みなさま、こんにちは。

毎日暑いですが、夏バテなどされていませんか?
私はあまりの暑さに意を決し、長めの髪をばっさり切りました。
自分でオーダーしておきながら仕上がりのあまりの短さに、早くも厳冬時の首元が心配になっています。(笑)

さて、今日はかなり久しぶりの更新。
私一人で楽しんでいるtvNの『知っておいても役に立たない神秘的な雑学辞典』、略してアルスル第8話をまとめてみます。


つい先日、毎度の総集編、正確にはディレクターズカット版で全9話の放送を終えてしまった알쓸신잡/アルスルシンジャプ、略してアルスル。(略称をさらに略しておりますが、お気になさらずに。笑)

この間の回も順調に面白く、ひとり堪能しておりましたが、とにかく話が人文学と歴史をどんどん掘り下げるものになっていっていたので、早々に白旗。まとめるの、無理。(笑)
麗水(ヨス)、慶州(キョンジュ)、江陵(カンヌン)、春川(チュンチョン)を巡りつつ繰り広げられたその土地土地にまつわる歴史秘話や食べ物についてのお話は、本当に面白かったです。


さて、第8話。

最後のアルスルメンバーの行く先は、全羅北道の全州(チョンジュ)。

全州といえば、食べ物がおいしいことで知られています。








なかなか5人そろって出発することが出来ない多忙なアルスルメンバー。

今回はフードコラムニストのファン・ギョイクさんが現地集合ということで、まずは4人でハイレベルな与太話を開始。


バスの中ではかつて奥さんと車でフランス一周旅行をしたという脳科学者チョン・ジェスンさんの言葉から、プロポーズの話に発展。








なぜに照れてるかっていうと、「フランス旅行の間に3番目の子が出来た」なんて自分で言ったせいです。

って、そんなん視聴者も知りたかないわっ!(笑)

一緒に放送を見ているであろう3番目のお子さんが「どういう意味? ねえアッパ今のどういう意味?」って迫ってそうで、のっけから視聴者いきなり気が気じゃなくなりました。(笑)


元長官のユ・シミンさんのプロポーズは、すごく「らしく」て。
「俺と結婚できない理由、ある?」って聞いたらしいです。









それを受けて「ない」って答えたそうですから、やはり奥様も大したもの。(笑)

ユ・シミンさんは遊覧船に乗りながらプロポーズしたのだそうですが、それを聞き逃さないのがこのところ人気急上昇中(私の中調べ)の作家キム・ヨンハさん。

昔から朝鮮半島のプレイボーイたちは、ゆらゆら揺れるちょっと危険な渡し舟にわざと乗せて、ゆらゆらのドキドキ感を恋愛感情と勘違いさせるべく口説いてたんですって!










「全部知っててやってるんですよね?」




突っ込んでました、元長官に。

勿論「知らん、知らん!」と否定してましたが。(笑)



その作家のプロポーズがこれまたロマンティックで、なんと小説を書いて贈ったんですって! しかも、奥さんが主人公!


マジか~~~~~。
これはきますよね~~~~。(笑)

前回の放送でも、奥さんは非常に文学に造詣が深く、小説を書く上でいつもとても大切な示唆をくれると感謝していたんです。


視聴者すっかりうっとりしかけていた頃、しっかり落としにかかる作家。

それから10年後。家の米びつは尽きかけ、何も書けなくなっていた中で、続々と舞い込む原稿依頼に。





「読み終わったんなら、そろそろ発表してもいい?」












結局愛を売ったんかい!(笑)

いやー、笑わせてくれます。


そんな作家の逸話を聞きながら、「人は自分の持っているもので誘惑するもの」だとワケ知り顔な元長官。








「自分の得意技で?」なんて妙に納得していたユ・ヒヨルさんでしたが、なぜだか肝心の自分のプロポーズについては語ってませんでした。

・・・・・単に編集された?(笑)


そんなたわいもない話をしながら全州に向かう一行。

全州といえばお料理ということで、「その辺の店にぽっと入っても美味しい」とのキム・ヨンハさんの言葉に全員頷いていました。
ベトナム料理のフォーまで全州で食べると美味しいとチョン・ジェスンさん力説。








ベトナムの方が多いからなんですって、全州。

美味しいものが食べられるとワクワク感を高めてるんですが、果たしてファン・ギョイク先生のご意見やいかに?(笑)



全州についたらまずはお昼ご飯ということで、作家キム・ヨンハさんお勧めの「南部市場」内のコンナムルクッパ(豆もやしのクッパ)のお店に。

と行きたいところでしたが、あまりに小さなお店で全員は入れなさそうだったので、シミン&ジェスンコンビは南部市場の別のお店でスンデクッとコンナムルクッパに舌鼓を打ってました。









ヨンハ&ヒヨルコンビはイカがたっぷりのコンナムルクッパ。








このビジュアルは、ヤバイ。(笑)


一口スープをすすっただけで、ヒヨルさんも唸ってました。






「めっちゃ美味しいよ!」




ここは多分、放送後は長蛇の列間違いなしです。(笑)



それにしても、やたらと目に付く韓服姿の若者。














最近多いですよね、こういう一群。
観光地に出没するチョゴリ姿の女子たち。
私も慶州で見かけて、なんともシュールな気分になりました。
だって、古墳(墓)の前で自撮り棒なんですもの。(笑)



さて、毎度のごとく全員分のお土産を持参して合流したファン・ギョイクさん。








毎回地元のお饅頭的なものをみんなに買ってきてくれるんですよね、ファン・ギョイクさん。

今回は、おばあさんたちを雇用した社会的企業のパン屋さんの商品でした。
全州に行ったらここも寄ってみたいです。一口食べてナPDが「美味しい」と頷いていた「ピビンパン」。中の具がピビンパに入れるナムルになっているそうで、お店の名前は「全州パンカフェ」というらしいです。


今日の夕食は、「マッコリ屋」。

トンヨンの「タチ(「立ち飲み屋」から由来)」と似た方式で、マッコリを頼むとお料理が出てくる仕組みです。

全州のマッコリは澄んだ上澄みだけを飲むのが特徴とのフードコラムニストの解説があり、やかんからお酒を注いだら本当に透明で、みんな思わず感嘆。


最後の撮影ということで、この夜の乾杯の音頭は末っ子の脳科学者チョン・ジェスンさんが取ることになり、上澄みだけの澄んだマッコリを片手に、いざ乾杯!





「澄んだお酒でクリアな精神を末永く維持されんことを」






「酒を飲もうってのに、クリアな精神があるかい」 byギョイク

「分別をなくすために飲むのにさ」 byシミン







ツッコミが入るまで、およそ0.1秒。

みなさん下戸の無粋な言葉に容赦ないです。(笑)


でも私もチョン・ジェスンさん同様お酒が飲めない体質なので、こう言いたくなるのもよく分かります。自分だけシラフで、あとはみんなへべれけっていうあの状態の、えもいわれぬ孤独感。ええ、オレンジジュースで酔っ払ってると常々言われてはおりますが。(笑)



ちなみにこのマッコリ屋さん、最初に出てくるお料理のラインナップはこんな感じ。









せっかく全州に来たのに、期待していたような韓定食じゃなくて、心なしかみんなちょっとテンション低めです。

いえ、それは視聴者の心の声とも言えますが。

だって~~~~。全州に来たのにお料理が普通っぽいんだもーん。(笑)

それでもテンション上げていくべく、バスの中から温めてきた質問をフードコラムニストに投げかける元長官。



「なんで全羅道の食べ物は美味しいんですかね?」









「それは、美味しいと思い込んでるんですよ!」









「本当に美味しいんですって! 大丘(テグ)で暮らしてた人間が全羅道でご飯食べてご覧なさいよ!」













これは笑うわ。(笑)


絶対ファン・ギョイクさん、「思い込みだ」って言うと思ったんですよね~、私。
以前、「キム・オジュンのニュース工場」というラジオの担当コーナーに出演した時も、「全羅道の食べ物が美味しいというのは思い込みだ」と力説して譲らなかったんです。

本当に美味しいのに!
ご飯が美味しくないことで有名な大丘(テグ)出身のユ・シミンさんにしてみたら、本当に「テグから来てここで食べて御覧なさいよ!」と言いたくもなるというものです。(笑)


「ベストセラー本が刷り込んだ思い込みだ」の言葉がまったく納得いかないユ・シミンさん、「全州は漫画喫茶のラーメンですら美味しいっちゅうの!」と主張。
実は「心は童心」の脳科学者と、なぜか全州の漫画喫茶を訪れてたんです。(笑)

しかも心が童心なだけでなく、「舌がお子ちゃま」な脳科学者、「漫画喫茶にきたらラーメンでしょ」と当然のようにお昼を食べたあとに注文。

「夕飯食べれなくなるよ? 僕はいらない」と言っていた筈の元長官も、運ばれてきたラーメンにたまらず箸を伸ばしてました。



「ここはラーメンの麺の湯で加減まで絶妙!」 byジェスン

「だってここ全州だもの~~~~」 byシミン






食べないって言ってたくせに!(笑)



フードコラムニストが言うには、全州は朝鮮戦争後、60年代に慶尚道地域と中部地域で押し進められた工業化・産業化の裏面としてそれら工業化を支える農業地帯に特化されたことで人々が「昔から変わらないなにかいいものがある地域」、「昔ながらの美味しい物がある地域」と思うようになったのだとのこと。

その話を聞き、作家キム・ヨンハさんは「西洋社会が『東洋にはなにか神秘的なものがある』と憧れ、一方的な理想化をして思い込んだオリエンタリズムと同じ構図ですね」と応じ。「産業化の一方で昔ながらのものが残っていて欲しいという安心感の欲求が、全羅道を理想郷として保存しようとしたのですね」と相槌を打っているのですが、そんなことで納得しないのがテグっ子。

「そうじゃなくて、本当に美味しいんだってば! テグの人間はここにこんなに美味しい物があるなんて全然知らずに生きてるんだってば!」と譲りません。(笑)

いやほんとにこれは。
私はファン・ギョイクさんのファンですが、「思い込みだ」の説はまったく受け入れがたいですね。
だって本当に、全羅道ではどこのお店に入っても、ぷらっと普通のお店に入っても、本当に美味しいんですもん!
かたや大丘ったら本当にもう! 美味しいと言われて入ったお店すら「・・・」ですから!(笑)

・・・・・・と書いてみてふと気付く。

もしかしたらこういうのはあったりしますか?

「全羅道の食べ物屋はどこへ行っても美味しい」と言われているから、それがプレッシャーとなってどのお店もおいしくする努力を重ねてる。かたや大丘は、「なにを食べてもまずい」と言われているから、みんな「こんなもんでいいだろ」と思って食べ物屋をやっている。


・・・・・・当たっている気がして自分が怖いです。(違うから。笑)


テグっ子の抗議(?)を受け、確かに全州は米どころがすぐ傍にあり、海の幸も山の幸も集まってくる地理的な条件があったと説明。














そうとでも言ってくれないと、みんな納得できません。(笑)


話は全州名物の韓定食の話題に移り。








美味しいものをなんだってあんなにたくさん並べるんだ、食べきれないのに勿体無いとみんな口々に訴えてます。






「これ全部包んで持って帰ってうちの冷蔵庫に入れといたら、1週間は食べられるのに!」




主婦か!(笑)


分かります。本当に勿体無くて持ち帰りたくなりますよね。
食べきれないことほど罪悪感にさいなまれることはありません。


このシーン、動画を貼っておきます。
完全に自分用で恐縮です。(笑)

「なぜ全州の食べ物は美味しいの?」の問いにあくまで「思い込み」と譲らないフードコラムニストと、「大丘の人間にとっては本当に美味しいの!」と引かない元長官の勝者なき論争シーンです。









絶対思い込みじゃないと思うんだよな~、マジで。(笑)



その後は続けて、全州の食べきれないほど豪華な韓定食も、文化人類学で非常に多く散見される部族社会における勢力誇示の表れではないか、人間の本性の発露ではないかと分析する作家。









それを受けて博識の元長官が、米国の経済学・社会学者ソースタイン・ヴェブリンという怪学者が著した『有閑階級論』を紹介。









伝統的な経済学では、人々がお金を儲けようとするのは消費とそれによる幸福感を得るためとされてきたところを、ヴェブリンは「金持ちは違う。金持ちがお金を儲けようとする動機は、人に勝つため、誇示するため」だとした喝破したのだとユ・シミンさん。見せびらかすために高価な品を買う、経済学用語の「ヴェブレン効果」はここから来ています。



「自分がどれだけお金を持っているかは消費して見せないと他人が分からないから、自分はこれくらいは軽く出せるんだぜ、って見せびらかしたいわけ」








それを受け、「その話は、進化心理学的な側面から見ると『ハンディキャップ理論』と呼ばれるものに当たるんです」と科学者。

例えば孔雀はとてもきらびやかな羽を持っている割に、実際は飛べない。
ではなぜそんなにきらびやかな羽を持っているのかといえば、こんなにきらびやかな羽を持って非常に目立つ狙われやすい容姿をしつつも生き延びられているほど、自分の知能はそれだけ賢く、かつ逃げるための丈夫な脚を持っているんだよというメッセージになることを意味しているのだと。















顔が「ほぉ~」って言ってますね。(笑)


飛べない孔雀の「見せびらかし」に込められた意味にすっかり感心しているヒヨルさん。
っていうか、韓定食の話からここまで広がって脱線するのがアルスルの真骨頂。(笑)


そして、散々難しい話を開陳したあとで、急にホッコリ話題に戻してくれるのが、やっぱりこの人の役割。





「僕、前世お姫様だったんじゃないかと思うんです」












爆笑されてますけど。(笑)


なんでこんなに爆笑されているかと言うと、話題が「一番好きな映画」に移ったからなんです。
キム・ヨンハさんが全州映画祭で審査委員を務めたことがあるというところから。

ユ・ヒヨルさん、『ローマの休日』が大好きなんですって。
50回以上見たそうなんですが、ラストシーンで毎回涙が出るんですって。

で、「僕、前世お姫様だったんじゃないかと思うんです」などという発言に繋がったというわけです。
笑われても本人は一人真剣でした。(笑)


ちなみにユ・シミンさんが目下お気に入りなのは、ザ・日本映画な『座頭市』。














罪のない人が絶対絶命の危機に瀕した時に、刀を抜いて皆殺しにするところがいいんですって。(笑)

誰も制御できず、正せなかった不正義を非常に単純な手法で解決。主人公は毎回「偶然」事件に関わることになり、非常に限定的な範囲で残忍な方法で正義を具現する映画だと説明してます、ユ・シミンさん。その行為は、正当防衛ではなく、正当行為。その構図がとっても気に入ってるんだそうです。悪辣なやつらを、悪党とまったく同じ方法で成敗するタランティーノ監督の『ジャンゴ』ともども大好きらしいのですが。


「まだ色々溜まってるんですね」 byヨンハ

「いまだ果たせぬ謀反の夢があるんじゃないですか?」 byギョイク


などと口々にからかわれてました。
ええ、確かに彼は民主化運動のアイコンでした。(笑)


楽しく交わされれていた話も、ファン・ギョイクさんがインド映画『ライフ・オブ・パイ』を言及してからは一転。

ファン・ギョイクさん、『ライフ・オブ・パイ』を見て、インドについて完璧に理解できたと語っていました。なぜあれほど神殿が多いのか。なぜあれほど宗教が多いのか。それは「現実の苦痛を忘れるためには、せめて宗教にすがらなければならないからなんだな」と。










現実の苦しみを忘れるための宗教。

「これぞ宗教が『民衆の阿片』と呼ばれるゆえん」だとユ・シミンさん。











ユ・シミンさん、この日はチョン・ジェスンさんと一緒に全州にある「殿洞(チョンドン)聖堂」を訪れていたんです。








朝鮮時代に迫害されたキリスト教徒たちが最初に殉教した場所の跡地に建てられた、1914年完工の建立物。

儒教の戒律が支配していた朝鮮時代、神のもとではみな平等であるというキリスト教の教えに、抑圧されていた女性たち、特にはおばあさんが多く帰依したのだそうです。
後期朝鮮王朝が100年に渡りキリスト教を弾圧する中、処刑された知識人も多数。
でも中には、改宗を最後まで命がけで拒み、拷問され処刑されていった多くのお婆さんたちも含まれていたそうです。









そんな結果になってしまうとなると、果たして宗教はあったほうがいいのか、ないほうがいいのか、考えさせられるとユ・シミンさん。

つらくとも現実を見つめて生きるべきなのか、それとも、目に見えない何かにすがってでも、苦痛を忘れようとすべきなのか。
一同神妙になってしまいます。

でも一方で、今や華やかなチョゴリ姿で歩き回り、聖堂の前で写真を撮る女の子たちが見られるようになったことにも触れ、「120年かけてなかなかいい感じで前に進めてるんじゃないかと、嬉しい気持ちになった」とも言っていました、元長官。


せっかく厳かな雰囲気になったのに、それをぶち壊す童心の科学者。

かつてチョン・ジェスンさんは、大学院生だった時「映画の『玉に瑕』を科学的に検証する」という趣旨のコラムを書いていたんですって。

ジム・キャリーの『ジム・キャリーはMr.ダマー』でオナラに火をつけるシーンがあり、それについてコラムで書いたところテレビ局から出演依頼の電話をもらったそうです。

二つ返事で引き受けた3日後、構成作家から送られてきた番組の台本。

そこには自分の登場場面がこう描かれていたんですって。



「では、オナラ博士をお呼びしまーす!」
















ヒヨルさん、毎度の大ウケ顏に癒されます。(笑)


テレビデビューが「オナラ博士」では困ると思い、作家に電話したところ、「大丈夫、誰も覚えてませんって!」と押し切られ。

それでも心配になって指導教授に尋ねたところ。


「『テレビ出演?いいんじゃない?それより、君はまだ博士課程なのに、オナラ博士はまずいんじゃないの?』って言われちゃって」








力点そこ?!(笑)


教授に「学歴詐称だ」と脅された未来の脳科学者。
焦ってまた電話したそうです。


「『オナラマスター(修士)じゃダメですか?』」







脳科学者の意外にお間抜けな素顔がチャーミングです。(笑)

結局「オナラマスターなら引き受ける」という未来の脳科学者の申し出を「博士じゃないと締まらない」と判断したらしいテレビ局側が断ってきたことで、その話は幻のテレビデビュー話に終わったそうです。


いや~、ドキドキしたでしょうねぇ~。

出たかったような、出たくなかったような、やっぱり出たかったような。でしょうか?(笑)

ちなみに全州と言えば、朝鮮王朝の開祖となった太祖・李成桂(イ・ソンゲ)の本貫がある場所。本貫はルーツくらいに思っておけばいいでしょうか。太祖は全州で生まれたわけではありませんが、「太祖=全州」と人々はインプットしています。

全州の国立博物館で李成桂の肖像画の複製を見てきたとのユ・ヒヨルさんの言葉から発展し、テーマは「顔」に。

ユ・シミンさん、自分が政治家をやめる前に、政治家として生きた10年分の自分の報道写真を見たそうです。そこに映っている顔が、自分で見てもつらそうで、「こんな表情で生きてきたのか」と思ったのだそう。
そんな顔で生きるのをやめるため、職業としての政治家をキッパリ辞めたのだそうです。

以来、人々には「職場で互いに1週間、写真を撮り合って一斉に交換したらいい」と勧めているそうで。














撮り貯められた写真から、己を知れるとユ・シミンさん。
そこに映っていた自分の顔が気に入るものならそのまま人生を歩めばいいし、気に入ったり入らなかったりするなら何かを変えたほうがいいだろうし、まったく気に入らない顔をしているのであれば、その職場は辞めたほうがいいと。
自分の表情が自分で見て良いものだと感じる時、人は幸せな人生を過ごせているのだと語っていました。自分に合った人生を送れているのだと。


ダーウィンは『人及び動物の表情について』という本の中で、人間の顔の筋肉のうちかなりの部分が、目的意識的に動かせるものではないことを観察結果として書いているそうです。











それだけ、人間の表情は意図せぬところで雄弁に色んなことを物語ってしまうということですよね。

こういうこと言われると、にわかに気になりますよね、自分の顔。
自分がどんな表情で働いているのか。

と言いつつ。
必ずしも決まった職場に出て行くわけではない人は、どうやって確かめたらいいんでしょうか。(笑)


その話を受けて、「自分も似たようなことを経験した」とファン・ギョイクさん。


ファン・ギョイクさんは「農民新聞」という隔日発行の農業専門紙で記者を13年務めていたのですが、その時のあだ名が悪名高きナチスドイツの秘密警察「ゲシュタポ」だったのだそうです。
いつも人を睨むように見ていたせいだそうですが、そんな自分を変えようと色んな本を読む中で、脳科学の「ミラーニューロン」という概念に行き当たったのだそう。








「ミラーニューロン」とは、自分が他者の行動を見ているだけでも、自分がその行動を行っているかのように作用する神経細胞のことだそうですが、人間とは人の感情をコピーしながら生きる生き物だと分かった時に、自分がしかめっ面をしていれば相手もしかめっ面をし、逆に自分が微笑めば、相手も笑って幸せになると考えたのだと。









その言葉を聞く二人の表情が、既に幸せそうですよね。

そうやって意図的に10年間笑顔を意識し続けて、やっと笑顔が自然になってきたんですって。


その話を聞いた元長官は。


「農民新聞時代の表情が悪かったんでしょ? やめて正解だったんですよ。
『水曜美食会』や『アルスル』に出てるから、表情が良くなったんですよ!
ファン・ギョイクに合った人生を探したんですよ!」








なるほどー。

いやはやこの回も、ひっきりなしに色んな話題が登場し、見ているだけで頭フル回転です。(笑)


話は再び「全州」に。
「全州」といえば『朝鮮王朝実録』の書庫があった場所です。
朝鮮王朝は、大事なこの書物を全土4箇所にそれぞれバックアップ本を保管させたんですよね。
数々の戦乱や外からの略奪を経て、唯一燃えることなく残ったのが全州の書庫でした。

朝鮮王朝の出来事を事細かに綴った正史『朝鮮王朝実録』はユネスコの記録遺産にも登録されているのですが、90年代には現代語翻訳版がCDになって発売されたそうで、当時500万ウォンのそのCDを作家たちはこぞって買い求めたそう。









のちにはそれがCDを一つ買えばネットでも検索できるようになったというのですから、凄いですよね。

この『朝鮮王朝実録』が一般でも購入可能となったことから爆発的に増えたのが、朝鮮王朝に関する大衆向けの解説書や、それに付随しての歴史ドラマその他コンテンツなのだそうです。









国が自然災害や戦乱に見舞われ、民の暮らしが非常に厳しい状態になると、王はまず自分のご飯のおかずから減らしたことが記録されていると面白い話を披露してくれるキム・ヨンハさん。















王がおかずを減らすことを専門用語では「減膳(カムソン)」というのだと教えてくれるフードコラムニスト。

国が厳しい状況になると、王が「明日から30日は減膳(カムソン)せよ」などと命じてたんですって。
政治的なメッセージを、自分の食べるものを減らすことで表してきた朝鮮の王たち。おかずを減らすほど慈悲深い王だというアピールなのだそうです。


作家の話を受けてフードコラムニストが、「実は伝承によれば、王は食事をとる際に、全国から税金として集められた特産品の生産者に関して、暮らしぶりを尋ねることが礼儀になっていた」とまたまた面白い話を披露。



「アワビを食べる時は『近頃チェジュの海女たちは元気に泳いでいるか?』と尋ね、イシモチを食べる時は『ヨングァンのポプソン浦の漁師たちは元気でいるか?』って尋ねてたんです」








納税した生産者への礼儀として王が尋ねたその気持ちは、現代でも私たちがご飯を食べる時に感じるべきことではないかとファン・ギョイクさんは続けます。

日照が続く時は、サンチュにくるんで何かを食べる時も、「ああ、日照続きだからこんなにサンチュが苦いんだな、農家の人たちは大変だな、くらいのことは思いながら食べ物に向き合うべきなんじゃないかって思うんですよ」と。










日照の中で収穫したサンチュが苦いだなんて、私もまったく知りませんでした。

考えてみたら、どんな農作物がどういう条件で味や形がどう変化するのかなんて、殆どわかってなかったことに気付かされます。
学びと反省の視聴者。(笑)


話はまた広がって、朝鮮開国前夜のイ・バンウォンvsチョン・モンジュの「善池橋のバトル」へ。










ここで作家のキム・ヨンハさん、二人の戦いは「定型詩バトル」、今風に言えば「ヒップホップのラップバトル」との独自の見解を開陳!








あれラップバトルだったんすか?!(笑)


あまりに教科書でお馴染み過ぎてみんな淡々と覚えてしまっているものの、あれはイ・バンウォンが定型詩を即席で詠んで挑んだものなのだとキム・ヨンハさん。
李成桂が馬から落ちたと聞いて、生きてるか死んでるか確かめにきた高麗死守派の鄭夢周(チョン・モンジュ)。
そこで世紀の政敵、李芳遠(イ・バンウォン)と対面することになり、まずはバンウォンがラップバトルを仕掛けたというのです。


「『萬壽山(マンジュサン)の葛のつるがどんなに絡まっていようと誰も文句は言わないんですから、お互い大目に見ながらあんじょうやっていきましょうよ』と呼びかけたんだよ。現代でも、昼は国会で与野がやりあっても、夜にはみんな葛のつるのように絡み合いながら、『ヒョンニム!』『弟よ!』と酒を酌み交わして『うまくやってきましょうよ』と呼びかけるのが、韓国政治の文法ってわけ」








鵜呑みにしていいんですかその解説、長官?(笑)


イ・バンウォンの先制攻撃を受け、やっぱり即興の定型詩で応戦する、機知に富んだチョン・モンジュ。

その答えは、「百回生まれ変わっても、お前らとは一緒にやらない!」。
















「実はこの定型詩バトルでは、チョン・モンジュが勝ったんですよ」









「なぜならイ・バンウォンはその上にかぶせられなかったから」








なんと!(笑)




「生きたまま帰すと世論が広まるでしょ?『チョン・モンジュが勝ったらしいよ、イ・バンウォンに。全然言い返せなかったんだってさ』なんて一晩たったらそこいらじゅうで噂になっちゃうから、善池橋の上ですぐ殺しちゃったんですよ」








なななんと!!(笑)


このたとえ、面白すぎました。
実際米国のヒップホップシーンでも、ラップバトルに負けて相手チームを帰りに撃ち殺す、なんてことが時々あったりするのだそうで。
それと一緒と言い切っていましたが、そこも信じていいんでしょうか?!(笑)


ほんと、作家のキム・ヨンハさんがものすごく博識で、いちいちの例示が的を得てるんですよね~。
この番組のおかげですっかりこの方のファンになってしまいました。
作家の想像力、ユニークな読解力が素晴らしいです。(笑)


ということで、このシーンも動画で貼っておきます。

イ・バンウォンVSチョン・モンジュの「定型詩バトル」をMnetで放送中のヒップホップオーディション番組「Show Me The Money」のラップバトルにひたすらたとえてるのが笑えます。









イ・バンウォンvsチョン・モンジュの戦いがラップバトルだったなんて。
本当に斬新だな~、着眼点が。
キム・ヨンハさん、予備校の人気講師にもなれそうです。(笑)



そして最後は、読書の話に。

この番組、色んな場所に行く過程で、その土地の有名作家の作品を紹介したりする流れが自然にあったのですが、ユ・シミンさんが「なぜ人は読書量にこだわると思う?」と問いかけたんです。


昔であれば20代の頃までに読んだ本が人生を規定してくれたけど、今は絶え間なく新しい知識を得なければならないので、人々は自分だけが無知なのではないかと不安を抱いているのではないかと作家のキム・ヨンハさん。

ただ、実は自分たちもこの番組の中で、知識をいかに批判的に受け止めるか、いかに情報を鵜呑みにしない態度というものを見せていたはずで、提供した知識そのものは殆どなく、またそれがだから重要なのだと言います。

その言葉を受けてファン・ギョイクさんも、科学であれ人文分野であれ、「一理」であるに過ぎないと応じます。知識は真理にはなり得ない、ただ一理であるのみ。自分とは異なる意見についても、よほど無理がない限りは「ひとつの理」として受け入れる態度が重要なのだと。

ユ・シミンさんは「今日僕たちが全州に来たからって、『全州を知ってる』と言えないのと同様に、本だって読んだからと言ってその内容をどれほど理解したかはまちまち。だから、たくさん読むよりも、味わって楽しんで本を読むことが人文学では大事だと思う」と語ってました。










「そのとおりです。この本が自分に何を与えてくれたのか、何度も噛み締めるのが大事なんです。なぜ自分がこの本を読んで苦しくなったり楽しくなったりまた読みたくなったりするのかを、僕も結構考えます」








ほお~、たしかに。

その振り返りの過程で浮かび上がってくるのは、「自分自身」ですよね。


今もこの番組内で紹介した本が「凄くいい本らしい」ということで、まるでその本を読むのが義務かのごとく思った人々によって物凄く売れているらしいのだけどと口にしたファン・ギョイクさんに、この人が一言。











「まさに僕が今その状態ですね」






Q「何冊か買ったんですよね?」 byギョイク







「何冊も買いました」




その泣きそうな目!(笑)

ドンマイ、ソウル大卒生!(笑)



義務感じゃなく、まずは書店に足を運んで自分に合った本を見つけようというファン・ギョイクさんの言葉に、「そうとも!出版界の花は本を読むことじゃなくて、買うことだ!」と力が入る元長官。







ええ、最近出たんです。キム・ヨンハさんの新刊小説。

あまりに露骨に仲間にプッシュされ、完全に赤面です。(笑)






ということで、終わってしまいました、アルスルシンジャプ。

キム・ヨンハさんが言っていたとおり、知識を提供するというより、知識に対して疑ってかかり検証しあう態度のほうがより鮮明だったこの番組。一本見終えるとなんだか物凄く勉強したような満足感が与えられて、本当に楽しかったです。
日本では決して放送されないでしょうけども。(笑)
このあと未公開シーンを放出する毎度の総集編が放送されたのですが、番組がいよいよ終わってしまうのが悲しくてまだ見れていません。
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リベラルでオープンマインドな博識のおじさんたちが繰り広げる居酒屋話がこんなに面白いなんて。ここに目をつけたナPDチーム、返す返すも素晴らしい。
民主的な政権に変わっていい時代の幕開けを迎えていなければ、こんな番組がお目見えすることもなかっただろうことを思うと、これだけの面子を揃えてくれたこんな番組を見れていることだけで幸せでした。

ナPDも第2弾を作りたいといっていたので、是非是非またこのメンバーで見てみたいです。