みなさま、こんにちは。

夏の間の色んなことを書き終えないうちにあっという間に時が過ぎ。
9月が終わってしまう前に、ひとまず駆け足でひとつくらいは夏にソウルで見た映画の感想など記しておこうと思います。
今日は8月19日にソウル劇場で見てきた映画『海霧』(邦題仮)での生ユチョン舞台挨拶の感想など。

8月のソウル滞在中、公開中だった韓国版ブロックバスターを4作とも見てきたことは以前も書きました。
韓国版ブロックバスターとは、要するに制作費100億ウォン超えの映画のことですが。

7月23日公開の『群盗~民乱の時代』(邦題仮)と7月30日公開の『鳴梁(ミョンリャン)』(邦題仮)、8月6日公開の『海賊~海に行った山賊』(邦題仮)、そして8月13日公開の『海霧(ヘム)』(邦題仮)というラインナップのうち、私の率直な「面白い順」を述べますと。

『群盗』 > 『海賊』 = 『鳴梁』 >>> 『海霧(ヘム)』。

すみません。

正直に言います。

『海霧』は、良くなかったです。ごめんなさい。

なのになぜ今日取り上げるかというと。

舞台挨拶で見た生ユチョンが素敵だったから。

はい。単なる私的なメモリーです。(笑)

映画はやはり、自分の目で見て確かめるに限りますね。
李瞬臣(イ・スンシン)将軍の豊臣軍との海戦を描いた『鳴梁(ミョンリャン)』は、それまで韓国内最高観客動員記録を誇っていた『アバター』の1350万余をあっさり抜き、1692万余の観客動員数を叩き出しました。
1700万人に迫ろうという数字ですので、これは映画の出来の良し悪しを超えた社会現象というべきですよね。韓国の人口は4900万人ほどですので、これはえらい数字です。

ただ、私が見て一番面白かったのは、ハ・ジョンウさんとカン・ドンウォンさん主演の『群盗(クンド)~民乱の時代』。次が、夏の映画で唯一R12だったソン・イェジンさんとキム・ナムギルさんの『海賊~海に行った山賊』。
『海賊』は韓国版カリブの海賊といった体(てい)で、子どもと一緒に観て楽しめるつくりの映画でした。

『鳴梁(ミョンリャン)』は、面白さで言えば、普通。最高記録を打ち立てたと言われなければ、人に「まぁ、観てもいいんじゃない」と屈託なく勧めますが、これが最高記録だと聞くと「・・・・・・どこらへんがそんなにも?!」と疑問が沸いてしまいます。
そして『海霧(ヘム)』は、舞台挨拶というオマケがついてなかったら、観終えて相当機嫌が悪くなったかなという感じ。(笑)
いえ、映画としては完成されているのでしょうが、とにかく後味の悪さ「しか」残らないんですよねぇ。

これから楽しみにご覧になろうという方には、本当に申し訳ありません。
私もできればいい評価を書きたかったのですが。


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物語りの舞台は、海の上の漁船「チョンジン号」。

船長チョルジュ(キム・ユンソク扮)率いる漁船「チョンジン号」には心優しい機関長ワノ(ムン・ソングン扮)をはじめ命令に従順な甲板長ホヨン(キム・サンホ扮)、お金に執着が強くて荒っぽいキョング(ユ・スンモク扮)、欲望に忠実なチャンウク(イ・ヒジュン扮)、そして一番年下の素朴な新人船員トンシク(ユチョン扮)という面々が乗っているのですが、チョルジュがお金のために中国朝鮮族からなる密航者たちを漁船で運ぶことにしたことから、すべてのバランスが崩れ去る様を描いています。


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俺が最後まで守ってあげるよ


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この船は俺に任せろ


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無事行けるんですよね?


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女もいるよな?


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人の命が一番大事だ


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何もなかったんだよ


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金はいくらくれるって?

このポスターの文言だけで、映画のストーリーがおおよそ推察できてしまいます。

企画・制作、ポン・ジュノ。
監督は『殺人の追憶』の脚本を書いたシム・ソンボ。
こう聞くと、すごそうですよね。

公開前のこの映画への宣伝文句は、大方こんな感じでした。

“大漁の夢を抱いて船出した6名の船員が、一寸先も見通せない海霧の中密航者を運ぶことになり、制御不能の事件に巻き込まれていく様を描いたこの映画には、撮影から美術、編集、メイク、音楽にいたるまで韓国映画界の中心に立つ最強の制作者が集まり、実話を髣髴させるような極限のリアリティを描き出している。”

この映画は「極限状態での人間の本性を余すことなく描いている」と評され、俳優たちも「見終えた後、自分自身は登場人物の誰に一番近いか、考えてみて欲しい」などと語りかけていました。

“善良な普通の人たちが、選択の余地のない極限状態に置かれ、どんどん自分を見失っていく。その中で露わになる人間の本性とむき出しのエゴを描いた映画”。

そんなふうにざっくり頭に入れ、「暗いけど面白そう」とぼんやり期待しつつ見に行ったのですが、少なくとも私が見た率直な感想としては、まったくそういう次元の映画ではなかったです。
どう誘導されても、そういう宣伝文句どおりの感想に至るのは難しいかな。というか、それは無理筋?!
俳優陣の演技には文句など当然ないのですが、制作者が大事なものを見落としていることに気づいていないと言いますか、「どうだ、すごいの作っただろう!」と悦に入ってる感じだけが伝わってきて、色んな意味で残念な映画でした。

いやー、ポン・ジュノ監督、嫌いじゃないのですが、これはポン・ジュノさんの企画を別の人が演出したからこうなったのか、誰が撮っても素材が悪いのか・・・・・・。その辺は分かりようもありませんが。

映画の内容がよろしくないということは観客の反応にも現れていて、公開当初は韓国映画100万人動員記録を最短で更新したものの、結局は動員数145万弱とまったく奮わず。
キム・ユンシクさんとユチョンという組み合わせ+ポン・ジュノ組ということで、ユチョンファン筆頭にはじめこそ人が入りましたが、やっぱり駄目でしたねぇ。

映画をただ観て帰るだけだったら、あまりの後味の悪さと無内容ぶりに頭にきたかもしれませんが、観終えた後に舞台挨拶があったため、かなり中和できました。(笑)

これが、その日のユチョンの爽やかなお姿。


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実は舞台から遠い遠い席だったのですが、それでも生ユチョンは素敵でした。
やっぱりスターは違います。(笑)

ひと通り俳優たちの挨拶を終えた後は、観客をバッグに恒例の記念撮影。

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私もこの中に豆粒ほど映っておりますが、どう考えても本人以外に探し出すのは難しそうです。(笑)

せっかくなのでこの日の舞台挨拶の動画を。

こちらの動画は、ピンポイントでユチョンから挨拶開始。

なのですが。

かなり遠いところからのものですので、解像度を上げて見ないとユチョンの顔が見えないかも知れません。(笑)

私が見たのも、まさにこんな感じの臨場感でした。(笑)

みなさんスマホを取り出して、必死の撮影会。

はじめに監督、その後キム・ユンソクさん、その次にユチョンさん、中国朝鮮族の密航者ホンメ役のハン・イェリンさん、イ・ヒジュンさんと続くのですが、イ・ヒジュンさんの番になると謎にもすさまじい歓声が上がってました。(笑)

こちらは取材に来ていたメディアによる映像。
解像度を上げるとユチョンの綺麗なお顔がさらにクリアです。

どうせなので、ユチョンさんの部分だけ訳もつけてみました。


こんにちは。パク・ユチョンです。
おかしくなるしかなかったんです。(注:直前の挨拶でキム・ユンソクさんに「映画の中で一番おかしいのは、トンシク(ユチョン扮)だ」と言われたのを受けて)
ともあれ、僕たちの映画を観てくださって感謝申し上げるとともに、帰り道にビールを一杯飲みながら『海霧』の話もたくさんしていただけたらと思います。
今後も『海霧』についてたくさん口コミで広めていただいて、愛してくださればと思います。
ありがとうございました。

ああ、こう言われていたのに酷評してしまった私・・・・・・。

不義理でごめんなさい。

ちなみにこの映画、原作はポン・ジュノ監督ではなく小説家のキム・ミンジョン(김민정)さんの同名戯曲集『海霧』。
こういうのは原作を読んでみるとまた違った魅力があったりもしますよね。

テレビの時代劇で斬り合いを見るだけでも怖くて眠れなくなるという友人を、ここまで残虐な場面があるとは知らずに一緒に連れて行ってしまい、とんだ嫌がらせになってしまった私。
「耳をふさいでも聞こえるよぉ」と震える傍で、申し訳なくてたまらなかったのは言うまでもありません。
観終えた後、「だからポン・ジュノの映画は嫌」とぐったりしていた友人の機嫌も若干直してくれたユチョンさんの爽やかな姿に、本当に心から感謝です。

残虐なシーンが苦手な方は、くれぐれもご注意くださいませ。
いや、ほんとに、結構耳に残ります。(笑)

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この映画も日本に入ってくるんでしょうね、きっと。
楽しみにされている方もいらっしゃるでしょうに、芳しくない感想ですみません。

『群盗』は好みが分かれると言われていたのですが、実際観てみて一体どのへんが分かれるのか分かりませんでした。いえ、分かるのですが、分かってもなお「そこそんなにマイナスポイントになる?」と思うほど、ほんとにフツーに面白かったです。(笑)

そのうちまた、面白かった『群盗』と、キム・ナムギルさんのお初な根アカキャラが意外にはまっていた万人向けエンターテインメント『海賊』についても、ご紹介しようと思います。