みなさま、こんにちは。

今日は全50話の中でもきわめて重要な回であろう『六龍が飛ぶ』第36話をアップします。
もうここで見るのをやめようかと思うくらいの転換点を、ドラマは迎えました。

今回は動画と台詞を中心にまとめてみます。
36話冒頭。

チョン・モンジュを殺さなければならないとタンセとヨンギュに語ったバンウォン。

ヨンギュはイ・ソンゲ将軍の許しは得たのかと尋ねますが、バンウォンが自分の意志でやると決めたと知り、二人に緊張が走ります。

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チョン・モンジュ側の護衛はどうするのかと尋ねるタンセに、「お前は三韓第一剣だ。問題あるか?」とバンウォン。当のタンセは、女の護衛武士と聞いてチョク・サグァンではないかと緊張を滲ませ。

かくしてタンセは、チョン・モンジュを追う自分が発しているただならぬ殺気を察知したチョク・サグァンに待ち伏せされ、早々に対面。

なぜポウン(チョン・モンジュ)を追うのかと尋ねられたタンセは。

「昔から胸に秘めてきた、まだ叶わぬ夢がある」

「夢?」

「高麗に止めを刺すことです」

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かくして二人の決闘が始まりますが、タンセより上手のチョク・サグァンが先にタンセを切ります。

師匠チャン・サムボンのかつての教えが甦り、もしかしたら駄目かもしれないとの思いが頭を巡るタンセ。


チャン・サムボン:幸いお前は寿命が長いようだな。

タンセ:そうですか?

チャン・サムボン:ああ。とても長い。死神にさえ出会わなければ。

タンセ:死神・・・とは?

チャン・サムボン:刀を遣う者なら、出会うことがある。死神は、単なるその日のツキだったり、天気だったり、時には急にもよおした便意だったりもする。とてつもない強敵だったりもな。

タンセ:出会ってしまったら?

チャン・サムボン:出会わないことを祈らんと。

タンセ:(師匠。死神に出会ってしまったようです)

チャン・サムボン:武士は、遺体の収拾もされずに山野に眠るのが日常茶飯事だ。

チョク・サグァン:あなたはとてもお強い。なので、あなたの体を気遣いながらは闘えません。すみません。

タンセ:(俺が死ぬのが問題なのではない。今晩ポウンを殺せなければ、全て終わりだ。イ・バンウォン、上手くやってるんだろうな?)

チョク・サグァン優勢な中二人の戦いは続きますが、タンセはチョク・サグァンが息を切らしているのを見て、意外に体力がないことを見抜きます。

かたやチョク・サグァンは、疲れさせようと走らせるタンセの戦術に覚えがあり、チャン・サムボンとはどういう関係かと尋ね。
自分の師匠だと答えるタンセに「思ったより深いですね。我々の悪縁」と不穏な一言。

チョク・サグァンの祖父はチャン・サムボンの弟子に戦いを挑まれて殺されましたので、チョク・サグァンは心情的にタンセを殺す理由が出来てしまったでしょうか。

いずれにせよ。

タンセは引き続きチョク・サグァンを疲れさせる中で足を切りつけることに成功し。

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深く切り込んでもいないのに過度に痛がるチョク・サグァンを見て、気づきます。

「あんた、生まれて初めて切られたんだろ?」

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この一言がチョク・サグァンに火をつけ、一気にタンセを殺そうと決意。

タンセは防御に自信があるので自分の剣を避けないだろうと踏み、籠を真っ二つにした時に用いた「馬人斬(マインチャム)」でカタをつけようとします。

プニから事情を聞きタンセが殺されると恐れて駆けつけたムヒュルはチョク・サグァンの構えから戦術に気づき、「防がずによけろ!」と絶叫。おかげでタンセは九死に一生を得ます。

二人ががかりでも倒せないチョク・サグァン。

頭を悩ますムヒュルは、「実践経験が少ないと、変則的な状況に対応できない」との師匠の言葉を思い出し、人殺しがもともと嫌いなチョク・サグァンが一瞬混乱し迷うことを願ってわざと刀をうち捨て。

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チョク・サグァンを抱いて崖の下に飛びおります。

「ムヒュル!」と叫ぶタンセの後ろには、「無名」ヨニャンの息子タンセの戦況を探りにきたキル・ソンミ・・・・・・。

「無名」としては高麗を存続させようとしているチョン・モンジュの側なのですが、ヨニャン個人は息子を見殺しに出来ず。このあたりものちに大きな矛盾になるでしょう。

そして、ついに善地橋(ソンジギョ)、のちの善竹橋(ソンジュッキョ)でチョン・モンジュと対面するバンウォン。

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バンウォンは、本当にチョン・ドジョンらの処刑を行うつもりなのかと確認。、国家の転覆を図ったのだから当然だとのチョン・モンジュの返答を聞き、嘆息を漏らします。


チョン・モンジュ:なんの用だ?

イ・バンウォン:夜が明けたら、本当に三峯(サムボン)師匠と我が派の人々を処刑なさるおつもりですか?

チョン・モンジュ:国を覆そうとしたのだから、罪状が軽くはすむまい。

イ・バンウォン:どうしてもこの国が諦められないのですか?

チョン・モンジュ:私が生まれ育った国だ。私とわが家族と同門を育てたこの地、この朝廷に背を向けて、いかにして儒者と言えようか。

イ・バンウォン:朝廷・・・・・・。朝廷か。

チョン・モンジュ:お前はまたもや民百姓を言い訳にするつもりか?

イ・バンウォン:かつて私に、民を売るなと仰いました。なので、私はもう一度民をよく観察してみました。ところが民は、実は朝廷がどうなろうと気になどしていないのです。

チョン・モンジュ:だから、その気の毒な民が新しい国を求めているとでも言いたいか?

イ・バンウォン:民には何がどうであれ、関係などありましょうか? ポウン先生が朝廷を守ろうが、三峯師匠が建国をしようが、彼らにはどうでもいいのです。民にはただ、糧と生きる悦び。これがあればいいのです。

チョン・モンジュ:お前はまたもや民を口実にしているのだ。

イ・バンウォン:あの萬壽山(マンスサン)に葛のつるがあれほど絡まっているからといって、それを責める人がありましょうか? ポウン先生と三峯師匠、お二人があのように手を携えて民に生きる喜びを与えてくれたなら、先生がこれほどまでに重視する歴史に、誰があえて先生を汚す記述をできましょう?

バンウォンの、再び志を共にし、新しい国を建国しようとの呼びかけに、チョン・モンジュは「儒者は民に合わせるのではなく、民を抱え、率いていかねばならない」と答えます。「抱えるためには国が必要であり、国を思う儒者の心を忠と呼ぶ。その忠を捨てれば、心の中の民も消え去るのだ」と。

今晩なにが起きても、その気持ちは変わらないかと尋ねるバンウォン。
鉄槌を手にしたヨンギュがとうとう姿を現します。

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バンウォンが自分を殺すつもりであると確信し、恐れもせずあざ笑うチョン・モンジュ。

どうやってもチョン・モンジュを手に入れることは出来ないのかと涙を見せるバンウォンに、絶対に共にしないという決意をとうとうと述べます。

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イ・バンウォン:我々はなにをどうやっても、先生を得ることは出来ないのですか?

チョン・モンジュ:実に下らない脅迫だ。いいか。イ・ソンゲ将軍と三峯、お前たちが何をしようと、得られるものは高麗と、百斤ほどのこの体だけだ。私を殺したいだけ殺し、百回でも殺すがいい。白骨が腐り、この体が土となり、塵となろうとも、この身に宿る忠を思うひとかけの赤い心、心からの赤誠は、手に入れられまい。

イ・バンウォン:お志、お見事です。その意味、よく分かりました、師匠。

チョン・モンジュ:ああ、お前がもうひとつ手に入れるものがあるな。千年にわたる悪名。お前はこのチョン・モンジュという名と明朝より千年の間絡み合い、記録され、人々の口に上るだろう。せいぜい耐えてみるがいい。

イ・バンウォン:ええ、そうしましょう。先生と現世では共に出来ないのなら、死した後にでも長きにわたる歴史を、先年でも万年でも先生と関わることとしましょう!

バンウォンの命を受け、自分を殺そうと近づいてくるヨンギュを見ながら、チョン・モンジュは最後に心でチョン・ドジョンに語りかけます。


イ・バンウォン:ヨンギュ!

チョン・モンジュ:(三峯。お前の言うとおりになったな。高麗の千年大計のためにこの身を捧げようとしたが、この国は終わり、私が千年を生きることになるとは・・・・・・。なんと呆れたことよ)

もう見たくない。

あー。

もうあーしか出てこない状態の視聴者。

突然解放され、いぶかしむチョン・ドジョンの元へやってきたバンウォン。

バンウォンが何事か耳打ちして去っていくと、チョン・ドジョンは崩れ去り・・・・・・。

一方、血に染まった手の震えが止まらないヨンギュ。

バンウォンは子どもの頃のように「兄(ヒョン)」と呼びかけながら、「大きなことを成し遂げた」とヨンギュを労います。

これからは全てが変わると呟き、未知の世界を暗示するかのような暗闇の中、心細い二人の背中が消えていきます。


イ・バンウォン:兄貴・・・・・・大丈夫? 大丈夫?

チョ・ヨンギュ:ええ、これよりひどいことも、一杯してきましたから。でも、なんでこんなに震えるんでしょうね?

イ・バンウォン:大きなことを成し遂げたんだよ。本当に。大きなことを。

チョ・ヨンギュ:これから、どうなるんですか?

イ・バンウォン:多くのものが変わるよ。明日にもすぐ。色んなことが変わると思う。

もう見るのがつらいです。

プニは、本当に最後までバンウォンの傍にいるんでしょうか・・・・・・。

時代の大きな転換をもたらした、このシーン。
偉大なチョン・モンジュと殺しあわずにすむ術はなかったんだろうかと、思いを馳せずにおれない場面ですね。

チョン・モンジュはもしかしたら、その有能さと度胸のよさから、自分が頑張ればこの国を立ち直らせることが出来るという確たる自信があったのかもしれませんね。
このドラマはチョン・モンジュの偉大さの中身にあまり触れていないのですが、史実のチョン・モンジュは政治生命の危機やそれによる身体的危機を何度も切り抜け、一貫して勇敢で忠義に篤く、儒学者としても多くの人々を育成した人物であり、困窮する貧民のために義倉を建ててどうにか救うべく精一杯を尽くした人として記録されています。
チョン・モンジュに関しては、玉座を脅かすイ・ソンゲ一派をけん制し、機に乗じて一派の粛清を試みたこと以外に後ろ暗そうなことが歴史に残されていないので、殺された高麗最後の忠臣への同情だけでなく、知恵に富み、理を重んじて義に篤く、心も勇敢なカリスマ的人物として書き残されるだけの内容を伴った人物だったのでしょう。

腐敗した無力な高麗王朝の終わりは既にきていたのでしょうが、もしチョン・モンジュがあの時殺されなければまたどうなっていただろうと、ふと考えてしまいまいますね。

さて。

バンウォンのおかげで命ながらえたチョン・ドジョンは、チョン・モンジュを失った悲しみに荒れ狂い。

孔子を祭る大聖堂で「なぜこんなことに?」とひとり怒りを露にします。


チョン・ドジョン:それほどいけないことだったのですか? そこまで許せないことだったのですか? 私は儒学者としてあなた方の教えに従っただけです。国よりも民が大事だという教えに従い続けた結果、この道に辿り着いた。だのになぜ! 私と師兄(兄弟子)がこんな目に遭わなければならないのですか? 
なぜです? なぜ?

(回想)
チョン・ドジョン:本当に努力すれば、この本にあるような世界を作れることができるのですか?

チョン・モンジュ:できる! 作ろう! 我らが作ればいい。

チョン・ドジョン:なにが「できる」だ! こんなもの! こんなもの! 人一人も説得できないこんな計画なんて! 

ナム・ウン:師兄、どうなさったんですか!

チョン・ドジョン:なんだ? どうせ大業は終わったんだ。分からんか?

ナム・ウン:師兄!

あーー。

そして問題は、父。

バンウォンの妻ミン・ダギョンは、「よくぞ、なさいました」と夫を褒めつつ父の元にバンウォンをいかせるのですが、バンウォンを待っていた父は、短刀を投げつけ死んで償えと圧迫。

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イ・バンウォン:父上。すみませんでした。

イ・ソンゲ:命で罪を償え。死ね!
ポウンに手を出すなと、はっきり言った筈だ。その命令には従わず、死ねという命令には従おうとする理由はなんだ? 死んでも! 死んでも自分が正しいと言いたいのだろう! 父さんは間違ってる、俺が正しい! だから俺の判断で何もかもやった! その相手が例え父でも! 安辺策に勝手に印をついても! ポウンを勝手に殴り殺しても! 問答無用に自分の思いどおりにしようとする、お前その性質!

イ・バンウォン:私も父上のその性質が嫌いです! 進むべき道がなんなのか分かりきっているのに、あっちに目をやり、こっちを窺って。なにがそんなに難しいというのですか?

イ・ソンゲ:ならば、お前にはポウンを慕う人々を全て敵に回すのが、そんなに簡単なことなのか?

イ・バンウォン:だったら、なにが正しかったのですか? 三峯先生、ウジェ(チョ・ジュン)、ナム・ウン先生もみな処刑されるよう放っておけばよかったのですか?

イ・ソンゲ:お前が我らの大業を簒奪(さんだつ)に変えたのだ! 我々にいくらか残されていた民の尊敬と民心が、全て消えたのだぞ!

イ・バンウォン:本当に大業を成し遂げるのに、そんなものが必要なのですか? 王になるとは・・・・・・。

イ・ソンゲ:ならん! わしは王にはならん!

イ・バンウォン:ええ! 嫌ならおやめください! 責任を取るのが怖く、非難されるのが怖く、汚い水に手をつけるのがそんなに嫌なら、おやめになればいい!

あーーーー。

って、もうあーしか言ってませんが。(笑)

史実としても、イ・ソンゲは息子があれほど念を押したのにチョン・ドジョンを殺してきたと知って、大激怒したとありますよね。落馬して怪我を負った父を、チョン・モンジュの企みに気づいたバンウォンがすぐ戻るよう説得しにいった際も、「天命に任せる」と事態打開に積極的な姿勢を見せなかったらしいイ・ソンゲ。
「『息子の計画を父が知らなかったはずがない』と世間に思われているのだぞ!」と怒り心頭の父に、「このままでは我が派が全滅させられるところだった」、「自分は家を守っただけだ」とバンウォンは訴えたとされています。

チョン・モンジュとは格別な間柄だったとされているだけに、ドラマ同様本当につらい歴史的な瞬間だったのでしょう。

町にはチョン・モンジュを慕う儒学者たちによる、バンウォンの処刑を求める嘆願書が張り出され。
それを見て緊張が走るヨニやナム・ウン、イ・シンジョの前に、谷底から目を覚まして戻ってきたムヒュルが姿を現します。

ムヒュル、気を失っているチョク・サグァンの息の根を止めることが出来ず、手当てをして安全な洞窟に隠した後戻ってきたんですよね。

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ムヒュルの無事を喜ぶ面々。

ムヒュルはタンセに、目が覚めたらチョク・サグァンがいなかったと嘘をつきます。

師匠のホン・デホンは、理由がどうであれチョク・サグァンがチョン・モンジュを守っていたとなれば、復讐に来るのではないかと嫌な予言を残し。

ヨニはチョン・ドジョンの元へいき、町に儒者によるバンウォン処刑嘆願書が貼り付けられていることを知らせます。
冷静さを取り戻し、自分が破いた政策の紙を貼り合わせていたチョン・ドジョン。
まだ大業が駄目になったと嘆いているのかと問われ、ポウンが死んだのは自分のせいだとチョン・ドジョンは口にします。自分が最後の瞬間まで儒者として残りたいがため、ポウンにすべきでない無理を言ったのだと。

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これからどうするつもりかとヨニに問われ、自分には二つの道があるとチョン・ドジョンは答えます。「過酷に生きるか、過酷に死ぬか」。
大業の始まりの時点で失われた正当性は、これから作る国家の中で見せるしかないと決意を語り、イ・ソンゲの元に向かうチョン・ドジョンです。

一方バンウォンは、長兄からも罪人だと殴られ、町に逃げ出しますが、バンウォンの顔を見た人々から「イ・バンウォンだ!」と忌み嫌われ、厳しい状況に直面します。

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思い出される、ホン・インバンの亡霊。

あの亡霊が言ったとおり、バンウォンは独りぼっちで世間に疎まれていました。

人々に後ろ指指され、呆然とした様子で歩くバンウォンに声をかけたハリュン。

ハリュンはバンウォンを誘い、話をします。

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大人しくしていろと言ったのにと愚痴りながら、なぜあんなことをしでかしたのかとハリュン。
ならば他にどんな方法があったというのかと尋ねるバンウォンに、ハリュンは暗殺してしらばっくれればよかったのだと答えます。限りなくイ・ソンゲ一派が疑われるものの、最後まで知らぬ存ぜぬを通せば、時と共に忘れ去られただろうにとハリュン。今のイ・ソンゲの力を考えれば、表立って疑いを口にする者はいなかったはずとの言葉に、バンウォンは反論しますす。

「俺は正当だ! なぜ俺が暗殺を? 俺は父に危害を加えようとした者を止めたのだし、歴史の一歩を踏み出させようとしない者を、このイ・バンウォンの名で処断したまでだ!」

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怒って出て行くバンウォンに、「なんとういうせっかちな。それがどれだけ自分の足かせになるかも知らずに」と一人嘆くハリュンです。

はーーー。

色んな歯車が、どんどん悪いほうに。

と視聴者も溜息。

そして、イ・ソンゲに会いに行ったチョン・ドジョンは。

「これからどうしたらいいのだ?」と尋ねるイ・ソンゲに思いもかけぬことを言います。

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チョン・ドジョン:ポウンの首を、市場に吊るさなければなりません。

イ・ソンゲ:・・・・・・なんと?

チョン・ドジョン:ポウン師兄の首を市場に吊るし、逆賊だと報告しなければなりません。

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イ・ソンゲ:三峯、正気なのか? それが、あなたがやろうとした大業だったのか? チェ・ヨン将軍を殺し、イ・セク大監を放逐し、ついには我が家に見舞いに来た人間に鉄槌を浴びせて殺すだけでも飽き足らず、さらし首にして逆賊に陥れよう? 戦場でたくさんの者を殺したが、こんなふうに殺したことはない。一人だけ生き延びようと兵士を捨てて逃げた敵将の首ははねても、兵士と共に最後まで闘った敵将には・・・・・・!

チョン・ドジョン:はい。必ず盛大な葬儀をあげられました。

イ・ソンゲ:なのに? そのイ・ソンゲにチョン・モンジュを逆賊に追いやれと?

チョン・ドジョン:ならば、ポウン師兄を永遠なる忠臣として忠臣碑を建て、廟にでも祭りましょうか? 将軍、私たちは責任を取らねばなりません。いかなる状況でも、我々は責任を取らねばならないのです。それが政治であり、政治を行う者の最小限の役割です。
有史以来、政治の本質は一度も変わったことがありません。政治とは、責任です。ポウン師兄は我々の志に反対し、死を持ってその政治的責任を果たしました。我々は我々でポウン師兄を死に追いやってまで進んできたこの道で、必ずや大業を完成させなければならないのです。さもなくば、我々はみな、死ななければなりません。

二人の会話を外で立ち聞きするバンウォン。

やはり父を前に進めるのはチョン・ドジョンしかいないのだろうかと内心呟きます。

バンウォンがいるとも知らず、言葉を続けるチョン・ドジョン。

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チョン・ドジョン:ポウン師兄が死ななければ、私は死んでいたでしょう。ウジェもナム・ウンも、イ・シンジョクも。我々が育て、大切に扱うべき人材が、全て死んだかもしれません。私の責任です。私の志は正しのだから、ポウン師兄も同意してくれる筈と甘く考えたのが、一つ目。敵を追いやるより、近しい人を追いやるほうがずっと難しいと知りながら目を背けてきたのが、二つ目。ポウン師兄にだけは・・・・・・ポウン師兄にだけは認めてもらいたかった私の欲が、三つ目の過ちです。
責任を痛感しています。ですが、生きているのなら、死ねないのなら、我々は責任を果たさねばなりません。

立ち聞きして来たことを隠さず、あえて出て来たチョン・ドジョンと顔を合わせるバンウォン。

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バンウォンは自分を避けるかのようなチョン・ドジョンを呼び止め、仕方がなかったのだと口を開きます。


イ・バンウォン:師匠! 他に方法がなかったのです。

チョン・ドジョン:責めはしない。

イ・バンウォン:すべて、覚悟の上のことでした。

チョン・ドジョン:何を覚悟したのだ? もうこの大業に、お前の場所はない。その程度の覚悟はしたのであろう?

イ・バンウォン:はじめから! はじめからこの大業に、私の場所はなかったのではないのですか?

で、ラスト。



あーーー。

重いーーー。(笑)

もう、ずっしり。なんですか、この重量感。

今回は台詞がとにかくいいので、かなり訳をつけてしまいました。
仕事でもないのに何しにここまでの心の声、無きにしも非ず。
時間の制限上、とりわけ気に入った台詞のみ訳すつもりなのに、全50部のくせに毎話深くていい台詞だらけのこのドラマが、もういい加減憎いです。(笑)

予定外に情熱を注いでいるんですが、このドラマに。
なのに最後虚脱して終わるんじゃないかって恐ろしい予感が、回を重ねるごとに増してます。
ほんと、これいかに、です。(笑)

そろそろ私の第1次予想タイム、いっておきましょう。

「プニとタンセは最後は‘無名’に移動する」

根拠はありません。でも、このドラマはそれ級の何かを持ってくる予感。

それか、「プニとタンセは、実は王家の血を引いている」。これどうですか?

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って、勝手にこのドラマを‘マクチャン’仕立てにしてみました。
こんな遊びでも始めないと、ちょっとこのドラマ、内容が重すぎなので。
この重さで残り14話も・・・・・・きついです。(笑)

それにしても、「政治は責任」。

本当にその通り。

またもや現実がオーバーラップする「六龍」36話でした。