みなさま、こんにちは。

今日は先日5月3日に行われた第53回百想芸術大賞について、受賞スピーチなどを取り上げてみようと思います。

今年の百想芸術大賞は大統領選挙直前ということで、受賞者たちがどんなスピーチを行うのか注目されるところでしたが、なかなかピリッとした発言も飛び出しました。

受賞作を抜粋してみてみましょう。

まずは映画部門。

新人監督賞は『釜山行き(邦題「新感染エクスプレス」)』のヨン・サンホ監督。

作品賞は『哭声コクソン』が受賞。

映画部門の最優秀演技賞は『密偵』のソン・ガンホさんと『徳恵翁主』のソン・イェジンさんがそれぞれ受賞。

他に、映画部門の新人賞は『ザ・キング』(邦題仮)のリュ・ジュンヨルさんと『恋愛談』(邦題仮)のイ・サンヒさん、助演賞は『釜山行き』のキム・ウィソンさんと『ザ・キング』のキム・ソジンさんが受賞。

権力上位の悪徳検事たちを追及する監察部の検察官を演じた『ザ・キング』でのキム・ソジンさん、役柄も演技もメチャクチャカッコよかったんですよね。
実はキム・ソジンさんが演じたアン検事には実在の人物(イム・ウンジョン検事)がモデルになっていることでも話題を集めました。

そして、映画部門の栄えある大賞は、『お嬢さん』のパク・チャヌク監督のもとに。

『お嬢さん』、一部地域でいま日本でも公開中ですよね。

百想芸術大賞受賞を機に、気になっていたという方は是非チェックなさってみてください。

パク・チャヌク監督は同性愛を扱ったこの映画になぞらえて、受賞スピーチでは以下のように発言。


「他でもない『お嬢さん』で賞を頂いた席なので、こんなお話をしてもいいかと思います。性別や性的アイデンティティ、性的嗜好で差別される人がいない世界をつくれる候補を、投票の際に一度くらい考えてみて欲しいと是非お勧めしたいです」

この発言中には会場から拍手も起きました。
パク・チャヌク監督は正義党のシム・サンジョン候補を支持すると以前表明しているのですが、今回の発言は大統領候補者で唯一シム候補が同性婚を認めていることにも関係しています。

人気賞は映画部門では『兄貴』のト・ギョンスさんと『協助』(邦題仮)のユナさん、TV部門では『雲が描いた月明かり』でパク・ポゴムさんとキム・ユジョンさんがそれぞれ受賞。

いかにも納得な、当代きっての人気者が集まりましたね。(笑)

ということでTV部門の受賞者は。

脚本賞を『ディア・マイ・フレンズ』のノ・ヒギョンさん、作品賞も『ディア・マイ・フレンズ』が受賞。

最優秀演技賞は、『トッケビ』のコン・ユさんと『また?!オ・ヘヨン』のソ・ヒョンジンさんが順当に受賞。

tvN一人勝ちの図式がここに。(笑)

すごいですよね~。作品賞も脚本賞も最優秀演技賞も男女共にtvNのドラマ。

地上波、頑張らないといい加減立つ瀬がない感じです。

とくれば、TV部門の大賞もtvNのドラマ『トッケビ』のもとに。
キム・ウンスクさん、脚本家としては初の大賞受賞です!

素晴らしい!

『トッケビ』ファンとしては嬉しい限りです。

さすが、ケーブルテレビにして視聴率20%超えを果たしただけあります。

ということで、今回もいくつか代表的な受賞スピーチも取り上げておきましょう。

まずはスターセンチュリー人気賞を受賞したパク・ポゴム&キム・ユジョンさん、ト・ギョンスさん、ユナさんのスピーチから。
you tubeには公式動画が見当たらないため、Naverの動画でご紹介します。
もし、日本国内では再生できない場合は、以下のリンクから直接ご覧ください。
こちらがNaver TVキャストページへのリンクです。

(*you tubeの公式動画に差し替えました)

こんにちは。パク・ポゴムです。
まずは・・・ありがとうございます。
私が私であるのは神の恩恵ゆえです。常に私と共にあり、私をよき道へと導いてくださる父なる神に栄光を捧げます。
昨年一年間、『雲が描いた月明かり』というドラマによってたくさんの愛を頂いたのですが、この賞は韓国のファンの方々のみならず、海外にいらっしゃるすべてのファンのみなさまが投票してくださったと存じています。知らないうちに投票してくださり、応援してくださり、力になってくださったファンの皆様に心から感謝申し上げます。
この賞を頂けたのは、『雲が描いた月明かり』というドラマに出会い、また素晴らしいスタッフの皆様のおかげで、また出演者の俳優の皆様、諸先輩の方々、ここにいらっしゃる同僚の方々に出会えたおかげでこうしたありがたい賞を頂くことができたと思っています。ともに働けて光栄でした。
昨年に引き続き、今年も「百想芸術大賞」に参加する機会が与えられたことだけでありがたく存じていますし、候補に挙げられたことだけでも、夢に一歩近づけたと思っています。
人気とは永遠なものではありませんが、いつもみなさまの心の中に長く残り、また人々の心を動かし、感動を与えられる善良な影響力を持った俳優になれるよう努力いたします。
常に私のために祈ってくださり、愛してくださるすべての皆様、愛する家族、そして会社の仲間たちに心から感謝します。
祝福します。

こんにちは。キム・ユジョンです。
まず、ここに参加させてくださって本当にありがとうございます。そして、一生懸命投票してくださったファンの皆様に本当に感謝いたします。一つ言いたいことがあるのですが、先ほど1部の最後に俳優の皆様が演じられた舞台を見て、とても多くのことを考えました。良き志を得て帰れそうです。
何かを入れなくても、器そのものが光を放つ、そんな誠実な人間、誠実な俳優になれるよう今後努力いたします。
そして、いつも私のファンとして後ろで見守り、力をくれる私の家族、私のチームの皆様に本当に感謝いたします。
一生懸命頑張ります。ありがとうございました。

こんにちは。ト・ギョンスです。
まず、私に関心を持ってくださるファンの皆様に心から感謝申し上げます。まだまだ未熟ですが一生懸命努力し、より多くの経験を重ね、より多くの幸せを与えられるようになります。ありがとうございます。
また、私のために常に努力してくださるすべての方々に感謝の言葉を申し上げたいです。
ありがとうございました。

こんにちは。イム・ユナです。
いつ頂いても人気賞は嬉しい賞です。
私にとって初めての映画だった『協助』でミニョンという役に注目してくださった皆様に感謝いたします。
こんなに素敵な人気賞を私に与えてくださったファンの皆様、本当にありがとうございました。
これからも一つ一つ、一生懸命やっていきます。
ありがとうございました。

次は、映画部門新人賞を獲得したリュ・ジュンヨルさんのスピーチ。

こちらがリンクです。

(*you tubeの動画に差し替えました。公式のものではにのでリンク切れの際はご了承ください)

プレゼンターに集中していたのですが、席に着くや否や(壇上に)呼んで下さって・・・。
俳優を始めた頃、ひたすら幸せだった気持ちに、年をおうごとに小さな悩みが生じ始めて、近頃は感謝する生き方について多くのことを考えています。
大事なのは、小さなことに感謝することですよね。
一生に一度もらえるかどうかという賞を2度も下さって、かなり感謝すべきことを与えてくださいました。
ありふれていますが、感謝の言葉を心をこめてお伝えしたいと思います。
まず、先輩として若手と新人スタッフ、ひいてはエキストラにも心を砕いてくださったチョン・ウソン先輩、新人に「こうすべき、ああすべき」と言うより「上手くやってる」と励ましてくださったチョ・インソン先輩、演技に関する悩みと同時に生きることについてもたくさんのことを話してくださったペ・ソンウ先輩、そして席にいらっしゃるキム・ソジュン先輩、私を選んでくださったハン・ジェリム監督、NEWのみんな、そして映画の撮影時に一緒にドラマを撮ったドラマ『運勢ロマンス』のみんなにも、感謝申し上げたいです。
マネージャーのサンチョルさんとC-jesのみなさん、愛する友人たち、家族、本当に感謝しています。最後にこのすべての栄光を神様に捧げます。
ありがとうございました。

なにやら生身の悩みまで伝わってくるような、実直なスピーチ。

いいですね。

「感謝」と「神様」は、やはりポゴミの影響でしょうか。(笑)

そして今回のハイライトとも言うべき、コン・ユさんのスピーチも。

プレゼンターはキム・ヘスさんとユ・アインさん。
そうでした。去年はこのお二人が最優秀演技賞を受賞されたんですよね。
たかが1年前なのに、もう懐かしいです。

こちらがリンクです。

(*you tubeの動画に差し替えました。公式のものではにのでリンク切れの際はご了承ください)


こんにちは。コン・ユです。お会いできて嬉しいです。
そして私は、コン・ジチョルという名前も持っています。
今日は特に本名を言いたくなって。
本の数ヶ月前までは侘しく燦爛たる神だったのですが、今はまた軟弱な人間に戻りました。
私の理性があるうちに必ず申し上げておかなければならない方々に申し上げます。
私について長らく気にかけてくださり、私に愛をずっと送ってくださり、私にキム・シンをプレゼントしてくださったキム・ウンスク先生、本当に感謝申し上げます。
そして、私と一緒に胸に刀を刺し、ともにキム・シンになってくださったイ・ウンボク監督、本当に感謝いたします。
また、侘しいキム・シンにあまりに大きな愛をくれたウンタクにも、本当にありがとうと言いたいです。
『トッケビ』を共にした、まるで戦場で戦争でもするかのように現場で一緒に苦労したスタッフにも、言いたいことがあります。
あなたがたと一緒だったから、すべての時間が良かった。
私が長々喋っても大丈夫ですか?
実はこの場に立つのがとても恐ろしくて怖かったんです。
理由は自分でもまだ探しているところなのですが。
昨年一年間、私には非常に多くのことがありました。
知らない女性と道ならぬ恋にも落ちましたし、他人のためにゾンビにもなりましたし、そして、国のために命がけで戦いもしました。
みなさんがご覧になられたのは1年間ですが、私は2年もの間、多くの人生を生きてきました。
それで、近頃は少し分からなくなっているところです。
自分がどこにいて、自分は誰で、僕はどこに向かっているのか・・・。
この重くて大きな賞は、軟弱になった私に、しっかりしろと、もうこれ以上迷うなと、もうこれ以上と惑うなという意味で下さる賞として、ありがたく頂きます。
『トッケビ』を愛してくださった多くの視聴者のみなさん、本当に心から感謝申し上げます。
私が2年という時を走る中で私と共にいた方々が前に座っていらっしゃるのですが、その方々にも心から感謝を申し上げたいです。
家で放送を見ている母にも言いたいことがあるのですが。
もう息子が他人の子のように思えると、時々母が寂しがるのですが、それは僕がお母さんに良くしてあげられてないからです。だから本当にすまないと思っています。
いつまでも健康でいてください、お母さん、お父さん。
最後に、ダサイですが、そして鳥肌ものなのでこんなことはなかなか言えませんが、私にとってこの場は二度と立てない場かも知れないので、スプマネージメントのキム・ジャンギュン社長。あなたのことを一度もマネージャーだと思ったことはないよ。ヒョン、僕のせいで随分気苦労かけて申し訳なかったし、僕、賞をもらったよ。
私が俳優として行う熾烈な多くの悩みが、ずっと後になって振り返った時に決して無駄な悩みではなかったことを、無駄な悩みではないことを望みます。
みなさん、お幸せに。ありがとうございました。

これもまた、意外な素顔と言うべきか。

コン・ユさんは、こういう方なんですね。

すごくナイーブな、繊細そうな横顔。

迷い多き俳優人生の、いまだ迷いの只中にあるのかもしれませんが、演じてる時とのギャップに、ファンのみなさまからはますます守ってあげたい気持ちを駆り立てられるのかもしれませんね。(笑)

最後は、映画部門で大賞を受賞したソン・ガンホさん。

プレゼンターはイ・ビョンホンさんとチョン・ドヨンさんです。

こちらがリンクです。
(*you tubeの動画に差し替えました。リンク切れの際はご了承ください。)


ありがとうございました。
実は今日はハン・ジミンさんとオム・テグさんが受賞されることを心から願っていたのですが。
私がお二人を代表して頂いたと思うことにします。
『密偵』という映画は、わが民族が最もつらく苦痛を受けていた日帝植民地統治下を背景にしています。
よくよく考えてみると、昔も今もそうした暗い時の中であっても、多くの為政者もいましたが、それよりも自らの危険をも省みず民族と祖国と百姓と国民のために尽くした数多くの方々がいらっしゃいました。その方々がいらしたからこそ私たちがここにあるのだと思いますし、今一度、その方々の崇高さに頭を垂れ、感謝申し上げます。
また一方、一部の最後に感動的な舞台を見せてくださった数多くのわが後輩俳優のみなさん。『密偵』でも素晴らしい演技を見せたにもかかわらず非常に惜しいことに、やむを得ず編集され、ただの一場面も登場することが出来なかった若い後輩たちがいらっしゃいます。
今日のこの栄光は、その方々に捧げます。
本当にありがとうございました。

すごい安定感。重量感。

ソン・ガンホさんって、やはり唯一無二の存在感です。

ソン・ガンホさん、そしてキム・ユジョンさんも触れていた1部最後の俳優たちによる公演。
実はこの日、無名俳優たちがドラマ『キム課長』のOST曲である『夢見る』という歌を歌ったんです。
ここに居並ぶスターたちの映画やドラマに出演していた、名もなき俳優たち。

『お嬢さん』の「お客3」や『トッケビ』の「スタッフ1」、『また?!オ・ヘヨン』の「ピザ配達員」、『ラッキー』の「TV女子高生1」などの役を引き受けながら、受賞を待つ主役たちの前でいつかは自分も名の知られた俳優になりたいという思いをこめて歌を歌った彼ら。
「一歩一歩明日に向かって、私は夢見る」の歌詞に、胸が苦しくなりました。
主演俳優たちも思わず涙目。

合間には「私にとって俳優とは?」に答える彼らの映像が流れたのですが、「奇跡」、「人生を表現する芸術家」などの答えの後に「私にとって俳優とは。私が最も言われたい言葉です」、「人々が私を俳優として覚えてくれること」、「最後まで俳優でいること」などの言葉が並び、見る者の胸はさらに詰まりました。勿論、純粋に、ひたむきに、演じる喜びも語られていて。

「私にとって俳優とは、夢です」

笑顔で言い切る最後の言葉を聞いたら、涙が堰を切らないはずがありません。

本当に感動的だった、無名俳優たちの合唱『夢見る』、ご紹介しておきます。
動画はyou tubeの百想芸術大賞公式アカウントより。
もしかしたら日本で見れない設定になっているかもしれませんので、その際はご容赦ください。

号泣。

これは本当に、やばいです。

どんなスピーチよりもインパクトありました。

この演出は、素晴らしいとしか言いようがないですよね。

自分の映画やドラマに出ていた、もしかしたら名前も覚えていない無名俳優たち。
いきなりスターになった人々もいるでしょうが、下積みでつらい思いをした方々もこの場にはいて。
彼らの姿を見ながら、かつての自分を思い出さずにおれないですよね。
好きで俳優を始めておきながら、俳優であることに嫌気がさしていた人もいたかもしれません。
そんなすべての人が初心を思い出し、自らを反省せずにはいられない舞台。

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「明日を夢を見る」。

その言葉には、人々に初心を思い出される力が十二分にありました。

私がなにを夢見ていたのかも視聴者にも思い起こさせてくれる、素晴らしい公演でした。

この後もまた、素晴らしい作品がたくさん公開されますように。