みなさま、こんにちは。

今日は韓国で封切されたばかりの話題の映画『コクソン 哭声』(邦題仮)について、予告編などを取り上げてみようと思います。
主演はこの映画が初主演となった、『ファントム』でおなじみクァク・トウォンさん。
他にファン・ジョンミンさん、チョン・ウヒさん、日本の俳優國村準さんが出演しています。

映画の公開は本日5月12日から。
とはいえ昨夜から前夜祭ということですでに公開は始まっています。

この映画は公開前からシナリオの前評判が大変高かったそうなのですが、昨夜の公開だけでなんと17万人が観覧!
最終的に、またとんでもないスコアをはじき出しそうな予感がします。

監督はナ・ホンジンさん。
ハ・ジョンウ&キム・ユンソク主演の『悲しき獣(原題:黄海)』以来、6年ぶりとなる新作です。
監督はこの時映画に出演したクァク・トウォンさんの持ち味であるユーモラスな表情に着目していて、クァク・トウォンさんの他の作品での演技をひそかにじっくり観察し、今回の主演を提案したそうです。
クァク・トウォンさん自身、初めにシナリオを渡された時はまさか自分が主演だとは思っていなかったそうで、監督から主演として考えていると聞かされたときは、心底驚いたとのこと。
初主演映画にして、初カンヌ映画ともなったわけですよね。

そうなんです。
この映画、今日から開催されるカンヌ国際映画祭の非コンペティション部門に正式招待されているんです。
今年のカンヌには韓国からこの『哭声』と長編コンペ部門に招待されているパク・チャヌク監督の新作『お嬢さん』(邦題仮)などがかかります。

ちなみにナ・ホンジン監督は、以前の2作品『チェイサー』(2008年)と『悲しき獣』(2010年)もカンヌに招待されており、これまでの自身の作品がすべてカンヌ国際映画祭に招待される結果となりました。
『哭声』の英語タイトルは “The Wailing”となっています。

さて、気になる内容に入る前に、まずはポスターをご覧いただきましょうか。

kokseong_poster2

「餌に食いついた」と書いてあります。

ポスターからして、いかにもおどろおどろしくないですか?

実はこの映画、ジャンルは「スリラー」です。

でも、見てきた人が「オカルト」だと言っています。

既に恐ろしいのですが。(笑)

物語の概要は、こうです。

田舎の村で警察官を務めるジョング(クァク・トウォン扮)。
ある日村で奇怪な出来事が起きる。
その「出来事」を警察は集団で毒キノコを食べたことによるものと暫定的に結論付けるが、次々起こる怪事件に村は大騒ぎに。その騒ぎの中心には、外部から来た「よそ者」(國村準扮)がいた。「よそ者」のせいで怪事件が起きているとする噂が後をたたなくなった小さな村。
さらにそこへ、事件を目撃したという女ムミョン(チョン・ウヒ扮)が現れる。「よそ者」こそが犯人だとする女の目撃証言を受け、ジョングも次第に村人の噂を信じ始めるのだが、その矢先、娘ヒョジン(キム・ファニ扮)が村人たちと同じ症状を見せて苦しみ始め。
焦るジョングはシャーマンのイルグァン(ファン・ジョンミン扮)を呼び寄せ、解決の糸口を探ろうとするのだが・・・・・・。

というわけで実はこの映画、非常に重要な役である「よそ者」を、前述したとおり日本の俳優である國村準さんが演じていらっしゃいます。

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「決して惑わされるな」のキャッチコピー。

國村準さんはこれが韓国映画初出演だそうですが、日本でも独特の存在感を誇る方なので、きっと韓国の観客からも大きな注目を浴びるのではないかと思います。
セリフは殆どないそうなのですが、演技がダイレクトに物をいうのでそのほうがミステリアスな雰囲気を高めそうですよね。

こちらは別のポスターです。

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こちらも「決して惑わされるな」のキャッチコピー。

どうやらこの映画、「惑わされないこと」がポイントになるようです。

あらすじだけ見ると、そこまでおどろおどろしい感じはしないですよね。
韓国での映画の等級も「15歳以上(*数え年です)」となっていますので、さほど怖くないのだろうと私も高をくくっているのですが、人々の感想を読むにどうやらその考えは改めなければならないかもしれません。

「これ19禁にすべき!」

「怖くて眠れなかった」

「青少年が見たら間違いなくトラウマ」

「見るなら人の多い映画館で(でないと怖すぎる)」

そんな声が続々と上がってきているんです。

以前、「この映画はオカルトじゃない」のカン・ドンウォンさんの言葉を信じて『黒い司祭たち』を見てえらい目にあった私としては、感想を目にしただけで早くも震え上がってます。(笑)
いえ、それでも間違いなく見に行きますが。
なぜならこの映画、とにかく批評家からの評判が高いんです。
普段は辛いことで有名な人まで、シナリオを手放しで褒めているのを見てしまうと、怖さをおしてでも見に行かねばという気になります。
映画館で見たほうが、周りに人もいますしね。(笑)

というわけで、まいりましょう。

こちらが映画の予告編です。


あんたは魚を釣るとき、何が釣れるか初めから分かってるか?

あいつは釣ってるんだよ。
何がかかるかは、分からなかっただろうよ、あいつも。

ナ・ホンジン監督新作

クァク・トウォン

ファン・ジョンミン

チョン・ウヒ

餌に食いついた

決して、決して惑わされるな

哭声

ファン・ジョンミンさんのシャーマン役、ちょっと楽しみです。
前作『検事外伝』は観客は動員したものの、作品そのものの評判が非常に芳しくなかったので、ファン・ジョンミンさんまで「なに演じても演技が一緒」と、ちょっととばっちりのようなことを言われてしまっていたんですよね。
この映画で新しい顔を見せてくれるのではと、期待しています。

予告編、もう一つあるのですが、こちらはちょっと怖いです。

ちょっと怖いですが、ご紹介しておきましょう。


これだけ噂が広がってるってことは、なにかわけがあるんだよ、わけが。

このところやけに村人が死ぬのは、あいつとなにか関係があるんだろ。

見知らぬよそ者

全部あいつが来てから起きたことじゃないか。

一体これなんなんだよ?

ここでみんな殺しちゃったのよ。

見たのか?

見たわよ。

謎の連続事件

来たか。
なんだ、こんなの首にかけて。

あんた、何日か前に出会っちゃいけないものに出会っただろ?
あんたがそいつを触ったんだよ。

まったく同じ症状なんです。あの人たちと。

ヒョジン、父さんだよ。

あいつがやたらと目に付くのは、あいつが会いに行ってるからよ。

餌に食いついた

酷い目にあわせようと思って。

あいつはただ餌を投げてみただけ。
あんたの娘はそれに食いついたんだ。

俺の目でじかに見ないと。

ナ・ホンジン監督新作

捕まえろ!

ヒョジンはどこなんだ!

クァク・トウォン

ファン・ジョンミン

チョン・ウヒ

決して惑わされるな

哭声
5月12日封切り

韓国の映画は予告よりはるかに本編が「激しい」ことがままあるので、結構構えたほうがいいかもですね。(笑)

映画の公開とともに、韓国でも國村準さんのインタビュー記事が増えています。
今日付けの“newsen”のインタビューでこんなふうに答えていた國村準さん。


Q:映画には韓国の土着信仰(シャーマニズム)が重要な象徴物として登場する。理解の上で難しさはあったか?

A:日本にもシャーマニズムはあるので、違和感はなかった。単に「感じとった」と表現するのが適切なように思う。私自身は宗教を持たない代わりに自然を大切に思っている。シャーマニズムも自然を崇めているが、そうした脈略からも通じる部分があると思う。九州が故郷なのだが、地震が引き続き起こっている。人は自然には勝てない。耐えながら調和し、生きていかなければならない。(出典はコチラ

今回カンヌ映画祭にも同行されている國村さん。熊本でお生まれなのですね。
このインタビューで映画が韓国のシャーマニズムをモチーフとしていることを知れたのですが、質問への答えとして九州での地震を言及されている点に、感じ入るものがあり。
國村準さんのインタビューを読んで、ますます映画を見てみたくなりました。

韓国のどんなシャーマニズムが描かれているのか。そしてどのあたりがオカルトに匹敵するのか。
おっかなびっくりしながら韓国で見てこようと思います。
「夜眠れないほど怖い」という評判が多少大袈裟なものであることを祈りつつも、「19禁(18禁)映画レベル」の予感がいやおうなくしておりますが。
はい、挫けずに。(笑)

見てみて面白ければ、またご紹介できたらと思います。