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23 2024年11月
みなさま、こんにちは。
今日も先日tvNでの放送が終わったドラマ『ジョンニョン』について書いてみようと思います。
原作ウェブ漫画とドラマとの違いについて。
みなさま。話題のドラマ『ジョンニョン』、もうご覧になりましたか?
ご覧になりましたよね?
え?まだ?
いやいやいや、これはご覧になっていただきたいです。
Disney+で配信中ですので、是非。
これ見て解約しても損はないです!(って関係者の方、すみません。笑)
『ジョンニョン』を見る前までは、今年の最高のドラマは文句なしに『ソンジェ背負って走れ!』だなと個人的に思っていたのですが、特に期待していなかった『ジョンニョン』がとんでもなく素晴らしい作品で、もはやドラマの枠で語っていいのかためらわれるほどの出来栄え。
特に劇中劇シーンが素晴らしく、何篇もの作品を見たような気分になることしばしばでした。
ドラマの感想はまた別途書くとして、今日はドラマと原作との違いについて取り上げてみようと思います。
ドラマをご覧になられた方は既にご存じかと思うのですが、このドラマは同名のウエブトゥーン(ウェブ漫画)が原作です。
原作ウェブ漫画の作者はお二人。
ストーリーはソ・イレさん、作画はナモンさんが担当されました。
全138話完結。
ナモンさんがジョンニョン作画の際に、『お嬢さん』(原題:아가씨/アガシ)出演時のキム・テリさんをモデルにされたそうです。確かに、ドラマでは最初から短髪のジョンニョンですが、漫画の中では木浦の貧しい魚売りの少女だった初期のジョンニョンは長い髪をしていました。
(『ジョンニョン』第1巻より)
(映画『お嬢さん』より)
私も最初に「『お嬢さん』のキム・テリさんをモデルに作画した」とのインタビューを読んだ時、「あれ?」と思ったんですよね。「アガシ」のキム・テリさんは髪を結んでいたので。そのあと原作漫画を見て納得。
見比べると、確かに似た雰囲気がありますね。
ですが、私が今日書こうとしているのは、このことではありません。
こちらはNAVERに掲載されているウェブ漫画「ジョンニョン」の代表イメージ。
重要な登場人物3人が描かれています。
真ん中がジョンニョン。左がウンソ。そして右のおさげの子は?
そうなんです。これが一番大きな違い。
ウェブ漫画では主役級の大きな役割を果たしたクォン・ブヨンというキャラクターが、ドラマではそっくりいなくなっているんです。
原作のファンにとっては、原作の中で比重の大きかったキャラクターがドラマ化で全くいなくなってしまうのは、なかなか受け入れがたいことですよね。
一方で、原作を知らないドラマのファンにとっては、原作との違いは正直気にならないかもしれません。
むしろ、ドラマの余韻を壊すので知りたくない情報である可能性も。
ということで、原作情報はどうでもいい、むしろ知りたくないという方は、ここで閉じて頂いて。(笑)
ええ、なぜなら結構大きな違いなので。
と前置きしつつ。
読みたくない方は閉じて下さったものと信じて。続けます。
原作の重要人物である17歳の高校生クォン・ブヨンは、作家を目指している女の子で、ジョンニョンの舞台を見て最初のファンになります。
有名作家である父親が決めた許嫁(いいなずけ)がいるブヨン。
ですがブヨンは親が決めた結婚に激しく反発します。
母親のように夢を諦め、家庭に入る女性になりたくなかったブヨン。
劇作家を目指していた聡明なブヨンには、好きな人がいました。
自分と同性の女の子。
ブヨンはジョンニョンの一番の応援者であり、ジョンニョンを好きになるキャラクターです。
クォン・ブヨンのキャラクターがドラマから消されたことが分かった後、原作ファンからは抗議の声が上がり、制作発表の記者会見場でも記者からその件についての質問が続いたのですが、ファンが不満に思うのは当然として、気になるのは当の原作者がこのことをどう捉えていたのかですよね。
原作者のお二人と監督の考えを知ることのできるインタビューが、韓国の映画専門雑誌『cine21』の1470号に掲載されているので、ご紹介します。
「恐らくこれは不可抗力―ドラマ『ジョンニョン』プレビュー」と題された記事(原文リンクはコチラ)の日付は2024年8月22日。
ドラマのメガフォンを取ったチョン・ジイン監督と原作者のソ・イレさん、ナモンさんが一堂に会したこの場でも、ドラマ化でいなくなったブヨンのことが取り上げられていました。
一部抜粋しながらご紹介してみます。
「ウェブ漫画をドラマ化する上で脚色は避けて通れなかったでしょう。」と前置きしつつ、「脚色の方向性について二人の原作者が意見を伝えた点はありますか?」とインタビュアーに尋ねられ、作者のソ・イレさんはこう答えています。
「ないです。すべて信じて任せました。ドラマを書いたこともなければ、よく見る方でもないので、私が手を加えるよりよっぽど良い結果物が出てくるだろうと思ったので。脚色とは翻訳に等しいものと考えています。例えば英語を韓国語に訳す時、100%正確に翻訳することなど不可能ではないですか。ニュアンスなどが微妙に変わってしまいますが、その上でなお、専門家の手を経た翻訳ならではの味わいや深さがあります。原作からそぎ落とした部分もあるでしょうが、反対にドラマだけが持つ強みや個性も間違いなくあると思っています。」
「ドラマの脚色段階で監督が重要に思っていた地点は?」と続く質問に、チョン・ジイン監督は「脚本家のチェ・ヒョビさんと何度もシナリオ会議を重ねたのですが、最終的な脚色の方向は、作品のタイトル通りジョンニョンを中心に周辺人物とメラン国劇団内部の物語を引っ張っていかなければならないというものでした。話数がもっと多ければ、話を拡大できたのですが、そうできず心残りです。」とのお答え。
そして、監督に対する核心に迫る質問。
「ブヨンのように、まだキャストが公開されていない人物について、気になっているファンがいますが」
「ブヨンは本当に腐心したキャラクターです。ですが、『チャングムの誓い』のチャングムとグミョンのように、『ジョンニョン』ではジョンニョンとヨンソの関係に集中する必要があると判断しました。この二人の関係は、メラン国劇団の団長であるソボクとジョンニョンの母ヨンレとの関係と根を同じくするものだったりもします。脚色の過程でブヨンは消えましたが、ブヨンが持っていた情緒は他のキャラクターに溶け込ませる形で最大限生かそうとしました。望むらくは、ドラマを見て楽しさと好奇心を感じた視聴者が、原作に渡り、原作の世界観までをも一緒に楽しんで下さること。もしそうなれたなら、願ったりかなったりです。」
「ブヨンが同性愛者だから消した」と不満をぶつける声もありましたが、実際にご覧になられた方々はどうだったでしょうか?
私などは、監督の言ったとおりだなと感心しながら見ていました。
ブヨンの持つ「情緒」はちゃんとドラマに溶け込んでいましたよね。
12話という短い話数で話をまとめるために、焦点を絞る必要があったのも理解できます。
そもそも12話というのが短すぎです。
これ、続編があると心の中で言い聞かせないと、私の中で終われません。(笑)
勿論監督の言うことに納得できるのは、私が原作ファンではないからかもしれません。
原作のファンであれば、ストーリーを端折るのも、ましてや大好きなキャラクターが削られるのも、受け入れがたいことかもしれません。
大ヒットした『財閥家の末息子』も原作のウェブ漫画があって、ラストが原作と全然違うということで最終回を見た原作ファンから大ブーイングが起こるハプニングがあったのですが、私などは原作のラストを知って、ドラマのほうが遥かにいいと感じました。
そういうものですよね、どうしても。
『ジョンニョン』に関しては、原作者が脚色を了解し、全面的にお任せしているという点で、とても安心しました。
なんだかんだ、生みの親である原作者が納得されるのが、一番大事なことだと思うので。
そして、ここでまた思い出すカンプン作家の威力。
去年Disney+で公開された大傑作ドラマ『ムービング』もカンプン作家のウェブ漫画が原作ですが、ウェブ漫画の原作者がドラマの脚本まで書いて、自分で自分の作品を脚色し、完璧な作品に仕上げてしまうだなんて、ありえますか?カンプンさん以外には絶対不可能です。あの方は間違いなく怪物です。(笑)
この「シネ21」のインタビュー、もう一つ母親役のムン・ソリさんとの逸話も面白いので、最後にこちらもご紹介しようと思います。
ムン・ソリさん自身が、キム・テリさんに撮影を見に来て欲しいと頼まれて見に行ったところ、母親役を引き受けて欲しいと言われて断れなかった、といった趣旨のことをインタビューで話されているのですが、監督からはまた違う角度からのエピソードが明かされています。
「ヨンレ役にムン・ソリさんをキャスティングされましたね」
「ヨンレがドラマの初期部分の情緒を形作るので、キャストを慎重に考慮していました。出演交渉を行う前段階でムン・ソリさんとミーティングを持ったのですが、『私がパンソリをやっていたことを知っていて連絡されたのですか?』と尋ねられました。あとから知ったのですが、20代の頃、演劇をやる上でパンソリを習っていたそうなんです。個人的にウェブ漫画と唱劇で一番好きだったのが、ヨンレとジョンニョンが〈秋月満庭(チュウォルマンジョン)〉を歌うシーンでした。なので、唱劇に負けないようにこの場面を上手に演出したいという強い気持ちがありました。このあいだ〈秋月満庭(チュウォルマンジョン)〉のシーンを編集したのですが、改めてムン・ソリさんがヨンレ役を引き受けて下さって良かったと思いました。無理して日の出の時間に撮影したのですが、ちゃんと日が昇ってくれて、そこも幸いでした。」
ムン・ソリさんも、良かったですよねぇ。
途中「オンマ、反対しすぎ」とかなりイラつかされもしましたが。(笑)
しかし、舞台を演じる上でパンソリを習っていただなんて、そんな出来過ぎた話がありますか?
本当に芸事に本気だなと改めて感心してしまいました。
実は韓国でも友人知人たちがみんな『ジョンニョン』を見ていて、会うと「ジョンニョン話」で盛り上がるのですが、「実は私も昔国楽をかじっていてパンソリも習っていた」と意外な告白を受けることも。
パンソリ、今まで話すきっかけがなかっただけで、実は意外に身近なのかもしれません。
かくいう私も、映画『西便制(ソピョンジェ)』が公開された時、パンソリ習ってみたいなと思いましたので。思っただけですが。(笑)
監督の望んだとおり、ドラマから原作に渡るファンもいらっしゃるでしょうし、ドラマの世界観をずっと大事にしていたファンもいらっしゃると思います。
私はまだしばらくは、ドラマの世界観に留まっていたいところです。
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