みなさま、こんにちは。

今日は、2004年の暮れに発表された韓国版“We Are The World”とでも呼ぶべき韓国オールスターによる『その日がくれば/그날이 오면』(邦題仮)をご紹介してみようと思います。
この歌は南北の和解と統一の願いを込めたもので、イ・ヒョリさんや神話、イ・スンチョルさん、キム・ゴンモさんなど、韓国歌謡界の大スター総勢40名ほどが参加して歌われました。

この歌の入ったアルバムが発売されたのは、2004年の12月24日。
「韓国芸能製作者協会」が南北の和解と統一をテーマにチャリティーアルバムとして制作したアルバム「LOVE(サラン)」がそれなのですが、今日ご紹介するのはその中のタイトル曲。

1950年6月25日に朝鮮戦争が勃発し、休戦協定が結ばれたのが1953年7月27。以後今日まで朝鮮半島はいまだ休戦のままですが、なんとか平和と和解、統一に向け大衆芸能のレベルで人々の心を集められないかということで2004年、統一を願うプロジェクトとして立ち上がったのが、このアルバム制作事業です。

南北の統一を願うこのプロジェクトには多くの歌手の方々がその意義に賛同し、録音に参加しました。

統一への願いが最も切実なのは、「失郷民」の人々ではないかと思います。

例えば、2月15日から旧暦新年の連休に入った韓国。

韓国の多くの家庭では親戚一同が集まってのお墓参りが行われ、ご先祖様の供養などを行うのですが、休戦ラインにほど近い臨津閣(イムジンガク)に毎年集まる人たちがいます。
北側に故郷のある「失郷民(실향민,シリャンミン)」と呼ばれる人たちです。
旧正月の2月16日も早朝から、例年と同じように故郷がある鉄条網の向こう側に向かって供養を行う失郷民の姿がありました。
ここでは政府機関の統一部が後援する失郷民互助会の合同供養「望郷敬慕祭」も執り行われます。


2018.2.16/뉴스1/ニュース1出典


2018.2.16/뉴스1/ニュース1出典


2018.2.16/헤랄드경제/ヘラルド経済出典


2018.2.16/연합뉴스/聯合ニュース出典

去年一年間、離散家族再会を希望し政府に申請を出している人のうち、家族に会えないまま亡くなった人々の数は3795名。
南北の離散家族再会は、2015年10月以降中断され、再開の見通しがいまだ不透明な状況にあります。

統一部と大韓赤十字社が共同運営している離散家族情報統合システムが2月16日に発表したところによれば、1988年から先月までシステムに登録されている離散家族再会申請者は13万1,447名。そのうち7万2,762名は既に亡くなっており、5万8,685名が再会を待っている状況です。

平昌オリンピックを機に南北和解のムードが醸成されつつあるため、離散家族再会を願う人々からは期待の声が寄せられているものの、80歳以上の再会申請者が全体申請者の64.7%を占めるなど離散家族は非常に高齢化が進んでおり、90歳以上も1万3,638名(23.2%)。彼らに残された時間は決して多くない状況にあります。一方で1985年から始まった離散家族再会事業で実際に出会えた南北の人々の数は4,185家族、1万9,928名しかおらず、こうした人道的事業ですらままならない朝鮮半島国内外の厳しい状況を物語っています。

この歌のミュージックビデオも、離散家族をテーマにつくられています。
残された日が多くない高齢の離散家族たちが、一日も早く引き裂かれた家族に再会できることを願って、今日はこの歌をご紹介します。


朝鮮戦争により全土が焼け野原になり、肉親を失った人たち。
産業施設の43%と住宅33%が完全に破壊され、全土が焦土に。
南北を合わせて200万の人命を犠牲にし、民間と軍を合わせると犠牲者の数は450万にのぼる。

同族同士の望まぬ戦争で拭い難い傷を残した南北が、米ソ冷戦の緊張緩和が進む中、国内の強い世論に押されながら少しずつ対話の窓口を開き、1歩前進2歩後退を繰り返しながらも対話の火を灯してきたこと。
そして2000年8月15日の離散家族再会。
2004年時点で、第1次から第10次までの離散家族再会行事で再会を果たせた人の数は、たったの9977名。
南北の離散家族は、親兄弟のみならず親戚を含めれば、その数1千万人にのぼる。

といった歴史の事実を当時の映像とテロップで説明しつつ、MVでは歌が歌われています。

作詞作曲は、このプロジェクトのプロデューサーも兼ねている人気作曲家のチェ・ジュニョン(최준영)さん。

2004年11月16日の夜10時からスタジオに集まって録音したそうで、作業は朝まで続いたと、当時の新聞が報じています。

アルバムは既出の通り12月24日に発売され、売り上げはすべて北朝鮮の子どもたちへの人道支援に使われました。

残念ながら公式のMVが見当たらないので、you tubeのものを貼っておきます。
リンク切れの際はご了承ください。

歌っているのは、順番にパク・サンミン、イ・ヒョリ、オク・チュヒョン、キム・ジョングク、キム・ボムス、SE7EN、Realslow(フィソン)、SHINHWA、Gummy(コミ)、イ・ジョンヒョン、Wax、パク・ファヨビ、そして歌詞の2番からイ・スンチョル、キム・ゴンモ。
合唱はJKキム・ドンウク、The Jadu、Maya、ピョン・ジンソプ、ソ・ヒョンス、ウン・ジウォン、イ・エスク(コリアナ)、インディゴ、チョ・ウン、Jewelry、チェ・ジニ、チェ・ヒョンス(バリトン歌手)、テ・ジナ、Page、Flower、Koyote、NRG、V.O.S.となっています。(敬称略)



그날이 오면

수 없이 계절은 바뀌어도 변치않는 단 하나
그대를 향한 내 그리움 그리워 너무 그리워

우리의 이별은 너무 길다 이젠 만나야만 한다
서운한 마음은 모두 잊자 우리는 하나니까

우리의 소원은 단 하나 다시 만나야만 한다
너와 나 두 손 꼭 잡고서 기쁜 노래를 부르자

모두가 기다리고 있다 우리 다시 만날 그 날
기쁨과 행복의 눈물로 세상 가득할 그 날을

그리운 백두산 산새소리 하나산이 춤을 출 때
가슴에 맺혔던 애닯음이 이제야 녹는구나

우리의 소원은 단 하나 다시 만나야만 한다
너와 나 두 손 꼭 잡고서 기쁜 노래를 부르자

통일 노래를 부르자

いくつもの季節が過ぎゆきようとも 
変わらぬただ一つのこと
それはあなたへと向かう私の恋しさ
恋しい たまらなく恋しい

離れ離れの時が あまりにも長すぎる
もう出会わなければ
恨めしい寂しさは もう忘れよう
私たちはひとつなのだから

私たちの願いはただ一つ
もう一度出会わなければ
あなたと私 手と手を強く握り締め
喜びの歌を歌おう

みんなが待っているんだ
私たちが再び出会うその日を
喜びとしあわせの涙が
世界を満たす その日を

懐かしい白頭山の山鳥のさえずりに
漢拏山が踊りだすとき
胸を埋め尽くしていた痛みも
ようやく溶けていくのだろう

私たちの願いはただ一つ
もう一度出会わなければ
あなたと私 手と手を強く握り締め
喜びの歌を歌おう

統一の歌を歌おう

ス オシ ケジョルン パッキオド
ピョンチアンヌン タン ハナ
クデル ヒャンハン ネ クリウ
クリウォ ノム クリウォ

ウリエ イビョルン ノム キ
イジェ マンナヤマン ハンダ
ソウナン マウムン モドゥ イッチャ
ウリヌン ハナニカ

ウリエ ソウォヌン タン ハナ
タシ マンナヤマン ハンダ
ノワ ナ トゥソン コ チャコソ
キップン ノレル プルジャ

モドゥガ キダリゴ イッタ
ウリ タシ マンナ ク ナ
キップグァ ヘンボゲ ヌンム
セサン カドゥッカン ク ナル

クリウン ペトゥサン サンセソリ
ラサニ チュム チュ
カスメ メッチョットン エダプミ
イジェヤ ノンヌングナ

ウリエ ソウォヌン タン ハナ
タシ マンナヤマン ハンダ
ノワ ナ トゥソン コ チャコソ
キップン ノレル プルジャ

トンイ ノレ プルジャ



この歌が世に出た当時から、本当に好きな歌でしたが、こんなに素敵な歌手の方々が思いを込めて歌ってくれたこの歌の状況から、現実があれよという間に遠ざかり。
どこまで行ってしまったのか、遠くに見えていたはずの背中もすっかり見えなくなって久しかったのですが。

今またこの歌に思いを馳せていられることができて、とても感慨深いです。

それにしても、改めて見てみても、13年以上たっているのに今も活躍されている方が多くて驚きます。
「ああ、この方この時人気だったな」という方もいて、懐かしいですよね。

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この歌もテーマにしているように、南北の離散家族再会は、当事者にとっては命のタイムリミットが迫った切実な問題。
鉄条網の向こう側に向かってお辞儀をしているおじいさん、おばあさんたちの姿を見るのは、人としていたたまれないものがあります。

「たまらなく恋しい」思いを抱えている人々が、どうか一日も早く出会えますように。
そんな日が、遠からず訪れますように。
心からそう願ってやまない2018年戊戌年の旧正月です。