みなさま、こんにちは。

2024年初投稿です。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
本来なら縁起のいい明るい言葉で始めるべきなのですが、日本は元旦の能登半島大地震、韓国は2日に野党民主党党首の命を狙った政治テロ事件が起き、お正月どころではなくなってしまいました。
石川県能登半島大地震も、言葉を失うような酷い惨状が日を追うごとに明らかになり、胸が詰まります。
被害に遭われた方々に心よりお悔やみ申し上げます。一日も早く安全な暮らしを取り戻せますようにお祈り申し上げます。

さて、今日は韓国警察とマスコミのイ・ソンギュンさんの死に対する責任を問うたポン・ジュノ監督らの声明文について取り上げます。

 

 

 

©씨네그루(주)키다리엔티 シネグル(株)キダリエンティ

 

 

12月27日、変わり果てた姿で発見された俳優のイ・ソンギュンさん。
その訃報に接し、韓国内のみならず日本でも大きな衝撃が走りましたよね。
私も本当にショックでしばらく立ち直れませんでした。

これがどういう問題から起きているのかを説明するには、韓国政治についての多少の解説を必要とします。
映画『ザ・キング』や『インサイダーズ 内部者たち』、ドラマ『ヴィンセンツォ』などをご覧になった方は、「あれは映画やドラマじゃなく現実だ」と、「ノンフィクションのふりをしたフィクションだ」と思ってもう一度ご覧になったら、ちょっとつかめるかもしれません。

大統領に私物化された検察および警察が、政敵を追い落とそうと無茶な捜査を繰り返して何人も自死に追いやっていることや、韓国政府の言論弾圧状況について国際的にもジャーナリストたちに警鐘を鳴らされていること、大統領夫妻の不正腐敗疑惑が揉み消され続けていることなど、前の政権で起きていたならワイドショーですらネタとして取り上げていただろう韓国政府の暗部が、どういうわけか日本でニュースとして出てきません。世界各国の報道機関・通信社がことあるごとに記事にしているので、日本の韓国特派員だけ知らないわけではないのでしょう。
韓国でいまどれだけ民主主義や人権が踏みにじられていて、政治的には極右化が進み、過去の独裁政権の様相を呈しているかについて、日本では報道がなく知りようがないので、韓流ファンのみなさまもイ・ソンギュンさんがなぜこのようなことになったのか全く訳が分からないだろうと思います。
正確に言えば、韓国でも能動的に事実を知ろうと努力しない限りは、分からなかったりします。
韓国メディアがあまりに本当のことを報じないので「BBCが韓国の正統ジャーナリズムだ」などと人々が皮肉を込めてSNSで言いあうくらい、韓国メディアへの信頼は地に落ちています。

 

ポン・ジュノ監督らの声明文をご紹介する前に、イ・ソンギュンさんが亡くなった後の仲間たちの追悼の声をご紹介します。

 

こちらはキム・ウィソンさんのイ・ソンギュンさん埋葬直後の12月29日インスタグラム・ストーリーのキャプチャー。

 

 

お前を送ったあと戻る途中の空は、すっかり曇ってるよ。
怒りと絶望と後悔と申し訳なさがないまぜになり、胸が張り裂けそうだけど、すべてを脇に置いて、ただ悲しみでお前を送るよ。
なによりも、もうお前に会えないということ、お前の声が聞けず、お前と焼酎一杯酌み交わすことができないという事実が、私をさらに絶望的にさせる。
少し時間が経って頭を冷やしたら、私に、私たちに、何ができるのか、一つずつ考えて行動に移すよ。
侮辱と苦痛のない場所で安らかに眠ってくれ。

 

 

同じく12月29日、チョン・ウソンさんのインスタグラム。

 

ソンギュン、安らぎに至ったか?
どうか安らぎに至っていますように。

 

「安らぎに至る」というのは、イ・ソンギュンさんの代表作『マイ·ディア·ミスター~私のおじさん~』の最終回のセリフですよね。
・・・・・・また泣きそう。

ほんとに、ただでさえ涙なしに見れないドラマなのに、本当にもうつらすぎて見れないドラマになってしまいました。
いや、イ・ソンギュンさんをまっとうに弔うために、どれほど立派な俳優であったかを記憶し、知らしめるためにも、広めるべきドラマなのですが。

 

そして、同じく12月29日、SBS演技大賞で最優秀演技賞を受賞したパク・ソンウンさん。

受賞の感想より、手紙を一通書きたいです。
もうこれ以上痛みも、心配事もない穏やかな世界で、安らかに眠れるよう祈ります。
今日、お前を天国に送った日だが、ヒョン(兄)は賞をもらったよ。いつだって演技に真剣だった天国にいるお前に、この賞を捧げる。
さようなら、弟よ。

 

同じくSBS演技大賞で大賞を受賞したイ・ジェフンさんも、スピーチの最後にイ・ソンギュンさんへの追悼を捧げられました。

 

今日は、あまりにもつらい日でもあります。
個人的には作品でのご縁はなく、ともに出来たのはすれ違う程度の時間だけでしたが、僕はあの方が歩んでこられた道を見ながら、俳優という夢を育てましたし、そして、あの方のように進みたいと何度も思い、また、ロールモデルとして後に続きたいと思ってきました。
あの方に、僕はこの賞を捧げたいです。
本当にお疲れさまでした。天国では安らかで幸せであられますように。
今日ともにして下さったすべての皆様、心からありがとうございました。

 

12月31日に行われたKBS演技大賞では、助演賞を受賞されたイ・ウォンジョンさんがスピーチの後半に強烈な一言を。

ついこの間、『幸福の国』という映画を一緒に撮った大好きな後輩が、先に旅立ちました。
再び野蛮な歳月が繰り返されることがないよう、気をしっかり持っていないといけないという思いをお伝えし、視聴者の皆様に新年幸多きことをお祈りしつつ、ご挨拶とさせていただきます。
本当にありがとうございました。

 

過去になったはずの野蛮な歳月、独裁政権時代がまた来ていると、イ・ウォンジョンさんも感じていらっしゃるんですね。

薬物での前科4犯とも6犯とも言われる女性が、他に芸能人の名前を吐けば刑を軽くするとでも捜査官に言われたのか二人の有名人の名前を口にし、真偽の定かでないただそれしきのことを根拠にイ・ソンギュンさんに嫌疑をかけ、一夜にして奈落の底に突き落とした警察。
無実の訴えを裏付けるかのように何度検査しても陽性反応が出ず、どころか脅迫を受け巨額の金銭を脅し取られていた被害者であることが判明した時点で、警察は捜査打ち切りとすべきでした。そもそも裏も取れていない状況でマスコミに情報をリークし魔女狩りの生贄にしたことは、のちに違法性を追求される部分でしょう。今の政府では無理ですが。

為政者が得点稼ぎのために白羽の矢を立てた麻薬捜査。
もっとも、本当に薬物の一掃を目指していたとは到底思えません。財閥の娘や検事の義弟など、お金があったり身内が検察官だったりすると、処罰が軽微に済んだり、捜査を警察に打ち切らせたり、そんなことばかりなので。
あくまでも供給側ではなく、派手に話題を提供してくれる有名人を捕まえようとする。それによって大衆の目を政治批判や失策、不正腐敗追及から逸らしたい。こうしたことは今始まったことではないのですが、特に今の政府は「麻薬との戦争」を検察の最大課題と大々的にぶち上げたので、成果を上げることを迫られた警察がとんでもない無茶をした、というのが大方の見方です。

証拠が出ればまた話は変わったのでしょうが、二人とも全く出ず、どころかイ・ソンギュンさんは脅迫を受けていた被害者で、見当違いを認めて引っ込めれば非難の矛先が警察と検察に向くことが分かり切っていたため、今度は共犯メディアがまるで警察に助け舟でも出すように全く関係のないイ・ソンギュンさんの私生活の通話音声を暴露。驚くべきことにその暴挙に出た共犯メディアとは、公共放送のKBSです。

KBSの堕落ぶりについては今日は詳しく扱いませんが、暴露系ユーチューバーのようなことを9時のニュースでやり、イ・ソンギュンさんは嫌疑とは無関係の事柄でさらに貶められ、尊厳を踏みにじられ、警察に呼ばれるたびに不必要にメディアの前に立たされ、19時間もの取り調べを受け、外部に漏れてはいけないはずの取り調べ内容がまた翌日のJTBCのニュースに事実とかたちで報道され、そのニュースのあった翌朝、彼は帰らぬ人となってしまいました。
こうして書くだけでも苦しいです。

さらに悪質なことに、イ・ソンギュンさんが亡くなった後も、最大手新聞社の朝鮮日報系列のテレビ局「TV朝鮮」はあろうことか遺書を捏造し、まことしやかに公開。遺族側が法的措置に出たためすぐに取り下げましたが、そもそも自分たちがあることないこと書き立てて死に追いやった俳優の遺書まで捏造する背徳ぶりを見せる新聞社やテレビ局が韓国で一番幅を利かせ、そうした問題の多い新聞社が日本語配信して日本でも韓流情報などでクリック数を稼ぎ、文化面でも政治面でも情報源として深く広く流通し消費されてしまっていることに、懸念を覚えずにおれません。

ざっくりですがこうしたポイントをおさえつつ、1月12日にポン・ジュノ監督らが発表した「俳優イ・ソンギュンの死に相対する文化芸術家の声明文」を記者会見映像でご紹介します。
とはいえどのマスコミもイ・ソンギュンさんの死に責任と罪を免れえないので、これを報じる資格がある数少ないメディアのひとつ、オーマイニュースのものを載せます。
映像自体は記者会見全行程含まれますが、声明文の朗読は映像開始から6分20秒間程までです。

 

[俳優キム・ウィソン]
大衆文化芸術家に対する捜査過程で、二度とこのようなことが悲劇が繰り返されることがないよう願います。
『故・俳優イ・ソンギュンの死に相対する文化芸術家の要求』。
昨年12月27日、一人の俳優があまりに痛ましくも自ら命を絶った。
去る10月19日、ある日刊紙による「俳優L氏を麻薬に関する情報をもとに内偵中」との仁川警察関係者の言を引用した最初の報道以来、10月23日に彼が正式に立件されてから2ヶ月余りの間、彼はいかなる保護装置もないままマスコミとメディアにさらされた。

簡易試薬検査、国立科学捜査研究院の精密鑑定のための試薬採取から陰性判定までの全過程が、3度にわたる警察の召喚調査に出席する姿が、すべてマスコミを通じて生中継され、事件との関連性、証拠能力の有無すら判断しかねる録音ファイルがマスコミとメディアによって公開された。
結局、彼は19時間の捜査が行われた3度目の召喚調査で、嘘発見器で陳述の真偽を見極めて欲しいとの要請を残し、自ら人生の終止符を打つという残酷な選択をするに至った。
これを受け、過去2ヶ月余りの間彼に加えられた苛酷な人格殺人に対し、私たちの立場を明らかにすることが、亡くなった同僚に対する最低限の道理と考え、以下のように立場を表明する。

[ポン・ジュノ監督]
捜査当局に要求します。
故人の捜査に関する内部情報が最初に漏洩した時点から、極端な選択(*自死の意)に至るまでの2ヶ月余りの期間、警察の捜査に対する保安に一点の問題もなかったのか、関係者の徹底した真相解明を求めます。
捜査が行われている間、広報責任者の不適切なメディア対応はなかったのか、広報責任者以外の捜査業務従事者が個別に報道機関と接触したり、記者などから捜査事件などの内容に関する質問を受けた場合、不適切な回答をした事実はないのか、一点の疑いも残さず調査し、その結果を公開することを要請します。特に、国立科学捜査研究院の精密鑑定の結果陰性判定が出た11月24日のKBS単独報道には、多数の捜査内容が既に含まれていますが、どのような経緯と目的で提供されたものなのか綿密に明らかにされるべきであり、3度目の召喚調査で故人が19時間にも及ぶ徹夜捜査にもかかわらず一貫して容疑を否定した後の、12月26日の報道内容についても同様です。
報道関係者の取材協力は適法な範囲内で行われなければならないにもかかわらず、3度に渡る召喚手続きすべての故人の出席情報を公開した点、当日、故人がさらされないようにするためのいかなる対策措置も取らなかったのは、果たして適法な範囲内の行為であるかを明確にすることを要請します。
捜査当局は、適法な手続きに基づいて捜査したとの一文で、このすべての責任から逃れられるとは思いません。捜査過程に対する徹底した真相調査だけが、誤った捜査慣行を正し、第2、第3の犠牲者を作らない唯一の道です。

[歌手ユン・ジョンシン]
マスコミ及びメディアに問います。
故人に対する内定調査段階の捜査報道は、果たして国民の知る権利のための公益的な目的で行われたと言えるか?
大衆文化芸術家であるとの理由で、個人の私生活を強調し、センセーショナルに報道をしたのではないのか?
大衆文化芸術家であるとの理由で、故人をフォトラインに立たせるよう警察側に無理に要請した事実はなかったのか?
特に、容疑とかけ離れたプライベートな会話における故人の声を報道に含めたKBSは、公共放送の名誉を賭けて、国民の知る権利のためだけの報道であったと確信できるのか。
KBSを含むすべてのマスコミ及びメディアは、報道目的に合致しない記事内容を早急に削除して頂きたいです。
大衆文化芸術家が大衆の人気を基盤にせざるを得ないことを利用し、悪意をもって検証されていないソースを流したり、十分な取材や確認手続きもなしにイシュー化することだけに躍起になっている一部ユーチューバーを含むイエロージャーナリズム、いわゆる「サイバーレッカー」(*再生回数や利益を目当てにゴシップを扱う炎上系YouTuberのこと)の病弊に対し、私たちはいつまで沈黙しなければならないのか? 本当に自浄のすべはないのか?

[イ・ウォンテ監督]
政府と国会に要求します。
仮に捜査当局の捜査手続きが適法であったとしても、政府及び国会は今回の死亡事件について沈黙してはならないでしょう。刑事事件の公開禁止と捜査上の人権保護のための現行法令に問題がないか点検し、必要な法令の制定・改正作業に着手すべきです。
被疑者の人権と国民の知る権利との間で原則と例外が逆転することがないよう、捜査当局が法の趣旨を恣意的に解釈・適用することがないよう、明確な立法的改善が必要です。
私たちは上記の要求と質問に対し、納得のいく結果が得られるまで、最善の努力を尽くす所存です。
故イ・ソンギュンさんのご冥福をお祈りします。

 

キム・ウィソンさんの後ろに立つチャン・ハンジュン監督の一点を凝視する怒りの表情が、イ・ソンギュンさんを奪われた仲間の方々の心情を表しているようです。

この声明文には俳優ソン・ガンホさんをはじめ2000人の方が名を連ねているそうです。
韓国語のリンクはコチラ

イ・ソンギュンさんが亡くなった直後、「オスカー賞受賞作『パラサイト』の俳優が亡くなった」とBBCやニューヨークタイムズ、ワシントンポストなど多くの外国メディアが比重を置いて報道したのですが、その際ニューヨークタイムズとワシントンポストは度重なる検査結果は陰性だったこと、政権がぶち上げた「麻薬との戦い」についても詳しく取り上げ、関連を指摘。韓国メディアが政府の「麻薬との戦い」キャンペーンの過程で起きた無理な捜査だったことに一斉に口をつぐんでいるのと非常に対照的です。

ポン・ジュノ監督らの抗議声明文発表に歩調を合わせるように、アカデミー賞の行方を占う批評家賞の一つであるオースティン映画批評家協会は現地時間11日、2023年最高の作品10作を発表する中でイ・ソンギュンさんを特別賞に選びました。
「特別賞 イ・ソンギュンの人生と作品を追悼して パラサイト、眠り、脱出:プロジェクトサイエンス」との文言とともにウェブサイトに掲載された写真。

 

 

本当に悲しく無念でなりません。
誰にも偉ぶることなく親切で優しい人だったと、故人を知る人がみな口をそろえるイ・ソンギュンさん。
共演した無名の同僚俳優たちに少しでもスポットライトが当たるよう、いつも気遣っていたなどという話を映画評論家たちが回想するのを聞くにつれ、本当になんということをしてくれたのかと堪らない気持ちになります。

オースティン映画批評家協会が触れている『脱出:プロジェクトサイレンス』はイ・ソンギュンさんの遺作で、まだ公開が決まっていません。突如降って湧いた濡れ衣疑惑のせいで公開のめどが立たなくなってしまったのですが、きっとイ・ソンギュンさんの大切な遺作として公開されるであろうと信じています。

最後に声明文の全文訳をもう一度載せておきます。
名前と顔を出して、この国の病巣である無法者たちにまっとうな抗議の声を上げて下さったポン・ジュノ監督、ユン・ジョンシンさん、キム・ウィソンさん、イ・ウォンテ監督、そしてチャン・ハンジュン監督ほか多くの皆さんの勇気ある行動に尊敬と感謝の念を送ります。

 

(©유성호 ユ・ソンホ)

 

<故・俳優イ・ソンギュンの死に相対する文化芸術家の要求>

昨年12月27日、一人の俳優があまりに痛ましくも自ら命を絶った。

去る10月19日、ある日刊紙による「俳優L氏を麻薬に関する情報をもとに内偵中」との仁川警察関係者の言を引用した最初の報道以来、10月23日に彼が正式に立件されてから2ヶ月余りの間、彼はいかなる保護装置もないままマスコミとメディアにさらされた。
簡易試薬検査、国立科学捜査研究院の精密鑑定のための試薬採取から陰性判定までの全過程が、3度にわたる警察の召喚調査に出席する姿が、すべてマスコミを通じて生中継され、事件との関連性、証拠能力の有無すら判断しかねる録音ファイルがマスコミとメディアによって公開された。
結局、彼は19時間の捜査が行われた3度目の召喚調査で、嘘発見器で陳述の真偽を見極めて欲しいとの要請を残し、自ら人生の終止符を打つという残酷な選択をするに至った。

これを受け、過去2ヶ月余りの間彼に加えられた苛酷な人格殺人に対し、私たちの立場を明らかにすることが、亡くなった同僚に対する最低限の道理と考え、以下のように立場を表明する。

1. 捜査当局に要求する。

故人の捜査に関する内部情報が最初に漏洩した時点から死亡に至るまでの2ヶ月余りの期間、警察の捜査に対する保安に一点の問題もなかったのか、関係者の徹底した真相解明を求める。

捜査が行われている間、広報責任者の不適切なメディア対応はなかったのか、広報責任者以外の捜査業務従事者が個別に報道機関と接触したり、記者などから捜査事件などの内容に関する質問を受けた場合、不適切な回答をした事実はないのか、一点の疑いも残さず調査し、その結果を公開することを要請する。特に、国立科学捜査研究院の精密鑑定の結果陰性判定が出た11月24日のKBS単独報道には、多数の捜査内容が含まれているが、どのような経緯と目的で提供されたものなのか綿密に明らかにされるべきであり、3度目の召喚調査で故人が19時間にも及ぶ徹夜捜査にもかかわらず一貫して容疑を否定した後の、12月26日の報道内容についても同様である。

報道関係者の取材協力は適法な範囲内で行われなければならないにもかかわらず、3度に渡る召喚手続きすべての出席情報を公開した点、当日、故人がさらされないようにするためのいかなる対策措置も取らなかったのは、果たして適法な範囲内の行為であるかを明確にすることを要請する。

捜査当局は、適法な手続きに基づいて捜査したとの一文で、このすべての責任から逃れられるわけではない。捜査過程に対する徹底した真相調査だけが、誤った捜査慣行を正し、第2、第3の犠牲者を作らない唯一の道である。

2. マスコミ及びメディアに問う。

故人に対する内定調査段階の捜査報道は、果たして国民の知る権利のための公益的な目的で行われたと言えるか?
大衆文化芸術家であるとの理由で、個人の私生活を強調し、センセーショナルに報道をしたのではないのか?
大衆文化芸術家であるとの理由で、故人をフォトラインに立たせるよう警察側に無理に要請した事実はなかったのか?
特に、容疑とかけ離れたプライベートな会話における故人の声を報道に含めたKBSは、公共放送の名誉を賭けて、国民の知る権利のための報道であったと確信できるのか。
KBSを含むすべてのマスコミ及びメディアは、報道目的に合致しない記事内容を早急に削除してほしい。

大衆文化芸術家が大衆の人気を基盤にせざるを得ないことを利用し、悪意をもって検証されていないソースを流したり、十分な取材や確認手続きもなしにイシュー化することだけに躍起になっている一部ユーチューバーを含むイエロージャーナリズム、いわゆる「サイバーレッカー」の病弊に対し、私たちはいつまで沈黙しなければならないのか? 本当に自浄のすべはないのか?

3. 政府と国会に要求する。

仮に捜査当局の捜査手続きが適法であったとしても、政府及び国会は今回の死亡事件について沈黙してはならない。刑事事件の公開禁止と捜査上の人権保護のための現行法令に問題がないか点検し、必要な法令の制定・改正作業に着手すべきである。

被疑者の人権と国民の知る権利との間で原則と例外が逆転することがないよう、捜査当局が法の趣旨を恣意的に解釈・適用することがないよう、明確な立法的改善が必要である。

私たちは上記の要求と質問に対し、納得できる結果が出るまで最善の努力を尽くす所存である。

故イ・ソンギュンさんのご冥福をお祈りします。

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