みなさま、こんにちは。白香夏です。

今日は、韓国の本にまつわるお話をしようと思います。

みなさんは韓国に旅行された際に本屋さんに立ち寄られたことはありますか?
私は韓国に行く時は暇を見つけて必ず大きな本屋さんに足を運ぶことにしているのですが、韓国の本屋さんって多分日本の人が見たら驚くと思うんです。

なぜなら、人々が物凄い勢いで立ち読みならぬ「座り読み」しているからです。

「ここは図書館か?!」と一瞬錯覚を覚えるほど、かなりの人が床に座り込んで熱心に本を読みふけっています。

私の印象では若い人のほうが「座り読み」率が高い気はしますが、結構おじさんたちもやっています。

中には一目見て分かるほど「読破モード」の人もいるのですが、その隣りで店員さんがなにも気にする素振りを見せず本を片付けたり探したりしているのをみて、軽いカルチャーショックを覚えたものです。

また、韓国では出版不況といわれる日本と比べても、まだまだ本がよく売れています。

勿論、大ヒットするのは一握りの本に過ぎないことは確かですが、それでも日本での人口比率で考えると50万部や100万部に匹敵する売り上げ部数の本をよく見かけます。

物価から考えて本が特別安いわけではないので、韓国の人は本を買うのが好きなのかもしれません。

さて、昨日ご紹介した私の翻訳書『幸せな通勤』ですが、実は表紙を開くと一番最初にとても素敵な言葉が書いてあるのです。

「あなたがこの世界の誰よりも幸せになりますように」

당신이 이 세상 누구보다도 행복해지기를 바랍니다

その下には続けて、「__様に送ります」の文字。

実はこれ、韓国の単行本ではよく目にするものなんです。
コメントの内容は本によって少し変わりますが、誰かに本をプレゼントできるように贈る言葉とともに名前を記入できる欄を設けているんですよね。

これって、とっても素敵だなといつも思っています。

何しろ私自身、仕事や人間関係のことで悩んでいる親しい友人にどうしても読ませてあげたいと思いこの本を訳そうと心に決めた経緯があるので、私の中では「プレゼントできる本」としてまさにうってつけ。

「この一文を翻訳版にも入れてください!」とお願いしたのですが、日本ではあまり馴染みがないということで願いは叶いませんでした……。

ただ、本を読んでくださった方が「知り合いに読ませたくなった」と感想を添えてくださることが多いので、やはりそういう本なのだなぁと嬉しく思っています。

もしみなさまに幸運にも読んで頂けて、読み終えたあと誰かの顔が浮かんだら、是非、隠されているこの言葉を添えてその大切な人にお渡ししてくださいませ。

「あなたがこの世界の誰よりも幸せになりますように」

本書のさわりの言葉をご紹介いたします。
私からもみなさまに、愛をこめて。

はじめに

「今すぐにでも、自由で幸せな暮らしを紡いでいくことができます」

私たちは皆誰しも、衣食住の問題を解決するために働かなくてはなりません。

多くの人々は会社などの組織に所属し、集団の中で働いています。

人と一緒に仕事をする以上、職場での人間関係や給料に関する不満など、仕事にまつわる悩みからまったく自由でいられる人は、恐らく多くはないと思います。

職場とは、言うまでもなく他人同士が集って一緒に働く場です。
また、他人同士が共に過ごすことで、様々な問題が生じる場でもあります。

一日の大半の時間を過ごす職場が自分にとって居心地の悪い場なら、その人は人生のほとんどの時間を辛い気持ちで過ごしていることになります。
(中略)

会社に勤めるのは、生活のため。

確かにそのとおりです。
それが一番率直な答えかもしれません。

ですが、生活していくためだけに会社に勤め、自分の人生の大半を職場で費やしているうちに、ふと「生きるって、なんなのだろう。
人間は食べていくためだけに生きているの?」という疑問が湧いてきませんか?

本書は、 法会(ほうえ)の際に人々から寄せられた職場や職業に関する悩みについて取り上げたものです。

職場の将来性に気を揉み、事業の先行きの不透明さに不安を感じ、職場の人間関係に悩み、昇給や昇進問題から心理的圧迫やストレスを受ける。

仕事と家庭のバランスが崩れ、理想と現実は乖離(かいり)するばかり。

職場で板ばさみになり、納得のいかない問題を抱え、度重なる過重な業務によって心も体も蝕(むしば)まれていく……。
(中略)

こうした問題の原因を、視点を変えてあなた自身の内側から探ってみませんか? 

職場でなにかしら軋轢(あつれき)や悩みが生じているなら、問題の原因を会社や上司など自分の外部に見出そうとせずに、自らの内面に目を向け、そこに原因がないか探ってみるのです。

心の中を覗(のぞ)いていくうちに、辛い気持ちや状況を作っているのは他人ではなく、実は自分自身なのだと自覚できるようになるでしょう。それさえ分かれば、問題解決の糸口も自ずと掴(つか)めてきます。

職場での生活と個人の幸せな暮らしを別々のものと考えている限りは、決して幸せな生活を送ることはできません。

働くのは金を稼ぐための手段に過ぎないのだから、我慢して稼いだお金を幸せと自由を謳歌するために使えばいいと思っているうちは、幸せも自由もむしろどんどん自分のそばから遠ざかっていってしまいます。


明日のために今を犠牲にするという考えを捨てましょう。

未来のいつかではなく、今まさにこの瞬間から、自分が幸せになれるように自分自身の手で築いていかなければならないのです。

この本によって、あなたがより幸せな人生へと一歩でも近づけますことを、心より願っています。

法輪(ポンニュン)