みなさま、こんにちは。

お盆を過ぎたら、急に涼しくなりましたね。
体温を超える暑さに慣れてしまったせいか、決して低くはない27、8度ほどの気温にも肌寒さを感じるこの頃。
10度も下がったのを思えば当然でもある一方で、人体の環境に対する「慣れ」の早さ、順応力の高さを実感しもします。
ただ、また台風が近づいているそうなので、大過なく過ぎて欲しいですね。

さて、今日は先月26日に韓国で放送が終わった『キム秘書がなぜそうか』を見終えての感想を記しておこうと思います。

大人気同名ウェブ漫画を題材に、原作とのシンクロ率100%と称賛され、好評のうちに幕を閉じた『キム秘書がなぜ』(邦題仮)。

全16話のこのドラマ、視聴率5.8%から始まり、最終回16話は8.7%の成績で終わりました。(いずれもニールセンコリア調べ)

正直、もっと伸びると思っていました。
始めの4話ほどを終えた時点で、少なくとも最終的に12%くらいまでいくのではと思ったのですが、蓋を開けてみるとそこまでは届きませんでした。

届かなかった原因は、視聴者としては大方予想がついています。
ということで、今日は最後までのネタバレを含みつつ、振り返ってみたいと思います。
思いっきりネタバレしますので、未見の方は大変恐縮ですがここで閉じていただくか、薄目を開けてお進みください。

と毎度変わらぬ前口上をば。(笑)

このドラマ、放送前はパク・ソジュンさんの配役に不安の声が上がっていたそうですよね。

原作漫画の絵を見ると、なんとなく分かる気がします。
パク・ソジュンさんよりも、ワイルドな感じ?

 

 

 

まぁ、たまたまワイルドそうな絵を切り取ってもいますが。(笑)

でも「濃い」ですよね。一重瞼のソジュン君に比べて全体的に顔が。原作はモロ美形男子なので。
とはいえ原作を知らない視聴者には何ら問題なく、むしろパク・ソジュンさんの全力投球なナルシスト演技が新鮮で、最初の2話までを見終えた時点で早々に「最後まで見るリスト」に多くの人が入れたのではないかと思います。
花粉アレルギーで花束を前にくしゃみと涙が止まらなくなるパク・ミニョンさんの演技なども初回から光っていて、とにかく主役の二人の演技が魅力的だった滑り出し。

 

 

 

 

 

 

9年務めた秘書を辞めたいとキム・ミソ(パク・ミニョン扮)に言われ、引き留めるために結婚してあげるとヨンジュン(パク・ソジュン扮)が強引に攻め続けるのが、4話まで。

ひたすら漫画チックに進む前半をピリッと締めるのは、後々絡んできそうなミソの極度のクモ恐怖症と、ヨンジュンが夜ごとうなされる怪しい女にまつわる過去。

ヨンジュンは極度の女性嫌いでミソ以外は傍に近寄らせないところがあるのですが、それにはヨンジュンに悪夢を見させる「女」の影と共に、この人にまつわる確執が絡んでいました。

 

 

 

 

ベストセラー作家モルフェイスこと、ヨンジュンの兄ソンヨン。

ひたすらヨンジュンがミソを引き留めようと猛烈アピールする傍ら、ソンヨンとミソは独自の体験を共有したことによる「絆」を感じ始めてもいました。

ソンヨンは、過去弟ヨンジュンによって誘拐事件に巻き込まれ、大変怖い思いをしたことで弟を恨んでおり、兄弟仲は最悪。
かたやヨンジュンは当時の記憶を失っていて、覚えていないことを責められ、納得いかない中で悪者にされている状況。

一方ミソは、再開発予定地区に住んでいた子どもの頃、どこかのお兄ちゃんと空き家に閉じ込められたおぼろげな記憶があり、その人をずっと心の中で探していたのですが、その「運命の人」がソンヨンだったとしり、のぼせていました。

4話から8話まではヨンジュンとミソの間にソンヨンが割り込む流れになっており、視聴者としては三角関係になってミソが揺れるには今一つ物足りないソンヨンの魅力に、残念な思いがしていたわけですが。

 

 

 

ここに来るまでにも、視聴者は誘拐されたのはソンヨンではなくヨンジュンではないかと疑うに足る場面をいくつも見せられていたのですが、肝心なヨンジュンは記憶がなく、なにより両親が兄ソンヨンの記憶を支えているので、それがどう覆されていくのかなかなか予測が難しかったんですよね。
加えてミソも、あの時一緒にいてくれたオッパの名前を「ソンヨン」と記憶してもいて。

ところがここで、非常に韓国的なやり方で、ヒントが繰り出されます。

8話。
ミソを呼んで、誘拐当時ソンヨンはどんな様子だったかと尋ねる母。

恐ろしい状況ながらも自分を気遣ってくれていたと聞かされ、息子の健気さに感激した母が口にした一言。

 

「どんな様子だったの、ヒョンは?」

 

 

 

 

これねえ。

気づかないと思うんですよね、フツーに。

ヒントが韓国人にしか通じない。(笑)

 

韓国語は、単語の後ろのほうに「H/ㅎ」がくると、音が抜けてアヤオヨの音であるイウン(ㅇ)に聞こえるという特徴があるんです。
例えば「ソヒョン(서현)」という名前なら実際の発音は限りなく「ソヨン(서연)」に聞こえます。

二文字の名前の後ろだけを呼ぶのは韓国では普通に行われることですが、この時母が「ヒョン(ヒョニ)はどうだった?」と聞いたことに、ミソが引っかかるのです。
「ソンヨン」でもなく「ヨン」でもなく、「ヒョン」と呼んだことに。

 

で9話。

車で眠ってしまったヨンジュンに、思い切って呼びかけるミソ。

 

「ソンョンオッパ」

 

 

「なに?」

 

 

本人決定~!

って、わかりにくい!(笑)

 

後ろにくるとHの音が消えて発音されがちな特徴を使った仕掛けですが、多分これ、字幕にした時に伝わりずらそうですよね。発音の特徴を知らないと。

ヨンジュンは、もとの名をソンヒョンといい、改名したことが判明。それでも誘拐されたのは自分ではなく兄だと頑なに主張していたのですが、10話、物語はクライマックスに向かって一気に進みます。

会社のレセプション会場でマジックショーを見ながら、出演者の赤いヒールを見てあの日自分が女に誘拐されたことを思い出すミソ。

空き家には先に連れてこられていたソンヒョン改めヨンジュンがいて。

 

 

 

 

 

 

自分が見たのは、目の前で首を吊って死んだ女の死体だったこと。
それをヨンジュンが「あれは大きなクモだ」と現実逃避させてくれていたことをすっかり思い出し、気を失うミソ。

完璧なまでのクライマックス。
正直、物語、ここで終わりました。(笑)

とてもスリリングな展開だったのですが、なにしろまだ10話。
この後どんなに頑張って付け足しても、話を引っ張れるのは12話まででしたよね。
いさぎよく、全12話で終わるべきでした。(笑)

自分が弟を意地悪から再開発地区のゴーストタウンに置き去りにしたことで、死に場所を求めていた女に空き家に誘拐されるという不運に見舞われることになり、罪の意識から当時の記憶をすっかりなくしてしまったソンヨン。目覚めてからは、逆に弟の経験を自分のものに入れ替えてしまっていました。

被害者にもかかわらず、記憶をすり替えたソンヨンから毎日責められたソンヒョン改めヨンジュンは、その苦痛から逃れるために記憶をなくしたふりをし、兄の話に合わせてその後の人生を生きることにしていました。

初めからミソがあの時の女の子だと気づいていながら、ミソに本当のことを言わなかったのは、ミソがあの時の記憶をすっかり忘れていたためだったヨンジュン。

「ヨンジュンいいやつ伝説」がえらい勢いで描かれていった11話でしたが、視聴者は「この先このドラマどーすんだろ」と、もろ手を挙げて喜べない心境にありました。

悪い予感は当たるもので、そのあとの5話は完全なる消化試合だったという。(笑)

正直、近年これほど長い消化試合を見た記憶がないです。
もうだるっだる。最後まで見なくても、見終わった気分を味わえました。
12話完結だったら、きっと視聴率二桁届いたんだろうなぁ。(笑)

 

ま、いいんですけどね。

最後は二人が結婚してハッピーエンドなので。

 

 

 

 

 

全編を通して、とにかくパク・ミニョンさんが美しい!

ひとり飛びぬけて美しかったです。

原作漫画のイメージを生かすために、かなりダイエットされて臨まれたそうです。
プロはやはり違います。

消化試合期間、だるだるの視聴者をどうにか繋ぎ止めたのが、脇を固める登場人物たちの物語。

このドラマ、主役の恋物語以外にポン課長&ヤン・チョル、キム・ジア&コ・グィナムの社内恋愛2組と「オーナーよ」のヨンジュンへの呼びかけでお馴染みのパク・ユシク&離婚した元妻の3つの恋愛模様が並走したのですが、視聴者を最も笑わせたのが、なんといってもポン課長とヨンジュン専属運転手ヤン・チョルの恋模様。
恋が芽生える過程がキョーレツです。

秘書課の親睦会に飛び入り参加した社内人気No.1のコ・グィナムに色目を使おうと胸にパッドを仕込んできたポン・セラ。ヤン・チョルと不本意ながらペアを組むことになり、ぶーたれながら宝探しゲームを行っていたのですが、途中胸元に虫が入ってしまい、払おうと出そうとするうちにパッドを掻き出すというあるまじき失態を演じてしまいます。

 

 

 

 

 

パッド、分厚っ!!(笑)

前を歩いていたコ・グィナムが振り返ろうとしたその瞬間、ヤン・チョルがなんと着ていた背広を地面に投げてパッドを隠すヒーロー行動!

 

 

 

 

 

 

って意味わかんないよ!!

ヒーローじゃないし!!(笑)

 

ポン課長、この事件がある前までは、ヤン・チョルのことでくのぼう呼ばわりしてたんですが、乙女顔に豹変し、視聴者大爆笑です。

これで一気に持って行かれたポン課長。
自分に気があることを知り、急にもじもじしだしてます。
ところがなかなかヤン・チョルが告白してくれず。

「コーラなんて飲んでる場合?」と八つ当たりしては落ち込んでいるのですが。

コーラを手にポン課長の後を追い、「必ず一人で飲んでください」と言い残して去るヤン・チョル。

 

 

 

「コーラが欲しくて言ったと思ってんの?」と呆れながらもポン課長が飲んでみると。

 

『ポン課長』

 

 

 

なんと浮き出てくる文字。

飲み進むと。

 

『カワイイです』

 

 

気を良くしてさらにゴクゴク。

 

 

 

『僕たち、付き合いませんか?』

 

 

「ゲフッ!!」

 

 

って、汚いから!(笑)

インタビューで読んだのですが、この時のゲップは効果音ではなく、本物だそうで。

体張りすぎです、ファン・ボラさん。(笑)



ちなみにこのドラマ、だるだるの消化試合の最中の14話。

思いがけないカメオ出演でも楽しませてくれました。

『ユン食堂2』でパク・ソジュンさんと共演したこの方。

 

 

 

 

 

 

チョン・ユミさん!

チョン・ユミさんが、役名もチョン・ユミでカメオ出演されたんですよね。
某グループ企業後継者の座を捨てて、小さなイタリアンレストランを営むヨンジュンの幼馴染役。
だるだる消化試合の、嫉妬誘発係です。(笑)

この後ミソはまんまと機嫌が悪くなり、食事をとりながらもケンカ腰になるのですが、そんなことよりも視聴者の目を引いたのは、これ。

パッサパサに固まった、パスタの麺。

 

 

このお店は、潰れます。(笑)

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全16話のはずがメインのストーリーが11話で終わってしまい、視聴者の目には完全にペース配分がミスっていた『キム秘書がなぜ』。

本当に全12話にしておけばよかったのにと、そこまでの完成度が高いだけに残念ではありましたが、ヨンジュンとミソの誘拐物語が予想以上におどろおどろしかったことや、ヨンジュンが本当はめちゃめちゃいいやつだったことが分かる過程などが勢いよく描かれていて、楽しめました。
当初は兄ソンヨン役のイ・テファンさんを、ミソを揺さぶる役として物足りなく感じもしましたが、最後まで兄が絡むストーリーではなかったことを考えると、結果的にはあれくらいの軽さでちょうどよかったと思います。

漫画的な世界を再現するため、俳優の皆さんが一丸となって力を抜かない演技をしていたのが、とても好印象だったこのドラマ。
主役のお二人は勿論、脇を固めた出演者のみなさまの今後の活躍をも楽しみになる楽しいドラマでした。