みなさま、こんにちは。

激動する朝鮮建国初期を扱ったこのドラマも、いよいよ大詰めに突入しました。
44話、早速まいります。

ドラマが山場へ向かう一方、実は現実の政治にも目の離せない状況が続いていた韓国。
久しぶりにドラマ以上に本物の政治がドラマティックでした。

テロの防止をうたいつつ、内実は自国民に対しほぼフリーハンドの「査察」権限を公安機関に与えることを可能にする「テロ防止法」という法案が審議も不十分なまま議長権限で上程されてしまったのですが、評決に持ち込まれれば数の論理で負ける野党が精一杯の対抗措置として2月23日から47年ぶりにフィリバスター(無制限討論)を始めたんです。

残念ながら昨夜がタイムリミットで終えなければならなかったのですが、計9日間にわたり法案の問題点を演説し続けた野党議員たちは、結果的に192時間のフィリバスター世界記録をうちたて。
記録よりも、語っている内容と気迫に感動してしまいました。

韓国の国会は「国会放送」というチャンネルでテレビでもネットでも生中継で見れるようになっているのですが、一人で5時間、長い人では10時間、12時間ものあいだ国会に立ち、法案の問題点を整理したり、市民の守られるべき権利について訴えていて、中には感動の名演説も何度かあり。「六龍」ファンとしては時々チョン・ドジョンの台詞を聞いている気分にもなりました。
「ジャントガル!」と興奮。女性議員でしたが。(笑)

数にものを言わせて悪法を通すさまを目撃しながら、主権者である国民を恐れもしない政治家は結局選挙で排除する以外ないのだなと痛切に感じたここ数日でもありました。

さて、というわけで、六龍。
こちらもなかなかドラマティックな展開です。

チョン・モンジュを明に送れという無理な要求に、絶対に応じてはならないと王に進言する主要官吏たち。

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ヨニもチョン・モンジュに決して行ってはならないと進言していました。
恐らく女真族同化政策を快く思っていなかった明と「無名/ムミョン」、バンウォンの利害が一致した結果だろうとヨニ。

病床に伏す王妃も、バンソクのために絶対にチョン・ドジョンを明に送らないで欲しいと王に懇願します。

一方バンウォンは、身内を集めて作戦会議。
自分が明に渡る前に頼んでおいた秘密兵器となるものを出して欲しいとお願いします。

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妻ミン・ダギョンは、バンウォンの言いつけどおりチョ・マルセンを成均館を入れておいたと返答。
義父は「ポウン(チョン・モンジュ)以降最も尊敬されている儒学者」と前置きし、ある人物をバンウォンに引き合わせます。
その人物クォン・グンはチョン・ドジョンの側近と目されていただけに驚くバンウォンですが、クォン・グンは宰相制度ではなく強力な王権が必要と考えていたためバンウォンの側につくことにしたのでした。
もしバンウォンが王になったら、チョン・モンジュの名誉を回復し慰霊して欲しいとの願いに応じるバンウォン。

このあたり、上手いですよね。
実際にイ・バンウォンは、王になったあとチョン・モンジュを高麗最後の忠臣として名誉回復し、手厚く慰霊していますので。

さて、議会では。
チョン・ドジョンを送るかどうかの激論が交わされ。
国境地帯の整備を誤解してのことだろうから、軍の総責任者であるチョン・ドジョンが直接いって誤解を解いたほうがいいと主張するハリュンは、ナム・ウンらと激しく対立します。
もし他の人を行かせれば、チョン・ドジョンは自分の保身に回った「小物」だと民に言われかねないぞというハリュンの言葉に、ナム・ウンは気色ばみ。

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同じ頃、バンウォンはイ・シンジョクに会いに行き、意志が変わっていないか確認しつつ、次なる出番に備えるよう言い伝え。

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バンウォンが何かを企む間も続く議論。

突如クォン・グンが自分がチョン・ドジョンをサポートして一緒に明に行き、無事連れ帰ってくると申し出たため、チョン・ドジョンの立場はさらに悪くなります。

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この一件で他の官吏たちからも「会議に出てもこない」などと影口を言われるようになるチョン・ドジョン。

その上、儒学生たちが集まり、チョン・ドジョンに明に行くよう嘆願を始めます。

主導するのは、チョ・マルセンでした。

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追い詰められる三峯/チョン・ドジョン。

どうか自分を明に行かせてくれと王に直訴します。

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人々からのそしりがそんなにつらいとは、三峯も普通の人間だなと答える王。
王は、儒学者として自己保身を指摘されることほどつらいことはないだろうと理解を示します。自分もそうだったのだと。チョン・モンジュがああなったあとも、チョン・ドジョンは謀反人としてさらし首にするよう言った。それが責任を取るということだと言いながら。だからチョン・ドジョンも今こうした圧力に屈してはならないのだと王。
チョン・ドジョンは王の言葉に頷くしかありません。

チョ・マルセンと話すバンウォンに、チョン・ドジョンはバンウォンが仕込んだのかと声をかけ。
そうだと答えるバンウォンに、儒学生たちのことではなく、明に自分を売ったのはバンウォンの仕業かと再び尋ねます。
自分にそんな力があるはずがないとバンウォンは答えますが、チョン・ドジョンはバンウォンのしていることを「私的な欲」だと再び糾弾。

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バンウォンは、なぜ自分だけが「政治」ではなく「私兵を守ろうとする『私的な欲』だと貶められるのか」と反発、自分は外交を行ってきたまでだと返します。
そもそも平和な国を建国すると言いながら、何度も軍事訓練を行ったことが明を刺激したのだというバンウォンに、建国初期に結んだ関係がその後の100年を決めることを思えば、軍事力と贈り物を適切に使い分けることが必要であり、それが外交だとチョン・ドジョンは答え。バンウォンのしていることは、その流れを断ち切っているだけだと非難します。

バンウォンはチョン・ドジョンにも私心があるではないかと返し、結局勝者の私心が「大義」となるのだと持論を展開します。その言葉に、自分は今回は負けたが、自分もまだ「毒手」は置いていないと不敵に言い残して去るチョン・ドジョンです。

チョン・ドジョンの言葉に胸騒ぎを覚え、弓の練習にも集中できないバンウォン。

そしてチョン・ドジョンは。

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全ての官職から降りてしまいます。

結局チョン・ドジョン以外の遣いが明に送られることに。

これらは全て王との間であらかじめ合意されたことでした。

その知らせに、三峯の「毒手」発言が脳裏をかすめるバンウォン。

一方、王妃にはいよいよ臨終が迫り。
バンウォンを呼んだ王妃は、息も絶え絶えに弟を守ってあげて欲しいと頼みます。
バンソクの手とバンウォンの手を取り、互いに重ねる王妃。

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「ご心配なく」と答えたバンウォンでしたが、次の瞬間、冷たく手をはなして立ち上がり。

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怖っ!

そのショックからというわけではないでしょうが、王妃は直後に亡くなってしまいます。

バンウォン、怖いわ~。

怖いバンウォン、動画も載せておきます。

イ・ソンゲも怖い。(笑)

しかし、ユ・アインさん、頬がこけてますね。
なにかの役作りでしょうか? 一気に痩せてきた気がするのですが。

その頃班村では。

チョク・サグァンが子どもたちが遊んでいる小屋を怪しみ、中を確認していました。
二重扉になっており、鍵がかかった奥に何かありそうだと気づくチョク・サグァン。出てきたところムヒュルに見つかり、誰の倉庫かとチョク・サグァンは尋ね。

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ムヒュルの祖母のものだと聞かされ、何かを言いかけてやめるチョク・サグァン。
そんな二人のやり取りを見ていたカップニは、無口なオク氏の妹がどうやらムヒュルの知り合いらしいとプニに報告します。

三峯は官職を退いたあと行方をくらまし、王もどこか遠くへ旅立ってしまい。
バンウォンは不安を拭い去ることが出来ません。
土地も軍も持たない三峯を恐れることはないと兄は言いますが、きっと強大な何かを考え出すに違いないと焦るバンウォン。

その頃「無名/ムミョン」のヨニャンのもとにもチョンニョン和尚から情報が伝えられていました。ファサ団の諜報員が大量に明に入っていることを把握したチョンニョン。

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鴨緑江付近でもファサ団の諜報員は目撃されたものの、チョン・ドジョンの行方はファサ団とイ・バンジによって守られているとチョンニョン和尚。
その時ユクサンも、とある情報を入手し駆けつけ。

自分がチョン・ドジョンの立場なら、勝算が3割でも私兵を廃止するために戦争を起こすが、チョン・ドジョンは7割の成功が見込めないと動かない人だと妻に語るバンウォン。
一方でバンウォンは気がかりなことをプニに確認に向かいます。

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三峯の持ち帰った赤い封筒の中身を見たかと尋ねるバンウォン。

プニは、班村の人間としてそのようなことには答えられないと返しますが、バンウォンは見たか見なかったかだけを教えて欲しいと尋ね。

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プニは、封を開ければ分かってしまうのでそんなことはしないと答えますが、また封印し直すことは簡単だとバンウォン。バンウォンは開けてないというプニに対し、開けたと断定します。
プニは最後まで開けていないと答えますが、洞窟でのプニの言葉を思い出すバンウォン。
『互いにとって危険な武器となる』という言葉は、女真族との何かしら大きな密約があったことを指しているのだろうと内心推測するバンウォンです。

ちなみにそのやりとりを、プニの部下の女の子がつぶさにみていて、班村に入ってきているチョン・ドジョンの弟に伝えます。赤い封筒のことをプニに聞いていた、と。

チョン・ドジョン、弟を班村に送り込んでいたのですね。
確かに、きな臭い場所です、班村。

バンウォンはハリュンに、もしやチョン・ドジョンは私兵廃止のために「遼東征伐」を起こすつもりではないかと尋ね。ハリュンは、確かに「遼東征伐のために兵を出せ」と言われたら、国の命令として誰もが従わざるをえない、そしてひとたび狩り出されれば、誰の命も保証されないと頷きます。
ただ、そのために明と戦争を起こしても、勝ち目は3割にもならないので無茶ではないかと悩む二人。
バンウォンはハリュンが仕込んでいる手下を通じて王の居所を割り出していたため、バンウォンは即座にムヒュルと王の元へ行こうとします。

バンウォンが旅立つ直前、もしかしたら遼東を討つフリをして私兵廃止のため兵を集めるつもりなのかも知れないと伝えるハリュン。もしそうなら、我々は座してやられるしかないと危機感を共有。

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バンウォンは急いで王がいる寺に向かい・・・・・・。

その頃チョンニョン和尚の元へは、ピグク寺の部下から情報が入り、チョン・ドジョンは高麗の首都だった開京のマンウォル台にいると伝えられます。

そこにはタンセが一人佇んでいました。
やってきたヨニに「久しぶりだな」と近寄るタンセ。

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ヨニは歩きすぎて足を痛めていました。

腫れたヨ二の足を揉んであげるタンセ。

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ヨニを案ずるタンセは、「この仕事がそんなにいいか?」と尋ね。

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ヨニは少し照れながら、タンセと一緒にやれているのが、すごくいいと答えます。

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きましたね~、告白が。
今頃。いまごろ。

そしてどうせ次回あたりでヨニを・・・・・・。

もう言えない。(泣)

そこへ現れたチョン・ドジョン。
久しぶりの再会を果たしたヨニから、報告を受けます。
補給路と行軍路を全て分析し、女真族との協約も確認しておいたとヨニ。馬や兵士、物資の状態も良好だと伝えます。

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今からが始まりだと満足げなチョン・ドジョン。

一方バンウォンは王に会うため中に入るものの、そこには王の身代わりしかおらず。
王は側近の者たちをも欺いて、どこかへ行ってしまっていました。

案の定、イ・ジランを連れてチョン・ドジョンたちの元へやってきた王。

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チョン・ドジョンに会いに行ったのだろうと焦るバンウォン。
そこへ「無名/ムミョン」の遣いが現れます。

チョン・ドジョンは案の定、王に私兵廃止のために遼東征伐をするフリをしようとしていることを予め伝えていました。
そして、フリではなく本当に戦を行うつもりであると今また新たに口にしたチョン・ドジョン。

王とイ・ジランは驚き、イファ島で引き上げた時もあれだけ大変な事態になったのに、遼東を巡って明と戦うなどは出来ないと当然考えるのですが、チョン・ドジョンはそれを可能にする、ある情報を握っていました。

同じ頃、「無名/ムミョン」のヨニャンらに会い、チョン・ドジョンと王がマンウォル台にいると知らされたバンウォンはすぐにその場を立ち去ろうとしますが、もっと大事な話があると呼び止められ、苛立ちを隠せません。

自分たちは遼東征伐のフリをしたチョン・ドジョンのおかげで、私兵を奪われ丸腰にされているのに、それ以上に大切な話なのかと噛み付くバンウォン。

ヨニャンは躊躇なく、それ以上に大事な話だと答え。

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フリではなく、本当に遼東征伐をするつもりであると、ヨニャンにかわって答えるユクサン。

一方、王にもまったく同じことがヨニの口から語られようとしていました。

チョン・ドジョンに促され、明に送られた朝鮮の使節が全て殺されたことを報告するヨニ。

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そして明かされた、「無名/ムミョン」とヨニが掴んだ同一の情報。

それは、明の皇帝が余命いくばくもないという事実でした。

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長くて半年、短ければ一月。
下手をすればもう死んでいるかもしれないとヨニは付け加えます。

明の皇帝は孫を王世子にすえていましたが、それに反発する息子たちが一斉に挙兵する一方、王世子のほうも一気に政敵を潰しにかかるだろう。つまり、明で内戦が起きるだろうというのが「無名/ムミョン」とチョン・ドジョンの見立てでした。そして、問題は、遼東を守る朱棣(しゅてい)。

皇帝の四男朱棣(しゅてい)が自らの甥である王世子にやられる前に都に進軍するのを狙って、チョン・ドジョンは遼東を落とそうとしているのだとヨニャンは分析します。そうなればバンウォンたち王子も戦争に狩り出され、生死が危うくなるだろうとヨクサンが続け。

一方マンウォル台では朝鮮が戦の準備をしていると分かっても朱棣(しゅてい)は都に向かうだろうかとイ・ジランが疑問を呈し、チョン・ドジョンはその場合は遼東に対する全ての計画を諦めるつもりだと答えます。
ただし、朱棣(しゅてい)が都に攻めあがる確立を7割と分析するヨニ。この点でも「無名/ムミョン」とヨニは一致していました。

「いや、8割、9割、それ以上だ。朱棣(しゅてい)は必ず動きます」

南京に攻めあがる準備をしていた朱棣(しゅてい)の地図を思い出しながら、ヨニャンの言葉に確信を持って返すバンウォン。

その時、口を開くムヒュル。

「短かからぬ間、あの男を見てきました。彼は、物事の軽重と大小についての決断が非常に早い人でした」

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中央と遼東のどちらを選ぶかは分かり切ったことだろうとのムヒュルの言葉に同意するバンウォン。

必ず20万の大軍を率いて朱棣(しゅてい)は金陵(南京)に向かうとバンウォンは語ります。

遼東を攻めるなら今をおいてない。今こそが絶好の機会。それがチョン・ドジョンの結論でした。
チョン・ドジョンは南京と遼東の地理的な問題からも、内戦はすぐには結論は出ないだろうと読んでいたのでした。内戦中の明と講和を結べば、遼東を取り戻せると考えたチョン・ドジョン。

一方「無名/ムミョン」は、朱棣(しゅてい)は素早く王座につくだろうと分析。のみならず、遼東に入り込んだ異民族をそのままおく筈もなく、即座に攻め入ってくるだろうと。

ここで相反する双方の情勢分析。

チョン・ドジョンは初めて遼東を我が物に出来ると王を説得しますが、「無名/ムミョン」のヨニャンは遼東を手に入れたとしても守るのに汲々とし、国庫は空になるだろうと予測。

「遼東の代償としてこの地は破綻するかもしれないのです。
大君、この戦争、止めなければなりません!」

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「王様。この戦をお許しになって千年近く続いてきた事大の歴史を断ち切り、内においては民を苦しめず、外においては強者に屈従しない新たな国、新たな歴史をおつくり下さいませ!」

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「この戦を必ず防いで、三韓の地をお守りになければなりません、大君!」

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まるで異なる情勢分析のもと、一方は戦を積極的に行おうとし、もう一方は何が何でも止めなければこの国が終わると考え。
運命の鍵を期せずして握ることになってしまったバンウォン。

ヨニャンの絶叫を聞きながら、「自分が怯え、不安がっていたのはこれだったのか」と内心呟くバンウォンで、ラストです。



うーむ。

シビアですねぇ、ドラマなのに。
史実がもとになっているっていうところがまた。

チョン・ドジョンの台詞はすごく共感できるのですが、一方で「無名/ムミョン」の分析は冷静に見て正しく。何よりもバンウォンは朱棣(しゅてい)という人物の人となり、目指すところを直接言葉を交わして知っているので、判断材料としてこれ以上のものはありませんよね。

このドラマ、見ているとほんとに「今と昔と何がそんなに変わっただろうか」と溜息が出てきたりもします。
ドラマなのに毎度歴史が現実を想起させるって。これが時代劇ってやつでしょうか。(笑)

しかしとうとう、「遼東征伐」というキーワードが出てきてしまったので。
視聴者が悲しい場面を見るのも近そうですね。

となるとこの二人のこんな場面も、もしやこれが最後でしょうか?

邪魔だよな~、三峯先生。(笑)



ちょっとキャラが変わったんじゃないかっていうくらいの笑顔見せてますよね、このシーンのヨニ。
この顔は、二人に悲しいことが起きる前の、少女だった頃のヨニの顔を思い起させます。
屈託なく、一途にタンセを思っていた頃のヨニの顔。

は~。
やっぱりヨニとタンセには悲しい結末しか待ってないのでしょうか。

ここだけは視聴者の悲しい予想を裏切って欲しいです。