタク。

ドアを開けたシンに外に出され震えるウンタクでしたが、車が崩れ落ちた音に驚いて、思わず「おじさん」に抱きつきます。

抱きつかれて保護本能くすぐられた模様のトッケビ。

とはいえこの後、二人は助けてあげたウンタクに切れられるんですけどね。

車に乗る必要のない二人には車がなく、さらには男たちを懲らしめようと地図から道を二日間消したため、人っ子一人通らない道を延々歩いて帰らなければならなくなったのです。(笑)

ちなみにこのシーンの前までは、ウンタクが呼ぶとシンが現れる設定だったのですが、この救出シーンではウンタクの危機を察知する形でシンが現れたのが、それまでのパターンと異なる点でした。

他にも、3話のこんな何気ないシーンに色々な情報が詰まっていました。

アイドル歌手の歌番組を見ていたシンと死神とトックァ。
ボーイズグループを見ながら、シンは自分が守ってきた王を思い出します。
当時数え17歳だった王。

シンは死神に、もしかしたら画面の男子が王の生まれ変わりかもしれないのでよく見て欲しいと催促。

対する死神は、生まれ変わりが男とは限らない、女の場合もあると返答。
さらに、自分は手に触れなければその人の前世を見ることはできないと答えます。

死神がスキンシップを嫌がる意味が明かされた瞬間です。

ちなみにそれに先立って、シンはドックァに「同じ顔で生まれ変わる例もある」と述べてもいました。
「生まれ変わり」、「前世」といったキーワードが並び始める3話。

その「生まれ変わり」を早々に暗示するかのような、こんなシーンもありました。

病院のベンチで同僚・後輩たちと情報交換や雑談しながら、自分の業務時間を待つ死神。

新しく入ったという女性の死神に胸ときめく(?)死神なのですが。

この女性がですね。

どうもこの人のようなのです。

第1話で若き王をけしかけ、キム・シンを排除するよう促す側近。
その脇に立っているこの女官と思しき女性。

うーん、これは本当に生まれ変わり?!

過去の記憶を一切持ち合わせていない死神。
前世で大きな罪を犯した者が死神になるとも言われているので、同じ顔の女性の登場で死神たちの過去がにわかに気になりだします。勿論、キム・シンとの関係も。

ちなみにこの時、死神は同僚から「その他抜け落ちた者」と書かれたシートを渡され、記入して提出するように言われます。
渡されたシートは2枚。
一つにはウンタクの名前が書かれ、もうひとつは名前が空欄になっています。

空欄が誰なのかも気になります。

さて、ウンタク。

あの日助けてもらっておきながらプリプリ怒って分かれてしまい、トッケビのことばかり思い出していました。
かといって呼び出すのはプライドに関わるので、ぐっと我慢。

一方のトッケビもウンタクが自分を呼び出してくれないので元気がなく、会いたい気持ちを募らせているのですが。

バイト先の社長、サニーに言われてするめを焼いていたウンタク。
うっかり焦がしてしまい火を吹き消したのですが、「火を吹き消す」と現れるトッケビのシンが案の定現れます。

カッコつけて立ってます。(笑)

ウンタクの前では、いつでもどこでも書物や芸術品や音楽に造詣の深い、知的な自分でありたいんです、この鬼。
何しろ以前不意打ちで呼ばれたときは、ラフな格好で今まさにステーキを口に運ぼうとしていたので。(笑)

間違って呼び出したとはいえ本音では嬉しくてたまらないのに、なぜかまたプリプリしてみせるウンタク。
荷造りが忙しいなら早く帰ったらどうだなどと、心にもないことをシンに言ったりしています。

本当に何か痛そうなものが見えないかと軽くヒントまで与えつつ、どうにもウンタクに剣が見えて欲しいシン。

ウンタクは焼き肉をご馳走してくれたら答えるといい、店に連れて行かせると散々食べるのですが、結局何も見えないと話してシンを落胆させます。

互いに違うと分かりながらも、どんどん離れがたくなる二人が視聴者も切ないです。

そしてもう一つ、3話の大事件。

露店でアクセサリーを売る若い女性に呼び止められ、ある指輪に目を奪われる死神。

吸い込まれるように手を伸ばしたところ、もう一つ手が伸びてきます。

指輪を先に手にしたのは、サニーでした。

サニーを見た瞬間、自分でもわけがわからない懐かしい感情がこみ上げ、涙を流す死神。

「でも私が先に・・・・・・って、泣いてんの?!」

泣くほど欲しいのかと、指輪を譲ってあげることにするサニー。

サニーは「タダでは駄目」といいながら電話番号をもらおうとしますが、死神には携帯電話はありません。
嘘をつかれていると思いむくれたサニーが譲らないと言い出したため、番号をくれれば自分がかけると慌てて提案し、死神が電話番号をもらうのですが。

「カード? 現金? どっちが払うの?」

口を挟んだ露天商の顔が、次の瞬間鏡越しに産神に変わります。

どっちでもいいさ。どうせ二人とも高い対価を払うことになるのだから

怖いですよね。

サニーと死神にどんな過去があるのか、見る者を緊張させる一言です。

この産神は、ウンタクが生まれる前からウンタクの母に命が助かる方法を教えたり、ウンタクの母の霊魂に頼まれてウンタクの様子を見に行ったり、その過程で死神を幼いウンタクの元から追い出したりと、ずっとウンタクを守っている存在。
若い女性の姿に化けてますが、死神が見抜けないということは、死神のほうが霊界の位がやはり低いんですね。

・・・・・・と、「霊界の位」などと言い出してますが。(笑)

こうしてサニーと死神の今後の関係を予告しつつ、3話のクライマックスに向かうトッケビとウンタク。

トッケビは20年ほど旅に出る予定がもともとあったのですが、死神がウンタクに関わらないと約束すれば自分はすぐにでも旅立つと宣言し、死神と合意。
旅立ちを急ぐことにします。

荷物をまとめながら、王妃の肖像画を手に取ります。

シンはトッケビとして復活したあとすぐ王宮に向かうのですが、王は既に死んでおり、何枚もの王妃の肖像画が残されていたのでした。
自分が殺した王妃を悲しんで王が描いたのでしょうか。
シンは泣きながら肖像画を見つめ、王宮を焼き尽くします。

今シンの目の前にある肖像画は、その時持ち出したものでした。

900年前の王妃の最後を思い出し、涙を見せるシン。

王妃とキム・シン将軍の関係はこの時点ではっきり語られてはいませんが、1話で王が「あの家門を皆殺しにしろ」と命じた直後に王妃が真っ先に矢に射られて殺されているので、兄妹でしょうか。

荷造りも終わり、ウンタクに会いたいシン。
扉を出たり入ったりしていますが、ウンタクの居場所が分かりません。

一方ウンタクは、学校でまた担任の意地悪に遭い、世界で一人ぼっちの孤独感に沈んでいました。
天国の母に語りかけながら、涙ぐむウンタク。

ほどなく雨まで降り出すのですが、誰かが傘を差し伸べます。

「俺が憂鬱だから」

「・・・・・・なんのことですか?」

「雨」

「おじさんが憂鬱だと、雨が降るんですか?」

そうなんです。
この鬼が憂鬱だと、あっという間に雨雲が集まり、雨になるんです。

「じゃあ台風も?」

「あれは地球の憂鬱」

「もう止みそうですけど」

「いま機嫌が直ったとこだから」

この会話にやられました。鬼が正直すぎます。(笑)

「これからは雨のたびにおじさんに憂鬱なことでもあるのかと心配になって大変」と笑うウンタクに、胸が痛むシン。

このシーンのおかげで視聴者も既に雨のたびにトッケビを思い浮かべ始めてますので。
大事です、ほんとに。(笑)

雨が上がっても、傘を差したままのトッケビ。

ウンタクは、ずっと渡したかったケベックの紅葉を渡します。

わざわざラミネート加工したんですよね。

そんなウンタクの頭を撫でるシン。

頭を撫でてくれたり、よしよしと慰めてくれる人が欲しかったウンタクへの、トッケビからのお別れ。

明日旅立つと聞き顔色の変わるウンタク。そしてまた降り出した雨。
視聴者も最高に悲しくなりました。

雨が上がっても傘を差したままだったのは、お別れを告げればまた悲しくなることが分かっていたからなんですね。
そんなトッケビの気持ちを見事に表した、美しすぎるシーンでした。

ウンタクにとって、「傘」は他者との関係を象徴するキーワード。
叔母はウンタクに傘を持たせてくれず、いつも雨に濡れていました。
そんなウンタクに、たくさんあるから好きなのを使っていいと言ってくれたサニー。
そして今、トッケビのおじさんは、自分の降らせた雨からウンタクを守ってくれています。
「傘=庇護」、なのでしょう。

悲しい別れに沈む者が、ここにも一人。

死神、口ではトッケビを追い出そうとしていますが、内心は寂しいんです。

二人で沈んでいるところへ鳴るチャイム。

60年間、一度もチャイムが鳴らなかったのにと震えるトッケビ。

玄関のドアを開けた死神の前に現れたのは、ウンタクでした。

トッケビのおじさんの家ではないのかとおののくウンタク。

死神にビビッて逃げ帰ろうとしたところ、トッケビにぶつかります。

ウンタク、その辺の幽霊たちにトッケビの家を尋ねて来たそうです。

死神が部屋に入り二人きりになると、言い残したことがあってきたとウンタク。

自分におじさんが言うものが見えていた場合、どうなるのか答えて欲しいとしながら、3つの質問を繰り出します。

「1.すぐ結婚しないといけないんですか? 
2.500万ウォンは出してくれますか? 
3.どこにも行きませんか?」

「どこにも行かないでください。このまま韓国にいてください」

「・・・・・・駄目ですか?」

ウンタクの表情に心が揺れるシン。

「お前、本当に見えるのか?」

「見えたら?」

「証明してみろ」

「おじさんが先に答えてください。1、2、3のうち、どれをやってくれますか?」

「お前には見えないよ」

「ほんとに見えるのに!」

信じてくれないシンに苛立つウンタク。

「本当に見えてます。その剣!」

で、3話終了。

衝撃的なラストでした。
素晴らしい。鳥肌立ちました。
私と同様、この3話のラストでこのドラマに完全に心を捕まれた視聴者、恐らく大勢いると思われます。(笑)

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ありそうでなかった独特の世界観と、細部まで手を抜かない繊細な演出が光るこのドラマ。

配置してあるさまざまな仕掛けや伏線をどんなふうに回収していくのか、じっくり見届けたい気持ちにさせてくれます。

悲しくて美しいトッケビと人間の物語。
終わってしまった後の喪失感の大きさが3話の時点でもう既に胸に迫ってくる、恐ろしく魅力的なドラマです。

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