みなさま、こんにちは。

今日はいまtvNで放送中のドラマ『応答せよ1988』について書いてみようと思います。

11月6日からケーブルテレビtvNで全20話の予定で放送が始まった『応答せよ1988』。日本でも放送された『応答せよ1994』、『応答せよ1997』に続きシリーズ3作目となる本作は、現在第8話まで放送を終えています。

ドラマの舞台は1988年のソウル市北部、道峰区(トボング)雙門洞(サンムンドン)。「貧乏な地域」でも「お金持ちの地域」でもない、平凡な町に住む家族の物語を、当時の町の様子や人々の暮らしを物語る小道具などを再現しつつ、描いています。

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ポスターをご覧頂けば分かるとおり、今回は出演者が多いです。
なにしろ今回描かれているのは、ご近所さん五家族の物語。

主役のソン・ドクソン(ヘリ扮)は1971年生まれの高校2年生。
両親の配役は前作と同じくソン・ドンイルさんとイ・イルファさんが務めており、他の親たちも全員芸名/本名をそのまま役名にしています。

ドクソンには3つ上のソウル大2年生の姉ボラ(リュ・ヘヨン扮)がいるのですが、気性が荒くすぐに手が出る乱暴な姉にいつもやり込められています。ドクソンにはひとつ下の気弱な弟ノウル(チェ・ソンウォン扮)もいるのですが、親に溺愛されている弟は、40歳の見た目をした老け顔という設定。(笑)

ドクソンには一緒に育った幼馴染の男の子たちがいて、彼らは学校から帰るといつもつるんでいるのですが、幼馴染の家庭についても主役同様に扱われている点が、これまでのシリーズにはない特徴です。

ドクソンの幼馴染といえば、まずは思春期男子特有の「むっつり」感を全身から醸し出すジョンファン(リュ・ジュンヨル扮)。明るく優しい性格のジョンファンの父キム・ソンギュンは、いつもテレビで覚えたつまらない駄洒落やギャグを飛ばしています。そんな父は、気の強いしっかり者の妻ラ・ミランに頭が上がりません。
ミランは夫から「チーター」と呼ばれているのですが、どうやらいつもヒョウ柄の服を着ているためのよう。
遊んで暮らせるほどのお金を手に入れた一家ですが、大学六浪中の長男ジョンボンが悩みの種です。

そして、生徒会長にして成績も全校一番のソヌ。
好青年を絵に描いたようなソヌは、見かけのみならず性格もよく、年の離れた幼い妹を大切にする、母キム・ソニョン自慢の息子です。夫を亡くし女手ひとつで子どもたちを育てるソニョンは、情に篤くて人柄もいい優しいお母さんなのですが、料理が恐ろしくまずいのが困りもの。

勉強はからきしながらダンスは得意なトンボ眼鏡のトンリョン(イ・ドンフィ扮)は、やたらに耳年魔。幼馴染たちのあらゆる「なぜ?」に飄々とした様子で的確なアドバイスをくれる、密かに頼れる存在なのですが、下らないことを企んでは父親にバレ、首根っこをつかまれるのが常でもあります。
トンリョンの父リュ・ジェミョンは子どもたちが通う高校のコワモテ教師。とは言ってもコワモテなのは息子に対してだけで、ご近所とも積極的に付き合い助け合うよき隣人です。

最後は、町を越え、国のヒーローとなった、将棋六段のテク(パク・ポゴム扮)。
数え11歳でプロ入りし、ランキング、獲得賞金ともに1位の座に君臨する天才棋士ですが、ドクソンたち幼馴染の間では将棋以外のことは何も出来ないし何も知らない、庇護すべき対象です。
そんなテクを一人で育てる父チェ・ムソンは早くに妻を亡くし、小さな宝飾店を営みながら息子を見守っています。生真面目な性格で朝は誰よりも早く外の掃き掃除から始めるムソンは、テクの稼いでくる賞金を一切使うことなく、静かにつつましく暮らしています。

同い年の子を持つ家族同士の物語りとあって、人物関係図も「ドクソンのうち」、「ジョンファンのうち」、「ソヌのうち」、「テクのうち」、「ドンリョンのうち」と子ども中心に命名されています。

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このドラマが始まる前、シン・ウォノPDは「多分失敗するだろう」と、あまりに弱気な予想を自ら立てていました。
勿論、謙遜も兼ねつつ本当に失敗した時のために予防線を張ったのでしょうが、前作がケーブルテレビのドラマとしては異例の大ヒットを遂げた後だけに、三作目がそれを超えられるのか、気にするメディアも多々ありました。

その一方、1988年という時代設定に魅力を感じ、前作まではまったく見なかったものの今回は見てみたいという声も多く聞かれ。その声の中心はいわずもがな、1988年当時高校生や大学生だった人たちでした。いままさにドクソンと同じくらいの子を持つ親たち世代と言い変えてもいいかもしれません。

さて。
肝心のシリーズ3作目における「成否」ですが。
早々と結論は出たようです。

最新の放送、第8話を終え、『応答せよ1988』は全シリーズを通して最高の平均視聴率12.2%、瞬間最高視聴率14%を叩き出しました。
終盤にかけて人気はさらに上昇すると思われますが、いずれにせよ、現段階において数字の上では既に大成功と言っていいでしょう。

私はシリーズ1作目の『応答せよ1997』は観ておらず、一大復古ブームを巻き起こした前作『応答せよ1994』も途中の話数を飛ばしながらざっくり追う程度でしたので、もともと今作も余裕があれば見ようという感じでした。
ですがはじめの頃、「時代考証がなってない」、「失敗作だ」と否定的な評価を早々に下す記事があまりに目に付き。実際にそれらの記事を読んでみても、「どこがそんなに?」と思うような枝葉末節なことで揚げ足を取っている印象でしたので、「これはなにかあるな」と逆に興味が沸き、一気に観てみたのですが、これが。

大当たりでした。

このドラマ、めちゃくちゃ面白いです。

現時点で第8話まで終わっていますが、恐らくこの後もどんどん興味深い展開になりそうです。

見る前はぼんやりとドクソンが主人公なのだろうと思っていましたが、ドクソンは今と過去を繋ぐ物語りの進行役のような感じで、むしろ個々の家族が繰り広げるインパクトの強い物語りが視聴者を笑わせ、泣かせるつくりになっています。
勿論、今回も前作同様「ドクソンのお婿さん探し」という仕掛けはあって、後半にかけ視聴者の関心をより集めそうですが、目下のところは家族の物語が最大の見所になっています。

ネタバレはしないでおきます。

みなさまも機会があれば、是非ご覧になってみてください。

ネタバレを極力避けつつ、このドラマを盛り上げている注目の俳優さんたちについて、ご紹介しておきましょう。

まずは、なんといっても、ボラ。

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ドクソンの凶暴な姉。

この表情の通り、印象めちゃめちゃ悪いです。(笑)

序盤、頭が痛くなるようなキンキンした怒鳴り声に閉口しつつ、どこかで見たことある顔だと思っていましたが。

リュ・ヘヨン(류혜영)さん。
『私の独裁者』(邦題仮、日本未公開)でパク・ヘイルさんの「押しかけ女房」ヨジョン役を務めていた方だったんですね。

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主に独立系映画で活躍し、『私の独裁者』が初めての商業映画出演作だったそうですが、『私の独裁者』での演技も個性的で印象に残りました。
にしても、それを思い出せないほどの別人ぶり。

彼女、タダモノじゃないです。このドラマが終わった後、切れキャラでオファーが殺到しそうな予感がします。(笑)

そして、ある意味「ピョン・ヨハンファミリー」と呼びたい、ジョンファン役のリュ・ジュンヨル(류준열)さん。

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なぜに「ピョン・ヨハンファミリー」なのかと言いますと。

彼のデビュー作がピョン・ヨハンさん主演映画『ソーシャル・フォビア』(邦題仮、日本未公開)なんですよね。
『ソーシャル・フォビア』では1秒も黙っていないネットテレビの進行役、ヤンゲを演じていました。

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ちなみに見切れてるのは、ドンリョン/ドンニョン役のイ・ドンフィさんです。
みんな「ピョン・ヨハンファミリー」なんですね。(笑)

しかし、どういうわけか・・・・・・なんて前置きしたら怒られちゃいそうですが、リュ・ジュンヨルさん演じる「思春期むっつり君」なジョンファンが、ものすごい人気なんだそうです。特に女子高生にジョンファン人気沸騰との噂あり。

どゆこと?!(笑)

身近に女子高生がいないため、真相を確かめてはおりません。(笑)

私なら、どう考えても、こっちです。

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天才棋士テクの、どこが天才棋士なんだって感じの一枚。(笑)

若干ヘルメッティな頭とか、牛乳をゴクゴクとか、「幼児かっ!」と突っ込みたくなる瞬間が多い彼なんですが、魅力が底知れません。
パク・ポゴム(박보검)さん。強力にインプットしておきました。
この方は様々な作品に助演で出演されているのですが、『バトル・オーシャン/海上決戦』(原題:鳴梁/ミョンリャン)が韓国内では最も有名どころでしょうか。

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っていうか、『鳴梁/ミョンリャン』が日本で公開されてた事実のほうに驚いちゃいました。いつのまに!(笑)

今のところテクは、インスタントラーメンも作れないような、将棋だけが取りえの何にも出来ない子なのですが、だからこそ笑ったり何か喋ったりする顔を見ただけでなにかすごくいいもの見せてもらった気になるという。ザ・マジック。完全無欠の役得。
このドラマが終わった後、彼は大ブレイク必至です。
ええ、既に私はテクの可愛さにやられてます。(笑)

最後にこの人を紹介しないわけにはいきません。

ジョンファンの兄、ジョンボン。

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やだ、もう笑っちゃう。(笑)

この人の存在感が、とてつもないです。

大学六浪中と聞けば普通は悲壮感のひとつも漂いそうなものですが、本人はいたってマイ・ペース。勉強以外のあらゆることに関心を持ち、情熱を傾け、集中力を発揮する個性派です。
いまや「ジョンボンのいない“サンパル(쌍팔/88の意)”なんて考えられない」と多くの視聴者に言わしめるほどの存在感。

ジョンボン役のアン・ジェホン(안재홍)さん。
演技力にはかねてより折り紙つきの方だそうですが、彼をジョンボン役でキャスティングした方、すごいです。目の付け所、素晴らしい。だって彼の存在感ったら、ほんとにハンパないんです。気がつけば虜。
ドラマが終わる頃には、あちこちでジョンボンファンサイトができてそう。(笑)

これまでの『応答せよ1997』や『応答せよ1994』は、今の韓国社会に通じる過去として日本の視聴者が見てもさほど違和感を感じない面があったと思いますが、前作からたった6年さかのぼっただけのこの『応答せよ1988』は、90年代以降の韓国をデフォルトでインプットしているとすんなり直線でさかのぼれない、距離感や年代以上の古臭さ、なにより社会的背景の圧倒的な違いを感じさせるドラマかもしれません。雰囲気的には日本の70年代を描いた感じに近い気もします。韓国内ですら70年代みたいだと言う人もいるので。(笑)
勿論これが韓国の70年代の姿な筈はないので、その記憶違いこそ1988年以降の韓国社会のあまりに目まぐるしい変化を図らずも示しているのだろうと、私は受け取っています。



前シリーズよりはとっつきにくいかもしれないこのドラマが日本でどんなふうに受け入れられるのか、今から興味が沸くところですが、なにはともあれ、気づけば毎回泣かせられる各家族のお話がどんな帰結を迎えるのか、今は楽しみに見ていこうと思います。

そしてなにより、大学六浪中のジョンボンを、最終的にどんな姿として描こうとしているのか。私のこのドラマに対する最終評価は、実はここにかかっているといっても過言ではないかもしれません。
ジョンボンに、幸せな未来があることを切に願いつつ。(笑)