みなさま、こんにちは。

早いもので、今日で9月も終わりです。
今年も中秋の名月がくっきりと見られ、すがしい気持ちになりました。
昨日までチュソク(秋夕)、つまり旧盆連休だった韓国も今日からはまた日常モードですね。

さて、今日も引き続き映画のご紹介。
現在公開中の『思悼(サド)』(邦題仮)の予告編をアップしてみます。
前回ご紹介した『ベテラン』に引き続いての、ユ・アインさんの映画です。

チュソクの連休中、最も観客数を集めたこの映画。

連休が始まった26日から昨日29日までだけで、242万人もの観客を動員したそうです。

the throne_poster1

「父と息子 悲劇が始まる」

映画『思悼(サド)』(邦題仮)の公開は9月16日。
昨日までの累積観客数が479万人とのことですので、公開半月にして500万動員を目前にしたというわけですね。

いやはや、それにしてもすごいのはユ・アインさん。

前回取り上げた『ベテラン』もチュソク期間にさらに観客動員数を伸ばし、昨日までで累積1321万461名を記録。『10人の泥棒たち』を超え、目下韓国映画史上3番目の観客動員数となっています。

まるっきり趣の異なる映画ながら、ユ・アインさんの魅力にハマってどちらも見ると言う人、結構いそうですよね。勿論、ソン・ガンホさんがけん引役であることは言うまでもないですが。

この映画『思悼(サド)』は、韓国史上もっとも悲劇的な王と王世子の物語として知られた出来事を題材にしたものです。

王である父・英祖(ヨンジョ)が息子である愃(ソン)、荘献(チャンホン)世子の王世子の座を廃位しただけで飽き足らず、ついには米びつに閉じ込めて8日間ののち餓死させた事件。息子の死後、自分のしたことを悔いて地位を回復させ、戒名を「思悼(サド)世子」と新たにつけたこの話は、英祖(ヨンジョ)から思悼(サド)世子の息子正祖(チョンジョ)までの3代の歴史としてこれまでも繰り返し小説やドラマ、映画で取り上げられてきました。

最近でいえば、去年の今頃から放送が始まったハン・ソッキュさんとイ・ジェフンさんの『秘密の門』(邦題仮)がまさに英祖と息子・愃(ソン)の物語りでしたよね。

gate of secret_poster1

父・思悼(サド)世子亡き後王座についた息子の祘(サン)、のちの正祖(チョンジョ)を主役にしたものとしては、イ・ソジンさん主演ドラマの『イ・サン』やヒョンビンさん主演映画『逆鱗(邦題:王の涙)』など。

lee san_poster1

yeoklin_postarimage1_1

歴史の事実として強烈過ぎるだけに、これまでも様々な形で取り上げられてきた思悼(サド)世子の物語り。
であるがゆえに、『秘密の門』の時も同じことが言われていましたが、一体この知られ尽くした話を新鮮にまとめて観客を魅了することなどできるのかと。名優ソン・ガンホをしても、ちょっと厳しいんじゃないかと。そんな声が確かに散見していました。

実際、ハン・ソッキュさんとイ・ジェフンさんを擁立してのSBS『秘密の門』は、初回視聴率が8.8%、最終回が5.2%と、囁かれていた危惧をそのまま体現する結果とみることもでき。
勿論視聴率が作品の質と直結しているわけではなく、公開のタイミングやその他の状況も多分に影響しての結果ではありますが。

そんなわけで、「このテーマで大丈夫かな?」と少しばかり心配ではあった『思悼(サド)』でしたが、蓋を開けてみれば公開から半月で500万が目前。これからもまだ伸びるでしょうが、この知られきった題材でと考えれば、既に充分多くの観客を集めたと言えるのではないでしょうか。

私も観てみるつもりでいるのですが、確かにこれはちょっと。
予告を見るだけでもなにやら心拍数が上がります。
父と子の愛憎に焦点を絞った結果、現在に引き写しても通じる部分、再確認できる部分が多々あるというのが大方の評なのですが、なんとなく分かります。これはけっこう、きそう。(笑)

こちらも恐らく日本に入ってくるでしょうね。
というわけで予告編、ご紹介しておきましょう。
動画はSHOW BOXのyou tube公式チャンネルのものです。

まずは、メインの予告編。



「自決せよ」

思悼(サド)

「王様。お休みの時間が過ぎておられます」

「父が息子のために本を作っているのだ。お前なら眠れるか?」

「王家では息子を敵のようにみなすという。
お前が王になれば分かる」

「王」であらねばならなかった父

「子を思う親の真心に違いなどありましょうか」

息子でありたかった「世子」

「この国の軍隊がそなたらの沈黙を図る場であるぞ」

「王は決定を下す地位ではない。
臣下の決定を許可し、責任を問うための座だ」

「ええ、全て私の過ちです」

「私はそのように生きたくない」

歴史上最も悲劇的な家族史

「これは国の問題ではなく家族の問題だ」

ソン・ガンホ

「私が望んだのは、ただ一度の父上の暖かな眼差し、優しい一言だった」

ユ・アイン

「お爺様、父をお助けください」

「これが我らの運命だ」

思悼(サド)

もう一つご紹介しておきます。

こちらはキャラクター予告編。



1762年 壬午年 閏 5月13日

廃世子為庶人、自内厳囚
世子を廃して庶民となし、厳重に閉じ込めた

「米びつをもて」

父・英祖によって米びつに閉じ込められ死した世子

「入れよ」

誰もが知る歴史的事件

だが誰も本当のことを知らずにいる話

52年の在位期間、朝鮮の中興期を導いた聖君
英祖

だが賤民出身の王の妾の子であるという劣等感
兄・景宗を毒殺したとの疑惑
生涯苦しめられた王位継承を巡る正当性論

「景宗王を毒殺したあなたがどうして王であれようか」

非行を繰り返す狂人と記録された悲運の世子
思悼(サド)

だが幼き頃の秀でた聡明さ
父・英祖をこのうえなく喜ばせた息子
抜きん出た絵の腕前と芸術的な才能
弓、乗馬を楽しむ活動的な性質

「あらゆる命令体系を一つに統合せよ」

「正しい御処分にございます」

「王は決定を下す地位ではない。
臣下の決定を許可し、責任を問うための座だ」

王として公平さと完璧を求める父とは異なり
自由で先取的な考え方の息子

即位11年にして得た尊い息子であったが

「お前がしくじる度に、私がどれほど肝を冷やしたかわかるか?」

完璧な王として生きなければならなかった父
英祖

父の暖かい情を恋しがった息子
思悼(サド)

「私が望んだのは、父上の優しい一言だった」

王と世子として出会い
父子の縁を紡いでいくことのできなかった
歴史上最も悲劇的な家族史

「世子の地位を回復し‐‐」

父が下した哀悼の贈り名

「その贈り名を思うの思、悲しむの悼‐‐」

お前を思い悲しもう

「思悼(サド)世子とせよ」

「遅いよっ!」と突っ込みたくなりますけれども。(笑)

これは、あれでしょうか。
お父上と色々確執をお持ちの方は、ご覧にならないほうがいいのかも・・・・・・?!
心の傷が激しく疼いてしまいそうです。
・・・・・・いや、だからこそなおのこと発見があるのかもしれませんが。

PR広告


親子の物語というのは誰しも避けて通れないテーマなだけに、時に厳しいものがありますよね。
ただ、この映画は親子という枠組みを、既成世代と若者世代とに当てはめてみても、今に通じる色んな示唆がありそうです。
勿論、韓国の「今昔」を重ねても、多くの気づきを与えてくれそうな気も。

見て面白ければ、また感想など書いてみたいと思います。