みなさま、こんにちは。

猛暑に大型台風にと今年も大変な8月を迎えていますが、みなさまご無事にお元気でお過ごしでしょうか?
「異常気象」、「異例の」という形容がもはや現状に合わない、「異常の常態化」が年々目に見えて進んでいますよね。
急速な気候変動を抑制するための協力と問題解決に向けた世界規模の努力が切実に必要だと感じる今日この頃です。

さて、今日は今公開中の韓国の夏休みブロックバスター映画4編の紹介と、その中から『密輸』(邦題仮)の予告編を取り上げてみようと思います。
夏休みに入り、巨額の製作費が投じられたブロックバスター映画が現在4本公開されているのですが、本当にどれもすごく魅力的なラインナップ。

まずはポスターから。
魅力的な俳優陣と著名監督を揃えた今年の夏休みブロックバスター映画は、公開日順に以下の4本です。

7月26日に公開された『密輸』(邦題仮)。

 

 

 

 

 

「オンニ~!」と黄色い声援を送りたくなるキム・ヘスさん主演映画。
チョ・インソンさん、ヨム・ジョンアさん、パク・チョンミンさん、キム・ジョンスさん、コ・ミンシさんが主演でクレジットされています。
監督は、『ベルリンファイル』、『ベテラン』、『軍艦島』、『EXIT イグジット』など数々の大ヒット作を生み出したリュ・スンワン監督。
直近だと新型コロナの最中公開された『モガディシュ 脱出までの14日間』があります。

映画のあらすじ。(ポータルサイトNAVERより。以下出典同じ)

「海の深さは測れても、人の心は分からない!
平和だった海辺の村グンチョンに化学工場が建ち、一瞬にして仕事を失った海女たち。生計を立てる手段を探していた勝負師のチュンジャ(キム・ヘス扮)は、海の中に投げ入れられた物を拾い上げるだけで大金が稼げる密輸の世界を知り、海女たちのリーダー、ジンスク(ヨム・ジョンア扮)にそそる提案をする。危険な仕事であることを知りながら、生計のために果敢に決断を下したジンスクは、全国区の密輸王「クォン上司」(チョ・インソン扮)に会ったことで、一気に広がった密輸の規模に本格的にハマっていく。
そんなある日、一攫千金を得られる一世一代のチャンスが訪れ、人々は互いに騙し合いながら巨大な密輸現場に巻き込まれ始めるのだが・・・・・・。海を知る者だけが金の主になる!」

ちなみにこの映画、時代背景は70年代です。

 

2番手は8月2日公開の『非公式作戦』(邦題仮)。

 

 

 

 

 

 

ハ・ジョンウさんとチュ・ジフンさん主演映画。
ハ・ジョンウさんが元気な姿で映画に戻ってきた姿が見られて、嬉しいです。

『非公式作戦』の監督は『トンネル 闇に鎖された男』でもハ・ジョンウさんと共にしたキム・ソンフン監督。
Netflixの『キングダム』のスピンオフ『キングダム:アシンの物語』も手掛けた監督です。
『トンネル 闇に鎖された男』もとても良かったですし、個人的には『キングダム:アシンの物語』をとても感慨深く見たクチなので、監督の名前だけでも見る前から期待膨らみます。

映画のあらすじ。

「『非公式に?自分で解決しろ?ここは毎日が地雷畑ですよ』。
1987年、5年目の中東課から抜け出せずにいる外交官ミンジュン(ハ・ジョンウ扮)。ある日、受話器から20カ月前にレバノンで失踪した外交官の暗号メッセージが流れてくる。成功すれば米国に異動できるとの希望に満ちた彼は、非公式に同僚を救出する任務に志願し、レバノンに向かう。空港到着直後、身代金を狙う空港警備隊の弾丸洗礼を避け、偶然にも韓国人タクシー運転手パンス(チュ・ジフン扮)の車に乗りこんだミンジュン。ギャングまでもが金を狙って彼を追う地雷原のような状況の中、頼れるのは唯一の韓国人であるパンスのみだ。しかし、金さえ払えば何でもする怪しいこの人間、果たして一緒に同僚を救えるのだろうか?」

ちなみにこの映画は全斗煥政権時代の実話をモチーフにしています。

 

続いて3作目はこちら。
『非公式作戦』と同じく8月2日に公開された『ザ・ムーン』(邦題仮)。

 

 

 

 

ソル・ギョングさん、ト・ギョンス君、キム・ヒエさん主演映画。
メガホンをとったのは『神と共に』シリーズでいずれも1000万人超えを叩き出したキム・ヨンファ監督です。

韓国SF映画もここまで来たか!と感嘆する声も続々聞かれますが、私もト・ギョンス君目当てに必ず見たいと思っています。EXOのD.O.ことト・ギョンス君、演技力は本当に申し分ないですよね。

こちらもあらすじをば。

「2029年、韓国の月探査船ウリ号が月への旅に出る。偉大な挑戦に世界が注目するが、太陽の黒点爆発による太陽風がウリ号を襲い、ファン・ソヌ隊員(ド・ギョンス扮)のみ1人残される。韓国の宇宙船が月に向かったのは今回が初めてではなかった。5年前、偉大な夢を抱き羽ばたいたものの、人々が見守る中で空中爆発を起こし粉々に散ったナレ号。再び起きた悲劇に、唯一の生存者ソヌを守るため、ナロ宇宙センター関係者と政府は総力をあげて尽力し、国民全員が彼の生存を願う。
ソヌを無事に帰還させるため、5年前のナレ号事故の責任を取って山にこもっていた前任センター長、キム・ジェグク(ソル・ギョング扮)が再び合流するも、彼の力だけでは足りない。ソヌを救出する別の希望であるNASAの有人月軌道のメインディレクター、ユン・ムニョン(キム・ヒエ扮)に助けを求めるが、それすらも簡単ではない。ジェグクはまた誰かを失わないように、自分のすべてを掛けるのだが・・・・・・。
宇宙に一人取り残された隊員と、彼が無事に帰還することにすべてを懸けた男の生きるための、救い出すための孤軍奮闘が始まる。」

 

最後は8月9日に公開されたばかりの映画『コンクリート・ユートピア』(邦題仮)。

 

 

 

 

 

きましたね~。
イ・ビョンホンさん。この迫力。というか「圧」力。(笑)

主演はイ・ビョンホンさん、パク・ソジュンさん、パク・ポヨンさん。
監督は、カン・ドンウォンさん主演映画『隠された時間』のオム・テファさん。俳優のオム・テグさんのお兄さんですよね。
個人的には『隠された時間』、本当に美しい映画で大好きだったのですが興行的には失敗してしまい、次回作の知らせを待っていた監督なので、まさかのブロックバスターで帰ってきて嬉しいです。

取り上げた4編の他にもチョン・ウソンさんの初メガホン作品『保護者』も公開中なので、また別途ご紹介するとして。

以上の4編の映画、かつてならあっという間に300万、500万、700万の声が聞こえてきたであろう魅力的なラインナップなのですが、これがまたどうしたことか。
劇場に人々が足を運ばないんですよね、コロナ前のように。
コロナ前のようにというのか、社会の雰囲気というのか。

昨日までの興行成績を見ると、一足先に公開された『密輸』は8月15日付KOBIS(発券)統計で456万9793人。
『非公式作戦』が102万2219人。
『ザ・ムーン』が49万9314人。
『コンクリート・ユートピア』が213万6535人。

『コンクリート・ユートピア』は8月9日の公開からまだ1週間で200万超え。観客数の伸びは『密輸』と同じくらいの速さだそうです。

『密輸』の損益分岐点は400万動員だそうですので、もう安心ですね。
同じ速度で客足を伸ばしている『コンクリート・ユートピア』の損益分岐点も400万動員とされているので、こちらも順調にいけば突破しそうです。

ただ問題は、『非公式作戦』と『ザ・ムーン』。
『非公式作戦』の損益分岐点は600万人、『ザ・ムーン』は640万人を目標にしています。
あーーー。

『非公式作戦』はそれでも100万人は超えましたが、『ザ・ムーン』に至っては50万人にも届いていないという厳しい現状です。

うーん。

私は4本ともまだ見ていないので、内容的な評価は当然できないのですが、評論家や見てきた人たちの感想などを見るに、おおよそこういうことのようです。

『非公式作戦』は、「テーマの目新しさがない」。
既に海外で紛争に巻き込まれた外交官が命からがら脱出するという内容では、『モガディシュ 脱出までの14日間』と『交渉』があります。『モガディシュ 脱出までの14日間』は映画の内容も実話のほうも胸を打つものがありましたので、コロナの最中にも興行的に成功しました。
その後、似たような印象の海外紛争地からの救出劇を描いた『交渉』は、素材自体が不愉快感を催すまだ記憶に新しい事件だったので、ファン・ジョンミン、ヒョンビンをしても興行的成功を収められませんでした。
『交渉』の記憶がまだ色濃く残っているところに、今度は全斗煥時代の外交官の話。
見もしないで人々が敬遠する要素が満載です。
映画が軍事独裁政権に痛快に一発くらわす、とかいう内容だったら、またみんな「お?」と思って見に行ったかもしれないですけどねぇ。惜しい。(そういうことじゃない。笑)

そして、『ザ・ムーン』。
月に向かった隊員が一人取り残されてしまうという内容のさわりを聞いただけで、「グラビティ?」となってしまうのは避けがたいとしても、やっていることが分からないくらい、あまり話題になっていないんですよね、この映画。
韓国の傾向として、韓国産宇宙もの映画やSFに冷淡、というのがある気がします。
そういうのはハリウッドに任せておけばいいのに、なにしにわざわざ韓国で、みたいな。

映画を見てきた人たちの感想を読むと「プロットが単調だ」、「신파だ(お涙頂戴の意味)」、「국뽕(国家、及び韓国人賞賛)いらない」というのが不満のポイントのようですが、そうした要素を前面に押し出しても大成功した映画は数えきれないので、それ以前に多くの人が関心を持つテーマでないことが一番のネックなのかなと個人的には思っています。

ただ、興行成績が映画のすべてではないので。
私は4本とも楽しみに見たいと思っているところです。

 

というわけで。

今日は『密輸』の予告編をご紹介します。

 

今年の夏 密輸アリ
さあ動作止め。税関です
ブツを捨てて!
<ベテラン><モガディシュ>リュ・スンファン監督
チュンジャがグンチョンに来たの知ってますよね?
ソウルでよさげな仕事一つ持ってきたんだけど
あら、税関の兄さん!
取引条件は?
割り勘
下手に水先案内人やって、俺らが食われたら?
計画変更するつもりなんだ
うちらはブツを引き揚げて抜け出すのよ
風采が良くなったわね
俺らが全部食っちまおうか?
明日の0時にこの地点にブツを投げ入れる
どうなってるの?
オッパ。クォン上司に勝てないの?大したことないのに
水の中は勝手知っても
人の心は分からない
この夏一気に弾ける
密輸

 

予告編だけでもう楽しい。(笑)
キム・ヘスさんのすっとぼけた顔が、「オフィスの女王」を彷彿させます。

 

もう一つ、短いバージョンも。

 

税関が臭いを嗅ぎつけて追いかけてきても
うちらはブツを引き揚げて抜け出すのよ
取引条件は?
割り勘
監督 リュ・スンワン
下手に水先案内人やって、俺らが食われたら?
取り締まりよ!

投げて 
明日の0時にこの地点にブツを投げ入れる
私たち3人だけの秘密よ

引き揚げて
捕まえろ!
一緒に死のう!この××野郎!
俺が誰か知ってるだろ?
ヨム・ジョンア キム・ヘス チョ・インソン
コ・ミンシ パク・チョンミン キム・ジョンス
密輸

 

これは絶対に笑えるやつですね。

ワクワク。

 

ちなみにパク・チョンミンさん、最近自費を投じて視覚障がい者のための特別な試写会を開催されたことでニュースになっていました。

8月10日、韓国障がい者財団は俳優パク・チョンミンさんが来る17日に視覚障がい者と保護者を100名招き、ソウルのロッテシネマ・トゴク店で画面解説付きの上映会を開催する予定だと明らかにしました。

特別な試写会のための映画館貸し切り費用や、イベントにかかる費用もすべてパク・チョンミンさんが寄付されたとのこと。
財団によれば、聴覚障がい者の方々を『密輸』の上映会にお招きしたいとパク・チョンミンさんから先に連絡がきたそうです。
パク・チョンミンさんは出版社も運営されているそうなのですが、オーディオブックの制作を無償で行うなどの活動を、この間ずっとされていたそうです。その過程で視覚障がい者の方々が文化に接する機会について考えるようになったのだとか。

さらに、このニュースとセットで報道されたのですが、パク・チョンミンさんに先んじてチョ・インソンさんも試写会に難病を患う子どもたちと社会福祉士を招待していたそうです。
KBSの報道はコチラ

ちょっとなんですか、このチーム。
俄然応援する理由が増えたじゃないですか。

チョ・インソンさん、私が以前翻訳した『幸せな通勤』の著者、法輪和尚が主宰する浄土会の行事にもよくボランティアで参加されているので、変わらず静かにひっそりと善行されてるんだなと感動しますが、パク・チョンミンさん、自ら出版社を構えてそういう意義深いお仕事もされていたとは知りませんでした。
もーーー。素敵すぎます。この話で完全にファンになりました。

映画を楽しみにされてる方も多いと思うので、早く日本でも上映されるといいですね。