6 2015年4月
みなさま、こんにちは。
今日は4月25日から東京を皮切りに公開される韓国映画『群盗』についてアップしようと思います。
やはりきましたね~、この映画。
昨年の夏、韓国でこの映画を楽しく観てきた私としては、公開は嬉しい知らせです。
『群盗(ぐんとう)』の原題は“군도:민란의 시대/群盗:民乱の時代”。
昨年の7月23日に夏休みの4つの大作映画のうち一番最初に公開されました。
主演はハ・ジョンウさんとカン・ドンウォンさん。
他に、イ・ギョンヨンさん、イ・ソンミンさん、マ・ドンソクさん、チョ・ジヌンさん、キム・ソンギュンさん、そして女性の主な出演者としてユン・ジヘさん。ユン・ジヘさんはドラマ『ファントム』に出演されていた方ですね。
主なキャスト以外にも、友情出演のキャストまで豪華な『群盗』。
『10人の泥棒たち』のキム・ヘスクさんや『海霧』のハン・イェリさん、『息もできない』のキム・コッピさんなども出演しています。
こちらは韓国でのポスターです。
この映画については以前紹介を詳しく書いていますので、よろしければそちらもご覧ください。(リンクはコチラ)
観終えた後に感想を書こうと思っていたのですが、そのうちと思っているうちに日本公開に先を越されてしまいました。
ネタバレ満載のレビュー書かなくて、かえって良かったと思うことにします。(笑)
この映画は朝鮮王朝末期を背景に、被差別階級の力なき民草トチが悪行の限りを尽くす武官チョ・ユンに復讐すべく、義賊に加わり戦う物語り。
時折見られる大胆な戯画化、マカロニ・ウエスタンな音楽、映像の鮮やかさなど、楽しめる要素の非常に多い映画です。
1979年生まれのユン・ジョンビン(윤종빈)監督が映画の原案と演出を担当しているのですが、狙い通りに素直にワクワクさせられてしまうし、観客を終始映画に集中させる緩急のつけ方も絶妙でした。
なんですが。
実はこの映画、思ったほどには観客動員数が伸びなかったんです。
4,774,931名というのが、この映画の観客動員公式スコア。
意外にも500万に届かなかったんですよね。
当初はもっと動員数が伸びるイメージがあったのですが、損益分岐点を越えたあたりでピタッと客足が止まってしまい。
勿論、470万強も決して少ない数字ではないのですが。
なぜこのレベルで止まったのか正確には分かりかねますが、要因として考えられるのは、この映画公開の1週間後に『鳴梁/ミョンリャン』が公開された点があげられそうです。
『鳴梁/ミョンリャン』は韓国歴代1位のスコアとなる1700万人を動員した映画です。これだけの数字をたたき出すには当然圧倒的な劇場数が必要とされるので、『鳴梁/ミョンリャン』に追われた感は否めないでしょう。制作・配給ともにCJ E&Mが担っている点は見過ごせません。
CJ E&MはシネコンのCGVを系列社としているので、CJ E&M制作・配給の映画は相当なスクリーンを獲得できると見て差し支えないでしょう。
そういえば、今年2月までに1400万人もの観客動員を記録した『国際市場』(邦題仮)も、CJ E&M制作・配給と同じパターンでした。
・・・・・・にわかに眉がひそまってきます。(笑)
数字として把握できていないのですが、『群盗』の上映館数がガクッと減った時点と『鳴梁/ミョンリャン』に割り当てられた上映館数や時間帯を比べられれば、急に客足がやんだのが上映館数が減ったせいかどうか、ある程度見えてくるのでしょうね。
巷の意見では「『群盗』のほうが『鳴梁/ミョンリャン』よりも遥かに面白かった」とする声が多いのですが、私もそう思っているうちの一人です。
ただ、それとは別に、『群盗』には辛口のレビューも割りと見受けられました。
内容としては、「隅々までよく出来た豪華な娯楽映画なのに、観客の心の置き所がなかった」ということに集約できるかと思います。
「民草を苦しめる朝鮮王朝末期の為政者に立ち向かう、義賊の物語り」。そのうたい文句に惹かれて観に行った観客たちにとっては期待値に満たない部分があることは、実際に観てきた私も同意できます。
辛めの評価を下した人の多くは、正義を求めているんですよね。
勧善懲悪とまでいかなくても、民を苦しめるものに胸のすく一撃は加えて欲しいと。
正義や公正さをも体現する一大娯楽作品を期待した気持ちが、失望を生んだ面があるのだと思います。
私自身は、いくつかの不足に同意しつつも、ここまで作れた『群盗』は、充分ではないかと思っています。少なくとも私には娯楽映画としてこの映画は大いにアリでしたし、面白かったです。
それに、毎回100%充足させる映画なんて、そんなに生まれないんじゃないのかなぁ、と。(笑)
ストーリー完璧で、映像美も優れてて、観客を魅了してやまず、その上人生のカタルシスまで与えてくれて。なんてことであれば勿論最上ですが、そこまで望まなくてもという気もします。
ただ、辛い評価をつけた観客の望むところには共感できるので、娯楽映画だとしても表層的ではないもの、深みのあるものをと求める人々の姿勢は、好きです。
コチラが『群盗』日本公式サイトです。
公開スケジュールなどが掲載されているので、食指の動いた方はチェックされてみてください。
「全国順次公開」とはいえ、目下のところは17の都道府県となっています。
ちなみにこの映画、昨年末韓国で放送していた『未生/ミセン』を見た人なら、また違う楽しみを見出せるのではないでしょうか。
なにしろ『未生/ミセン』では敵役だったイ・ソンミンさんとイ・ギョンヨンさんが、ここでは固く結ばれた同志として描かれています。
イ・ソンミンさんがかっこいいんですよね。
『未生/ミセン』を見た後だと、もっとカッコよく見えてしまうという。(笑)
公式サイト内にもありますが、予告編も貼っておきますね。
みなさまも、もしお近くで上映がありましたら、是非ご覧になってみてください。
娯楽映画として楽しんで頂けるのではないかと思います。
そしてカン・ドンウォンさんは。
やっぱり綺麗でした。
美しく描きすぎたのが辛口評価に繋がっている説も、実はあります。(笑)
ちなみに同じ配給会社で、やはり去年の夏公開されたソン・イェジンさんとキム・ナムギルさん主演映画“해적:바다로 간 산족/海賊:海に向かった山賊”も初夏頃公開とありました。
日本でのタイトルは『パイレーツ』だそうです。
ちょっと笑ってしまいました。
まぁ、確かに。
露骨なまでに「韓国版“パイレーツ・オブ・カリビアン”を狙った映画」なので、タイトルも色々まんまということで。
![]() |
実はイ・ギョンヨンさん、『パイレーツ』にも出演されてます。
同じ時期にこっちでも見てあっちでも見かけると、観客としてはなんだか変な感じがしたりも正直ありつつ・・・・・・。(笑)
『パイレーツ』も、日本公開にあわせてそのうちご紹介しようと思います。
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12 Responses for "映画『群盗』 4月25日より全国順次公開
ハ・ジョンウ カン・ドンウォン"
また失礼いたします。 韓国映画も仕事でソウルに行った時や、新宿・渋谷あたりで少しずつ観ているだけですが、ハ・ジョンウさんは『テロ・ライブ』で凄く印象的でしたので、『群盗』も観たいと思います。御ブログにて、いろいろとお教えいただけるので嬉しいです。
naoさま
こんにちは。
コメントどうもありがとうございます。
お役に立てましたなら、私も嬉しいです。(*^_^*)
『テロ、ライブ』のハ・ジョンウさん、緊迫感のある演技がとても良かったですよね。
『群盗』は多彩な魅力の共演者たちが登場するので、お楽しみになれると思います。
そういえば、『テロ、ライブ』でハ・ジョンウさんを利用する上司役だったキム・ギョンヨンさんと、この映画でも共演されてましたね。お返事書きながら思い出しました。(^^)
ありがとうございました。
白香夏様
重ねて、ありがとうございました。 キム・ギョンヨンさんといえば、『南営洞1985』のあの拷問官役をこなされた方でしたか? ことのほか重厚感・存在感にあふれる役者さんでいらっしゃいますよねーー『群盗』、楽しみです。及ばずながら、物語のことを考える仕事柄&根っからの韓国好きで、韓国ドラマ・映画の周辺を気ままに徘徊している老婆でございまして(きのう初めて御ブログに到達させていただきました)、よろずピント外れではございますが、よろしくお願い申し上げます。
naoさま
こんにちは。
コメントどうもありがとうございます。(*^_^*)
『南営洞1985』、ご覧になったのですね。そうです、キム・ギョンヨンさんです。
映画のモデルである金槿泰(キム・グンテ)さんが亡くなった約1年後に公開されたので、本当に重苦しい気持ちで観た映画でした。
この映画は短い期間ながら日本でも公開されたのですよね。
私のほうこそ、どうぞよろしくお願い申し上げます。
よろしければ、いつでも遊びにいらしてくださいませ。お待ち申し上げております。
ありがとうございました。(^_^)
白香夏さま
ご丁寧にありがとうございます。 『南営洞~』は、昔から尊敬する俳優さん(アン・ソンギ)の『南部軍』を観るついで(チョンジヨン監督特集だったかで)に観たのですが、ほんとうに重い作品でしたーー85年の前後数年間、韓国で仕事をしていたこともあり(たまたま『花男』のロケ地のキャンパスで、笑)、あのころの秘史としても興味深いばかりか、テーマ的に知っておくべき作品だとも思いました。
今日は、海老蔵さんの『源氏物語』を観る(これは少し仕事がらみの鑑賞。感想は・・・ですが、笑)前に時間が空いたので、『傷だらけの二人』を観ました。不治の病モノはずるいな・・と思いながらも泣かされましたが、ファン・ジョンミンさんはいつも何とも言えない力を感じさせる方ですね・・・『国際市場』はたまたま去年プサンで観て、泣き放題でした(笑、ちょうど渡韓した時期が離散家族の再会が始まった時でしたので、あの問題も他人事とは思えないところがありまして・・)。 などなど、年寄りが長々と勝手なことを綴ってしまいました、すみません。 これからもよろしくお願い申し上げます。
naoさま
こんにちは。
コメントどうもありがとうございます。(*^_^*)
アン・ソンギさんがお好きでいらっしゃるのですね。
まさに今日から、新作映画“화장/ファジャン”が公開ですね。タイトルは「火葬」と「化粧」のダブルミーニングだそうですが。
きっと日本でも公開されますよね。
ファン・ジョンミンさんの『国際市場』は観ていないのですが、評価の分かれる映画なので自分の目で観て確かめたいと思っているところです。『新しき世界』での演技がとても素晴らしかったので、なかなかそのイメージが抜けないのですが。
ありがとうございました。(^_^)
白香夏さま
お疲れのところ有難うございました。このあいだ所用(知人のお子さんのS大!合格お祝いーー韓国は受験戦争がほんとに熾烈ですよね・・)でソウルに行った折に、『ファジャン』の予告チラシを持って帰って、オフィスに貼っています(笑)…日本でも公開されるとよいのですが・・。先月のその折りには、イ・ミノssi主演「江南1970」を観られるだけ観てきたのですが(笑)。 『国際市場』については、一緒に観た連れ合いの反応は、たしかにクールなものでした・・・。
『新しき世界』はDVDで観ただけですが(ミノssiご推奨でしたので、笑)、ジョンミンさん・ジョンジェさん・・・皆さん本当によかったですね。 などなど、ぼちぼちしか観ていない韓国映画ですが、ドラマやステージなどの韓流巡りも、ご指南いただきながら、これからも楽しんで続けられれば嬉しいです。どうぞよろしくお願いもうしあげます。
naoさま
こんにちは。
コメントどうもありがとうございます。(*^_^*)
『新しき世界』、イ・ミノさんご推奨作品でもあったのですね。ノワール映画はあまたありますが、私の中ではあの映画は格別な深みを感じられるものでした。
話していたら、もう一度見直したくなりますね。(笑)
ありがとうございました。
白香夏さま
『群盗』ようやく観てまいりました。 おっしゃるとおり、とても佳い作品だと感じました。 カン・ドンウォンさんは素晴らしく鋭い華麗さ(これまであまりこの方の作は観ていませんでしたが・・たしかに文句がでるほど!?の美しさですよね、笑)でしたし、なによりハ・ジョンウさん、そしてイ・ギョンヨンさん、イ・ソンミンさん、チョ・ジヌンさんのそれぞれ重量級の存在感・・・とにかく無敵の布陣でした。 白香夏さんがお書きになっていらっしゃるように、娯楽作品としてのカタルシスを求める向きには肩すかしのところもあるかもしれませんね。でも、勧善懲悪的な枠組みが壊れてしまうほどの、ナニかを心に残す作品が、わたくしなども好きです・・・。 おかげさまで、楽しく鑑賞できました、ありがとうございました。
naoさま
こんにちは。
コメントどうもありがとうございます。(*^_^*)
『群盗』ご覧になられたのですね。
楽しくご鑑賞されたそうで、なによりでした。
カン・ドンウォンさんが美しすぎますよね。あんなに悪役なのに、私もつい見入ってしまっていました。(笑)
カン・ドンウォンさんは韓国の美形俳優部門を長らく代表する方ですが、どことなく影があるというかつかめない感じがあって、そんなところも魅力に感じています。
感想を共有させてくださってありがとうございました。(^^)
白香夏さま
六龍以外のところで、お邪魔しております
終盤4話ツラすぎて見る勇気がなく、白香夏さんの解説で
十分見た気になって終了してしまいました(^_^;)
ヨニ&バンジのダイジェスト映像で泣いてましたから・・・。
ただ今ドラマ「シグナル」の余韻から抜け出せず、チョジヌンマジックに
かかってしまい(笑)出演作品を検索したところ、すぐ見れそうなのが
「群盗」だったのですが・・・
予備知識間違いしてしまってまして、ええ、家族を殺される男の復讐劇みたいな解説と
カンドンウォン氏の写真(by WOWOW)から、カンドンウォン氏が家族殺された主人公
って思って見てしまい、あれ?あれれ?悪役ですか??ビジュアル的に悪役と
思ってたハジョンウ氏がいい役?って真逆の誤認です(苦笑)
ハジョウン氏の妹役→チョサグァン!と六龍見してしまったり
白香夏さんの解説通り、未生のお二人が仲睦ましくて、必要以上に心和んだり
全く違った見方をしている自分に気づきました(笑)
お目当てだったチョジヌン氏は、まぁ普通な感じのポジションでしたね。
死ななくてよかったです(^_^;)
未生→シグナルでキムウォンソク監督にハズレなしっ!と成均館も再視聴中で
ユアイン氏も今なら違って見える!役者さんとなりました。これも六龍効果です。
ぜひともシグナルも見ていただき白香夏さんの感想をアップしていただきたい!
リクエストも含ませつつ・・・場所違ってますが、六龍解説、本当にありがとうございました!
というお礼まで(^.^)/~~~
miyubonさま
こんにちは。
こめんとどうもありがとうございます。(*^_^*)
確かにイメージ的にはカン・ドンウォンさんがいい役でハ・ジョンウさんが悪役みたいな感じがしますよね。
でもこの映画、正しくは「悪役のはずのカン・ドンウォンが憎めない!」というジレンマを引き起こす映画だったという。(笑)
面白かったですし、カン・ドンウォンさんはなにを演じても美しいのですが、映画のストーリーとしては最後にあと一歩の爽快感が欲しい映画でした。
チョ・ジヌンさんも出ていらっしゃいましたね、そういえば。
確かに最後まで死ななくて幸いでした。(笑)
「六龍」は最後のほうは確かにくじけます。
私もずっと半年も熱中してきたので、すっかり気が抜けてしまいました。
やはり全50話は長かったです。(笑)
「シグナル」は、私も実は見ています!面白いですよね~。
ラストまでの数話をまだ見れていないのですが、見終えたら感想を書きたいと思っていました。
書かずにおれないほど斬新で面白いです。
チョ・ジヌンさん、「シグナル」で魅力爆発ですよね。
チョ・ジヌンさんの出演作といえば、シグナルつながりで言うとイ・ジェフンさんと共演している「パパロッティ」がありますね。
チョ・ジヌンさんの分量は多くはないのですが、主人公に影響を与える「いい役」でした。
ありがとうございました。(^^)
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