みなさま、こんにちは。

気づけばあっという間に7月突入。
今年も後半戦となってしまいました。
少しご無沙汰してしまいましたが、みなさまお元気でお過ごしでしょうか。
じめじめする梅雨となりましたが、体調など崩されませんようお気を付けください。

さて、今日は今年前半期に見た映画の中から、オカルト映画『サバハ』を取り上げてみようと思います。

映画の話に入る前に。
すみません、ミーハーにもこの話題から。

ソン・ジュンギさんとソン・ヘギョさんが離婚調停に入ったという件。
ちょっともう、ショックすぎて放心しました。
「なぜに私がこんなにもショックを?」と我ながら呆れるほどショックでした。(笑)

イヤー、嘘であってほしいです。
いえ、そりゃ私はソン・ジュンギさんは大好きです。
ソン・ジュンギさんとカン・ドンウォンさんには、公共財産としてほぼ永遠に近い間独り身でいてほしいと思っていました。

でも。

一度涙を呑んでお婿に出し(違)、どうにか吹っ切って祝福し、今後の幸せを祈ってやまなかった身としては、突然の出戻り事態に、どう受け止めていいやら。

しかしソン・ヘギョさんって、どう考えてもいい人そうなんですけど。
性格は、確かに対照的な感じがしなくもありませんが。
「お騒がせしましたが、仲直りしました」とか言って欲しいです、切実に。
それがほんとに駄目なら。
私もまたソン・ジュンギ争奪戦の戦列に。

って、毎度お馬鹿なことばかり言ってすみません。(笑)

さて、本題。

上半期が終わったということで、私が観た映画の中からおすすめ作品とポイントなどご紹介していきたいと思うのですが、実は今日取り上げるオカルト映画の『サバハ』が、個人的には物凄く良かったです。

まずはポスター。

‘사바하/サバハ’は仏教用語で、梵語は「svāhā」、当て字は「娑婆訶」、「蘇婆訶」、「薩婆訶」などと書きます。

仏教には詳しくなくても「オン~~ソワカ」というフレーズは、寺院で口にしたり聞いたりしたことがありますよね。

「娑婆訶」はデジタル大辞泉(小学館)によりますと「《(梵)svāhāの音写。円満・成就などと訳す》仏語。幸あれ、祝福あれ、といった意を込めて、陀羅尼・呪文 (じゅもん) などのあとにつけて唱える語。そばか。」という意味。
願いの成就を期待する意味で使う感嘆詞、というところでしょうか。

タイトルから推察できる通り、この映画は仏教の宗教観を題材としています。
ポスター1つ目のコピーは「あれが生まれ、すべての事件が始まった」、2つ目のイ・ジョンジェさんバージョンは「偽物を明らかにしなければ」、3つ目のパク・チョンミンさんバージョンは「あれを探さなければ」。

似非教団、怪しい新興宗教の実像を暴露することを生業としているパク牧師(イ・ジョンジェ紛)が大学時代の後輩で僧侶のヘアン和尚(チン・ソンギュ紛)から情報を得て、とある仏教系新興宗教の実態を調べる中で、不気味な殺人事件や双子の少女の存在が絡んできて・・・というのがざっくりのあらましです。

スチール写真もいくつか貼っておきましょう。
出典は韓国のNaver映画より。

主なキャストはパク牧師役のイ・ジョンジェさん、チョン・ナハン役のパク・チョンミンさん、双子のクムファ/あれ役のイ・ジェインさん、ファン刑事役のチョン・ジニョンさん、ヘアン和尚役のチン・ソンギュさん、そしてパク牧師とタッグを組むコ・ヨゼフ役のイ・ダウィッさんなど。

予告編を先にご覧いただいたほうが映画の雰囲気が伝わると思うので、まずはこちらから。

まずはティザー予告編。



私が生まれた日も ヤギは狂ったように鳴きわめいた
母の腹に隠れ 私より先に出てきた’あれ’は
人間ではなかった

あれが生まれ すべての事件が始まった

人々は言った 長くは生きられないだろうと
でもその言葉は当たらなかった
あれはそんなに早く死ななかった

今も

〈プリースト 悪魔を葬る者〉チャン・ジェヒョン監督

こういうものを崇める振興団体 見たことありますか?

悪鬼を殺す悪神、か

イ・ジョンジェ パク・チョンミン チョン・ジニョン
チン・ソンギュ イ・ジェイン

本当にどこかに 本物がいるのだろうか

サバハ 2月20日封切

こちらはメイン予告編。



人々は言った
あの時あれをすぐ殺すべきだったのだと

この世の悪とは さほど特別なものではありません
まさにここにも
ニセモノどもです

偽物を明らかにしなければ

私は今この布教堂を調べているパク・ウンジェと申します

この地に悪の気運を持つ魔君が81体生まれるとの予言があります

江原道の本部を調査していて偶然発見した仏教系の新興宗教です

こういうものを崇める振興宗教団体 見たことありますか?

あなたは悪として生まれました

そして死は終わりではなく 新たな始まりなのです

あれを探さなければ

悪鬼を殺す悪神、か

信じがたい事件の始まり

ちょっと小さいな

経典に正確に予言されている

2019年2月

これは尋常ではありません 明らかに何かあります

疑った瞬間 

すべてのものが互いに繋がっています

本物が現れる

一体何を追ってるんだ?

誰だ お前

〈プリースト 悪魔を葬る者〉チャン・ジェヒョン監督

言え チョン・ナハン!

イ・ジョンジェ パク・チョンミン チョン・ジニョン
チン・ソンギュ イ・ジェイン

本当にどこかに 本物がいるのだろうか

サバハ 2月20日



予告からも推測できるとおり、エセ新興宗教の実態を暴く牧師と、怪奇殺人事件を追う刑事と、謎めいた双子の姉妹の三者が絡んで展開していくストーリーです。

公開は2月20日。
監督は、『黒い司祭たち』(邦題『プリースト 悪魔を葬る者』)で韓国に新たなオカルトジャンルを築いた新進気鋭のチャン・ジェヒョン(장재현)さん。

『黒い司祭たち』は凄かったですからね!
敬虔なキリスト教徒だという監督の問題意識と聖書の逸話のディテールが生きた演出。
韓国土着のシャーマニズムも悪魔祓いに絡め、でもその扱いは「等価」で、そのあたりから宗教に向き合う真摯さが感じられたのも良かったです。
この監督の作品なら、と期待大で見ました。

今回は、キリスト教徒である監督がイ・ジョンジェさん演じるパク牧師の言葉を借りて仏教の神髄に迫る、というより、そもそも宗教とは何かの根源に迫ろうとした野心作だったと思います。

メイン予告編でのパク・チョンミンさんのセリフ、「あなたは悪として生まれました。そして死は終わりではなく新たな始まりなのです」という箇所などは、日本を震撼させたカルト教団・オウム真理教が犯罪を合理化させた「思想」を否応なく想起させたりも。
監督自ら「オカルトオタク、宗教オタク」と仰ってますが、膨大な宗教絡みの事件資料を読み込んで映画を構想されたそうですよね。

この映画、今年の2月20日に公開され、最終的な観客動員数は2,398,519名。
前作の『黒い司祭たち』が544万人でしたので、半分にも満たない動員数となってしまいました。
これは、映画を非常に面白く見た私としては、とても残念な数字です。

動員数が伸びなかった理由として想像できることとしては、暗くて難しすぎたかな、というのがあります。
前作は主演俳優がカン・ドンウォンさんでしたので、観客はおどろおどろしいものを見ながらもカン・ドンウォンと一緒に叫び怯え立ち向かうという流れに乗れましたし、内容的にもとてもよく作られていたので、韓国ではほぼ見受けられなかったオカルト映画ジャンルながら544万人超えを果たしました。

前作の出演者の印象がまだ色濃く残っている観客達には、今回のキャストはもしかしたら派手さがないと感じられたかもしれません。
のみならず、内容的にも前作の「悪魔祓い」のように分かりやすく派手なアクションではない、宗教の根源的なことを問おうとする映画だったので、ますます地味に見えてしまったのかなと推測します。

そしてもう一つ、社会的にはこちらのほうが「不振」の理由とされているのが、映画の中で日本の植民地統治に抗った独立運動家で宗教家の方の写真を合成で使ってしまった点。
時期的にも「3・1独立運動」という、1919年の植民地からの独立運動から100周年を記念するタイミングだったため、「独立運動家を一体どう見てるんだ」と監督の歴史認識が疑われる事態になってしまいました。
私が映画を見た限りでは、なにか独立運動を貶めようという悪意があってのことではなく、無知、不見識、軽率の類かなという印象ですが、韓国は植民地解放から74年間のうち、現在を含めたほんの10数年を除けば日本の植民地統治に協力・加担してきた勢力が南北の分断状況を口実に人々を強圧的に統治してきた流れがあり、その過程で独立運動史や独立運動家を十分教えてこなかったがゆえに起きたハプニングにも思え、その意味では他の制作者たちにも起こりうることだった気がします。
監督にはこれを糧に学んでいただければと。

で、この映画。

なんと既に5月からNetflix (ネットフリックス) 公開済みだったのですね!

一体いつの間に!

劇場公開にもっと多くの方がご覧になれればと思っていたのでちょっと残念ですが、総数で言えばはるかにNetflix (ネットフリックス) でのほうが日本でご覧になれる方が多いのかもしれません。

イヤー、ほんとこの映画、めっちゃくちゃ怖かったです!

ええ、なんだか小学生の感想文みたいになって申し訳ないのですが、ネタバレを避けると擬音語擬態語で表現するしか。
って、私の語彙不足なだけですが。(笑)

いやでも本当に、あまりにも怖くて、久しぶりに映画が怖くて何日もまともに眠れませんでした。
見ている時は集中しているのでそこまで感じなかったのですが、見終えた後からじわじわと恐怖が増してきて、映画の残像振り払うのに必死。(笑)
見終えたらすぐ予告編を紹介しようと思っていましたが、しばらくの間は到底振り返れませんでした。
もうほんとに、それくらい怖かったです。
こういうじわじわ来る恐怖を描くのが、この監督本当にお上手です。

イ・ジョンジェの姿を借りたクリスチャンとしての監督の問い、宗教の根源に迫ろうとする問題意識も感じられましたし、私も信仰は特にありませんが仏教には関心を持っているので、このミステリアスな映画を十二分に堪能できました。
堪能と書くと余裕をかましてる感じですね。怖くて眠れなかったくせに。(笑)

私の中ではオカルト映画のかなり上位に位置づきました、この映画。

Netflix (ネットフリックス)加入者前提なのが残念ですが、機会があれば是非みなさまもご覧になられてみてください。
ただし、怖いです。いや、ほんとに。
って、気づけば感想「怖い」以外何も言ってませんが。(笑)

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心にずっしり来るこの映画。

映像での表現力も含めて、やっぱりこの監督、只者ではなかったです。

前作も私の中ではかなりの上位を占めていましたが、『サバハ』はランキングをさらに上回りました。

信仰とは何か、人は何を求めて信仰しているのか、そして宗教者とは何か。
そういったことをオカルトオタクのこの監督がこの先もずっと探求し続けてくれることを願います。
そして、次回もオカルトエンタメという韓国映画の中では全く独歩的なジャンルを果敢に切り拓いていってくださればと思います。

監督の次回作が今から楽しみです。