みなさま、こんにちは。

いやはや、右に左にグラングランさせられております、『優しい男』14話。
さっそくまいります。

マルのことを押しのけたウンギ。

マルはわけが分からぬまま、歩き出したウンギの後を追います。

緊急事態発生の知らせを受け、ウンギの主治医に駆けつけたヒョン秘書。
医師から、記憶の後退が起きたのだろうと告げられます。

あまりにも思い出すのが苦痛な記憶と直面すると、しばしば起きうる現象と主治医。

「完全な記憶を取り戻すための、通過儀礼だと思ってください。この時期をうまくやり過ごせれば、泉が湧き出すように記憶がよみがえるでしょう」

一時的に記憶が退行したウンギは、道路をおずおずと歩き回ります。

赤信号にもかかわらず、歩き出すウンギ。

後ろで見守っていたマルが思わず抱きとめますが、「私のこと、知ってるの?」と言われてしまいます。

マルはウンギの手を引いて自宅に戻ります。

二人の写真を初めて見るようなまなざしで見るウンギ。

「嘘よ!」

突如写真を投げつけると、あたり構わずものを投げつけ始めるウンギ。

ウンギを静めようと必死につかむマル。ウンギは「放して!」と叫び続けます。

ウンギはマルの腕の中で気を失います。

ウンギの姿は、チョコにも大きな動揺を与えていました。

「怖いよ。ウンギさん、どうしちゃったの?」

怯えるチョコを落ち着かせチェギルです。

一方。

自宅でワインを飲むジェヒ。

アン弁護士の言葉を思い出しています。
ウンギを禁治産者にするという、あの言葉を。

複雑な表情を浮かべるジェヒです。

ジェヒの心に浮かぶ、自分を押しのけてウンギを介抱するマルの姿。
「失せろ」といったマルの冷たい顔。

一夜明け。

誰一人安らかに眠れなかった夕べの一夜。
マルはウンギを抱きかかえ続けたまま朝を迎えました。

顔を洗いながら途方にくれるマル。

洗面室に入ってきたチェギルが、招かざる客の訪問をマルに伝えます。
ジェヒでした。

ジェヒの相手をするチョコ。
チョコはジェヒを断固家に入れようとしません。
のみならず、ジェヒにこれまでの嫌味を言い募るチョコ。

「お兄ちゃんを捨てて、十分幸せになったはずなのに、何の用なの?」

その時、マルが家から出てきます。

「願いが全部叶って幸せなはずなのに、思ったより幸せじゃないの。あなたのお兄ちゃんが傍にいないせいね」

自分がかつてこっぴどく捨てた兄マルの前でわざとそう語るジェヒに、ほとほと呆れるチョコです。

マルはチョコを家に入れ、ジェヒと対峙します。

「ウンギが心配できたの。会わせて」

白々しいせりふを吐くジェヒに、怒りを爆発させるマル。

マルはジェヒの襟をつかみ、大声を上げます。

「失せろと言っただろ! 一体ウンギに何を言ったんだ? あんなに衝撃を受けて倒れるほど、何を?」

ジェヒが答えます。

「あなたのことよ。知ってのとおりなのに、なぜあんなに衝撃を受けたのかしら」

ウンギを守るためなら、何でもやれるといいながら、ジェヒの襟元をさらにきつく締め上げるマルですが、ジェヒは平然と応じます。

「今のあなたのウンギへの気持ちは、愛じゃない。同情。自分のせいでこうなったウンギを現状復帰させようという、良心の呵責よ。本当の愛はね、あなたが私にくれたものを言うの。愛って、どんなことをしてでも手に入れたいもののことを言うのよ。
あなたがウンギのフィアンセとしてまた目の前に現れた時、嫌じゃなかった。
もっと言うと、嬉しかった。またあなたに会えて。
あなたのいない世界は、すごくつまらなかったから」

いつしか襟元から手を放すマル。

複雑な表情を浮かべています。
自分の言葉がマルに動揺を与えたと思ったのか、満足げに笑みを浮かべて帰っていくジェヒです。

・・・・・・まさかマル、またジェヒに?
そんなことになったら暴れてやると、密かに誓う視聴者です。

帰りの車の中、ジェヒはアン弁護士の電話を受けます。
アン弁護士はウンギを尾行して治療を受けている病院を割り出し、医療情報を入手したのでした。
国内有数の神経外科医の治療を受けている事実を突き止め、ウンギの禁治産者手続きに入るとアン弁護士。

電話を切ったジェヒ、独り言を呟きます。

「心配しないで、ウンギ。あなたが死ぬまで私がちゃんと面倒見るわ」

「あなたが今までどおり、おばかさんの可愛いだけの子として大人しくしてるなら、丸裸で追い出したりしない。マルと私のせいであなたがこうなったこと、悪いと思ってる。本当にごめんね」

部屋で膝を抱えるウンギ。
マルが飲み物を運びます。

「ご飯食べよう。チョコが味噌鍋を作ったよ」

反応のないウンギにトマトジュースを飲ませようとしますが、ウンギはそれを手で払います。
床に撒き散らされたトマトジュース。

再びトマトジュースを作りにいくマル。その後姿を恐ろしい形相で睨むウンギです。

そして再び、今度はもっと酷い勢いでマルの持ってきたトマトジュースを床に払うウンギ。

マルは優しく応じます。

「また持ってくるね。トマトジュースが嫌なら、牛乳にする?」

チョコとチェギルは心配し、少しほうっておくのはどうかと言いますが、マルは黙ってまたウンギのもとへ向かいます。

ウンギは牛乳も床にぶちまけます。

「やめて! 飲みたくない!」

ようやく声を出すウンギ。

チョコはたまらず、ウンギに文句を言いにいこうとしますが、お前の出番ではないとチェギルが止めます。

再び牛乳を持ってきたマルに「飲まないって言ったでしょ!」と怒鳴るウンギ。
マルは食べないと力が出ないと言いますが、ウンギはさらに強くコップを床に投げつけます。
床に散らばる牛乳とガラスの瓶。

様子を窺っていたチョコが飛び出そうとするのを、止めるチェギル。
チョコを連れて、どこかに出かけます。

「いいよ。とことんやろう。まだ牛乳もあるし、トマトも1ケース残ってる。近所にはスーパーが3軒もあるし、コップも一杯ある。僕はまだまだ体力もあるし、会社をクビになったから、時間もたっぷりあるしね」

そう優しく言い残して、再びキッチンに消えるマル。
ウンギは当惑したような表情を浮かべています。

再び牛乳を持ってくるマル。そしてそれを投げつけるウンギ。

延々と続くかに思われたウンギの拒絶。

徹底的に付き合おうと腹を決め、立ち上がったマルのズボンのすそを、ウンギが引き止めるように掴みます。
見るとその手は、砕けたガラスの破片で切れていました。

ウンギの手を治療するマルが静かな声で語りかけます。

「君がこんなふうに怒ってくれて、僕はむしろ嬉しいんだ。本来なら、君はどれだけ腹を立ててもまだ怒り足りない状況なのに、ずっと明るく朗らかだった。それが僕は心配だったんだ。君が心の中に、怒りを閉じ込めているように思えて。もし余力があったら、声を上げてワンワン泣くといいよ」

マルの言葉を黙って聞くウンギ。
マルが言葉を続けます。

「ハン・ジェヒと何を話したの? 僕のせいで苦しんでるの? 
僕との思い出がつらいなら、そしてそれをおし隠そうと君が自分自身を苦しめているなら、もう隠そうとせずに記憶を取り出してごらん。自分を傷つけずに、僕を傷つけてよ、ウンギ」

「自分を痛めつけないで、僕を刺してよ、こうやって」

自分の胸にウンギの手を突き刺す仕草をするマル。

「君が自分の力で立ち上がれたら、僕は消える。君が大丈夫になったら、僕も安心して君のもとから消えることができるんだ」

マルが再び牛乳を持ってくると、部屋ではウンギが泣き出していました。
大声を上げて、悔しそうに泣くウンギ。

その泣き声を背に聞くマル。
突如頭痛が襲います。

吐き気に襲われ、トイレに駆け込むマル。

泣き止み、ベッドにもたれるウンギ。

その一方で、マルはトイレで朦朧としていました。

散らかった部屋でベッドに横たわるウンギ。
トイレから動けないマル。
顔はすっかり青ざめています。

視聴者の願いもむなしく、チョコもチェギルも帰ってこず。

人知れず、病状を悪化させていく、悲しすぎるほど孤独なマルです。

朝。

下におりてくるウンギ。
マルが朝食を用意しています。

「よく眠れた?」と何事もなかったように声をかける、いつもの穏やかなウンギに戻っていました。

「私、ずいぶんたくさん寝ちゃった。長い夢を見たの。
夢の中にマルさんも出てきたんだけど、マルさんは私の知っているマルさんとは別人なの」

「どんな風に?」と尋ねるマルにウンギが答えます。

「私を騙し、欺く、悪い人なの」

その言葉に体が固まるマル。

「君の記憶が全部戻った時、僕が本当に今言ったような人だったら、どうする?」

ウンギに背を向けたまま尋ねるマル。

ウンギには意味が分かりません。

ウンギに向き合い、再び同じことを尋ねるマルに、しばし考えたウンギが答えます。

「許せないわ。お父さんを捨ててまで選んだ人なのに」

マルは笑い出します。

なぜ笑うのかと尋ねるウンギに、マルが答えます。

「安心したんだ。きっとそうするんだよ。大目に見たりしないで、必ずそうしなね、ウンギ」

ウンギはパク弁護士を呼び出していました。

「何があったんですか? どんな話を聞かされたんです?」

そう問われ、首を振るウンギ。ジェヒとの会話で衝撃を受けたことは覚えているものの、会話の内容が思い出せないといいます。
バラバラに散らばった破片のように感じると。

パク弁護士が尋ねます。

「なにか、思い出したんですよね?」

「ぼんやりと、一場面だけ」と答えるウンギ。
どんな場面だったか尋ねるパク弁護士に、「パク弁護士がマルさんのことを、邪心を抱いて私に近づいたと言った場面を思い出したんです」とウンギは答えます。

「あれ、どういう意味ですか? 私の知らないカン・マルについて、なにかご存知なんですか?」

そう尋ねられ、言葉を失うパク弁護士。

マルはジェヒに呼ばれ、テサンにいました。
椅子を勧められるも、立ったまま聞くと応じるマル。

ジェヒはマルに、テサンに対する産業スパイのでっち上げの件は、幼稚で稚拙だったと謝ります。
これからは仲良くやっていこうと、と。

握手を求めるジェヒ。

「その謝罪を受けたくない場合は?」とマルが問います。

「土下座でも、しようか? 出来るわ、私。千回でも1万回でも。
本当にしようか?」

冷たくジェヒを見るマル。

ジェヒが土下座しようとするのを、素早く止めます。

涙を流しながらマルを見つめるジェヒに、マルが冷たく放ちます。

「むかつく。反吐が出る」

ジェヒを突き放し、去るマル。
ジェヒは涙をこらえられません。

本当に気持ち悪すぎです、ジェヒ。
きっと脚本家の心の声に違いありません。(笑)

そして再び、ウンギとパク弁護士。

パク・チュナがウンギに問います。

「それ、本当に私が言った言葉ですか?」

うなづくウンギに、なおも続けます。

「本当に私が言ったのを思い出したのですか? 記憶をつくりあげたのではなくて? 私はそんなことを言った覚えはありませんが」

ウンギはその言葉に驚き、本当かと尋ねます。
本当だと断言するパク弁護士。

「人の記憶の30%は、自分で作り上げたものだそうです。自分で作り上げた嘘の記憶に、苦しめられるのだとか」

ウンギは戸惑いながらも、自分の勘違いなのだろうと答えます。その返事に笑みを浮かべるパク弁護士。

ウンギは、一日も早く記憶を完全に取り戻したいといいます。
そのためには、どんなことでもする、と。

パク・チュナー! いいやつじゃないかー!

パク弁護士はウンギを心から愛してるのですね。だから、ウンギのためになることだけを選択する。たとえそれが、恋敵カン・マルに利することになろうとも。
泣かせます。

そしてテサンでは。

アン弁護士がウンギを禁治産者にするための資料を集め、ジェヒに説明していました。
一日も早くウンギの状況を人々に知らせ、経営能力がないことを見せ付けて世論を形成しようとアン弁護士。無論、カン・マルの後ろに隠れるだろうから、骨は折れるだろうがと付け加えます。

ジェヒはアン弁護士に、二人を引き剥がし、カン・マルは自分のものにすると言います。
あの能力を人にあげるのは、惜しい。私は全部手に入れたいの、と。
表情をこわばらせるアン弁護士。

てか、どんだけ強欲!

そこへウンギがやってきます。
驚いて立ち上がるジェヒ。

「具合が悪いかと思ってた。急にくるなんて、どうしたの?」
引きつるジェヒに、ウンギは挨拶に来たといいます。

正式に初出勤したとウンギ。

「顔面失認症のせいで、萎縮しすぎてたみたいです。でも私の会社だし、みんな私の社員ですもの。何度も顔をあわせて、慣らしていくつもりです。
これからしょっちゅう顔を合わすと思うので、それで挨拶に」

一礼して会長室を出て行くウンギ。
ジェヒは拳を握り締めます。

さっそく戦いを仕掛けてくるジェヒ。
ウンギに、買収話が進んでいるテアン・コスメテッィクの代表と会食に行くよう言いつけます。以前親しい間柄だったので、うまくまとめて後日実務者に内容を引き継いで欲しいと告げて電話を切るジェヒ。

ウンギも、傍で見守るヒョン秘書も、この事態をどうすべきか当惑を隠せません。

そこへ入ってきたマル。二人から事の成り行きを聞きます。

相手側の会長は、ウンギを嫁にしたいというほど気に入っていたとヒョン秘書から説明を受けるマルとウンギ。
ウンギは覚えがないと頭を振ります。
ウンギと一緒に相手側の会長に会ったことのある秘書から事情を聞いてくると言い残し、ヒョン秘書は出て行きます。

無理をせず、急用で行けなくなったと伝えようとマルは提案しますが、ウンギはマルのいうことを聞き入れません。
急に行けないなんて言ったら、逆に疑われる、と。
マルは無理するよりましだと説得するものの、ウンギは出来ないなんて言いたくないと言い張ります。

「もう言いたくないの、出来ないって」

断固たる態度のウンギ。

「私、覚えるのは得意よ。どんな方なのか、家族のことや趣味について、覚えていけば大丈夫でしょ?」

マルと一緒に会食現場に向かうウンギ。
車の中で必死に覚えた事項を確認しています。

「付いて行こうか?」と心配するマルに、一人で大丈夫と部屋に入っていくウンギ。

「去年父とお会いして以来ですね」と声をかけるウンギに、ミン代表は最近記憶がおぼつかなくてと答えます。
覚えてきたとおり、結婚した息子の話を持ち出すウンギに、ミン代表の表情が一転します。

テサンでは。

アン弁護士がジェヒに確認していました。
ウンギがミン代表と偽られ、ナム社長に会わされている事実を。

「なぜそんなことを?」
問題になって投資話が立ち消えになったらどうするのかと尋ねるアン弁護士に、望むところだとジェヒは答えます。

「ソ・ウンギの失敗が大きいほど、あの子に対する理事たちの印象が悪くなるわ」

はめられたと気づくはずもないウンギ。
「息子さんが結婚され、お孫さんもできたそうですね。社長はお幸せでいらっしゃいます」と話を振ります。

黙って聞いていたナム社長。突如声を荒げます。

「昼間から酒でも飲んできたのか、小娘が! 息子のことをよくも!」

驚くウンギ。

マルが駆けつけると、ウンギが一人ぽつんと座っていました。

「テアン・コスメティックの代表じゃないんですって。この方は、モソン化学のナム社長。5ヶ月前に交通事故で一人息子を亡くされたそうよ。
そんな方に私・・・・・・」

酒を飲もうとするウンギを止めるマル。何が起きたのか、頭をめぐらせています。

その時ジェヒから電話が鳴ります。

何のために戻ってきたのかと怒鳴り散らすジェヒ。

「あんたのせいでナム社長は傷ついて、テサンリゾートへの投資を取り消されたわ。どう責任取るつもり?!」

怒ったウンギが言い返します。

「あなたが私に嘘ついたんじゃない! あなたがテアン・コスメティックのミン代表だって・・・・・・」

ウンギが言い終わる前に電話を取り上げるマル。
ウンギはまだ話は終わっていないと反発します。

どうやらはめられたようだというマルに、涙をためるウンギ。

テサンでは、投資話霧散の件が矢のような速さで広まっていました。

理事の中でも噂が広まっている。この件でさっそく週明けにも理事会を招集し、ウンギを禁治産者にするための世論を形成しようとアン弁護士は提案します。

「思ったよりも呆気なかったわね、ソ・ウンギ」

「つまらないわ。手ごわかった時は楽しかったのに、あまりにも簡単すぎて、つまらない」

勝利宣言のジェヒ。

憎すぎる。

マルとウンギの家では。

ウンギがしきりに反省していました。
恥ずかしい。マルさんが止めた時、聞くべきだったのに。
そう言って落ち込むウンギ。

「人の助けがなければ何も出来ないのに。呆れちゃうわ」

そう言って自分を責めるウンギに、自分を責めるなとマルは言います。
次に頑張ればいいのだと。

ウンギは首を振ります。

ゆっくりでいいのに、どうしてそんなに急いで記憶を取り戻そうとするのかと尋ねるマルに、ウンギが答えます。

「マルさんを早く思い出したくて」

「マルさんが私をどれだけ大切にして、愛してきたか、早く思い出したくて、それで」

その言葉に視線を落とすマル。

テーブルに突っ伏し、ウンギは静かに涙を流します。

「出勤早々会社に損害を与えるなんて。戻らなければよかった。
やめよう。もう全部やめるわ」

その姿を心を痛めながら見守るマルです。

眠りにつくウンギをマルは見つめ。

朝。

マルはウンギを起こし、自分でまいた種は自分で解決しろと、いつになく厳しい調子で言います。

会社を諦めると言った筈だと、ウンギはまた布団をかぶろうとしますが、マルが許しません。

「何もしてないうちから、何を諦めるなんて言ってるの?」

マルは厳しい表情を浮かべます。

「記憶を取り戻して、テサンを自分のものにして、それでも会社なんていらないと思ったら、その時に捨てなよ」

勿論ウンギは応じません。

「昨日見たじゃない。私が笑いものにされて、ズタズタにされるとこ。あなたも見たじゃない」

マルは「君はやれる」と言います。
頑強に首を振るウンギに、君ならやれる、と。

「君はやれる。その証拠が、僕だよ」

マルはウンギを車に乗せ、とある場所に黙って降ろすと一人去ってしまいます。

そこはなんと、ナム社長の家の前でした。

折りしも家から出てきたナム社長。
驚いたようにウンギを一瞥すると、何も言わずに車に乗り込んで出かけて行きます。

会社では。

パク弁護士がマルに伝えていました。
マルの予測どおり、ジェヒがウンギの医療記録を持っていってしまったことを。
知っていてわざとウンギを試したのだと聞かされるマル。

「彼らの目的は一つ。ソ理事を禁治産者にすることです。
一体これからどうしたら?」

不安を隠せないパク・チュナとマル。

ウンギは暗くなるまでナム社長の帰りを待っていました。

帰宅したナム社長は、ずっと待っていたと思しきウンギの姿を見つけ、驚きます。

無言で去るナム社長。

現場に駆けつけたマルがその姿を目撃します。

ジェヒは上機嫌で家に帰っていました。

息子ウンソクに、何でも買ってあげるから欲しいものをいってごらんとジェヒ。
ウンソクは、ウンギお姉ちゃんと答えます。
他にないのかと尋ねても、ウンギと答えるウンソク。

苛立ったジェヒ、おもちゃでも服でも何でも買ってあげるといっているのに、なぜ男のくせに欲しいものがウンギだけなのかと声を荒げます。

「ママ嫌い」と泣きながら、家政婦に部屋に連れて行かれるウンソク。

ウンギは立ち続けていました。
そこへ姿を現したナム社長。

「いつまでこうしているつもりかね? 無駄だから帰りなさい」

ウンギが口を開きます。

「社長。実は私は記憶喪失です。自らの危機から逃れるべく、お会いしたこともない方に知っているフリをしました。テサンを守らなければという一心で、社長に息子さんのことでとんでもない傷を与えてしまいました。どうしてもお詫び申し上げたくて、参った次第です。どうぞ、お気のすむまで私をお叱りになってください」

いきなりの告白に驚くナム社長。
記憶喪失だけでなく、脳にも損傷があるとウンギは伝えます。

例えそうだとしても、投資の件は翻らない。
ましてや経営者が脳に損傷があるなら、なおさら。

そう答えるナム社長に、「今日来たのは、投資の件ではありません。なんとしても、息子さんのことで傷つけてしまったことを、お詫び申し上げるためです」と答えるウンギ。

経営者として致命的な情報を、なぜ伝えるのかと尋ねるナム社長に、自分は必ず元に戻ると信じているから、と答えるウンギです。
もし私が悪い噂を立てたら?と尋ねられ、覚悟の上で来たとウンギ。
噂を立てられても、仕方がないと思っていると。

「本当に、申し訳ありませんでした」

頭を深々と下げるウンギ。
ナム社長は無言で家に入っていきます。

家に戻ったウンギ、静かに物思いにふけります。

やるべきことをやりきり、納得したかに映るウンギの穏やかな横顔です。

翌朝。

テサンの会長室では、アン弁護士がウンギの失策を理由に緊急理事会を招集する予定であるとジェヒに報告していました。

その時会長室にかかってきた電話。
相手はナム社長でした。

「うちのソ理事がまだ業務に復帰できる状態にあらず、ナム社長には大変なご迷惑をおかけしました」

いつものように白々しい挨拶を繰り出すジェヒ。
次の瞬間、ジェヒは耳を疑うことになります。

『ソ理事との案件ですが、実務者会議の場を早急に設けましょう』

今言われたことが理解できないジェヒ。
ナム社長は言葉を続けます。

『あ、もう一つ。投資誘致の交渉相手は、ソ理事にしてください』

驚くジェヒは、この間失礼があったのではと尋ねますが、「そんなこと、あったかなぁ」ととぼけるナム社長。

「亡くなったソ会長は娘さんをしっかりお育てになったようですね。話の分かるソ理事と、また新たに始めたいと思いましてな」

呆然とするジェヒ。
理事会を召集し、ウンギについての全ての情報を公開するとアン弁護士に告げます。

かくして開かれた臨時理事会。

ウンギについての議題を持ち出すジェヒ。その時ジェヒに、誰からかメモが渡されます。
メモを見て顔色の変わるジェヒ。

『ソ理事殺人教唆に関して話しましょう。今』

青ざめながら席をはずすジェヒ。立ち上がったアン弁護士を制止し、一人で出て行きます。

そこにいたのは、談笑するマルとジェシクでした。

「お前が俺に頼んだこと、全部マルに話したぞ。あのきれいなお嬢さんを跡形もなく消すようにお前が頼んだことさ。そのことを今理事会に踏み込んで全部ぶちまけたら、マルが一生俺を守ってくれるそうだ。
俺だってあいつが好きなわけじゃないが、最低限お前と違って約束は守るからな」

ジェヒを睨み続けるマル。

顔をこわばらせるジェヒにジェシクが近づいてささやきます。

「なんせあいつ、お前の殺人の身代わりになったこと、最後まで口割らなかったやつだからな。マルから聞いたんじゃないぜ。お前のやることはなんでも俺にはわかる。いかにもお前がやりそうなことだ」

マルを睨むジェヒ。

ジェヒを睨むマル。

ジェヒはこわばったまま会議に戻ります。

会議を後ろのドアから覗くマル。

マルに監視される中、ジェヒが口を開きます。

「発議します。ソ・ウンギ理事をテサングループ共同代表に据える件です」

驚く一同に続けるジェヒ。

「ソ理事も一線に復帰したことですし、今後は大いに活躍して頂きたいと思っています。それに見合った地位を保証するのが、私の勤めと考えております」

ウンギに近づくジェヒ。

「私の提案を受け入れてくださいますか、ソ理事?」

ジェヒの挙動を後ろから監視し、圧力を加えるマル。

マルを恨めしげに睨むジェヒ。

睨みをきかせていたマルが一瞬笑みを浮かべ・・・・・・。

なんとー!
なんとなんと、こんな展開に!

マルが力技でウンギをテサンの会長の座に押し上げました。
あとはしぶといジェヒをどう料理するか、ですね。
最後にはジェヒの身代わりになってマルが殺人犯として裁かれたことも明らかになるのでしょうか?

しかし気になるのは、このスピード。
禁治産者にされる一歩手前だっただけに急を要したとはいえ、こんなに早くウンギを会長に据えるということは、マルがウンギから去る日を早めているとも取れます。



日に日に悪化する一方のマルの病気に誰も気づいていないことも、視聴者としては不安でたまりません。
ウンギに厳しく接したのも、マルが死期を察し、ウンギの独り立ちを急いでいるように思え。
喜びよりも悲しさがつのる一方のチャッカンナムジャです。

それにしても、まったく。
今回もグッジョブな兄でした。
ああ、言いたくないのに。(笑)