みなさま、こんにちは。

すっかり本格的な秋になりましたね。
気温もぐっと下がって、油断していると風邪をひきそうな今日この頃、みなさまはお元気にお過ごしでしょうか?

さて、今日も映画の予告編を取り上げてみます。
10月15日から韓国で公開予定の『石ころ』(邦題仮)。

例年であれば、旧盆連休の秋夕(チュソク)前は家族で楽しめる映画、話題作が目白押しになるのですが、やはり今年は 新型コロナウイルスのパンデミック下にあるため、映画界も様相が随分異なっています。
いつもであれば劇場動員何百万人突破などのニュースが踊るのですが、今年は本当に静か。これほど映画が話題にならない秋夕(チュソク)はかつてなかったのでは?
もっとも、「ソウルが空っぽになる」と言われるほど一斉に帰省するのが当たり前の社会が、今年ばかりは「会いに行かないのが親孝行」ということで多くの人々が動かず留まったのを思えば、映画どころではないのは致し方ないとも言えます。
もしかしたら「かつての日常に戻りたい」ではなく、新たな日常の在り方を作っていく段階なのかもしれませんね。

さてさて、そんなわけで今日ご紹介する映画『石ころ/돌멩이(STONE SKIPPING)』(邦題仮)。
こちらは2018年に完成し、逆に映画が全般的に不調の今だからこそ公開できたとも言えそうな、派手さのないヒューマン・ドラマ。
主演は『ミセン』のキム代理で名をはせたキム・デミョンさんと悪役専門俳優と称される我らがキム・ウィソンさん、そしてソン・ユリさん。
 

 

 

 

 

 

 

 

監督は、本作が初長編作となるキム・ジョンシク(김정식)監督。

キム・デミョンさん演じるソックは、優しい近所の人たちと仲良しの友達に恵まれ、村で精米所を営んでいる数え8歳程度の知能を持つ30代の青年。
ソックが村の祭りでひったくり犯に間違えられそうになった家出少女のウンジ(チョン・チェウン扮)を真犯人を探し出して助けてあげたのをきっかけに、二人は互いに保護者兼友だちに。
一方家出少女のウンジを保護していたシェルターのキム先生(ソン・ユナ扮)は二人の友情が危ないものになるかもしれないと危惧。ソックを見守っていたノ神父(キム・ウィソン扮)は二人を見守ってあげようとキム先生を安心させていたものの、ある日、ソックの精米所に一人でいたウンジの身によからぬ事件が降りかかり、最初の目撃者であるキム先生はソックを通報するのだが・・・・・・といった内容。
 

もう、こう書いているだけでつらいです。

発達障害を抱えるソックがウンジに酷いことをした犯人だと固く信じ込むシェルターのキム先生について、ソン・ユナさんは制作会見で「自分が信じることこそ正しいと思う人が私の周りにもいますが、キム先生がなぜそんな行動をとるのか残念でならなかった」としながら「ふと彼女を慰めてあげたい気持ちになったりもした。誰かが苦境に追い込まれたのを知った以上、戦士のように助けてあげなければいけないと考えた人物ではないか」と語っていました。

映画を観る前からなんだか想像できてしまって、つらくなって泣きそうなんですが。(笑)

この映画は人々の思い込みの怖さ、自分が「正しい」と証明するためには事実をも曲げてしまう怖さを描いているとのこと。
意図せず正義感でそうしてしまう人もいれば、初めから人々の偏見と常識を逆手にとって無実の人をはめようともくろむ不届きな輩もいますよね。
既存の常識や価値観だけでは真実を図れない混沌とした今の時代、色んな人の心にグサグサ刺さるテーマを持っていそうです。自分が正しいと思っていたことが間違っていたと分かった時、人はどうすべきかという意味においても。
 
というわけで、予告編。
動画は映画の配給会社㈱リトルピクチャーズのyou tube公式アカウントより。
 
 


 
君がシェルターに新しく入った子かい? 名前は?
ウンジです
モルランイ
名前なんていうの?
ソック
誰?
友だちです
心配です。二人が気になって
ある日、すべてが変わった
ソックは普通の人とは違います どうか善処をお願いします
ウンジにあいつがしたことを考えてください
本当にお前がやったのか?
友だちになりたかっただけなんです
出ていけ。出ていけ!
友だちだよ
もうお前は友だちじゃない
どんなに思い返してもソックについてはいい記憶しかないです
あの日から真実は消えた
自分の頭の中にある悪い記憶は全て消して いい思い出だけを残してるんです
大丈夫 泣かないで
友だちだろ!
ソック!
神父さん。僕を信じますか? 僕は信じてるのに
石ころ
10月15日公開
 
 
 
いやぁ。
紹介しておきながらなんですが。
これ厳しそう。
私、これ見れるかなぁ。
予告を見ただけで、もう喉にこみあげてきてるんですが。
またキム・デミョンさんが、演技が天才的に上手なので、見たら本当につらいことになりそうです。

って勧めてるのか勧めてないのか分からない書き方になっておりますが。(笑)

勧めているのかいないのか分からないついでに、見ようによってはネタバレにもなりうるもう一つの動画をアップしておきます。
こちらは制作風景と俳優たちのインタビューで構成されており、「紹介書映像」と名付けられたもの。
 
 


 
キム・デミョン ソン・ユナ キム・ウィソンが選んだ作品
(キム・デミョン)シナリオを最初に読んで すごく感じ入るところがありました
この映画をご覧になる方々と話し合ってコミュニケーションをとれれば楽しいだろうなと
(ソン・ユナ)大きな共鳴が映画をご覧になる人にもそのまま伝わればいいなと
(キム・ウィソン)自分を振り返り もう少し開かれた心で世界で起こることを見られたらいいなって
名前は?
ソック
ソックの話
帽子をかぶりパンツは履いて靴下も履いてるけどズボンは忘れてる
カンペキなキャラクター構築だよね
(キム・デミョン)ソックは8歳児の心を持った30歳の人です
多くの人がソックを大切にし 村の中でちゃんと生きていけるよう助けています
ソックと8歳児の僕の姿に大きな共通集合を見出せるようかなり悩みました
(キム・ウィソン)キム・デミョンさんを見ながら自然と心が動き 演じられました
俳優としてこの上なく大切な瞬間でした
初めて見る顔だね 誰?
友だちです
友だち? いいね友だちで
心配です 二人が気になって
(キム・ウィソン)あのシーンは今思い出しても胸が痛みます
(キム・デミョン)ソックにとっては友だちが全てではなかったかと
ある事件をきっかけに互いに誤解と不信が深まったでしょうし
ソックにとっては友だちじゃないという言葉は 人生が崩れ落ちるくらいの大きな意味だったと思います
何しに来た! もうお前なんか友だちじゃない! 失せろ!
(キム・ウィソン)自分の偏見、自分の思い込みに囚われている人たちがソックという純粋な魂を通じて自らの限界をむしろさらけだすという点が もしかしたらこの映画の最も熾烈で美しい点ではないかと思います
熾烈な物語の中で美しかった現場
(キム・デミョン)全ての撮影シーンを思い出せるほど胸が痛くもあり 幸せな思い出にもなりました

(ソン・ユナ)すごくいい方々にお会いできて とても幸運でした
どうしても押されちゃう
いえいえベストを尽くされました
(キム・ウィソン)私たちが悩んだことについては頑張って詰め込めました
たくさんの方が観にいらして 慰めを得て頂ければと思います




 
 
もしかしたら日本での公開はないかもしれないので、 ちょっと詳しめの制作記風映像も載せてみました。

虐められているシーンなどが、もうちょっと、かなり見るのが無理ではありますが。(笑)

観たらまた改めてご紹介してみたい作品です。