みなさま、こんにちは。

今日は3月31日から韓国で公開されているソル・ギョングさんとピョン・ヨハンさん主演映画『山魚譜』(邦題仮)の予告編などを取り上げてみようと思います。

 

 

 

待ってました、ピョン・ヨハンさん!

ドラマ『ミスター・サンシャイン』以来なかなか活躍を目にする機会がなかったのですが、素敵な映画が公開され嬉しいです。

ソル・ギョングさんとは、実は『監視者たち』以来ですよね。
とはいえその頃は『ミセン』の前、ピョン・ヨハンさんはまったく知られていない無名時代で、ほんのちょい役でしたけど。
こうして自分が無名時代に出演した作品で主役を務めていた大先輩と名前を並べられるようになるって、どういう感じでしょうね。

この映画は朝鮮時代最高の実用学者であり改革者だった茶山・鏞(チョン・ヤギョン)の実兄である銓(チョン・ヤクチョン)が流刑先の黒山島(フクサンド)で記した朝鮮時代初の海洋生物学専門書「玆山魚譜(자산어보/チャサンオボ)」からタイトルが付けられています。丁銓とともに「玆山魚譜」作成に大きく寄与した実在の人物、青年チャンデとの交流を描いた映画とのことです。
ソル・ギョングさんが丁銓(チョン・ヤクチョン)、豊富な魚類の知識で貢献した青年チャンデをピョン・ヨハンさんが演じています。
ソル・ギョングさん、意外なことにこの映画が初時代劇だそうです。
ピョン・ヨハンさんは2015年に放送された『六龍が飛ぶ』で時代劇は経験済みですよね。

監督は、『王の男』、『王の運命 -歴史を変えた八日間-』(原題:思悼サド)、『空と風と星の詩人~尹東柱(ユン・ドンジュ)の生涯』(原題:東柱)、『金子文子と朴烈』などで知られるイ・ジュニク(이준익)監督。

銓(チョン・ヤクチョン)よりも有名なのは、実は韓国ドラマにもよく登場する弟の茶山・丁若鏞(チョン・ヤギョン)ですよね。正祖(チョンジョ)の時代、世界遺産でもある水原華城(ファソン)を設計・建立した「朝鮮のレオナルド・ダ・ビンチ」と称される人です。華城は正祖が非業の死を遂げた父・思悼世子(サドセジャ)を悼むために建てた城として知られています。
そしてこのブログの読者のみなさまなら「あれがくるな」ともうバレてると思いますが、そうです。丁若鏞は我らがチョン・ヘインさんのご先祖様!(笑)
チョン・ヘインさんの写真を貼りたいのをぐっと抑えて、ここは過去記事を紹介するのに留めておきます。丁若鏞(チョン・ヤギョン)の業績(とその子孫チョン・ヘインさん)などについて説明した過去記事はコチラ

 

実は弟に負けずとも劣らぬ優秀な文官だった銓(チョン・ヤクチョン)。
丁若鏞(チョン・ヤギョン)の最大の理解者でありメンターでもあった兄の丁銓も、優秀な実用学者でした。

兄弟はそろって正祖に重用されたのですが、二人には父の最初の妻の息子で腹違いの長兄丁若鉉(チョン・ヤッキョン)がおり、義姉の葬儀の際に交流したチョン・ヤッキョンの妻の弟で韓国キリスト教会創設者のイ・ビョクを通じてキリスト教の教理を知り、以降丁家の人々は「西学」と呼ばれたキリスト教に心酔していきました。特に丁若鏞は熱心に教理を学んだとされ、姉の夫である李承薫(イ・スンフン)は韓国で初めて洗礼を受けた領洗者です。

その後二人はキリスト教から離れるのですが、二人を重用していた正祖(チョンジョ)が亡くなった後、権力を握っていた老論勢力が正祖(チョンジョ)に重用されていた南人系勢力を残らず排除するべく幼い純祖(スンジョ)に代わり実権を握った思悼世子の義母、貞王后にキリスト教禁止令を発布させ、キリスト教信者100人余りを粛清、400人ほどを流刑に処す一大事件が発生。丁銓の弟であり丁若鏞の兄である丁若鐘(チョン・ヤクチョン)、李承薫(イ・スンフン)、イ・ビョクもキリスト教の教理本を隠し持っていたためこの時処刑されてしまいますが、正祖の存命中にキリスト教から離れるという物理的な証拠を残していた丁銓と丁若鏞までは殺すことができず、各々「薪智島(シンジド)」と「長鬐県(チャンギヒョン)」に流刑に処されます(1801年「辛酉迫害」)。

ここで終わればよかったのですが、多くのキリスト教徒が殺され、銓と丁若鏞が流刑に処されたことの敵を討とうと長兄丁若鉉(チョン・ヤッキョン)の婿・黃嗣永(ファン・サヨン)が朝鮮王朝内でのキリスト教徒弾圧を北京に滞在していたフランス司教に知らせる手紙を送り、外国軍の派遣と強制力によるキリスト教布教を求めたことが発覚、黃嗣永は処刑。丁銓と丁若鏞はこの事件とは無関係だったのですが、老論派によりさらに過酷な流刑地に送られる羽目になってしまいます。丁銓は全羅南道の黒山島(フクサンド)、丁若鏞は全羅南道の康津(カンジン)に。

映画はその黒山島(フクサンド)で生活し研究する丁銓を描いています。

「玆山魚譜」の特徴として、現代科学で用いられる大分類、中分類、小分類など体系的区分法を活用し、海洋生態系を区分した点が挙げられます。1巻では鱗の有無によって有鱗類と無鱗類を区分し、2巻では固い甲羅を有する甲殻類、3巻では海藻やヒトデなどを雑類として大分類し、海洋生物を説明しています。生息地や習性、方言の呼び方、調理方法、民間療法における活用法などユニークな情報が多く記載されているのは、貧しいこの島の人々の暮らしに役立つものにしたいという銓の願いを反映してのことだそう。また、環境が異なれば同じ魚種でも脊椎の数が違うことを示した解剖学的知識も収められているそうです。これらの詳細な記録によって、地球温暖化により魚類の生息分布がどのように変わったのかを現在的に知ることができ、非常に有益な資料になっているんだとか。

・・・・・・説明長すぎましたでしょうか?(笑)

 

いくつかスチール写真を貼っておきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スチール写真でお気づきかと思いますが。

この映画、白黒です。

白黒と聞くと、ちょっと「え?」となりますよね。
ピョン・ヨハンさんの顔がカラーで見れないの?と。(そこ?笑)

いやほんと、冗談抜きで、白黒と聞くとちょっと構えちゃいます。
なんとなく見づらい気がして。

勿論白黒は監督がもともと意図していた演出。
多彩な色で表現できない分、陰影で表現しなければならないため、くっきりとした印象を残すために美術監督と撮影監督の役割がとても大きかったそうです。

撮影したのは黒山島ではなく、近隣の全羅南道新安郡に属する都草島(トチョド)。
なんと銓(チョン・ヤクチョン)の暮らした寡婦のカゴデクの家が、観光資源としてそのまま残されているそうです!

私と同じように白黒映画に敷居の高さを感じる人が多いからか、4月15日に公開されたばかりのコンユ&パク・ポゴム主演映画『徐福』は既に観客数22万7千人を数えているのに、こちらの映画は今日までに30万人と、コロナの状況を差し引いてもソル・ギョング&ピョン・ヨハンのラインナップとしては考えられない数字なのですが、いやいや、まだまだ。ここから挽回するかもしれません。
というのも、見てきた人の絶賛の仕方が普通じゃないんです。
「近年見た映画の中で一番いい」は基本の感想で、「白黒にした監督の意図が最後に分かった」などとも言われており。

えーーーー。

そんなん言われたら、見るしかないじゃん!

っと、言われなくても見るしかないんですが。(笑)

 

というわけでようやくまいりましょう、予告編。

 

いつか必ずお前たち兄弟を取り立てる日が来る
どんなことがあろうと耐えてくれ

『王の運命 -歴史を変えた八日間-』『空と風と星の詩人~尹東柱(ユン・ドンジュ)の生涯』
イ・ジュニク監督作品

兵曹佐郞の役職も務めた名家の両班だそうだ

寝食は解決してやらんといかんのだが
誰かやってくれんか

カゴデク 
離れも小さな畑もあるじゃないか

女の一人暮らしなのに何かあったらどうすんだい

なんもないと思うぞ

世界の果てに島流しになった学者

甚だしい善良さに終わりがある
ああもどかしい

チャンデよ
卑しい身分の者がなぜ勉学を?

人間らしくなるためです

世界の外を夢見た青年漁夫

明家の両班ともあろうお方がんぜそんな生臭いものを触ってるんでか?

私の知識とお前の魚の知識を交換しよう

これはれっきとした取引ですからね

学びと心を分かち合い友となる

魚に非常に明るい青年に出会った

チャンデよ!

はっきりと明解な事柄を学ぶことにした

釜まで奪われたらどうやって暮らせと言うんですか!

お前は他のことを企んでいるんだな

これからは私も人間として扱われたいんです

勉強して出世したいんだろう?

もう先生とは縁を切らねばなりません
私は「玆山魚譜」よりも官僚の道を選びます

漆黒の海で

位の高い人はひたすら愚かで
才能のある者は機会すら与えられない

新しい世界を夢見る

この赤ん坊にまで租税を課すとは俺たち全員死ねということじゃないか!

先生のそういう誤った考えで家族が死ぬかもしれないのに
奥さんと幼い子供たちはどうでもいいんですか?

こいつめ!

この国の主人は性理学か?百姓か?

ソル・ギョング ピョン・ヨハン
玆山魚譜

王も必要としない世の中なのに
誰が主だろうがそれが何だというのです?

 

 

白黒だから、などと言ってごめんなさい。

予告だけでも思いっきり魅力的です。

年末の映画賞、総なめの予感です。

と観る前から。(笑)

見たら予告以上の感動が待っているそうなので、早く観たいですね。

是非この映画も日本公開されますように。