みなさま、こんにちは。

あんなに暑かった夏が嘘みたいに、あっという間に秋になりましたね。
クーラーをかけずに眠れることがこんなに幸せだったのかと思う今日この頃です。

さて、今日も映画のご紹介。
韓国で7月29日に公開された『鋼鉄の雨2:首脳会談』の予告編を取り上げてみようと思います。

本題に入る前に。

最近話題のドラマ、「半沢直樹」。
私は普段テレビを殆ど見ないのですが、唯一こちらは楽しみにしています。
高視聴率の番組なのできっとご覧になられている方も多いかと思うのですが、実は見ながらひとり、毎回思っていることがありまして。

白井大臣役の女優さん。

似てませんか?

キム・ゴウンちゃんに。

登場のたびに思っています。

もうキム・ゴウンさんのお姉さんということでいいんじゃないかなって。

って、相当どうでもいいことで、すみません。(笑)

 

さて、というわけで本日の本題、『鋼鉄の雨2:首脳会談』。
こちらは2017年の年末に公開され445万人の観客を動員した前作『鋼鉄の雨』の続編で、主演を務めていたチョン・ウソンさんとクァク・トウォンさんが引き続き出演されているのですが、ストーリーは全く別物。
出演者の「南北」も入れ替わっています。

 

まずはポスター。

 

 

 

サブタイトルに「首脳会談」とあるとおり、この映画は「南北米三者会談」を背景にしています。米朝が朝鮮戦争を終結させて平和協定を結び、国交正常化に向かうための北朝鮮の核放棄などを話し合う首脳会談中、北朝鮮内で軍事クーデターが起こり、3人の首脳が拉致され原子力潜水艦に閉じ込められる様子を描いたもの。

前作ではチョン・ウソンさんがクーデターにより致命傷を負った北朝鮮の国家元首「北朝鮮1号」を守るために韓国に身を隠す特殊部隊を演じ、クァク・トウォンさんが韓国の情報部員を演じていましたが、『鋼鉄の雨2』ではチョン・ウソンさんが韓国大統領、クァク・トウォンさんは軍事クーデターを起こす北朝鮮の護衛総局長に扮しています。
北朝鮮の国家元首役に、ユ・ヨンソクさん。
監督は、故・廬武鉉大統領の弁護士時代の実話をモチーフに描いた2013年公開のソン・ガンホ主演映画『弁護人』で観客動員1000万超えを果たしたヤン・ウソク監督。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前作『鋼鉄の雨』は観客動員445万人と好成績だったのですが、シーズン2となるこちらは178万人と奮わず。
これは、内容への評価以前に、7月29日の封切りから2週間後、コロナ感染者が急激に増える事態があり、人々が劇場に行けなくなってしまったのが響いたと思われます。
これからは、どれだけのブロックバスターでも人々が安心して劇場に足を運べる状況にならない限りは動員数を獲得するのは難しいでしょうね。

前作は平昌冬季五輪を目前に控えた2017年の年末、トランプ大統領と金正恩委員長が今にも戦争を始めそうな勢いで激しい応酬を重ねる中での映画公開だったので、武力衝突が本当に朝鮮半島で起こるかもしれないという思いに観客は震えました。映画の結末の「リアリティ」にも頭を殴られたような衝撃を受けたのを覚えています。

その後、現実の世界は平昌五輪を機に思いがけない反転を迎え、文在寅大統領の献身的な努力によって10年間閉ざされていた南北の扉が劇的に開かれ、2度の南北首脳会談と歴史的な米朝首脳会談が開かれたのは、ご承知の通りです。
そして、北朝鮮との交渉を自身の大統領再選に利用しようとするだけのトランプ大統領、米国内ネオコンの妨害により、朝鮮半島に訪れた平和の気流がしぼみ、今また膠着状態に陥っていることも。

一日も早く朝鮮戦争を終わらせ、南北平和を実現したいと願う多くの人々にとって、この2年あまりはいい夢と悪い夢を交互に見させられているかのようなアップダウンの激しい時間でした。
朝鮮半島の分断によって利益を得てきた周辺国のみならず、北朝鮮と敵対することで既得権を獲得し維持してきた負のカルテルがいかに社会全般に強固に根を張っているかを改めて痛感する歳月でもありました。

『鋼鉄の雨2:首脳会談』での「リアリティ」は、登場人物たちのキャラ設定でも具現化。
完全にトランプ大統領を模した米国大統領と、スイス留学帰りの金正恩委員長の要素を溶け込ませた北朝鮮の国家元首、朝鮮半島の平和実現のために愚直なまでに懸命な韓国大統領。
映画が現実と被りすぎるのも、切ないものです。
実際、韓国大統領役を演じたチョン・ウソンさんは、朝鮮半島問題の当事者でありながら朝鮮戦争終結の主体になれない現実に、演じながら本気で落ち込んでしまったそうです。

ご存じない方のために解説しますと、1950年6月25日に勃発した朝鮮戦争は、1953年7月27日に停戦協定締結を迎えたのですが、そこに署名したのは国連軍という名の実質米国代表クラークと朝鮮民主主義人民共和国の金日成主席と中国の毛沢東主席の三者。韓国の李承晩大統領は朝鮮戦争勃発後ひと月もたたない7月18日には韓国軍作戦指揮権を国連軍(実質は米国)に全面委任してしまったため、韓国が朝鮮戦争終結の当事者になれない歪んだ状況があるのです。

 

では、予告編をご覧ください。

まずはティザー予告編。

 

平和協定会談が8月1日に開かれることになり・・・・・・
国交樹立協定を結ばなければ 核も渡しません
何が問題なんだ?
平和協定のための南北米首脳会談
全てのカードは北朝鮮が握ってるんです
問題の本質を核ではなく平和と考えれば
結局米国の言うとおりにしろということではないですか!
大統領 クーデターです!
3名様ご案内します
南北米 そして平和が拉致された
スムート大統領が南北首脳とともに人質になりました
全て我が国を社会主義強盛大国にするためです
中国から金をもらってこんなことを?
中国ではありません 日本から5億ドルもらいました
これは総局長への私からの最後の命令だ
発射キーをくれ
総局長!
独島沖
南朝鮮大統領!
平和協定を目前にしていたんだぞ!
熱い原子力潜水艦内
もう一度言う なにがなんでも撃墜するんだ
ここは数百メートル海底だ
本当の首脳会談が始まる
しっかりしろ
距離5キロ 衝突予想時間250秒
よけろ!
韓国大統領 ハン・ギョンジェです
鋼鉄の雨2:首脳会談

 

 

そしてこちらはメイン予告編。

 

今回の平和会談にも招待されましたが 我々がサインできる箇所はありません
今回の協定を無事終えさえすれば
誰かケチャップ持ってきてくれないか
大統領 私が一人でやれることとやれないことがあるんです
私が君たちの核を持ち帰って素敵なショーをやってやるよ
なんだと!
まぁまぁ
スムート大統領が南北首脳とともに人質になりました
自分は軍人でありテロリストではないと
英語できるのか?
いけないか?
北朝鮮のクーデター 拉致された南北米首脳
朝鮮人民軍初の戦略的原子力潜水艦「白頭」です
中国はクーデターが起こることを既に知っていました
犬畜生め!
総局長!
中国が我々と一戦交えるのは必然なのよ
副大統領
世界の平和も一緒に囚われた
独島沖だそうです
中国から金をもらってこんなことを?
全て我が国を社会主義強盛大国にするためです
この潜水艦はもともと俺のだ 疲れてるんだよ
日本の「親潮」潜水艦です
撃墜したら独島戦争になる
核ロケットを打ち込んでやります
独島に向かった北朝鮮の原子力潜水艦
もう一度言う なにがなんでも撃墜するんだ
承認するわ
平和協定を目前にしていたんだぞ!
南朝鮮大統領 戯言を言うな!
発射キーをくれ
狂ったのか!
韓国大統領 チョン・ウソン
北朝鮮護衛総局長 クァク・トウォン
北朝鮮委員長 ユ・ヨンソク
米国大統領 アンガス・マクファーデン
魚雷発射しました!
9秒後衝突!
一緒に助かる方法を考えましょう
鋼鉄の雨2:首脳会談

 

 

ちょうど今から2年前の2018年9月19日、文在寅大統領と金正恩委員長による「平壌共同宣言」が平壌で行われたんですよね。あの夢のような瞬間のあと、翌2月のベトナム会談で米国の裏切りが待っていようとは思ってもみませんでした。
映画は嫌でもあの時の悪夢を思い起こさせます。
もう、トランプ(的な人)が憎たらしいのなんの。(笑)

映画はずっしり重いテーマなのですが、ところどころ笑わせてくれて、娯楽映画としても楽しめました。軍事オタクの人が見ると、潜水艦内部の再現がかなりリアルなのだとか。

平和を願ってる映画なのに軍事オタクにウケがいいのは矛盾してる気がしますが。(笑)

ともあれ。
日本でも見れる機会があるといいですね。