みなさま、こんにちは。

今日は3月17日より日本でも公開になった映画『青い塩(푸른 소금)』について書こうと思います。

韓国で去年の8月に公開された、ソン・ガンホ主演の『青い塩』。
タイトルが素敵ですよね。好奇心をそそられます。
韓国で宣伝を見て、観たいと思っていたのですが、ちょうど上映時期が滞在と重ならなかったので、日本公開の情報を知らずに先日DVDを購入して見たのでした。
劇場で見たら、映像の美しさがさらに増したでしょうに。惜しい! 
こちらが『青い塩』日本版公式サイトです。

それにしても、さすがはソン・ガンホ。
代表作を挙げたらキリがないほどの実力者ですし、日本の映画ファンにも根強い人気を誇る彼ですので、日本公開も頷けます。

さて、ここから先はネタバレしますので、これから映画を見ようと思っている方は大変恐縮ですがこのまま閉じて頂くか、もしくは薄目を開けてお進みくださいませ。(笑)

ソン・ガンホの役どころは、伝説のヤクザ。
今は足を洗って釜山の料理学校に通っています。
そこで、愛想の悪いボーイッシュな女の子と知り合います。

この女の子は今売り出し中の女優、シン・セギョン(신세경/SHIN Se Gyeong)さん。
『根の深い木』でも大物俳優ハン・ソッキュと実力者のチャン・ヒョクに囲まれて清潔な存在感を放っていましたね。あの役柄からはかなりのイメチェンです。
まだ21歳の、あどけなさの残るシン・セギョン、私の中では韓国の北川景子ちゃんと呼びたいところです。(囲みメイクがステキなので。笑)

ソン・ガンホ扮するドゥホンは同じ料理教室に通う礼儀知らずの陰気な女の子セビンと顔を合わすうちに、いつしか親しみを覚えます。

実はセビン、暴力団に彼の動向を見張るよう命令され、しぶしぶ任務を遂行しています。何かのっぴきならない事情があるようなのですが。

料理中、包丁を落として怪我をしそうになったセビンをかばってドゥホンが怪我したことから、二人は急速に距離を縮めます。

「伝説のヤクザ」と称されながらも裏の世界から足を洗い、食堂でもやって余生を過ごそうと考えているドゥホンを慕うのは、昔馴染みのキョンミン(イ・ジョンヒョク扮)と元子分のエック(チョン・ジョンミョン扮)。
でも、ヤクザの親分が跡目にドゥホンを指名する遺言を残して事故で死んでからは、ドゥホンのかりそめにも穏やだった日常は一転します。

ソウルを拠点に全国各地に勢力を伸ばしていたドゥホンのファミリーと、地元釜山に根を張るヘウンデ派と呼ばれる暴力団組織との確執。
ヘウンデ派は跡目にドゥホンが指名された事実を掴み、彼を亡き者にしようとします。そこで暗殺の役目を負わされたのが、セビン。
セビンはかつて射撃の名選手でした。

セビンはドゥホンを殺したくはないのですが、ヤクザ組織に借金を負わされ、常に見張られているため逃げられません。一緒に捕らわれている親友のウンジョンは、ドゥホンを殺せば自由にしてやるとの言葉に抗えず、ドゥホンを車でひき殺そうとしますが、あえなく失敗します。後日ウンジョンは何者かによって車ごと海の藻屑に・・・・・・。
命が狙われていると悟ったドゥホンはソウルに戻り、ファミリーに団結してオヤジの仇をうつのが先決と訴えますが、足を洗った人間が後継者に指名されたことを芳しく思わないファミリーのメンバーは冷淡です。

ちなみにそのファミリーには、『王女の男/姫の男』でお馴染みのキム・レハさんが。(キム・ギチョル役)

似合いますね~、悪そうな恰好も。(笑)

セビンが自分を殺そうとしていることを知ってなお、セビンに普通の幸せな生活を送って欲しいと願うドゥホン。
ドゥホンを殺さなければ自分が殺されてしまうセビン。
一体セビンはドゥホンに向かって引き金を引けるのか。
このあたりが後半の見所でしょうか。

セビンを見守る謎のスナイパー、Kも。

この映画、脇を固める役者陣の豪華さにも話題が集まったそうです。
「映画を見た~」という気になれます。
私としては、『栄光のジェイン』の”キム・ヨングァン選手”がドゥホンの子分エック役で好演していたのが、筋とは関係ないところで良かったです。(笑)

ラストがどうなったかは、ネタバレせずにおきます。
実はここまでのネタバレも、日本の公式サイトの宣伝レベルを超えてはおりませんのでご安心を。(笑)

さてこの映画。
一言で表すなら、ズバリ「おじさんのロマン」。

いや~~~~、おじさんのロマンが満載です。
ただ、一歩間違えばおじさんのファンタジー(またの名を荒唐無稽)になりがちなところを、もうすこし大きな意味の「愛」で美しくまとめたところが、この映画の良い点でした。この辺は、やはり監督の美意識の高さが出ますね。

私は少女に恋心を抱かれるおじさんの物語や、若い女性とくたびれた男性との恋愛物語がどうにも苦手です。主人公はわりとその辺にいる容姿をしている反面、女の子のほうはおしなべて美少女というのがこの手のストーリーの定石です。そうした作品に接すると、おじさんたちの飽くなきファンタジー願望にげんなりしてしまいます。

この映画もひょっとしたらその手合いかと途中から身構えたのですが、それは幸い私の杞憂に終りました。

映画の見所として外せないのが映像美。この映画は映像が本当に綺麗です。
控えめにチョイスしたこの一枚からも、映像の美しさが垣間見れると思うのですが。

最後まで種明かしされないエピソードもあるので、そのあたりは想像力で補うか、そういうものとしてありのまま受け止めるおおらかさが必要になりますが(笑)、気軽に韓国映画を見たい人にはお勧めです。ソン・ガンホの存在感はいうまでもありませんが、シン・セギョンさんも陰のある美しいセビンをすっかり演じきっていました。間違いなく、女優としての幅を広げたのではないでしょうか。今後が楽しみな女優さんです。

以下、日本の劇場予告編の動画を貼っておきます。