みなさま、こんにちは。

1月最後の日曜日、いかがお過ごしでしょうか。
このところぐんぐんと気温が下がっていますが、みなさまも風邪にはお気をつけ下さい。

さて、私は先週末にようやく取り掛かっていた本の校了を迎えました。
開放感に浸りつつ、たまっていた『千回のくちづけ/천번의 입맞춤』を一気観。
土日に放送するこのドラマ、全50話のうち今日が48話の本放送日で、ようやく終わりが見えてきました。今日はこのドラマの感想などを。

このドラマ、46話まで観終えましたが、とにかく、イライラします!(笑)

以下、ネタバレご容赦ください。

典型的な「お茶の間韓国ドラマ」といえる『千回のくちづけ』は、とにかく新しいことは一つも出てきません。

幼い頃母に家出され、父の亡き後は祖母に育てられた主人公ジュヨン。可愛い息子チャンノにも恵まれ幸せに暮らしていたはずが、夫の浮気により離婚。その後独身でお金持ちのウビンと数々の反対を乗り越えて婚約しますが、結局破談になります。

46話現在、愛する人と引き裂かれたウビンは、自分にまとわりついていた在米韓国人の元カノ・ユギョンの強引な攻勢に抗いもせず、好きでもないのに婚約した状態です。

ジュヨンの妹、ジュミの嫁ぎ先は、ウビンの従兄ウジンなのですが、生意気でわがままなウジンの妹・スアはジュミに辛く当たります。

このドラマで私が一番嫌いな人。
妻をまるで使用人のように扱い、威張り散らすウジンの父。
なんとコンナムでススンニムの父キム・ジョンソを演じていた役者さん・・・・・・。
役を選んで頂きたかったです。(笑)

そしてこちらは、ウジンの父にかしずくばかりのウジンとシアの継母ユ・ジソン。

ここまで書いて、一体何が楽しくてこのドラマを見てるのか、ふと自分でも疑問に思えてきました。ちょっと書いただけでも不愉快きわまりないですよね。(笑)
このドラマ、46話現在において、好感の持てる人がジュミとウジンのたった二人しかいません。

このドラマ、当初はウビンが素敵だから見ていたのですが、あの素敵だったウビンはどこへやら、ジュヨンと無理やり別れて以来いつも暗い顔をしています。
ジュヨンのことが忘れられず泣いてばかりいるのに、とうとう意地の悪い元カノと復活。おまけに結婚の約束まで。
目下私の中で最低です。

実はこの物語の隠れた主役は、陰のあるウジンの継母です。
なにしろ、すべてのうんざりするような不幸は、すべてこの女性に起因しています。
ええ、実に都合がいいことに。(笑)

勘のいい方なら、もうお気づきかもしれません。
冒頭、「幼い頃母に家出され、父の亡き後は祖母に育てられた主人公ジュヨン」と書きましたが、その家出した母が、ウジンの継母です。
つまり、ジュミは実の母のいる家に嫁いだわけです。

この母の家出した理由もすごくて、大学教授だった夫の教え子と、駆け落ちしてしまいました。

制作側はありとあらゆるお茶の間ドラマ要素を脚本に盛り込みたいらしく、その駆け落ちした男性は結局教授婦人と添い遂げられず、単身渡米。その後自ら命を絶ちます。なんとそれが、ウビンの母の弟にしてウビンの叔父。

あまりのやりすぎ感に、頭痛がします。(笑)

物語の当初の難関は、ジュヨンとウビンの結婚が許されるかどうかにありました。
ジュヨンは妹の結婚相手がウビンの従兄であると知りませんでしたし、ウビンも従兄の結婚相手がジュヨンの妹であると知りませんでした。
結婚式の段になって分かるのですが、まずここで大揉めに。

ジュヨンとウビンは親戚関係になるので、法的な問題はなくても確かに結婚は考えにくいようです。とはいえ、日本の視聴者には一体何が問題でそんなに揉めるのか、まったく理解できません。

この波乱がやっと終わったと思ったら、雪崩をうって母の秘密が関係者に明らかに。
幸せな婚約式を終えた筈のウビンとジュヨンは、結局結婚を断念。

実の娘と気付きながら嫁としてジュミを迎えた妻のことが許せないウジンの父は、妻を追い出し、息子夫婦にも別れるように言います。
実の娘がきてしまったら、血のつながらない娘の立場がないからです。

自分のせいで幸せな息子夫婦が別れさせられそうになっていると知った母は、自分が消えて詫びると言って川に入水。命は取り留めますが、再び行方をくらまします。
すると今度は頑固者の父が入院。一時的に記憶をなくします。

記憶が戻り、再び妻を追い出したあとは、今度は妻が血液のガンを発症。

ここまでくると、どれだけ盛り込むつもりなのか、もはや見届けずにはおれません。(笑)

一言でいえば陳腐極まりないドラマなのですが、どうやらこの手の通俗ドラマには法則があるようです。終盤になって尺を埋めるため、どうでもいい周辺人物のサイドストーリーをやたらに盛り込んでくることです。
今視聴者を最もうんざりさせているのは、恐らくウビンの姉のストーリーではないでしょうか。本当にどうでもいい話に、長々と時間を費やしています。

ウビンの姉が結婚紹介所を介して家柄と財力に申し分のない弁護士と見合いをするのですが、身長欄が166センチとあるのに186センチと見誤ってしまった、さてどうしようという、実に下らない話が盛り込まれ始めました。

あまりのどうでもよさに、さすがに毒づきたくなります。

他にも、本当にどうでもいい話として、ジュヨンの別れた夫の再婚相手が、幼馴染みに騙されてお金を巻き上げられるとかいう話もこのところ延々と続いています。

やはり、ドラマは25話くらいでピリッと終わるのがいいかもしれません。
50話を超える現代劇は、大抵終盤にかけてグダグダになる気がします。
以前『愛情の条件』を訳した時も、終盤にいくほど脇役たちのどうでもいい恋物語が差し挟まれてくるのに辟易としましたが、どうやらこのパターンはいまも健在のようです。

次から次へと「またか」とうんざりさせるストーリーをぶつけてくる、『千回のくちづけ』。うんざりさせながらも常に視聴率12%はとれている『千回のくちづけ』。
このドラマの最大のよさは、何も考えずに見れるところかもしれません。


既視感満載の分かりきった展開に、うんざりしつつもどこかホッとする。
「さあ、どこまで臆面もなく手垢のついたストーリーを繰り出してくるつもりなのか、とくと最後まで見届けようじゃないの」
そんな態度で臨むのが正解のドラマかもしれません。

ここまできたからには、私も見届けるつもりです。
そう。すっかり制作側の術中にハマっています。(笑)