みなさま、こんにちは。

ぐっと寒くなってきましたね。
たかだか最低気温6度、最高気温13度くらいのレベルでももう十分寒いので、先が思いやられます。
みなさまも健康管理にお気をつけください。

さて、今日は先月韓国で見てきたソン・ガンホさん主演映画『설국열차/雪国列車』、邦題『スノーピアサー』の話題を。

『雪国列車/スノーピアサー』は『殺人の追憶』、『グエムル』、『母なる証明』などの作品が日本でも公開されているポン・ジュノ監督が脚本と演出を手がけた作品で、今年の8月1日に韓国で公開されました。
コチラが韓国の公式サイト。韓国語の他に英語版もあります。

この映画は公開と同時に爆発的に観客数を伸ばし、現在までに934万人の動員数を記録しています。多分もう上映は終了したと思うのですが。
9月11日に公開となった『観相』とともに、主演のソン・ガンホさんは今年観客動員900万人超えの映画に2本も出ているんですよね。
ソン・ガンホさん、まさに2013年度の韓国映画界の顔といっていいでしょう。

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閉ざされた扉を開けたいんだ

本作品は来年2014年の2月7日から日本でも全国ロードショーが始まります。
タイトルは、原題をそのまま英語訳した『スノーピアサー』。
日本の公式サイトはコチラです。

日本の公式サイトにはまだ特に内容はあがっていないようですが、そのうち映画のあらすじや予告編なども掲載されるんでしょうね。

映画の背景は、地球温暖化を食い止めるべく散布された化学薬品によって氷河期を迎えてしまった地球。
いきとし生けるものはすべて凍りつき、決して止まることのない「雪国列車」に乗り込んだ一握りのものだけが、唯一生物として生きながらえています。
ところがその「雪国列車」は決して平等ではありません。車両の前方に乗っている「選ばれし人たち」は食べ物にも着るものにも、教育や娯楽、はたまた麻薬にも困ることなく優雅な生活を送る一方、列車の最後尾は貧民窟そのもの。
エンジン開発者ウィルフォードが支配者として君臨する閉じられた世界。
未来永劫つづくであろう階級制度の中で、秩序は徹底的に管理されています。

列車が走り出して17年たったある日。
最後尾の乗客たちはカーティス(クリス・エバンス扮)をリーダーにいただき、ついに「革命」を決行します。
狙うは列車のすべてをつかさどるエンジン室。
エンジンを手中に収めるには、列車のセキュリティシステムを把握しなければならず、カーティスはセキュリティ設計者のナムグン・ミンス(ソン・ガンホ扮)に会いにいきます。

カーティス

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俺たちはエンジンの奴隷じゃない!

エドガー

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一体いつおっぱじめんだよ?

ギリアム

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どうしてもエンジンまで行かねばならんか?

ターニャ

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奪われた息子を取り戻さなきゃ

アンドリュー

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俺の子どもに手を出すな!

メイスン

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ウィルフォードを崇拝せよ!

ヨナ

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私は17歳
汽車も17年間走り続けてる

ポン・ジュノ監督の『グエムル』でも親子を演じたソン・ガンホさんとコ・アラさんが、この映画でも再び親子を演じています。

原作は同名のフランスのSFコミック本(“Le Transperceneige”)。グラフィック・ノベルという言い方もしますね。(まぁ、端的には・・・・・・漫画?笑)
映画の中に、最後尾車両の画家が登場しますが、画家の絵は原作漫画を描いたジャン・マルク・ロシェットが実際に描いたものだそうです。

台詞はソン・ガンホさんのところ以外は英語なので、韓国映画を韓国語字幕で観るというフシギな体験をしました。

そんなわけで、早速映画の予告編を。
こちらはメインの予告編です。


2013 ポン・ジュノ監督作品

“ウィルフォード様!” “万々歳!”

“運行距離438,000kmの本列車は、毎年一巡します”

新たな氷河期、そして雪国17年

“みなさん。私は初めから先頭車両。あなたたちは最後尾!
自分の場所にいなさい!”

人類最後の生存空間 雪国列車

“カーティス。時が来たの?”

“まだだ”

“じゃあ、いつなの?”

“もうすぐだ”

“あんたがナムグンミンスか? セキュリティ設計者の?”

“寝てんだろが”

“エンジンルームを占領すれば、みんな解放されます。エンジンは必ず手に入れます”

“その後は?”

“ウィルフォードを殺します”

汽車の心臓、エンジンを掌握せよ!

“前へ!” “進め!”

“カーティス!”

“恩知らずどもめ! 
慈悲深いウィルフォード様がいなければ、とうに死んでいたものを!”

止められない反乱が始まる

“つかまれ!”

“エンジンは神聖だ。ウィルフォードは慈悲深い。彼は神々しいお方!”

“我々は進み続けます”

雪国列車

今見てもうわーっとなります。
ゾクゾクくるなぁ。

『雪国列車』改め『スノーピアサー』には特別編の予告もあります。
こちらはアニメーション。
映画を見る上での前提と言いますか、この予告編に出てくる場面は、本編には一切登場しません。
どういう経緯で『雪国列車』が登場したのかを説明しています。
とってもよく出来ているので、このスペシャル・アニメーションもご紹介しますね。



世界は病に冒され、「もうすぐすべてが終わる」と人々は言った。だがその時、人々に新たな希望が訪れた。

“地球温暖化を解決するための劇的な方策としてCW-7が撒かれました! 今まさに我々の眼前に新たな時代が開かれようとしています。
長い間我々を苦しめてきた地球温暖化問題。今日はその苦しみと恐怖が終わる歴史的な日として永遠に刻まれるでしょう。もはや地球温暖化問題は解決したのです!”

希望が絶望に変わるのに、さほど時間はかからなかった。
いたるところに押し寄せた寒波で、あらゆるものが失われていった。
家も、草も、空気も、太陽も。
そして人々の心も凍てついた。
人々は寒さから逃れるためにさまよい、“雪国列車”の噂が広がり始めた。

地球の未来を予測したのか、はたまた偶然だったのか。いずれにせよあの巨大な鉄の塊だけが、この世で唯一、命が生きられる場所になった。

人々には汽車に乗るか、それとも凍え死ぬかの、二つの選択肢だけが残された。

“みんな、やめろ!”

選ばれて汽車に乗り込んだ人々は、疎外され、凍りついていく人々を無視し始めた。そして疎外された人々は、軍人の銃の前に自らの身を投げうった。
汽車に乗るため、最後の希望を探すために互いに殺しあうという、この世で初めて見る残忍な光景が繰り広げられた。

“カーティス!”

死者を残して汽車は旅立った。
それは世界の終わりであると同時に、新たな始まりだった。

私の名前はヨナ。今年17歳。
これは私の父と、父の友人たちに関する、とても短い物語である。

この映画、来年は日本でも公開されるので、ネタバレは控えます。

とにかく私は、この映画を観終えて放心状態に陥ってしまい、エンドロールが流れる間も固まってました。

韓国で映画をご覧になったことのある方はお分かりでしょうが、韓国の劇場では、エンドロールが全部終わるまで席に座っている人など皆無です。
なんなら、エンドロールが流れ始めた瞬間から殆どの人が立ち上がると言ってもいいでしょう。
まー、落ち着かないんです。(笑)
最後まで見届けたくて意地になって座り続けていたら、エンドロールが終わる前に私だけになっちゃったとかよくあるパターンなので、結局そそくさと退散するのですが、『雪国列車』を観終えた時は呆然としてしまい。

「とんでもないもの観ちゃった・・・・・・」と、殆ど椅子にへたり込むような感覚に包まれていました。
それでなくても観客がもう殆どいない時期の上映だったので、気づけば私と友人だけ。
係りのお兄さんが、いかにも早く出て欲しそうに出口付近から鋭い視線を投げかけるので、どうにかエンドロールの最後のほうに腰を上げましたが、あれさえなければ下手したら1時間くらい座っていられたかもしれません。

しかし、もっとびっくりしたのは。

「・・・・・・すごかったね」と私が口を開くのと同時に「イマイチだったね」と真逆の感想を述べた友人。

は?!

イマイチ?!

イマイチって?!

今、イマイチって言った?!

「だって。世界観の作り込みが、粗くない?」

ブンブン。ノンノン。
なにを言っちゃってるんだろう、この人は?

私が腰が抜けそうになっている傍で、まったく違う評価をしている人がいることにも、驚きました。

つまり、評価の分かれる映画のようです、これ。

しかもその分かれ方が。幅が。とっても大きい。かもしれません。

私はグッサリきてしまい、えらいものを観てしまった、どう消化しよう、いやはやこれはどうしたもんだろうと、ほぼほぼ狼狽に近い感覚に陥っていたのですが、世界観の粗が目に付いてしまった人には「よくある映画のひとつ」のようで、いうほど入りこめない映画のようです。
その後、一体どこがイマイチだったのかを具体的に聞かされ、その人の「世界観の粗さ」の言わんとするところに十分納得もし、酷評するレビューなども散々目にしたのですが、それでも全然色褪せなかったです、映画の衝撃。そんなことも、初めてです。

みなさまも是非、ご覧になってみてください。

私は、もう一回観たいです。
映画に出された宿題が、まだ解けていません。

「革命」を期待すると、ハンマーで頭を勝ち割られる。そんな映画です。