みなさま、こんにちは。

長丁場なのに結構魅せてくれるドラマ、『六龍が飛ぶ』。
飽きさせもせず、順調に面白いです。
本日も13話、まいります。

第13話は私なりのまとめなので、時系列ではありません。

私が韓国ドラマを見ていてたびたび感じるのが、脚本家が世相を意識しているなということ。
勝ち取ってきた民主化を根こそぎもぎ取られるような、非民主的な現在の韓国政治状況ですが、そうした状況におもねって積極的に補完するような番組がつくられる一方、登場人物の言葉を借りつつ、骨のあること、普遍的な価値を語ろうとするドラマもあり。
今のところこの『六龍が飛ぶ』の台詞は、なかなかいいですね。
感じます。なんだか、骨を。(笑)

13話。主軸をなすストーリーは、政治に入ったイ・ソンゲがチョン・ドジョンの策に従わず、ホン・インバンとの政治的連合を真っ向から拒否することによって生じた新たな変数と、その行方の暗示ということで要約できるでしょうか。

って、一文で終わってしまいましたが。(笑)

チョン・ドジョンはイ・ソンゲを政治入りさせるにあたり、当面はイ・インギョムの座を奪い最高権力者となるホン・インバンと連合させることで、イ・ソンゲの足場固めを図ろうとしていたのですが、イ・ソンゲはまったくそんなつもりはなく、自ら手を切ってきてしまうんです。

6 flying dragons13image5

ホン・インバンのような輩と手を組めば、自分を信じてくれている百姓から信頼を失い、結果的に自ら弱くなるからとイ・ソンゲは理由をチョン・ドジョンに述べるのですが、この時までチョン・ドジョンはイ・ソンゲがイメージ管理のために言っていると思っていたんですよね。「案外欲深いのだな」とも。

ところが、バンウォンが戻ってきた後、父が息子に、二度とあのような卑怯な真似をする父にはならないと語っているのを聞いてしまい、イ・ソンゲという人間が守ろうとしているのは徹底的に家族であり、自ら守るべき集団なのだと理解するにいたり。

6 flying dragons13image10

人柄を理解し、新たな策を練るようになります。

親子再会の前に展開されていたのが、チョン・ドジョンとバンウォン、初めての師匠と弟子としての対話。

牢から救い出されたバンウォンが、命を救い弟子にしてくれたことを感謝したあとで「父を政治の座に上げて、本当に勝たせられるのか」と問うシーンがあるのですが、これがなかなかでした。

こちらの動画です。



“난세의 도를 쓰지 않고 스승님의 옳은 방법으로 그들과 싸워 이길 수 있는 것입니까? 그들을 방벌할 수 있는 것입니까? 제가 보아온 백성들은 옳은 사람을 좋아하기 보단 이기는 사람을 좋아합니다.
아버지요..?청렴해서 좋아하는 것이 아닙니다. 이겨서예요. 백전백승의 장수라서요.
그런 분이 드디어 정치의 세계에 뛰어드신 겁니다. 이겨야 합니다. 이기지 않으면 백성들은 바로 아버지를 버릴 겁니다. 이기셔야 합니다! 반드시 이기셔야…”

“이긴다,이길 것이다”

「乱世のやり方ではなく、師匠の正しい方法で彼らと戦って、勝てるのですか? 彼らを放伐することが出来るのですか? 私が見てきた百姓は、正しい者よりも、勝つ者を好みます。
父? 清廉だから慕われているわけではありません。勝つからです。百戦百勝の将だからです。
そんな方がとうとう政治の世界に飛び込まれたのです。
勝たねばなりません。勝たなければ、百姓はすぐさま父を捨てるでしょう。勝って下さらねばなりません! 必ずや、勝って下さらねば・・・・・・」

「勝つ。勝ってみせる」

ん~~~~!

と、一気に現実政治に引き戻された視聴者。

この台詞を書いた脚本家のかたも、恐らく切実に勝って欲しいんでしょうね。公正で清廉で正しい人が、現実政治の世界でも。強いものに巻かれていくのが世の常だからこそ、なおさら。

正直申しまして、このシーンが私のこの回一番のシーンでした。
かと言って、ここで終わるのもあれなので。(笑)

その他、この回では視聴者が急展開過ぎるラブ状況にいま一つついていけていなかった、主人公バンウォンとプニの恋愛が、大きな転換点を迎えました。

プニが、子どもの時のあのプニだとチョン・ドジョンの言葉からようやく気づき、嬉しくてたまらないバンウォンが、拷問で傷をおった自分を心底心配してくれるプニに喜びを爆発させ、ガバッ! といったりするんです。
君が穀物庫を燃やした時から、僕の衣服を剥ぎ取った時から、僕を見て逃げた時から、この子は俺のものだと思ったんだ、などと告白も交えつつ。

6 flying dragons13image2

「またか!」とこの時点では引いてみていた視聴者なのですが、どうしてどうして。大どんでん返し、きました。
プニがバンウォンを避けるっていう。

プニが避ける理由は、バンウォンにガバッとこられて、兄タンセとヨニを思い出してしまったからなんです。
バンウォンに間違いなく惹かれつつも、タンセとヨニを思い出し、自分だけ幸せになるなんて許せないと、自らブレーキをかけてしまったんですよね、プニ。

あなたのものになる気はない、恋だの愛だのは自分には縁のない話、あなたがイ・バンウォンなのがなおさら気に入らないなどと、理由にもならない理由でバンウォンを突き放すプニ。

そのシーンはこちらです。

こういう展開だったんですね~。

やたらこの二人のラブが急ピッチで進むので、ラブモードのOSTでもガンガン売り込もうとしているのかと勝手にうがっていましたが、なんという早合点だったのでしょう。(笑)

いやしかし、まさかバンウォンとの恋を、タンセとヨニへの負い目で封じ込める筋書きだったなんて。やりますね~。
主役二人の恋物語が俄然輝いてきました。(笑)

その後もバンウォンは、プニに家族がいないことを知り、自分がプニの家族になりたい、恋人になりたいと改めて思いを伝えるのですが、プニは家族など要らない、恋人になったところで、結局は身分違いなのだから妾になるのがせいぜいじゃないか、そんなのは自分は嫌だとまたしても拒絶。
そこまで言われると、バンウォンもさすがに傷ついた面持ちで去っていくわけですが。

遠ざかって行くバンウォンの背中を見ながら、プニの本心が独白で流れます。

『私は家族なんてつくらない。誰かに想われるなんて、あまりに厚顔だわ。兄に対して』

以下がそのシーンです。

この二人、身分違い以上の障壁がありましたね。

タンセとヨニへの負い目が差し挟まれるとなると、この恋は厳しいです。

そのタンセについて、まいりましょうか。

まずは前回の宿題。キル・テミの偵察。

実はカップニ、ちゃんと危機を察してました。
「キル・テミが来た!」と青い顔でタンセに伝えるカップニ。

出てきたタンセは「仮面をとれ」と言われてしぶしぶ取るのですが、とってみたら別人でした。
タンセが機転を利かせたのです。

一旦危機を脱するタンセのシーンは、こちらです。

前回も今回も、キル・テミの前に現れた仮面の男の声はタンセだと思ったのですが、よく見たら穴から見える目が、一重だったんですよね。前回も、目が小さいなとは思ったんですが。

ってことは、あの声も、タンセじゃない?!

真相をご存知のかた、どうぞご一報を。(笑)

キル・テミが講談師/講唱師を追っている話は、くノ一仲間からヨニにも伝わり。
タンセを案じるヨニはタンセを呼び出すと、今まで自分は幸せに過ごしてきたのに、タンセと再会してから生き辛さを感じている、だから都をすぐに去って欲しいと本音を隠して告げ。

6 flying dragons13image15

実は、危険が迫っているのに都を去らないタンセについては、カップニも「あの日ヨニって人に会ったせいでしょ?」と気づいてるんですよね。

ヨニにも都を去って欲しいといわれたので、タンセもそうしようかと思い始めていただろう(推測)矢先、チョンニョン和尚の手下に見つかってしまうタンセ。

カップニを連れて猛ダッシュで逃げるのですが、麻酔を塗った吹き矢が腕に刺さってしまい。

6 flying dragons13image25

6 flying dragons13image30

チョンニョン和尚のピグク寺一派とは競合関係にある、チョヨン率いるファサダンの敷地内に、カップニが時間を稼いでいる間に逃げ込んで、薬が切れるのを待つことにします。

タンセが身を隠しているとは露知らぬチョヨンは手下に指示を与え。
チャヨンが残忍さで悪名の高い「チャイルセク」を残しチョン・ドジョンのことを尋ね始めたため、ひとめ姿を見ておこうと隙間から覗くタンセなのですが・・・・・・。

6 flying dragons13image35

6 flying dragons13image36

怖っっ!!(笑)

なんのギャグかと思っちゃいました。
大真面目なシーンなのに、この目のおかげで一瞬筋が飛んだほど。
片目というだけでもギョッとするのに、加えて「驚愕している片目」なので。
強烈でした。(笑)

チョヨンの手下として働くヨニの後をひそかに追うタンセは、ヨニがチョン・ドジョンと会うのを見て二重スパイだと気づき、なぜこんな危険なことをしているのか、どうしてこんなことに巻き込まれてしまったのかと、いても立ってもいられません。

思わずヨニの前に姿を現すものの、まだ都にいたのか、こんなふうに夜中に訪ねてきたりしないで欲しいと言われ、禁断の名を口にします。

「チャイルセク」

6 flying dragons13image40

どうしてこんな危ないことをしているのかと責めるように問うタンセに、ヨニが返した言葉は、タンセのあだ名、刺客「カチドクサ(カササギマムシ)」でした。

こちらのシーンも動画でご覧ください。



“자일색, 전설의 흑첩. 잔혹하기로 풍문이 자자한 자일색…너야? 이게 행복하게 잘사는 거야? 더구나 이중세작. 양쪽에서 언제든지 죽일 수 있는 이중세작으로… 연희야. 니가 왜? 니가 대체 왜!! 이런 무섭고 위험하기 짝이 없는 일을 해야 돼? 말해,왜!”
​​
“넌?”

“나야 강창사 질이라도 하면서…”

“까치..독사…까치독사. 백윤을 죽이고 이 나라 도당과 모든 정치 세력을 휘저어놓은 대자객께서 내게 하실 말씀은 아닌것 같은데.”​

「チャイルセク、伝説の“黒帖”。残酷だと噂の絶えないチャイルセクは・・・・・・お前なのか? これが幸せな暮らしか? しかも、二重諜報(スパイ)だなんて。双方からいつでも命を狙われる二重諜報を、ヨニ、なぜお前が? 一体なぜだ? こんなに恐ろしく危険極まりないことを、なぜやっている? 
答えろ! なぜなんだ?」 

「あんたは?」

「俺は、講唱師をやりながら・・・・・・」

「カチドクサ(カササギマムシ)・・・・・・。ペク・ユンを殺し、この国の政府とあらゆる政治勢力を引っ掻き回している大刺客様が、私にそんなことを言える筋合いなの?」

ヨニ・・・・・・。(悲)

互いにあの日の悪夢が引き金になっていて今があり。でもどちらも危険な目にはあって欲しくなくて。かと言って、会えば嬉しいよりもつらい。

なかなか厳しいです。
ヨニは特に、タンセにはなにも知られたくないでしょうしね。

こんな感じで終わる13話です。

ちなみにこの回で登場する、重要な集団&人物がいまして。

チョン・ドジョンもホン・インバンも、我が派に引き込みたいと狙っている勢力。

統一新羅の時代から700年もの間続いてきた貴族集団、海東甲族(ヘドンカプチョク)。
彼らはこれまでイ・インギョムの管理下にあり、イ・インギョム失脚後はホン・インバンが味方につけようとしていました。チョン・ドジョンも政治と距離を置いている彼らをイ・ソンゲ一派にしようと構想しています。

この集団の頭領の娘ミン・ダギョンは、政治を大局で見通せる眼力の持ち主。
のちのバンウォンの妻です。

6 flying dragons13image20

なんだかあちこちで悲恋の予感。

そんなわけですが、最後にこの人を登場させないわけにはいきません。

6 flying dragons13image3



・・・・・・薄化粧入ってるんですが。(笑)

なんですかね、この演出?

ホン・インバンの悪党度合いが上がるほど、メイクが濃くなる仕組み?

面白すぎます。(笑)



悪党が気づけばメイク顔になってるなど、演出面でも結構面白いです。ホン・インバンのアイシャドーがどこまで濃い色になるか、ストーリーそっちのけでこれから見てしまいそう。(笑)

そしてふと思い出されるキル・テミの双子の弟(兄?)
あの人はもう出てこないのだろうかなどとも思ったり。
でも、キル・テミの双子。
今となってはキル・テミよりも弱そうに思えてきます。
恐らく、メイクしていないせいで。

ああ、刷り込み。(笑)