みなさま、こんにちは。

今日は久しぶりに歌を取り上げてみようと思います。
アイドルグループがしのぎを削り合う韓国のヒットチャートで上位にとどまり続けているソロ歌手でシンガーソングライター、ユンナさんの “事象の地平線(Event Horizon)” 。
色んなK-POPグループ、特に男性グループのメインボーカルたちが競うようにカバーしているので、今日はそちらもご紹介していきます。


 

ユンナさんについては、まさに10年前、ドラマ『オフィスの女王』のOSTを歌っていた時にブログで一度取り上げたことがあります。(過去記事はコチラ
実はユンナさんは韓国より先に2004年に日本で歌手デビューされています。
当時月9ドラマに仲間由紀恵さんが在日コリアン3世を演じた『東京湾景〜Destiny of Love〜』というのがあり、ユンナさんはそこで挿入歌を歌うことで日本デビューを果たしました。
2007年には韓国でもデビューし、『パスワード486/비밀번호486』で音楽番組で1位を獲得したユンナさんは、今回この曲で実に15年ぶりとなる1位を獲得したのだそう。

2022年3月にリリースされたユンナ(ユナ/윤하)さんの6枚目アルバムのリパッケージ’END THEORY : Final Edition’の中に収められているユンナさん作詞作曲の「事件の地平線/사건의 지평선」。
来月にはリリースから1年を迎えるこの曲が、夏頃からヒットチャートに表れ始め、気づけばずっと1位に君臨。
今現在も音源サイトの上位にいます。

 

 

 

2月6日付メロンチャートを引っ張ってきてみました。
New Jeansとテヤン(feat.ジミン)とTXTというグローバルK-POPスターに囲まれながら、堂々5位にランクイン。
ほぼ1年前の曲にもかかわらず。
これ自体が「事件」と言えそうです。

コロナによる規制が緩和され、大学の学祭に呼ばれてライブを披露しているうちにジワジワ人気が広がったとされていますが、確かに一度聞けば耳に気に入る要素たっぷりの歌ではあります。
まずはユンナさんらしい儚さを帯びた澄んだ歌声が圧倒的に美しく、歌のリズムもバンド演奏も懐かしさと癒しを感じさせ、意味はよく分からないけど壮大な雰囲気のタイトル。
なんというのか、大声で歌いたくなる歌なんですよね。久しぶりに。
これらすべてが相まってヒットしているのではないかと思っているのですが。

韓国語タイトルの「事件の地平線/사건의 지평선」は天文学用語で、日本では「事象の地平線」というのが正しい呼び名のため、以下「事象の地平線」と訳します。
歌の英語タイトルは「Event Horizon」。
「事象の地平線」は、学術用語では「シュバルツシルト半径」と呼ぶそうです。

「事象の地平線」だけでも十分「???」なのに、その上「シュバルツシルト半径」などと言われたら、文系の頭では煙が出てきちゃいますよね。って自分を文系の代表にしてはいけません。(笑)

この歌は、ひとつの恋が終わり、女性がかつての恋人にさよならを告げる内容なのですが、この天文学用語の意味するところを知ると、宇宙規模で切なさが迫ってきます。恐らくユンナさんが意図した以上に。

天文学用語をタイトルに用いたこの歌は、大抵は込み入った説明を省いて「もう手に届かないところに互いにいるけれど、過去に感謝し未来に進んでいく、希望を感じる歌」という感じの紹介文になっています。
ユンナさん本人もそんなニュアンスでタイトルに込めた意味を語っているので、勿論それでいいのですが、「シュバルツシルト半径(事象の地平線)」の意味するところが正確に何なのか知ろうとしてしまうと、「希望は、ないよね」っていう悲しみに襲われるという罠が。(笑)

太陽の3倍以上からなる大質量の恒星は、寿命を迎え最期に超新星爆発を起こした後ブラックホールになるとされていますが、強力な重力に吸い込まれ光さえも脱出できなくなるブラックホールとの境界線が「事象の地平線」。
「事象の地平線」を超えブラックホールの中に入ってしまえば、もはや光すらも見えなくなり、事象の確認が不可能になることから、この名前が付いているそうです。光が「事象の地平線」の前にあれば脱出できますが、その境界に接した瞬間、もはや中で何が起きていても誰にも観測できなくなると。

一方、ブラックホールに飲み込まれていく人を地球から観察した場合、対象が「事象の地平線」に近づくと、まるで時間が止まったかのように見えるのだそうです。どれほど長い時間、千年万年と観察し続けても、地球からはその対象がブラックホールに吸い込まれる瞬間を見ることができないのだとか。
反対に、ブラックホールに吸い込まれていく側がブラックホールを背に地球を見た場合、時間の流れは相対的なので逆にとてつもない速さで時間が過ぎ、宇宙の歴史をすべて見ることができるほどだそうです。

・・・・・・頭から湯気出てますか?(笑)

自分でも分かってるのか分かってないのか分からないことをなぜに書いているのかと言いますと。
このこと念頭に置いてMVを見ると、希望どころか切なさしかないんです。

女の人の方は二人の歴史を振り返った上で、未練なく「事象の地平線」を超えてブラックホールに入り、観察不可能な領域にとうに行ってしまっているというのに、かたや男の人の方は最後まで彼女がブラックホールに入ったのを見ることができず、遅れて送られてくる光の反射を見ながらいつまでも引きずっている、という内容なんです。

これのどこに一体希望が!(笑)

「事象の地平線」という概念に不必要なほど入り込んだほうが、この歌は心に沁みます。間違いないです。「もう会えないところに行ってしまったけど、お互い頑張ろう」は、彼女だけが思っていて、彼の方は彼女がもうそこにいないことを永遠に知ることもなく、幻影をいつまでも見ているなんて、くるものありまくりじゃないですか。(笑)

 

というわけで、ようやく歌に入ります。

『事象の地平線』。
動画はユンナ/YOUNHAさんの公式アカウントより。

 

사건의 지평선

생각이 많은 건 말이야 당연히 해야 할 일이야
나에겐 우리가 지금 1순위야
안전한 유리병을 핑계로 바람을 가둬 둔 것 같지만

기억나? 그날의 우리가 잡았던 그 손엔 말이야
설레임보다 커다란 믿음이 담겨서
난 함박웃음을 지었지만
울음이 날 것도 같았어
소중한 건 언제나 두려움이니까

문을 열면 들리던 목소리
너로 인해 변해있던 따뜻한 공기
여전히 자신 없지만 안녕히

저기, 사라진 별의 자리
아스라이 하얀 빛
한동안은 꺼내 볼 수 있을 거야
아낌없이 반짝인 시간은
조금씩 옅어져 가더라도
너와 내 맘에 살아 숨 쉴 테니

여긴, 서로의 끝이 아닌 새로운 길 모퉁이
익숙함에 진심을 속이지 말자
하나 둘 추억이 떠오르면
많이 많이 그리워할 거야
고마웠어요 그래도 이제는
사건의 지평선 너머로

솔직히 두렵기도 하지만
노력은 우리에게 정답이 아니라서
마지막 선물은 산뜻한 안녕

저기, 사라진 별의 자리
아스라이 하얀 빛
한동안은 꺼내 볼 수 있을 거야
아낌없이 반짝인 시간은
조금씩 옅어져 가더라도
너와 내 맘에 살아 숨 쉴 테니

여긴, 서로의 끝이 아닌 새로운 길 모퉁이
익숙함에 진심을 속이지 말자
하나 둘 추억이 떠오르면
많이 많이 그리워할 거야
고마웠어요 그래도 이제는
사건의 지평선 너머로

저기, 사라진 별의 자리
아스라이 하얀 빛
한동안은 꺼내 볼 수 있을 거야
아낌없이 반짝인 시간은
조금씩 옅어져 가더라도
너와 내 맘에 살아 숨 쉴 테니

여긴, 서로의 끝이 아닌 새로운 길 모퉁이
익숙함에 진심을 속이지 말자
하나 둘 추억이 떠오르면
많이 많이 그리워할 거야
고마웠어요 그래도 이제는
사건의 지평선 너머로

사건의 지평선 너머로


事象の地平線

あれこれ考えちゃうのはね
当然そうすべきだからだよ
今の私には私たちのことを考えるのが一番大事
安全なガラス瓶だからと言い聞かせ
風を閉じ込めたつもりでいたけど

おぼえてる?あの日私たちが繋いだ手
ときめきよりも大きな信頼がこもっていて
私はにっこり微笑んだけど
泣きだしそうでもあったんだ
大切なものはいつだって怖れでもあるから

ドアを開ければ聞こえた声
あなたのおかげで変わった暖かな空気
いまも自信はないけど さようなら

ほら、あそこの消えた星の跡
かすかな白い光
しばらくの間は見たい時に眺められるよ
惜しみなく輝いた時間は少しずつ薄れゆくとしても
君と私の心には息づいているから

ここは互いの終わりではなく
新たな道の曲がり角
慣れを言い訳に心を騙すのはよそう
一つ二つと思い出が浮かんできたら
すごく恋しくなると思う
今までありがとう それでももう
事象の地平線の向こうへ

正直怖くもあるけど
努力するのが私たちの正解じゃないから
最後のプレゼントはきっぱりお別れすること

ほら、あそこの消えた星の跡
かすかな白い光
しばらくの間は見たい時に眺められるよ
惜しみなく輝いた時間は少しずつ薄れゆくとしても
君と私の心には息づいているから

ここは互いの終わりではなく
新たな道の曲がり角
慣れを言い訳に心を騙すのはよそう
一つ二つと思い出が浮かんできたら
すごく恋しくなると思う
今までありがとう それでももう
事象の地平線の向こうへ

ほら、あそこの消えた星の跡
かすかな白い光
しばらくの間は見たい時に眺められるよ
惜しみなく輝いた時間は少しずつ薄れゆくとしても
君と私の心には息づいているから

ここは互いの終わりではなく
新たな道の曲がり角
慣れを言い訳に心を騙すのはよそう
一つ二つと思い出が浮かんできたら
すごく恋しくなると思う
今までありがとう それでももう
事象の地平線の向こうへ

事象の地平線の向こうへ

 

センガギ マヌンゴン マリヤ
タンヨニ ヘヤハㇽ イリヤ
ナエゲン ウリガ チグㇺ イㇽスニヤ
アンジョナン ユリビョンウㇽ ピンゲロ
パラムㇽ  カドゥオドゥンゴ カッチマン

キオンナ クナレ ウリガ
チャバットン クソネン マリヤ
ソㇽレイㇺポダ ゴダラン ミドゥミ タㇺギョソ
ナン ハンバグスムㇽ チオッチマン
ウルミ ナㇽコット カッタッソ
ソジュンハンゴン オンジェナ トゥリョウミニカ

ムヌㇽ ヨㇽミョン トゥㇽリドン モㇰソリ
ノロインヘ ピョネイットン タトゥッタン コンギ
ヨジョニ チャシノチマン アンニョンヒ

チョギ サラジン ピョレ チャリ
アスライ ハヤンビッ
ハンドンアヌン コネボㇽス イッスㇽコヤ
アキモシ パンチャギン シガヌン
チョグㇺシㇰ ヨトジョカドラド
ノワ ネマメ サラ スㇺシㇽテニ

ヨギン ソロエ クチアニン
セロウン キㇽモトゥンイ
イッスカメ チンシムㇽ ソギジマㇽジャ
ハナドゥㇽ チュオギ トオルミョン
マニ マニ クリウォハㇽ コヤ
コマウォッソヨ クレド イジェヌン
サコネ チピョンソン ノモロ

ソㇽチッキ トゥリョキド ハジマン
ノリョグン ウリエゲ チョンダビ アニラソ
マジマㇰ ソンムルン サントゥッタン アンニョン

チョギ サラジン ピョレ チャリ
アスライ ハヤンビッ
ハンドンアヌン コネボㇽス イッスㇽコヤ
アキモシ パンチャギン シガヌン
チョグㇺシㇰ ヨトジョカドラド
ノワ ネマメ サラ スㇺシㇽテニ

ヨギン ソロエ クチアニン
セロウン キㇽモトゥンイ
イッスカメ チンシムㇽ ソギジマㇽジャ
ハナドゥㇽ チュオギ トオルミョン
マニ マニ クリウォハㇽ コヤ
コマウォッソヨ クレド イジェヌン
サコネ チピョンソン ノモロ

チョギ サラジン ピョレ チャリ
アスライ ハヤンビッ
ハンドンアヌン コネボㇽス イッスㇽコヤ
アキモシ パンチャギン シガヌン
チョグㇺシㇰ ヨトジョカドラド
ノワ ネマメ サラ スㇺシㇽテニ

ヨギン ソロエ クチアニン
セロウン キㇽモトゥンイ
イッスカメ チンシムㇽ ソギジマㇽジャ
ハナドゥㇽ チュオギ トオルミョン
マニ マニ クリウォハㇽ コヤ
コマウォッソヨ クレド イジェヌン
サコネ チピョンソン ノモロ

サコネ チピョンソン ノモロ

 

せつなー。

ブラックホールに消えていくMV、せつなー。(笑)

本当に精いっぱい恋をして、相手を大切に慮って、だけどそれでも恋は完全に燃え尽きて、終わったことをいさぎよく認め、二度と会えないところに旅立っていく歌。
自分自身を恒星にたとえてもいるようにも読めますよね。
輝く限り輝いて命を燃やし尽くし、とうとう超新星爆発を起こしてブラックホールと化し、跡形もなく飲み込まれる自分。
もう輝くこともなく、強力な重力に呑み込まれてしまったけど、あなたにはまだ時間差で私が見えているだろうから、しばらくの間は残像を見ることはできるよ、と。

悲しすぎるんですが。(笑)

でも、「やり切った」という肯定的なマインドは感じられます。
切なくはあるけど、やり切ったすがすがしさ。
そういうのが、希望と言えなくもない、かな?(笑)

で、この歌。
本当にたくさんの歌手の方々がカバーされているんですよね。
特に男性K-POPグループのボーカルの方々が歌われていて。

みなさんスターだから、とりわけ共感し、シンクロする思いがあるのかな。なんて余計なこと思いながら聞くと、これまたちょっとウルッときたりして。

ということで、以下『事象の地平線』カバーバージョンをご紹介していきます。

まずはSUPER JUNIOR(スーパージュニア)のギュヒョンさん。
先日公開されたばかりのyou tube公式動画です。

 

 

歌声が優しい。

ピアノの伴奏なので、まるでライブのようですね。

 

お次はBTOB(ビートゥービー)のウングァンさん。
こちらも割と最近、先月末頃に公開されました。

BTOBのyou tube公式アカウントの動画より。

 

これもいいですね。

歌が好きだということがとても伝わってくる歌声。
ファンの方は絶対泣いてますよね、ウングァンさんのカバー聞いて。

次は、目下のところ最新でしょうか。

昨日公開されたばかりのSUPER JUNIOR(スーパージュニア)リョウクさんのカバーバージョン。

(動画は再アップロードされたものと差し替えました)

 

 

 

原曲キーではありませんが、ぐっと高いです。

高音のせいなのか、歌い癖のせいなのか、まるで泣きながら歌っているみたいに聞こえて、気を抜いて聞いてると、きます。(笑)

まだ続きます。

 

次は、Stray Kidsのスンミン君のカバーバージョン。

スンミン君のバージョンは先月1月26日公開。

スキズのyou tube公式アカウントより。

 

 

スンミン君の歌ったキーは、つい先日BTSのジョングクさんが歌ったキーと同じですね。

カラオケで提供される男性キーバージョン。(笑)

ちなみにBTOBのソ・ウングァンさんのキーもこれでした。

ユンナさんはとにかく素晴らしい高音の持ち主なので、私がカラオケで歌うとしたら迷いなく男性キーバージョンで歌います。(笑)

 

そして最後に。

VICTON(ヴィクトン)のリーダー、スンシク君のカバーバージョン。

こちらの公開は断然早くて、去年の12月2日にVICTON公式にアップされています。

 

 

 

これはもう、音程の正確さ、歌のうまさもさることながら、歌っている姿にくるものがあります。

純粋に幸せそうに歌っていて。

本当に歌が好きで歌手になったんだろうな、って。

いいもの聞かせて頂きました。

他にもASTRO(アストロ)のサナ君やIVE(アイブ)のユジンちゃんなどカバーされているのを見かけました。you tube公式チャンネルの動画が探せなかったので貼っておりませんが、お二人のカバーも素敵でした。

どうですか。
すっかりみなさまも熱唱したくなったのではないでしょうか。
ええ、きっとそうだろうとあらかじめルビ付けております。(笑)

まだまだカバーする人が増えそうな『事象の地平線』。
宇宙に思いを馳せつつ、私も悔いなく頑張ろう、なんて心持ちにちょっぴりなれるのがこの歌の長所ですね。

・・・・・・あれ?ってことはやっぱり希望の歌で合ってましたね。(笑)