みなさま、こんにちは。

今日は先日17日に授賞式が行われ、24日にSBSでも放送された「第29回韓国PD大賞」について、取り上げてみようと思います。

「韓国PD大賞」という賞があるのを、皆さまはご存知でしょうか?
色々と華々しい受賞式がありますが、それらと比較すると圧倒的に出てくる「芸能人」が少ない地味目な賞ですが、韓流ファンのみなさまならチェックされているかもしれませんね。

「韓国PD大賞授賞式」は韓国PD連合会が主催する式典で、放送プロデューサーおよび放送に従事する人々を激励し、未来志向的な放送を具現していくことを目指しています。
公共放送における自由な言論と社会・文化的発展に寄与したPDおよび放送関係者に与える賞で、現職のPDが直接審査に参加。今回は140名の現職PDが参加する中で、去る2月14日から23日までの間総勢134編の候補作と放送従事者を大賞に予審と本審査を行ったそうです。

現役バリバリのプロデューサーたちの投票で受賞者を決めるという意味で、他の授賞式よりも「本物」が選ばれると信頼が寄せられるこの賞、毎年開催される同授賞式ではTV/ラジオPD賞、作品賞、出演者賞などが発表され、賞を授与することになっています。

私は聞かないので分からないのですが、歌手部門出演者賞では「TWICE」が受賞したとのこと。
ちなみに去年の歌手部門出演者賞は「GFRIEND(ヨジャチング)」。

・・・・・・さかのぼっても名前しか分からないのは、これいかに。(笑)

ドラマ部門の去年の出演者賞は「キルミー・ヒールミー」のチソンさんでした。

出だしからなにやらおぼつかない感じで書いておりますが、それでも私が今日この賞をご紹介しようとしているのは。
実はソン・ジュンギさんと同席場面が見れるとは夢にも思ったこともないとある人物も、このPD大賞で賞をもらっていたからなんです。
ええ、韓流でもなんでもない、みなさまには一ミリも興味がない人であろうことがほぼ間違いない方で、すみません。(笑)

その人というのは、「tbs交通放送」で月曜日から金曜日、朝7時から9時まで『キム・オジュンのニュース工場』というラジオ番組で時事問題を取り扱っている、キム・オジュン(김어준)さん。
キム・オジュンというより、発音は思いっきり「キモジュン」です。

見てのとおり、ぼさぼさライオン丸ヘアのおじさんです。(笑)

JTBCのソン・ソッキさんが正統派ジャーナリストだとすると、こちらはその対極にいるような。
アングラムード満載な、怪しげなオピニオンリーダー(?)です。(笑)
地上波では語れないきわどい政治の話を、臆することなくどんどんポッドキャストでぶち上げてしまう彼。
キム・オジュンさんの名前を一躍大衆に知らしめたのは、彼を含めた4人組が収録していた時事問題のポッドキャスト『나는 꼼수다』でした。通称「ナッコムス」と呼ばれるこの番組、日本語に訳すと「俺はイカサマ師だ」みたいな感じでしょうか。ええ、お気づきかと思いますがもじってます、『私は歌手だ』を。(笑)
ただのポッドキャストではなく、ダウンロード回数を1回平均あたりでならしてしまうと500万くらいという。人口の何割聞いてるんだっていうくらいの超有名時事番組だったんです、「ナッコムス」。

政権の意にそぐわない人が出演者だろうが局の職員だろうが地上波メディアからどんどん排除されていっていた2011年4月27日に放送が始まったこのオルタナティブなメディア、政権の不道徳性や不正疑惑について、およそ行儀がいいとは言いがたいラフな言葉でどんどん掘り下げていくスタイルだったのですが、同じ年12月のMBCによる「メディアの信頼度調査」では朝鮮・中央・東亜の全国紙17.1%を大きく引き離して40%を記録するほど人々の信頼を獲得。

若者や一般のサラリーマンに分かりやすい言葉で政治を見る目を開かせたのが、他の追随を許さない独自路線のキム・オジュンさんだったのですが、その彼を5年ぶりに公衆の電波に乗せたのが、ソウル市傘下のTBSラジオです。ソウル近郊の交通情報をカバーする交通案内放送として1990年に開局し、現在は有料テレビ放送および英語放送、中国語放送も行っています。

『キム・オジュンのニュース工場』放送初日の去年の9月26日はアクセスが殺到して放送局のサーバーが一時ダウンまでしたそうですが、ラジオが始まってひと月後にJTBCが決定的なスクープで大統領の友人による国政介入を暴いたのを機に、韓国は一気に激動の政治状況に突入。
どんな芸能番組やドラマより、JTBCのニュース、キム・オジュンの番組が面白い状況となり、それは今日まで続いています。

キム・オジュンさんとナッコムに関しては、前回の大統領選挙直前に放送されていた『チョンダムドンのアリス』で制作側が6話内で密かにアピールしたことをここでご紹介したので、覚えている方もいらっしゃるかもしれません。(過去記事はコチラ

そんな「日のあたるところに出てこさせて大丈夫なのか?!」なキム・オジュンさんが、なんとわれらのソン・ジュンギさんと、同じ授賞式にいる!

これは、かなり破壊力のある絵面。
考えられない。絶対一緒に映しちゃいけない。

ええ、思いっきり興奮しすぎた勢いで、今書いております。
よって本日、限りなく私の趣味で仕上がっておりますこと、なにとぞあしからずご了承くださいませ。(笑)

まずはわれらがソン・ジュンギ、『太陽の末裔』チームからご紹介。

こちらはドラマ部門のテレビ作品賞とTV作家部門の製作部門賞、タレント部門の出演者賞の3冠を達成。

ソン・ジュンギさんはもともとスピーチはお上手な印象なのですが、この日はさらに上手くまとまっていて、彼はなんだかどんどん何を言っても真実味を感じられるようになってきました。

本当はスピーチしている動画をご用意したかったのですが、なぜか公式のものがなく。
公式のものが出てきましたら後に加えますが、ひとまず内容を、どうぞ。


안녕하세요. 송중기입니다. 반갑습니다.
오늘 ‘한국 PD대상’ 시상식을 ‘태양의 후예’ 저희 드라마 팀들과 함께 테이블에서 지켜보면서 많은 생각이 드는 것 같아요. 지금까지 정말 ‘태양의 후예’라는 드라마를 만나서 너무나 영광스롭게도 큰 상을 많이 받았는데, 감히 오늘이 가장 기분 좋은 상인 것 같습니다.

こんにちは。ソン・ジュンギです。お会いできて嬉しいです。
今日、「韓国PD大賞」授賞式を『太陽の末裔』のドラマチームと同じテーブルで見守る中で、たくさんのことを考えました。今まで本当に『太陽の末裔』というドラマに出会えたおかげで、あまりに光栄な大きな賞をたくさん頂いたのですが、あえて今日が一番いい気分だと申し上げたいです。


왜냐면, 정말 PD님들께서 인정해 주신 상이기도 하고요. 또 가장 중요한 건 정말 너무나 영광스로운 시간을 가졌지만 오늘 처음으로 저희 드라마 대장님들 다 모이시고 함께 있는 자리에서 상을 받는 것 같아요. 그 점이 가장 기분이 좋은 것 같고요.
너무나 더욱더 진심으로 감사드리고, 우리 대한민국을 정말 너무나 설레게 만들어 주신, 너무나 좋은 대본을 써주신 우리 김은숙-김원석 작가님 두 분, 고생하셨습니다.

なぜかと言いますと、PDの皆様が認めてくださった賞でもありますし。また大事なのは、本当に光栄な時間をすごさせていただいたのですが、今日はじめて私たちのドラマの隊長が勢ぞろいされて、同席する中で賞を頂いたんですよね。それが一番気分がいいと言った理由でした。
本当に、心から感謝申し上げますし、韓国中の胸ときめかせてくださった、あまりにいい脚本を書いてくださったわがキム・ウンスク、キム・ウォンソク先生、お二人ともお疲れ様でした。

그리고 아까 신동엽 선배님 소감을 듣다보니까, 참 동료끼리 칭찬을 많이 해주는 게 정말 중요한 것 같은데, 참 그걸 알면서도 저부터가 실천을 못했던 것 같아요.
우리 현장에서 너무나 고생 많이 하셨던 이응복 감독님. 투덜거리기만 했지 칭찬은 한번도 못했던 것 같아요. 이 자리를 빌어서 정말 칭찬 합니다. 그리고 백상훈 감독님, 훌륭히 잘 도와주셔서 정말 진심으로 감사드립니다.
그리고, 많은 함께 한 배우들, 뒤에서 묵묵히 서포트해 준 제작진 분들 정말 고생하셨다는 말씀 드리고 싶고요.

また、先ほどシン・ドンヨプ先輩の感想をうかがいながら、同僚同士褒めあうのが本当に大事だなと思ったのですが、それを知りつつもまさに僕がそれを実践できていなかったと思ったんです。
現場で本当にご苦労の多かったイ・ウンボク監督。ぶつくさ文句ばかり言いましたが、一度も褒めなかったように思います。この場を借りて、本当に称えます。そして、ペク・サンフン監督、立派に力を貸してくださって、心から感謝いたします。
また、ともにした多くの俳優たち、後ろで黙々とサポートしてくれた制作の方々にも、本当にご苦労様でしたと申し上げたいです。


이 시상식이 방송에 나가는 거죠?
아버지, 어머니. 또 큰 상을 받았는데요. 함께 축하해주셨으면 좋겠고요.

この授賞式、放送されるんですよね?
お父さん、お母さん。また大きな賞を頂きました。一緒に祝ってくれると嬉しいです。

마지막으로, 한국에서 드라마를 함께 하면 어쩔수 없이 남자배우가 스포트라이트를 많이 받는 거 같아요. 근데 저에게는 너무나 큰 작품이었고, 군대에서 제대하자마자 시작한 너무나 큰 작품이었는데, 이런 큰작품을.
부담을 조금 덜어준, 함께 해서 너무나 든든했던 파트너 송혜교 씨와 이 상의 영광을 같이 누리고 싶구요.

最後に、韓国で一緒にドラマをつくると、どうしても男性俳優がスポットライトをたくさん浴びると思うんです。ですが、僕にとっては本当に大きな作品でしたし、軍から除隊してすぐに始まったあまりに大きな作品で・・・・・・。
プレッシャーを少し取り除いてくれた、一緒にやれて本当に頼りになった、パートナーのソン・ヘギョさんとこの賞の栄光を分かち合いたいです。


오늘 시상식을 같이 지켜보는데, 각 분야의 정말 많은 베테랑 분들, 감독님들, 작가님들, 스탭분들, 정말 다양한 선수들이 모여서 말씀하시는 걸 듣고 있으니까 참 어린 배우로서 정말 느끼는 게 많은 것 같습니다. 시상식에 정말 잘 온 것 같고요. 정말 많이 배워 가는 것 같습니다.

今日の授賞式に同席して見守りながら、各分野の本当に多くのベテランの方々、監督、作家の方々、スタッフのみなさん、本当に多様なプレイヤーが集まってお話されているのを聞いていて、若い俳優として実に感じることが多かったです。本当に授賞式に来て良かったと思っています。多くを学ばせていただいています。

아까 마자막으로 김문숙 라디오 작가님께서 소감하실 때 참 많은 것들이 와닿았는데. 항상 대본이 허공으로 날아가신다고 할 때 울컥하시는 걸 보고, 참, 앞으로 그런 소중하게 쓰신 대본들 날아가지 않게 채우는 배우가 되도록 하겠습니다.

先ほど最後に、ラジオの構成作家であるキム・ムンスク先生が感想を述べられている時、とても多くのことが胸に響いたのですが。いつも台本が虚空に飛んでいってしまうと仰りながら涙ぐまれたのを見ながら、ほんとに、これからはそうして大切にお書きになった台本が飛んでいかないよう、埋めていける俳優になれるようにいたします。


감사합니다.

ありがとうございました。

キム・ウンスク先生もお喜びの図。
次回もキム・ウンスク先生は『トッケビ』で受賞?(笑)

いやぁ、それはいいとして、ソン・ジュンギさん。

実るほど頭を垂れるタイプ?
彼はどんどん良くなりますね。

動画でお見せできないのが残念ですが、本当に心からそう思っていっているんだなというのが伝わって来ました。
しかし、ソン・ジュンギファンとしては、毎回欠かさず「ヘギョヌナ」を言及するあたりがちょっと妬けるでしょうか。(笑)

そして。

絶対にソン・ジュンギさんと一緒に画面に出てはいけない、「あの人」。

「第29回韓国PD大賞授賞式」で『キム・オジュンのニュース工場』は「時事・教養・ドラマ部門」の作品賞を受賞。
受賞スピーチは番組プロデューサーのチョン・ギョンフンさんが行ったのですが、そのスピーチが大爆笑ものだったんです。
ソン・ジュンギさんも拍手して喜ぶほど。(笑)

こちらの受賞スピーチもご紹介します。
見所は、要所要所で映る、ソン・ジュンギです。(笑)


『キム・オジュンのニュース工場』の責任プロデューサー、チョン・ギョンフンです。

「ニュース工場」について、キム・オジュンは「全部俺のおかげだ」と言い、放送作家三兄妹は「キム・オジュンを毎日育ててるんだ」と言い、そしてうちのチョン・チャンヒョン社長は「俺が環境を整えたんだ」と言い。


こういう人たちを抱えて、全部私のおかげで成り立ってます。


『キム・オジュンのニュース工場』は、キム・オジュンという一人の在野の陰謀論者を、地上派という日の当たる場所に引きずり出し、正統派言論人としてつくりあげました。


今でも私の故郷には、この息子のことよりも、三成洞にいらっしゃるとある方のことをもっと心配している私の両親がいます。

お母さん、お父さん。僕のことを心配してください。


それと・・・・・・。奥さん、ありがとう。(深いため息)


そして、存在自体が福祉であるわがキム・ヨンシクラジオ局長、いつもありがとうございます。
以上です。

いやぁ、笑いました。

あの出演者にしてこのプロデューサーあり。

負けてない。ユーモア感覚、誰にも負けてない。(笑)

このスピーチ、ソン・ジュンギさんとチョン・ギョンフンさん、どちらが先にスピーチしたのか分かりませんが、確実にどちらかが真似てますよね。「お父さん、お母さん」と呼びかけるところ。
私は、「作品賞」で受賞したチョン・ギョンフンさんが、全面的にソン・ジュンギさんの裏をいったと踏んでおりますが。(笑)

チョン・ギョンフンさんが述べていらっしゃる、田舎のご両親が息子よりも心配しているという「三成洞(サムソンドン)」のある人とは、この間罷免されたあの人のことです。
韓国では本当にありがちな構図で、「かわいそうに、利用されて」と間違ったインプットで同情してしまう年配世代に、娘・息子世代が「違うよ、とんでもなく悪いことをしたんだよ」と説得して親子喧嘩が激しく起こるという「世代間対立」が多いんです。
気合の入った番組のプロデューサーなのに田舎のご両親がそれだと、ぼやきたくなるのも無理からぬことでしょうね。(笑)

とっても面白いスピーチ場面だったのですが、動画でご紹介できず残念です。
公式動画が公開されましたら、また追加でアップしようと思います。

ちなみに栄えある大賞は、SBSの『それが知りたい』でした。
『それが知りたい』はひとつのテーマを深く取材して掘り下げる報道特集番組なのですが、今回の汚職に絡んでも実に果敢に素晴らしい特集を毎週送り出してくれていたので、納得の大賞受賞でした。

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芸能、ドラマ、時事、教養。

これら多様なジャンルで視聴者・聴取者に有益な番組を提供してくれたテレビとラジオのプロデューサーの方々が、今後も引き続き大いに活躍してくれることをご期待申し上げます。