みなさま、こんにちは。

終わりゆく2014年を惜しみつつ、今年最後の記事もやはり『未生/ミセン』で締めようと思います。
今日アップするのは、『未生』OSTでイム・シワン君の歌う“그래도..그래서(それでも・・・だから)”(邦題仮)。


久しぶりにかかってしまいました、この病気。
頭の中を『未生』がぐるぐるぐるぐる。
恐らく同じ症状の方が、他にもいらっしゃるだろうと思いますが。

グレの最終回での姿をちゃんと見届けたのに、それでも悲しい余韻が消えないのは、どういうわけでしょうか。

やはり、あれでしょうか。ドラマの中でグレたちが経験したことがあまりに残酷だったので、視聴者としても色んな記憶や目の当たりにしている現実が掘り起こされてしまったからなのでしょうか。
なにか重量を感じる、悲しみの塊のようなものを抱えてしまったような気がしています。
ただ、こういう感覚を残してくれるドラマや映画は、私は好きです。

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今日ご紹介するのは、『未生』OSTのPart5として12月12日に音源が公開された“그래도…그래서/クレド・・・クレソ”。日本語訳としては「それでも・・・だから」が一番適切でしょうか。英訳では“Be Alright”とタイトルがついています。

歌っているのはチャン・グレ役を務めたイム・シワン(임시완)君。


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イム・シワン君はこの曲で初めて作詞・作曲を手がけています。

本来イム・シワン君はアイドルグループZE:Aのメンバーですが、これまでもソロで歌ったことはないとのこと。
貴重な初ソロ曲を『未生』で、しかも自作したわけですね。
イム・シワン君はチャン・グレとしての思いを込めて作ったのだそうです。

この歌がドラマの中で流れたのは私の記憶が正しければ18話の1度だけでしたので、せっかくシワン君自ら歌うオリジナル曲だというのに、他のOSTと比べてもドラマのシーンとの共鳴率は高いとは言えません。
また、この歌のタイトル「クレド・・・クレソ」は役名のグレ/クレと音をかぶせているのですが、最初に聞いた時の私の感想は、「・・・・・・ちょっと狙いすぎ?」でした。

難しいですよね。
OSTの場合はその歌が流れるシーンががっちり視聴者の脳裏に刻み込まれ、共感を形成できてこそ感動を呼ぶので、BGMとして聞き流せない本人の歌唱によって失敗するケースも実は結構あると私は思っています。
なんかこう、“억지”感、つまり無理矢理感。これが漂って、ちょっと視聴者的には集中力が切れてしまうんですよね。

実はイム・シワン君のこの歌も、“無理矢理感”を若干感じていました。歌手だから歌わせたい気持ちはわからなくはないけど、今この段階で新曲出さなくてもいいだろうと思っていたのですが。

この歌はまた、ドラマが終わった後に聴くと、きますね。
全然きます。

ドラマのシーンで印象に残るほど使われていないので、そもそもあとづけ的に聴くしかない曲なのですが、終わってみてあとづけ的に聴いてみると、いいです。
っていうか、この歌に使われている公式MVのまとめ映像が歌を完成させたとも言えます。(笑)

グレがお父さんの形見のスーツを着て不安そうに歩き、佇んでいる姿は、いま見ても胸が苦しくなります。見るからに頼りなく、見るからに緊張している姿は、その服を着せられ、そこに居るに到るまでのグレの報われなかった頑張りと挫折をいやおうなく想起させます。なんならいつぞや味わった自分の苦しさまでセットで思い出し。
映像見ながら、またつい涙ぐんでしまいます。(笑)

ワン・インターナショナルに投げ出されたグレは本当にこういう心情だったのだろうな、と。今聴くとそういう感じが歌からしみじみ伝わってきて。
ドラマが終わったあとに生まれた寂しさという距離感で聴いてみたら、すっと心に入ってくる。そんな歌です。

この歌は、先日韓国で発売になったばかりのフォトブック付きOST全24曲の中にも収められています。


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そんなわけで、まいりましょう。

“그래도..그래서..”(それでも・・・だから)。

動画はCJ E&Mのyou tubeオフィシャルサイトのものです。

그래도..그래서..

다 모두 내게 말해요
내 발 하나 내딛을 곳 없다고

또 힘에 겨웠던 시간이 찾아와
작은 날 작게 만들어

희망이 내게도 다가와
웃음 지어 보고픈 바람뿐인데

시간이 지나가면 괜찮을까
익숙해질까 애써 위로해도
또 하루 지나가면 깨닫게 되죠
다시 혼자인걸
그래도 살고 싶어요

시간이 지나가면 괜찮을까
익숙해질까 애써 위로해도
또 하루 지나가면 깨닫게 되죠
다시 혼자인걸
그래도 살고 싶어요

그래서 살고 있어요

人々は口々に言います
僕が入れる隙間など一つもないと

またつらい時間がやってきて
小さな僕を また小さくさせます

希望が僕にも訪れて
笑顔になってみたい ただそれだけなのに

時がたてば平気になるのかな
慣れるのかなと 頑張って慰めてみるけど
この日が過ぎれば 思い知らされるでしょう
また独りぼっちだと
それでも生きたいのです

時がたてば平気になるのかな
慣れるのかなと 頑張って慰めてみるけど
この日が過ぎれば 思い知らされるでしょう
また独りぼっちだと
それでも生きたいのです

だから生きています

タ モドゥ ネゲ マレヨ
ネ パ ハナ ネディドゥ コドタゴ

ト ヒメ ギョウォットン シガニ チャジャワ
チャグン ナ チャッケ マンドゥロ

ヒマンイ ネゲド タガワ
ウス チオ ポゴプン パラプニンデ

シガニ チナガミョン クェンチャヌ
スッケジカ エソ ウィロヘド
ト ハル チナガミョン ケダッケ テジョ
タシ ホンチャインゴ
クレド サゴ シッポヨ

シガニ チナガミョン クェンチャヌ
スッケジカ エソ ウィロヘド
ト ハル チナガミョン ケダッケ テジョ
タシ ホンチャインゴ
クレド サゴ シッポヨ

クレソ サゴ イッソヨ

歌が狙っているとおりなのですが、最後の“クレド サゴ シッポヨ”が「グレも生きたい」と変換されてしまうので、また胸の辺りに圧がかかりますね。
“クレソ サゴ イッソヨ”にいたっては、「なに言ってるの! “だからグレも生きてます”って当たり前でしょ! 生きてよ! 生きなさいよ! ぶとうか!」って泣きそうです。(笑)

今もそこかしこにいるチャン・グレたちに向かって歌った歌ですよね。
ほんとに。彼らは、人は、誰だって、透明人間じゃないんですから。
そこにちゃんといるんですから。
踏みつけないで尊重して欲しい。
なんかそんなことまで思ってきます。

イヤー、世界に入りすぎましたでしょうか。(笑)

それにしても、またこの感動に冷水を浴びせる動きがあったりして・・・・・・。

韓国では近々「非正規雇用者の救済策、いわゆる“チャン・グレ法”」などというあつかましいネーミングで、非正規雇用期間を現行の2年から4-5年まで延ばすことを骨格とした「非正規職総合対策」を政府が打ち出す構えなのですが、開いた口がふさがらないとはこのこと。本来2年たって継続勤務できるなら正社員にするのが原則で、その原則がまったく守られていないことが大きな問題なのにも関わらず、真逆な政策を出してきて。
韓国でリアルに「未生なグレたち」を生きている人々は、被雇用労働人口のうち実に半数を占めます。『未生』で慰めを得たのもつかの間、国家にまたそのささやかな慰めをも汚されるなんて。財界側がより「使い勝手よく」非正規労働者を使えるようにするための改正なのに、なに人気者のグレの名前に乗っかってまるでいいものかのように偽装してるんでしょう。
ほんと腹立つ。みんなが幸せになれるための道を考えろっつの! 怒!

そういえば、おりしも日本でも昨日、非正規雇用者数が統計を取り始めた1984年以来、初めて2000万人を超え、雇用者全体に占めるパーセンテージが38%になったとの報道がありましたね。

私も『未生』で散々涙を流しましたけども。
そしてオ次長のグレへの言葉にいたく共鳴しましたけども。
個に還元すべき問題と、個に責任のない社会システムの問題は各々分けて考えるべきなので。
そこは酔わずに醒めておきます。ええ醒めておきますとも。

などと、気づけば真面目語りで暮れていく2014年。

色々ありますけども。社会にも、個人にも。
それでも生きていく人生、ですよね。
どうか、みんなで、幸せに。それにつきます。

2014年の終わりに素晴らしい作品に出会えて、感謝です。
時に近くを、時に遠くを見渡しながら、また新しい年も渡っていきたいです。

最終回に出てきたヨルダンのエル・カズネ。
魅了されてしました。行ってみたいなぁ~。
このドラマのおかげで私のような人がまた増えて、ヨルダンの観光産業も潤うのでしょうね。(笑)



そんなわけで。

この一年も、ありがとうございました。
2015年もみなさまのご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
そして世界が平和でありますように。

どうぞ良いお年をお迎え下さいませ。

새해 복 많이 받으세요!

ミセンOST