*記事はtvNの放送(全16話)基準のため、日本のテレビ放送とは該当部分が異なります*

みなさま、こんにちは。

寒波の影響でぐっと冷え込んできましたね。
みなさまも風邪など召されませんようお気をつけください。

さて今日は今tvNで放送中のドラマ『トッケビ』(邦題仮)について取り上げてみようと思います。


12月2日から全16話の予定で放送が始まった『トッケビ/도깨비』。

コン・ユさん、キム・ゴウンさん、イ・ドンウクさん、ユ・インナさん、BTOBのユク・ソンジェさんが出演している「ロマンティック・ファンタジー」ジャンルのこのドラマ、現在13話まで放送が終わっています。
















初回放送時の視聴率6.3%と、ケーブルテレビのドラマとしてはまずまずのスタートを切ったこのドラマは、最新の13話では15.5%を記録。
もしかしたらケーブルテレビドラマで初めて、最終回で20%に達するかもしれません。

周囲の評判がとてもいいので私も観てみたのですが、これは本当に面白い。
まだ数話を見ただけですが、これはまた、いけないものがきたかもしれません。(笑)


「トッケビ/도깨비」は朝鮮の民話に昔から登場する、伝統的な「お化け」。
「妖怪」であり「鬼」であり「魔物」である、伝統的シャーマニズムの摩訶不思議な存在です。
日本では、昔『お化けのトッカビ』という絵本が出ていたので、そのイメージでいたずらっ子でユーモラスな「お化け」を連想する方もいらっしゃるかもしれませんね。

このドラマのトッケビは、ユーモラスというよりは悲しい運命を背負っています。


過去、高麗の武神と呼ばれた武将キム・シン(コン・ユ扮)は、戦に勝った後、自らが守ってきた年若き王に妬まれ裏切りにあい、謀反人の汚名を着せられて殺される人物。心を寄せあっていた王妃も無慈悲に殺され、かくなる上は王の手にかからずに最期を遂げようと、戦で数千の人を切り殺してきた剣を信頼する部下に託します。
剣で胸を貫かれ、遺骸を野原に打ち捨てられたキム・シンでしたが、不滅の命を生きなければならない呪いにかけられ、トッケビ(鬼)となってよみがえります。

キム・シンが不滅の命を終わらせる方法はただ一つ。人間の新婦に出会い、トッケビの新婦に剣を抜いてもらうことだけ。
そんなキム・シンの前に自分を「トッケビの新婦」だと名乗る少女ウンタク(キム・ゴウン扮)が現れることでファンタジックなロマンスが繰り広げられるというのが、ドラマ『トッケビ』のあらましです。


このドラマの脚本は、『パリの恋人』や『シークレット・ガーデン』、『紳士の品格』、『相続者たち』、そして『太陽の末裔』にも共同執筆者として関わったヒットメーカーキム・ウンスクさんが担当。
演出も『太陽の末裔』のイ・ウンボク監督が担当しています。

『太陽の末裔』はキム・ウンスクさん単独の作品ではないので毛色が違いますが、キム・ウンスクさんの描くロマンティック・コメディの特徴は、ひたすら「完璧な条件を整えた男」と「平凡もしくは貧しい女の子」とのシンデレラ・ストーリーですよね。
特徴的なセリフを作品ごとに繰り出すことでも有名です。

ただ、インパクトのあるセリフを量産する一方で叙述が弱い、物語の蓋然性が乏しいという指摘も継続的に上がっていて、「毎回似たようなシンデレラストーリーで陳腐だ」という厳しい声も聞かれていました。

売れっ子脚本家でありながら、そうした批判の存在を認め、耳を傾けた上で、自らの弱点を克服しようと最大限努力しながらこの『トッケビ』を書いたと率直に語ったキム・ウンスクさん。
その甲斐あって「キム・ウンスクらしさを発揮する一方、すべての登場人物の背景説明がこれまでになくしっかりしており、各キャラクターに深みが増した」、「これまでの作品では必ず初期から登場していた作為的なセリフがない」、などの好評が批評家からもっぱら寄せられています。

脚本家を巡るこうした評価を知らずに見たとしても、このドラマの独特な世界観は十分人を惹き付けるのではないでしょうか。
永遠の命を終わらせてくれる「トッケビの新婦」を探し求めていることだけでも悲しいのに、その人間の新婦を本当に愛するようになって死にたくなくなったりしたら、どれだけ悲しいかって話ですよね、ええ。だってもう、そんなことになったら永遠に死ねないのですから。
愛するがゆえに死をもたらさなければならないなんて、新婦のほうも悲しすぎます。

初回からずっしり悲しみを底辺に湛えて進むこの物語に、私もすっかりハマってしまいました。
もっとも、2話でいきなりトーンが軽くなるので、そこは面食らいましたが。(笑)


というわけで以下簡単に登場人物を紹介してみます。
人物紹介には2話までの内容が含まれています。








トッケビ(鬼)、キム・シン(コン・ユ扮)。939歳。
高麗の武将で英雄だったキム・シン。神と呼ばれたキム・シンは、その名声ゆえに年若い王に「逆賊」の汚名を着せられ、死に至らされます。数々の血を浴びてきた自らの剣で胸を貫いたことで、永遠の命を「罰」として与えられ、トッケビ(鬼)として生きなければならなくなったキム・シン。
そのキム・シンの前に、自分の呪いを断ち切ることのできる唯一の存在「トッケビの新婦」を自称する高校三年生の少女ウンタク(キム・ゴウン扮)が現れます。
本物の「トッケビの新婦」にだけ見えるという、キム・シンに刺さっている胸の剣。果たしてウンタクには見えているのか気になるキム・シンです。











チ・ウンタク(キム・ゴウン扮)。数え19歳。
高校三年生のウンタクは、幼い時から幽霊が見えてしまう女の子。
母のお腹の中にいる時に母とともに死ぬ運命だったところを、母の求めに応じてキム・シンが命を救ったことで、ウンタクには人とは違う能力が備わってしまっていました。
数え年9歳の時に母を失った後母の妹に引き取られ、苛められながら暮らしているウンタクは、学校でも幽霊が見えることで気味悪がられ、いつも一人ぼっちです。
満18歳の誕生日に偶然キム・シンを呼び出してしまい、彼がトッケビだと見抜いたウンタク。これまで通りすがりの霊たちから「トッケビの新婦だ」と聞かされてきたウンタクは、自分は「トッケビの新婦」だと聞かされてきたとおりのことを告げるのですが、シンに「見えるはずのものが見えてないから違う」と切り捨てられます。










死神。推定年齢、30代後半。
気づいた時から死神として働いていた彼。過去生の記憶は一切ありません。
死ぬ予定の人の目録を手に相手に死んだことを知らせ、あの世に行く前に現世の記憶を消してあげるのが、死神の役目です。
キム・シンの執事の孫ユ・ドックァ(ユク・ソンジェ扮)がキム・シンに内緒で家を貸し出したため、何も知らず前払いの家賃を払って越してきたものの、家の主はまだ旅立っておらず。仕方なくトッケビと同居することに。
9年前、ウンタクの母が死んだ時にウンタクと顔を合わせるも、産神に阻まれて命を回収できずにいた死神。そのウンタクが今度はトッケビの新婦として現れたので、ひとまず様子を見ています。










サニー(ユ・インナ扮)。推定年齢は20代半ばから後半。
天涯孤独の身。美貌を武器に男を手玉に取って生きている、さっぱりした性格の女性です。
お客のまったく入らないフライドチキン屋のオーナーであるサニーは、バイトとして雇ったウンタクが孤児の身の上で苦労していることを知り、さりげなく助けてもいます。










ユ・ドックァ(ユク・ソンジェ扮)。推定年齢20代半ばから後半。
キム・シンが王に裏切られて殺される前にキム・シンに仕えていた家系の子孫。キム・シンがトッケビとして生まれ変わってからも代々家臣として仕えてきたユ一族の13代目です。
かつては金銀の加工を担っていたユ家は、現代ではトッケビのおかげで篤志家に。
祖父に代わってトッケビにお仕えしなければならないドックァなのですが、主君を「おじさん/サムチョン」と呼んでいつまでもタメ口をきき、クレジットカードを祖父に止められるほどいつも散財しています。




以上が簡単な登場人物紹介です。


産神に命を助けられたはずなのに叔母の家で文字どおりシンデレラのように虐待を受け、学校でもクラスメイトにのけ者にされ、親がいないことで担任教師にも大事にしてもらえず成績上位なのにつらく当たられるなど、ドラマの序盤はウンタクに関するつらい描写が結構多いです。

トッケビと一緒にカナダのケベックにテレポートしてしまったことで舞い上がり、「トッケビのお嫁さんになる」と告げるシーンには、そうしたつらい現実から逃れたいウンタクの切実な思いが込められていて、再びの「キム・ウンスク的シンデレラストーリー」であり、見ようによっては「援助交際」的ですらあるにもかかわらず、視聴者には批判より同情心が沸き起こります。

一方このテレポートシーンは、トッケビにとっても「トッケビの新婦」ではなさそうなウンタクに強い興味を抱くきっかけになる重要なシーン。
トッケビはウンタクが一緒にテレポートできたことに大混乱するんですよね。今まで誰一人、自分と一緒にテレポートすることは出来なかったので。


人物の背景説明を始めのほうでしっかり描いているので、その後の展開に納得し、すんなり感情移入しやすいこのドラマ。
悲しみを予告しながらもトッケビと死神のやりとりや、そこへ絡んでくるドックァの構図が楽しく、女心に訴える非常に魅せる構成となっています。
複雑な伏線をどう解いていくのか、ドキドキしながらもじっくり楽しみたい気持ちにさせます。


というわけで、ハイライト映像。
ドラマ序盤の名場面を圧縮して見せてくれる動画をご紹介しましょう。

動画は11月23日に公開されたyou tubeのtvN公式チャンネルより。
ただし、映像は6分ほどと長めで、2話以降の映像も含まれています。

では、どうぞ。

*動画はリンク切れのため差し替えました。
公式のものではないので、リンク切れの際はご了承ください。





彼は水、火、風であり、光であって闇である。

「民の上に王、王の上には神。その神とはキム・シンを指すそうです」
「謀反だ。奴の一族は一人残らず殺せ。王命だ」

彼は、守ってきた主君の刃に殺された。

「おじさんは幽霊でしょ。私、幽霊が見えるんです。おじさん、トッケビなんですか?」

「私はいまだ生きながらえ、ずっと安らげずにいる」

運命と呪いの間で出会った

「お前、一体何者だ?」
「自分で言うのもなんですけど。私、トッケビの新婦なんです」

「私、決めました」
「なにを?」
「私、おじさんのお嫁さんになります」

トッケビと若き人間の新婦との神秘的なロマンス

「多分私、妖精だと思うんですよね。ティンカーベル」

「戊寅年乙卯月巳卯日八時三二分、死亡。ご本人ですよね?」

記憶を失ったまま今生に漂う 不運の死神
失われた記憶の中で 胸躍らせる女に出会う


「私が先に・・・。だからって、泣く?
とりあえず自己紹介しましょう。名前が分からないと電話もできないでしょ? どうも。サニーです」

「なぜうちに?」
「ここに住んでるのか?」
「おじさん、いつの間に帰ったの?」
「空いてる部屋はたくさんあるから、使えよ。自分の家だと思って」

こうして始まった奇想天外な神たちの奇妙な同居

「もっとピッタリ」
「なにすんだよ」
「なんで? なにが?」
「離れろ、遠くに。失せろ!」
「僕は最後の最後まで、角部屋さんの味方です。本当に」

「お前が殺したのか?」
「そういうの、すごく無礼な表現だぞ。不注意なトッケビ」
「物を知らない死神」

「やだ、ビックリ」
「お前か?」
「なにがですか?」
「俺を呼び出したのはお前か?」

「ほら見ろ、お前じゃないか」
「ビックリした」

「分かりました。どうやって呼び出すか、分かりました」

世界から遠ざかっていた時 運命的に現れた

「これからも呼び出しそうな勢いなんだ。いつでもどこでも知的で隙のない格好でいたい。
じゃあ、この服とこの本は合ってる?
このLPがいい? それともCD?」
「最近の子達は、みんなファイルで聴くの」

「この絵とこの絵では?
ちょっと集中してくれよ。俺がこの家を出る時に着る服だと思えば、きっと簡単だよ」
「なんだ?」
「カッコいいとか最高とかだろ」
「ああ、だから」
「うん、だから」
「それを言わないと俺が出れないだろ」
「そう、だから」
「セリフがわかんない?」
「そろそろ大声で言ってくれるはずなんだけど」
(カッコイイ!)
「カッコイイ。またやるよ」
「カッコイイよ。最高!」

心臓が空から地面までスリリングな振り子運動を続けた。ドキドキと音を立てながら。初恋だった。

トッケビの新婦だけが剣を抜けるだろう

脚本 キム・ウンスク
演出 イ・ウンボク
ロマンティックな呪い 致命的な運命
2016年の最後を飾る tvN10周年特別企画ドラマ





悲しみを湛えながらもコミカルで、コミカルなのにこのあと悲しい展開が待っていそうな。
そんな雰囲気が伝わってくるハイライト映像ですよね。


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このドラマ、もう既に日本での放映が決まっているそうなので、タイトルはMnetの『鬼〈トッケビ〉』に合わせました。
放送はMnetで3月から。2月に1話だけ先行放映もあるようです。

日本でもかなりの好評を博すると思われる『鬼〈トッケビ〉』。

最後まで面白いことを期待しつつ、この後も追っていこうと思います。


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