みなさま、こんにちは。

ソウル滞在中、すでに2度も台風が過ぎ去っていきました。
台風一過の晴天もどうやら一日限りだったのか、またしても雲が増え始めています。

さて、先日台風で大雨が降る中、観たかった映画『도둑들/泥棒たち』を観てきました。

台風をものともせず、COEX MEGABOXのチケット売り場には映画のチケットを求める人々の列ができていました。
皆さん私と同じように、台風で空いていると思ったのでしょうか。(笑)

『泥棒たち』(邦題仮)、評判どおり飽きさせないスピーティーな展開で、2時間しっかり楽しめました。
日本にも入ってきそうな映画なのでラストまでは書きませんが、それでもばっちりネタバレしていますので、映画をご覧になるおつもりの方は大変恐縮ですがこのまま閉じて頂くか、薄目を開けてお進み下さい。すみません。(笑)

ポスターを観るだけでも魅力的な10人の泥棒たち。
オーシャンズ11の韓国版ですよね。

映画のストーリーは、一言で言えば華麗な個人技を誇る泥棒たちの仁義なき騙しあいでございます。
こう書いてしまうと元も子もないほど、ストーリー自体に取り立てて目新しさはないのですが、それでもこの映画があっという間に観客1000万人を突破したのは、やはり豪華な俳優陣と、彼らのしのぎを削る演技が見所になっているからでしょうか。

監督は、泥棒映画を撮らせたら韓国で右に出るものはいないというチェ・ドンフン。

映画は麗しい令嬢が母を伴って美術館を訪れるところから始まります。

お母さんのほうの画像をお見せできないのが残念。
「山登りの帰りに寄った」というお母さんはリュックにウインドブレイカーというお散歩ルックです。

そして作戦開始。

母親役の“噛み終わったガム”(キム・ヘスク扮)は男に美術品の貯蔵室を案内させ、その間娘役の“エニーコール”(チョン・ジヒョン扮)は一味のボス“ポパイ”(イ・ジョンジェ扮)と“ザンバノ”(キム・スヒョン扮)と連携を取りながら、“噛み終わったガム”が保安システムを解除するのを待ち、お宝をちょうだいします。

見事な連携プレーとテンポのいいセリフが、のっけからワクワクさせてくれます。

お宝を手にしたポパイたちに新たな仕事が舞い込みます。

“マカオ・パク”(キム・ユンソク扮)。
かつてポパイのボスだった伝説の泥棒。
もっとも、ポパイのほうはボスではなく同僚だと言い張りますが。

何年も姿をくらましていたマカオ・パクが、ポパイに香港集合の号令をかけたのです。
一緒に組むのは中国人のチェン。
ポパイは仮出所したばかりの金庫破りのプロ“ペプシ”(キム・ヘス扮)を迎えて、香港へ。

「あいつに一泡吹かせようって話なら、乗るわ」

かつてペプシとポパイはマカオ・パクに裏切られたことがあったのでした。
マカオ・パクに思いを寄せていたペプシの傷心は、いまや恨みへと姿を変えています。

かくして、香港集合。マカオ・パクとの再会。

中国チームはチェンを筆頭にアンドリュー、ジュリー、ジョニー。

盗むのは、『太陽の涙』と呼ばれるダイヤモンド。
稀代のダイヤモンドはマカオのカジノに眠っています。
マフィアのボス、ウェイホンの妻ティファニーが、セキュリティ万端の30階の自室金庫に『太陽の涙』を隠しているとの情報を得たポパイは、
ダイヤを盗み、それをまたウェイホンに売ろうと計画します。

各自、役割分担。

日本人夫婦を装い、カジノで豪遊するチェン(イム・ダルファ扮)と“噛み終わったガム”。
カジノで大金をかけるのが大好きな負けず嫌いのティファニーを、二人がひきつけておきます。

日本人夫婦役でその発音はどうなの?
というお決まりの突っ込みは、お決まり過ぎるのでこの際ここまでにしておきます。(笑)

カジノの職員を買収して武器を密かに搬入させる役割はアンドリュー(オ・ダルス扮)。

ワイヤーを使って侵入するエニーコールは、屋上でワイヤーを操るザンパノと組んで30階の窓を破る役。

ペプシとジュリーは金庫係。
ポパイは女たちとともに30階に侵入し、お宝をゲットする役割です。

作戦決行前夜。

ペプシの部屋を訪れるポパイ。
「ダイヤは俺たちが全部いただくぜ」
そういってご機嫌な笑顔を見せるポパイ。

その一部始終を、ベランダのワイン目当てにもぐりこんでいたエニーコールが聞いていました。

いきなり裏切り発覚。

慌てて部屋から逃げると、そこは筋トレ中のザンパノの部屋でした。

窓から入ってきたエニーコールに驚くでもなく、いきなりの愛情表現に出るザンパノ。

キム・スヒョン君ファン向けのサービスシーンですね。(笑)

エニーコールに想いを寄せるザンパノ。
男が自分に寄せる関心にまったく興味を持てないエニーコール。
彼女にとって男は、勝手に自分に好意を寄せるか、もしくは自分が利用する対象でしかありません。

「あたし、ものっすごい情報握っちゃってんだけど」

お色気ムンムンでマカオ・パクに告げるエニーコール。
そんな姿にやきもきするザンパノ。
もしかしたらこの映画で唯一、誰もが好感を持つ一途な純情派です。

しかし作戦前夜、裏切りの算段をしていたのはポパイ一味だけではありません。

「マカオ・パクは信用できない」と部下に語るチェン。
「俺たちがいただくのは、ティファニーの現金だけだ。ダイヤには手をつけるな。どうせ奪えやしない」

腹の中でまるきり違うことを考えている連中が、表面的にはチームワークを整え、命がけの大仕事に向かおうとしています。

金庫破りの練習を重ねるペプシとジュリー。

かつて自分を裏切り、金塊を一人で持ち逃げしたマカオ・パクの部屋を訪れ、なぜあの裏切りを一言も謝らないのかと問いただすペプシ。

この映画のストーリーの肝が「本当は誰が、誰を、裏切ったのか」にあるので、これ以上のネタバレは伏せておきます。

その代わり、というわけではありませんが、ここからはスチール写真で見所を列挙してみます。

この映画、なんといってもエニーコール役のチョン・ジヒョンさん。

札束を手に嬉しそうにしている姿が、チョン・ジヒョンさんのイメージとミスマッチながら、なんとも愛らしいです。
しかし映画のせいで、なんとなく家でも本当にやってそうないけないイメージが付きはしなかったでしょうか?(笑)

まさにキャッツ・アイと呼ぶにふさわしいボディラインとしなやかな身のこなし。
いえ、もしかしたら峰不二子のほうが正解?
彼女が出てきて喋るだけで、吸い込まれるように見入ってしまいます。
とても口にできないような下品で蓮っ葉なセリフが満載ではありますが。(笑)

そして、ペプシ役のキム・ヘスさん。

キム・ヘスといえば肉体美はあたりまえ。
姿かたちの美しさに加えて、貫禄まで感じさせる演技でした。
しかしキム・ヘスさん、女優の歳を口にするのは野暮ですが、今年で満42歳なんですね!
キム・ヘスさんは昔から大人の女性の魅力があふれる女優さんなので年齢を意識していませんでしたが、改めて42歳と聞くと、女優と一般人はやはりずいぶん違うんだなと納得してしまいます。(笑)

映画には、一回り違う二人の美女を意識したシーンも満載。

写真がないので載せられなくて残念ですが、ワイヤーアクションやカーチェイスなど、アクションシーンも迫力ありました。
映画館で観たら、思わず「あ!」と言ってしまうと思います。
はい、わたくしのことです。(笑)

ただ、この映画。

ぱっと見の華やかな印象とは裏腹に、ストーリーは割りとほろ苦いです。

お宝のために仲間内で騙しあい、裏切る。
それが泥棒の性(さが)。

そう言われればそのとおりなんですが、騙したり、裏切ったりするストーリーはやはり見ていて苦いものです。
やはり人間、他者をおもんばかったり、心を合わせて団結したり、仲間を愛し大切にする物語のほうが精神衛生上心地よく響くものだなぁ、と、映画を観ながら妙に再確認をしてしまいました。

そういう意味でこの映画、実は見終えた後、映画の登場人物たちと自分の思考パターンが近いと思う人も割といるのかもしれません。
仲間のフリをしているけど、その実誰のことも仲間だと思っていない人。
自分の利益を追求することがそもそも第一義的な価値であるため、そのために犠牲になる人についてなどハナから眼中にない人。
自分さえ良ければいい人。

でも、ただのこすっからい人というより、そんなふうに生きるしかなかった背景もあったりして、幾人かの泥棒たちには同情も覚えます。
実は泥棒よりももっとこすっからくて泥棒的な人は、社会の中にこそもっといたりしますでしょうか?
なんてことにも考えが巡り。

みなさんがご覧になったら、どんな感想をお持ちになるでしょうか。

私は愚直なまでに愛を貫いたザンパノが、やはり一番のお気に入りです。
いえ決して、イケメンだからということでは。(笑)

色々書きましたが、なんだかんだと楽しめました。

「お金払って損した!」なんてことには少なくともならない映画だと思います。

みなさまもご覧になる機会があれば、是非。

観終わると、ボディを美しく鍛えなきゃという気になるあたりも、女性にはいいかもしれません。(笑)