みなさま、こんにちは。

西日本では台風が上陸し、各地でも大雨に見舞われているようですね。
みなさまお住まいの地域は大丈夫でしょうか?
暑さと湿気にやられないよう、みなさまも体調管理にお気をつけください。

さて、今日もJTBCニュースルームのインタビュー記事をご紹介します。
先月6月29日、本格的に活動を再開したイ・ヒョリさんがスタジオで色んな話を聞かせてくれました。
韓国で話題となったそのインタビューを取り上げてみます。

実はイ・ヒョリさんの2週前に、映画監督のポン・ジュノさんもJTBCニュースルームのインタビューコーナーに出演されていました。
もしかしたらポン・ジュノ監督のインタビューのほうが興味ある方もいらっしゃるかもしれません。
カンヌ映画祭のコンペ部門にも出品されたポン・ジュノ監督の最新作『OKJA/オクジャ』に関連しての出演でした。

どうでもいいですがこれ、オクジャなんですね、オクチャじゃなくて。
「グエムル」もそうでしたが、ポン・ジュノ監督の作品、日本のタイトルは濁るべきではにところを濁らせる戦略なのでしょうか。
ええ、勿論ローマ字表記の読みに合わせたことは分かっているのですが。
でも引っかかりますね。ポン・ジュノもボン・ジュノとは書かないのですから、ここは素直な音訳でオクチャでも良さそうなのに。(笑)

そのポン・ジュノ監督のインタビューですが・・・・・・すみません。
『OKJA/オクジャ』の内容自体がキビシすぎて、取りあげる根性が私にはありません。
映画を配信しているNetflix (ネットフリックス) の公式サイトにも思いっきり「子供には不向き」と書いてありますね。
怖すぎるよー。(笑)

というわけで、かのポン・ジュノ監督インタビューを飛ばして、久しぶりのイ・ヒョリさんにまいります。
イ・ヒョリさん、ちょうど同じ局JTBCのバラエティ番組『ヒョリんちの民泊』(邦題仮)が6月25日から始まりましたよね。聞けばIUちゃんが住みこみでお手伝いにくる設定なのだとか。
どんだけ豪華なの、そのおうち。(笑)
でも今回のインタビューは、新しいアルバムがらみです。
まさに今日7月4日発売の6枚目のアルバム『BLACK』を取り上げたインタビュー。

ちょっぴりぎこちない?(笑)

しかし、この組み合わせもなかなか見られないですよね~。

1979年生まれのイ・ヒョリさん。
元祖ガールズアイドルグループのピンクルでデビューしたのは1998年だそうですので、芸能生活かれこれ20年になろうという、ベテランの域ですよね。
アイドル出身としては唯一トップスターに上りつめたと、よく言われています。
イ・ヒョリさんといえば、素晴らしいプロポーションとクールな美貌でセクシーアイドルのアイコンでしたが、意外にも口を開くととても気さくで、笑うと切れ長の目がなくなったりして、そのギャップにひところ韓国中が魅了されていました。

ただ、もしかしたら日本の韓流ファンにはさほど馴染みがない方かもしれません。
日本での知名度はどうしてもドラマ出演者、もしくはK-popが中心になりますよね。
ましてやここ数年は、結婚して済州島に引っ込んでしまったので、なかなか活躍する姿を見られなかったイ・ヒョリさん。
去年のキャンドルデモの時にイ・スンファンさんらと一緒に『道端に捨てられる』(邦題仮)という歌を届けてくれたりして、変わらぬ世の中へのまなざしに嬉しくなりましたが、今回は本格的な復帰だそうです。

イ・ヒョリさん、韓国社会を暗い闇に包み始めた前々政権の頃から少しずつ政治への違和感や社会問題についてSNSなどでぽつりぽつりと言葉を発し始め、底抜けに明るくて楽しいだけじゃない、真面目な一面も覗かせてくれていました。
選挙に行って投票しようと一生懸命呼びかけていたのが印象に残っています。
そのことで色々レッテル張りをされたりもしましたが、人が誰かの横暴についておかしいと声を上げたり、投票に行こうと呼びかけただけで「お前は○○だろう」と貶めたり、脅して黙らせようと飛びかかってくる人たちのほうがよほどどうかしているわけなので。
著名な芸能人なだけに理不尽な声に気を揉まずにおれなかったと思いますが、今回のインタビューを聞きながら、イ・ヒョリさんにとっても発言しやすい世の中がきたんだなと思ったりしました。

というわけでインタビュー動画をご覧頂きましょう。

動画はJTBCのyou tube公式アカウントより。



アンカー:今日、6月最後の木曜日は「文化招待席」をご用意しました。本来は「大衆文化招待席」という名でしたが、よく考えてみると文化には大衆文化や高級文化の区別などないように思え、遅まきながら気付きを得て、今日からは単に「文化招待席」と呼ぶことにしました。とは言えお伝えしたとおり、頻繁に設けられてはおりませんが、ともあれ進めることにいたします。
今日は歌手のイ・ヒョリさんが主人公なのですが、説明をし始めるとあまりにありきたりになりそうなので。大変知られた方ですので。ですので省略し、ただちにお招きすることにいたします。ようこそお越しくださいました。

イ・ヒョリ:こんにちは。

アンカー:お会いできて嬉しいです。はじめてお目にかかりますね。

イ・ヒョリ:そうですよね。

アンカー:実は私どもがひと月前に文化招待席を復活させる時に、最初のお客様として招こうとしたのですが。

イ・ヒョリ:以前お電話でお話した時ですか?

アンカー:ええ。ですが、ソン・ガンホさんをお招きすることになりました。その時イ・ヒョリさんがとてもあっさり譲ってくださって。

イ・ヒョリ:あの時は私のアルバムが出るタイミングでもなかったですし、出たところで何を話せばいいのか分かりませんでしたので。

アンカー:そうなのですか? 私はただただ、ああ、聞いていたとおりにさっぱりした方なのだなと考えておりました。

イ・ヒョリ:いずれ私の番が来るだろうと思って待ってました。

アンカー:とにかく、それで今日お会いすることになったのですが。
私が以前『100分党論』を初めて始める時、MBCで。向かい側(KBS2)で「お盆カラオケ」をなさってました。

イ・ヒョリ:そうですか? 随分前ですよね。

アンカー:随分前ですよね。イ・ヒョリさんが「お盆カラオケ」に出演されていた時は、『100分党論』の視聴者をかなり取られていました。

イ・ヒョリ:ああ、はい。すみません。

アンカー:長い歳月を経て、JTBCという丸木橋の上でお目にかかることになりましたね。

イ・ヒョリ:そうですね。

アンカー:4年ぶりに曲を発表されました。6枚目のアルバム。昨日一曲がまず公開されたんですよね? 先行公開というんですね、そういうのを。

イ・ヒョリ:ちょっと予告編のように、タイトル曲の前に少しアルバムの全体的な雰囲気を伝える、そういう曲として。

アンカー:『ソウル』という曲。ソウルにすごく来たかったそうですよね?

イ・ヒョリ:どうしても、私が2歳の時からずっと30年以上暮らしてきた場所なので、離れていても少し恋しい気持ちがあるんですよね。それで、その心境を。

アンカー:少し退屈ですか、チェジュは?

イ・ヒョリ:退屈ではないのですが、私がなんと言いますか、ソウルを。憎んでいたみたいです。

アンカー:よくよく考えてみると?

イ・ヒョリ:ええ。それで、ソウルを悪く思って、離れたくて。そうしてチェジュに行って考えてみたところ、実はソウルが暗くて悪かったのではなく、ソウルに暮らしている時の私自身にどこか少し暗くて息苦しいところがあったようなんです。
それで、チェジュでそうしたことが少し薄れる中で、ソウルを毛嫌いしていたんだな、ソウルはソウルでとてもいいところなのにって。それでちょっとそういう歌を書くことになったんです。

アンカー:ところで、ミュージック・ビデオを事前に見たのですが。全編を。ニュースが終わったら全編公開されるそうですよね?

イ・ヒョリ:今日初めて公開されます。

アンカー:私に特権を下さって事前に見たんですが。見てみたらソウルが嫌になりましたけど。

イ・ヒョリ:なんでですか。(笑) 図らずもチェジュでの撮影時にお天気がすごく良くて、ソウルでの撮影時は微細粒子状物質(PM2.5など)が多かったんですよね。

アンカー:ものすごく酷かったですよ。

イ・ヒョリ:それで、私たちが撮影に臨む時は、ソウルを悪く描かないようにしよう、それは私たちの意図するところではないからと監督と話したのですが、撮影してみたらそういう絵面になってしまって。

アンカー:こちらで主な場面だけ集めたのですが。今からご覧になるのは、イ・ヒョリさんの『ソウル』という歌ではなく、ソウルにどれほど微細粒子状物質がたくさんあるのかをご覧になることになると思います。しばしご覧ください。
うちの編集がですね。ソウルの昼の風景をお見せすべきところなんですが。

イ・ヒョリ:そうですよね。夜ですよね。

アンカー:夜なのにスモッグが多くはありますね。とりあえず、分かりました。拝見させて頂きました。チェジュの天気が随分いいですね。いつもそうなわけではないでしょうが。

イ・ヒョリ:ですよね。あの日はすごくお天気が良かったんです。

アンカー:撮った場所はどこだろう、小さな湖も出てくるので、もしかしたら白鹿潭(ペンノクタム)かなと思いきや、白鹿潭ではないんですよね?

イ・ヒョリ:クマクオルムといって、あんなふうにちょっと水をたたえているオルム(山)があるんです。

アンカー:クマクオルム。お住まいとさほど遠くない場所ですよね?

イ・ヒョリ:はい。15分ほど。

アンカー:クムオルム(金の山)とも、コムンオルム(黒い山)とも言いますよね。

イ・ヒョリ:どうしてそんなにご存知なんですか?

アンカー:標高468メートル。(*実際は426メートル)

イ・ヒョリ:そこに書いてあるんですか?

アンカー:西帰浦(ソギポ)から1116道路を進むとハンリム邑(ウプ。*村の意)に到達し、右手に見えるのがコムンオルム(黒い山)。ですよね?

イ・ヒョリ:車で上がれる山がそんなにないのですが、あの山は車で最後まで上がっていけるんです。それで、少し足のお悪い方などが。

アンカー:それが理由で撮ったわけではないですよね?

イ・ヒョリ:車両が。撮影チームが上がっていかないといけないので、どうしても歩いていくよりは車で上がれるところがよくて。

アンカー:いつもあの上に蓮池が広がっているわけではないのに。

イ・ヒョリ:ええ。その時によって違います。

アンカー:なのに、ちょうど撮影される時は水もたくさん溜まっている状況だったようですね。

イ・ヒョリ:運が良かったと思います。今回の撮影時は。

アンカー:ネットで勉強しました。

イ・ヒョリ:ありがとうございます。

アンカー:一見すると。私はダンスについてはよく分かりませんが。こんなふうに申し上げていいのか分かりませんが、ヨガのビデオ見ているみたいな感じが。

イ・ヒョリ:そうだろうなと思います。

アンカー:そうですか?

イ・ヒョリ:実際見てみると、ヨガもダンスも、そんなに完全に違うものではないんですよね。いずれも肉体、体で何かを表現するものなので。

アンカー:歌手でいらっしゃるので、今日は音楽の話をメインにできればと思います。さほど時間はありませんが。

イ・ヒョリ:ありがとうございます。

アンカー:またアルバムを出すというのが、どうでしょう、4年ぶりに出すからには非常に緊張もされ、また、自分が大衆になにかしら評価されなければならないということが怖くはありませんでしたか?

イ・ヒョリ:怖いというより、ドキドキして楽しかったです。以前は本当に、うまくいくかいかないか、人々が気に入ってくれるだろうか、この歌を好きになってくれるだろうかという部分がすごく大きかったとすれば、いまは自分が表現したいものをそのまま表現しているので、人々からすごくいいと言われるとか、共感されるとか、そういうことよりもこれを思いっきり発散したいという欲求。そういうのが随分ありました。

アンカー:そうですか。今回6枚目のアルバムを出されたと先ほど申し上げましたが、ほぼ全曲を作詞または作曲されたんですよね。生半可なことではないと思うのですが。まだ公開されていない曲が多いじゃないですか。

イ・ヒョリ:はい。まだ全曲公開はされてないので。

アンカー:全部で何曲なんですか?

イ・ヒョリ:10曲です。

アンカー:多いですね。それをすべて作詞または作曲された? 作詞作曲を同時に?

イ・ヒョリ:チェジュに3年いたので、時間が結構あったんです。それで、時間のある時に歌詞を書き溜めたり、メロディーも録音しておいたりしたので。

アンカー:タイトル曲は『ソウル』ではないそうですが。

イ・ヒョリ:はい。『ブラック』という曲です。

アンカー:『ブラック』という曲は聴いていないので。他の2曲を聴きましたが、少し目を引いたので持ってきました。画面に歌詞を写し出して欲しいとお願いしたのですが。

イ・ヒョリ:あちらにちょっと出てます。

アンカー:あっちに出てましたか? 
「変わらないのは数日前に冷蔵庫に入れておいた食パン。
相変わらず白く柔らかいばかりの食パン。
変わらないというのはすごくおかしなこと。
変わらないというのはすごく危険」
とあるのですが。どういう意味ですか? つまり、その後も出てくるのですが、「このあいだ雑誌で見た私の顔。相変わらず綺麗で皺一つない顔。少しも変わらないおかしなあの顔」。最後が少し意味深な気がします。「変わらないもののために私たちは変わらなければならない」。どういう意味ですか? 大体は分かりますが。

イ・ヒョリ:深い意味があるわけではないんです。ただ歌詞にあるとおり、私はチェジュで暮らしながら結構料理するんですよね。パンも焼いたりするんですが。二日ほど経つとすぐ傷むんです、食べ物が。なのにスーパーで買ってきた食パンなどは、1週間、2週間経ってもあまりにもそのままなんです。それがすごく怖くなったんです、ある日突然。「これは人が食べても大丈夫なんだろうか」。そんな考えが突如よぎって、怖くもなり、そうしたことについて一度も深く考えたことがなかったのですが。時間があるので色んなことを考えるうちに、食パンのように雑誌に出てくる私の顔が白くフォトショップで加工されていて、あまりにも食パンみたいなんですよね。実際の私は、鏡を見れば随分老けもしたし、皺もできてるんですが。

アンカー:それは避けがたいものですから。

イ・ヒョリ:ええ。人々がこの写真を見たら、「私だけ変わったのかな。私だけ老けたのかな」って自分を恥じたりするんじゃないかという気もしたんです。

アンカー:それで、私が過剰に解釈したのかもしれませんが、これは環境問題を語っているんだなと。

イ・ヒョリ:環境問題という感じでなんか大上段から話すというより、私の次元から見るとあれがそういう問題を指しているということなんだと思います。

アンカー:もう一つ、美に対する歪んだ世間のあり方、そうしたものを風刺しているのかなと。

イ・ヒョリ:そんなふうに立派に話してくださってありがたいのですが、実際は単にその時々に思い浮かんだことを書いたものなんです。
いずれにせよ、世の中には変わらないものなどないですよね。すべてが変わるのに、まるで変わらないかのように宣伝し、誇張し、そうしたものに私もまさに騙されて生きてきましたし。そういったものを少し破ってみようと。

アンカー:自分についての内的あるいは外的な変化も自然に受け止めるのが一番いいのではということ?

イ・ヒョリ:そのほうがおかしくないし、危険じゃないというふうに思うんです。

アンカー:受け入れまいとするから色んな問題も起きますよね。
もう一つ、イ・ジョクさんと一緒に歌った曲が『ダイアモンド』ですが。
「あなた、気をつけておいきなさい。これまでご苦労様でした。あなた、安らかにおいきなさい。振り返らずにおいきなさい」。
誰のことですか?

イ・ヒョリ:実は、従軍慰安婦のハルモニ(おばあさん)たち、一番最近亡くなったハルモニの記事を読んで、この歌詞が思い浮かんだんです。私が大仰に何かするわけにもいかなくて。亡くなられた方々に、必ずしも従軍慰安婦のハルモニではなくとも、ある種の権力や、とある企業に立ち向かって戦って、力尽きて諦め、亡くなられた方が多いじゃないですか。それが死に限らずとも。そうした方々に何か暖かい慰めの言葉をかけたい思いがとても強いのですが、それをどう伝えるべきかと思い、やはり音楽をやっている人間なので、一度曲で表現してみようということでこの曲を書きまして。ちょうどイ・ジョクさんもすごくいい、手を貸したいと言ってくれて、デュエットで一緒に歌うことになったんです。

アンカー:胸を一杯にしてくれますね。厳かな気持ちにもなりました。歌詞をすべて読んで差し上げたいのですが、あまりに胸が詰まりそうで、これ以上は自制することにします。ですが、一節だけはご紹介しておきたいのですが。「あなたは既にダイアモンド」。だからタイトルをこう付けられたのですね。
色んな意味を持った曲を発表されましたね。4年の間、とても多くのことをお考えになられたようです、済州島で。

イ・ヒョリ:頑張ってアルバムも作ったのですが、実は音楽についてお話しする番組がないんです。本格的に活動し、色んな番組に出たのですが、アルバムについて尋ねる人もいなくて。

アンカー:そうなんですか?

イ・ヒョリ:はい。単にプライベートなこととか。何かエピソードとか。チェジュで夫とどう過ごしているかとか、そういうの。他にはお笑いとか。そういうのはたくさんやったのですが、実は話したいのは私のアルバムについてなのに、そういう場がなかったんです。それで、今日お願いしました。

アンカー:それで私も予め入手したのですが、『ダイアモンド』にそうした意味があったとは、本当に知りませんでした。

イ・ヒョリ:事実って、誰かが壊すことなんてできないじゃないですか。自分で(分かっているので)。それで、そういう意味で、人がどんなに壊そうとしても、既にとても固いダイアモンドなんだよということを言いたかったんです。

アンカー:この曲はこちらで別途用意して、あとで終わりましたら流すようにします。

イ・ヒョリ:ありがとうございます。

アンカー:実は今こういう話を交わしておりますが。人々が随分知りたがっていることがあります。お分かりですよね、つまり、動物愛護、菜食主義、また以前、大宇自動車の(ストライキの)時は、あの方々のために随分尽力もされて。他にも様々な社会問題についての発言。
かつてこの場に、まさにこの席に、マット・デイモンという俳優が出演されたのですが。その方もそうした政治的な発言もされる方だったので、それで質問したところ、とても印象深い答えを残してくださいました。

イ・ヒョリ:なんて仰ったんですか?

アンカー:それはとても当たり前のことだと。私は彼らに対して低俗で卑劣な言葉を使ったりしない。なぜ私にそうしたことを話す権利がないのか?と。似たような考えをお持ちのようです。

イ・ヒョリ:そのとおりです。言ってはいけないことじゃないじゃないですか。

アンカー:そうです。ですが普通は・・・・・・これはあまりに嫌気のさす質問かもしれませんが。なぜそういうことに参加するのかという問いについては、なんとお答えになりますか?

イ・ヒョリ:参加したいから。

アンカー:単純に。

イ・ヒョリ:はい。

アンカー:実際、単純なものが最も美しいものでもあります。

イ・ヒョリ:単に気になるから。言いたいことを我慢できる性格じゃないんです。なので、やっているだけです。

アンカー:音楽的な変化の始まりは、実は2013年の5枚目のアルバム。『ミスコリア』が収録されていた。あの時音楽的な変化があったのではと私は感じています。その時から直接曲も本格的に書き始められましたし。なぜですか? なぜ変化が訪れたのですか?

イ・ヒョリ:そうですね。歌手には二種類いると思うんです。ものすごいスキルを持って、人の曲をより華々しく、より素敵に、人々に感動を与えられるよう表現できる、そんな歌手と、自分の話をただとつとつと語れる、自分で曲を書ける人と。私はさほど大したスキルを持った歌手でもないのに、人の曲をずっと歌っているのが、若干力量不足のような気が自分でもしていたんです。だったら自分がうまくやれるのは何だろうと考えた時に、率直に自分の心を表現することに関しては、私は自信があるんです。それが言葉であれなんであれ。それで、だったらそんなふうにどこかに出て騒ぐだけじゃなしに、歌で作りあげてみようとその頃から思い始めました。

アンカー:一番大きな理由は、歌手だから。

イ・ヒョリ:はい。ただ表現したいという欲求があるので、作ったんだと思います。

アンカー:今回は、私は全部は聴けていませんが、全曲を直接関わってお作りになられたので、もしかしたらイ・ヒョリさんの考えがもっともこのアルバムで深く分かるのかも。

イ・ヒョリ:その前のアルバムよりは。

アンカー:あえて例えるなら、こういうことのようですよね。
しばしば言われる、ガールズグループ第一世代出身の歌手じゃないですか。その中で最も成功したソロ歌手としても評価を受けていらっしゃいますし。重荷ですか、こうした評価は?

イ・ヒョリ:いいえ。いい気分です。

アンカー:ですが、最近はそうした後輩たちがものすごくたくさん輩出されています。何か言いたいことは?

イ・ヒョリ:私は、後輩たちを見ていると気の毒になります。私たちの時はあんなに競争が熾烈ではなかったんですよね。私たちとSES、他に何名かで全部でしたし。それに、こんなふうにネットやSNSが発達していなかったので、少しは自由もありましたし、気に入らなければこうしたり(パスしたり)もあったのですが、最近の子達はあまりにすべて見られてしまっているようだし、競争も熾烈そうで。美容院などで会うと、番組で見るのとは違って、表情がすごく暗いんです、その子たちが。元気もないし。

アンカー:そうなんですか。画面に出るときはすごく楽しそうですけど。

イ・ヒョリ:でも、練習も長かったり。最近はそうじゃないですか。

アンカー:あの頃はあまり練習を長々しなかったんですか、ということは?

イ・ヒョリ:以前はあんなふうに何年もやるようなシステムじゃなかったんです。私はひと月練習しただけでした。

アンカー:ひと月だけでデビューしたんですか?

イ・ヒョリ:私は特別に最後にキャスティングされたので、大急ぎで。もっと練習すべきだったんですが、いずれにしてもそうなったんです。ですけど近頃の子達を見ると、練習のためにあまりに長い時間を費やし、プライドも随分傷ついて、評価され、その上デビューしてもまた評価され比較されるので。先輩としては可哀相だと思っています。

アンカー:もう時間になりました。

イ・ヒョリ:そうなんですか? もう?

アンカー:残念ですか?

イ・ヒョリ:はい。あまりお話できなかった気がして。

アンカー:そう思われたなら、良かったということですね。もう一つだけ質問差し上げます。有名だけど静かに暮らしたいし、静かに暮らしたいけど忘れられるのは嫌だ。どういう意味かは分かりますが、これは不可能な話じゃないですか、もしかして?

イ・ヒョリ:可能なことばかりを夢見るわけではないでしょう?

アンカー:ああ、そうですか。

イ・ヒョリ:自分になにかを望むのは、果てしないので。それが私の欲だということです。

アンカー:はい。質問した人間をものすごく決まり悪くさせますね。

イ・ヒョリ:すみません。ただ・・・・・・。(笑)

アンカー:そのとおりです。可能なことだけを夢見るわけではないので。今日はこれを語録として残して終われればと思います。
『ダイアモンド』、長くは聴かせられませんが、のちほど少しかけます。

イ・ヒョリ:本当にありがとうございます。

アンカー:前にイ・ジョクさんの声が先に出るので、そこは外して。

イ・ヒョリ:どうしてですか? すごくいいのに。ジョクさんの声が。この曲を私よりももっと上手にこなされたんです。

アンカー:そうですか? でもうちのスタッフがイ・ヒョリさんの声が聞きたいということで、その部分から聞きます。分かりました。イ・ヒョリさんでした。ありがとうございました。

イ・ヒョリ:ありがとうございました。

こちらのインタビューもJTBCの公式サイトに原語による文字おこしが載っています。
韓国語になりますが、リンクはコチラです。

インタビューでソン・ソッキさんが言及した「大宇自動車」は「双龍(サンヨン)自動車」を言い間違えられたようですね。大宇自動車も労働争議があったので。

サンヨン自動車、少し説明しますと。
経営側の不当な整理解雇に抗して長期に及ぶストライキを行っていたサンヨン自動車労働組合の人々に対し、会社側が47億ウォンの損害賠償や組合員の財産差し押さえを求め、それが裁判で認められるという非常に不当な状況が発生し、2014年に2月に市民団体や著名な教授、野党の国会議員など500人が呼びかけ人になって「黄色い封筒キャンペーン」と名打ち市民に募金を呼びかけるということがかつてありました。そこに思いがけずイ・ヒョリさんが「4万7千ウォン」を送り賛同してくれたため、瞬く間にキャンペーンが知れ渡り、同じように「4万7千ウォン」が続々届く状況に。おかげで多くの募金が集まったことがあったのですが、ソン・ソッキさんはその時のことに言及していたのでした。

このサンヨン自動車問題では、労組の人々やその妻などが絶望的な状況に追いつめられ次々自ら命を絶つ痛ましい事態が起きており、ドラマ『ミセン』の原作漫画にはグレが非正規職で採用されることが決まった日、オ課長が3人のグレの同期も連れて、解雇され労働争議の過程で命を絶ったサンヨン自動車組合員のために設けられた焼香所を訪れる場面なども描かれています。
それだけこのサンヨン自動車の事態がよく知られていた、ということではなく、むしろ逆で、『ミセン』の原作者ユン・テホさんはこの場面を描いたわけについて尋ねられ「ニュースでほとんど扱われることのない彼らの痛みに、せめて自分だけでも小さな関心を寄せてあげたかった」と語っていました。折角漫画に描いたそのシーンもドラマでは省かれてしまったのですが、イ・ヒョリさんは大手メディアが殆ど報じないこうした事柄にも関心を寄せている方だったんですよね。
私もキャンペーン当時、イ・ヒョリさんが手紙を添えて募金を送ったことを記事で読んでとてもあたたかい気持ちになったのを、インタビューを見て思い出しました。

ちなみにこの中で言及されているハリウッドスターのマット・デイモンさん。
見逃していましたが、ニュースルームに出ていたのですね。
ちょうど1年前の2016年7月14日、マット・デイモンさんがこのインタビューコーナーに出演されていました。

色んな話を交わす中で、ソン・ソッキさんに「政治的な問題やオスカー賞の批判などについては私たちも伺ってきました。ところで、そうしたことをためらわず行い、自らの信条を発言していくということが、他の誰かにとっては耳障りなことにもなりうると思うのですが、そのあたりは気にならないのですか?」と尋ねられ、こう答えていたんです。

政治的な発言についてお尋ねなら、そうですね。
自国の政治に関心を傾けるのは、すべての人々の義務だと思うんです。

私はただの一度も卑劣な表現を使ったことはありませんし、
一部の政治家の政治的なふるまいについてのみ語っています。

彼らは大衆の多様な意見を聞かなければならない位置にいるわけですから、
なんら問題視されることではないと思います。
実は、私たちみんなが当たり前に行わなければならないことなのではないでしょうか。

マット・デイモンも素敵。(笑)

このマット・デイモンさんのインタビューも見たいという方のために、リンクを貼っておきますね。
韓国語で恐縮ですが、コチラです。

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活動をまた活発に始めたイ・ヒョリさん。

明るくてただただ楽しい面も魅力ですが、色々考えたり模索していく、変化するイ・ヒョリさんの姿もこれからまた垣間見られるでしょうか。

そのうちヨガビデオとか出しそうなイメージを私は勝手に持ってますが。(笑)

「人は可能なことだけを夢見るわけじゃない」

なんだかとっても奥の深い言葉でした。