みなさま、こんにちは。

全国的に予報どおりの寒さとなっていますが、みなさまのお住まいの地域は大丈夫ですか?
この寒さが早く過ぎてくれるといいのですが・・・・・・。

さて、今日は『六龍が飛ぶ』第31話をアップします。

前回の終わり方で予想はされていましたが、とても悲しい展開になってきました、『六龍が飛ぶ』。
第31話は特にバンウォンの悲しみを表す回になっています。

チョン・ドジョンが夢見る国づくりに自分の居場所がないことを立ち聞きで知ってしまったバンウォン。
チョン・ドジョンは新たな国の宰相にチョン・モンジュにこそなって欲しいとの思いで、国づくりの計画を立てていたのでした。

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自分は既に儒学者としては権謀術数にまみれすぎているので、その役割を担えないのだというチョン・ドジョン。チョン・ドジョンの決意の固さと計画の完璧さに、チョン・モンジュはおののきすら覚えます。

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一方バンウォンは、動揺する気持ちを隠して師匠チョン・ドジョンの元へ出向き、ムミョン(無名)の「チジョンテ」がチョヨンであったこと、チョヨンがチョン・ドジョンたちの対話の場に出いていたところを捕らえ、安全を期して隠密な場所でナム・ウンが取調べを行っていることなどを報告。

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バンウォンの作戦がまたもや成功したことを喜ぶチョン・ドジョンは、以降ムミョンに関してはバンウォンが取り仕切るように伝え。

チョン・ドジョンはバンウォンに聞かれていたなどとは思いも寄らないのですが。

洞窟に一人訪れるバンウォン。「新朝鮮」の地図を発見した時の興奮や、待ち続けたチョン・ドジョンに初めて会えた日の悦び、チョン・ドジョンに「お前の居場所はここにはない」と言われた日のことを思い出し、心が乱れます。

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ここの回想シーンには、ドキリとさせられました。

確かにチョン・ドジョンはバンウォンに「お前の居場所はない」と言っていたのです。バンウォンが父にかわって勝手にチョン・ドジョンによるイ・ソンゲへの安辺策の提案書に印を押したことが分かった時でしたよね。
まさかこれがこんな風につながってくるとは・・・・・・。(涙)

ムヒュルはチョヨンの正体を明かしたバンウォンのことが誇らしくてならないのですが、そんなムヒュルを見てますます落ち込んでしまうバンウォン。
バンウォンは、キル・テミがタンセとの決闘に敗れた日に、自分の夢は人々に笑顔をもたらす政治をやることと決めたのだとムヒュルに告白します。あの日ムヒュルが「若様が人々を笑顔にする日に、自分の一緒に喜びを感じていたい」と言ってくれたからだったのだと。

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悲しげに告白するバンウォンの意味が分からず、ムヒュルはこれからいくらでもそうできるだろうにと戸惑うのですが。

一方、囚われのチョヨンはバンウォンを揺さぶる賭けに出ます。

バンウォンにだけ話すというチョヨンに向き合うことになったバンウォン。
チョヨンはそこで、取引を持ちかけてきます。

自分はチョン・ドジョンたちからきいた前半の会話を話すので、バンウォンは後半部分を話してくれと。

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なぜ自分がそんな取引に応じなければならないのか、いくらでもチョン・ドジョンから直接聞けると冷静に返すバンウォンでしたが、チョヨンの次の言葉に思わず身を固くします。

「『イ・ソンゲ将軍を、王という名の監獄に閉じ込める。イ・ソンゲ将軍の一族をみな閉じ込める』」

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新しい国を率いるのは王ではなく、法と制度と律令だと述べていたチョン・ドジョン。

乱世が「弱者の地獄」なら、泰平の世は「強者の地獄」だと。
強者の手足を縛り、弱者が最低限の豊かさを享受しながら安全に暮らせる世の中こそ、太平の世のあるべき姿だとチョン・ドジョンは考えていたのでした。
だからこそ、王となるイ・ソンゲから実権を奪い、その一族も身動きが取れないようにする必要がある、そしてイ・ソンゲ将軍はそういうことを理解し受け入れられる人間だと、チョン・ドジョンがチョン・モンジュに話していたことを聞かされるバンウォン。

バンウォンはチョヨンに動揺を見せまいと、これまで偉大なコンミン大王すらも独善に陥ったのを見てきた人なのだから、法と制度、律令によって国を率いていこうとするのは当然の考えだと言うのですが、バンウォンが伝えていない本音をチョヨンに看破されてしまいます。

「でも・・・・・・お嫌ですよね?」

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どれほどいい国でも自分が何も出来ない国を喜べない筈だとチョヨン。
そのように選ばれた宰相がいい仕事をするとも思えないと続けます。「士大夫」は常に馬鹿をつくる天才なのに、と。

チョヨンは何も自分たちは新しい国に反対しているわけではなく、実際はバンウォンとは味方同士なのだと。唯一土地改革に反対している点が違うだけだという言葉に、結局ムミョンは大した意志もなくそんなものを守りたい程度なのかとあざ笑うバンウォンなのですが、チョヨンはバンウォンになおも言葉を続けます。ムミョンの大いなる意志が何か知りたくないのかと。
バンウォンと自分たちと合っている。互いに嫌なことには手をつけない方向で一緒に手を組んで国を作ろうと、バンウォンにきわどい提案までするのですが。
バンウォンはチョヨンの胸倉を掴み、「調子に乗るな」とすごんで出て行きます。

「士大夫は馬鹿を作る天才」というのが真を突きすぎていますね。

外ではプニがバンウォンを待っていて、もしや母に関する情報はなかったかと尋ねるのですが、プニの声がうつろに聞こえてくるバンウォン。
そのまま寝込んでしまいます。

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あぁ・・・・・・。(悲)

頭では理解できているのに、心がついていかないバンウォン。
誰の顔を見ても苦しくてたまらない状態ですよね。

かたやチョン・モンジュは、完璧なまでの理想の国家像と計画を打ち立てているチョン・ドジョンを説得することはもはや不可能と悟り、自分は最後まで高麗の忠臣として残ると決意を固めます。

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夜、恭譲王の元へ出向き、急いで土地改革を進めて欲しいと訴えるチョン・モンジュ。
イ・セクが測量を邪魔しているため、チョン・ドジョンとイ・ソンゲに弾劾されるのは時間の問題だと言います。その前に自ら指示をし、民心を掴んで欲しいと。

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チョン・モンジュはこの場で王に対し、敵はイ・ソンゲではなくチョン・ドジョンだと断言します。まずはイ・ソンゲとチョン・ドジョンの間を引き離すことが急務なので、自分も二人の動きに同調するふりをして機会をうかがい、時期がきたら自らチョン・ドジョンを排除すると・・・・・・。

チョン・モンジュの計画を聞き、ユンラン改めチョク・サグァンに今後チョン・モンジュの警護をするよう命じる王。

チョン・モンジュはイ・ソンゲの元へいき、測量を妨げているイ・セクに関して弾劾しようと言います。

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そもそもイ・ソンゲとイ・セクの協調路線はチョン・モンジュが作り上げた構図だったので、弾劾には反対されるだろうと読んでいたイ・ソンゲでしたので、チョン・モンジュの言葉に大いに安堵します。

チョン・モンジュの意外な承諾に、同じく喜びを禁じえないチョン・ドジョン。
「まだお前の案を呑んだわけではない」というチョン・モンジュに、充分考えて決めてくれと笑顔を見せます。

その笑顔に内心詫びるチョン・モンジュ。

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そりゃ詫びますよね。

時期を見計らって、なんなら殺すってことですよね。

あーーー。

この二人が酒を酌み交わしている間、表で待っている護衛二人。

タンセはあたりに漂う並々ならぬ「気」を感じていました。

その気の主は、タンセを見つめるチョク・サグァン。

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チョク・サグァンが残していった木の枝。

これがタンセが引き抜こうとしても一向に抜けないっていう・・・・・・。

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この子も得体が知れません。

今のところ、下手したらタンセより、強そうです・・・・・・。

バンウォンは髪を結い上げた姿でチョン・ドジョンの元へ赴き、今後の自分の計画について話します。
チョヨンが自分に手を組もうと言ってきていると。所詮失敗に終わる土地改革なので、力を貸してくれれば自分たちもバンウォンに力を貸すと言っていると。
なので自分はそれに乗ったフリをしてオトリになり、よりムミョンの深層に迫ろうと思うとバンウォン。私兵を持ち、新たな動きを見せれば、ムミョンが信じて乗ってくるだろうと話すバンウォンに、チョン・ドジョンは満足げに頷きます。

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自分の戦略どおりにやってみろと許可するチョン・ドジョン。

髪を結い上げたバンウォンの姿をもう一度褒めますが、チョン・ドジョンに背を向けたバンウォンは心で呟くのです。

『もう子どもではありませんから』

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だからやめなさいって、そういう顔を。(涙)

バンウォンはチョヨンを見張っていた味方をムヒュルとヨンギュに倒させ、ムミョンと手を組む意向であるという芝居を打ちます。

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ムミョンの幹部チチョンテであるチョヨンを騙すために、なぜ自分が心変わりをしたのかを話すバンウォン。
これまで自分は殺したい相手の名前をつけた木を植え、倒してきた。
最初は父から力と機会を奪ったイ・インギョムを、次はホン・インバンだった。ホン・インバンはバンウォンを無力にさせたから。そして実は初めて言うのだが、本当はあの時自分は進むべき道が見つからず、危うくホン・インバンの手を掴みかけた。あの時手を組んでいたら、まるで違う人生になっていただろうと。

真実味のこもったバンウォンの言葉にチョヨンは耳を傾け、バンウォンはさらに続けます。チョン・ドジョンに出会って、この腐った高麗を倒し幸せな世を築くと聞いたときは、本当に胸が踊った。ところが、その国には自分のできることは何もないということを悟った。その大義には自分ははじめから含まれていなかったのだと。

語られているバンウォンの本音に納得したチョヨンは、バンウォンの意向をムミョンに伝えにいきます。その過程でバンウォンはタンセとプニの母ヨニャンの名前を出し、チョヨンの反応からヨニャンが本当にいることを確認するのですが。

バンウォンの名芝居に騙されそうになったと上機嫌のムヒュルとヨンギュ。
バンウォンは、口にすればするほどそれが真実味を帯びていくの感じ、一人悲しい闇を育てていきます・・・・・・。

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チョヨンを救いにきていてことの一部始終を見ていたキル・ソンミ。
ヨニャンのことは口にすべきではなかったとなじりますが、チョヨンはあの時持ってきたヨニャンの子どもの遺体は何だったのかと切り返し。

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キル・ソンミは他に遺体が見つからなかったからだと答え、しばらく秘密にして欲しいといいますが。

バンウォンは父に分家したい意志を示し、許しを得て独立します。
父と対しながら、チョン・ドジョンの思惑を知っているのだろうかと考えてしまうバンウォン。そんな息子の気持ちを知らない父は、手柄を立てててもなにか報いを欲してはならないと意味深な言葉を伝えます。

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こうしてバンウォンは妻の実家の財力を借りて自分の家を持ち、あわせて私兵を持ちたいと願い出ます。

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私兵に武術を教えるよう任命されたホン・デホンは、喜びを禁じえません。

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兄弟の中でも唯一分家がすんでおらず、私兵も持っていなかったバンウォンなので、髪を結い上げたことも含めて誰もがそういう年になったのだとばかり思っているのですが、勿論これがバンウォンの本当の心変わりに繋がるであろうことは火を見るより明らか。

イ・セクは弾劾され、その一味として策士ハリュンも捕まるのですが、取調べ中のハリュンに会いに行くバンウォン。バンウォンは何度も流刑に処されては復活してきたハリュンに、今回も生きて戻ってくるよう伝えます。そうすれば自分がハリュンを引き受けるからと。

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自分を配下において何をするつもりかと尋ねられ、二人の敵を討つとバンウォン。ひとつはムミョン、もうひとつはまだ確定していないと。
その言葉に、チョン・ドジョンと袂を分かつ決意をしたと見破るハリュン。
ならば自分が戻るまでは静かにその時を待てと忠告します。
何もせず、大人しく死んだようにしていろと。
お前はいい観相をしているものの、性格が性急だ。その性急さは力を手に入れれば推進力となるが、欲望と結びつけば死につながるとハリュン。

ハリュンの言葉をしかと胸に刻むバンウォン。

その後バンウォンは、話があるからとプニを洞窟に呼び出し、やってきたプニにいきなり雪合戦を仕掛けます。

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・・・・・・え?

まさかの冬ソナ?

と視聴者があんぐりしたのも束の間。

雪の上に寝転ぶバンウォンの目から、涙が流れ・・・・・・。

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流れる涙を悲しげにひたすら拭うバンウォン。

驚いて「どうしたの? なにかあったの?」と尋ねるプニにバンウォンは答えます。

「プニ・・・・・・」

「うん、話して」

「もう、お遊びは終わった。もうこれからは、お前とこんなふうに遊べない」

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あーーーーー。(悲)

あの・・・・・・。
ユ・アインさん、演技上手すぎじゃないですか?
この回はバンウォンの悲しみが本当に全編に渡って伝わってきて、視聴者も泣きました。
寝込みながら「師匠・・・・・・」と悲しくチョン・ドジョンを呼ぶ姿。
徹底的に打ちのめされた、希望に燃えていた有能な青年の悲しみが凝縮されてました。

口に出せば本当のことをチョン・ドジョンに聞かされてしまうだろうし、でも聞いたところで受け入れられないので聴くこともできないバンウォン。
築かれようとしているのは素晴らしい理想郷なのに、お前の出る幕はないと言われ、その意味することが分かりつつも自分の欲望がそれに反発するのをどうにもできない。
苦悩して苦悩して苦悩するバンウォン。

この31話は、見ていてかなりつらかったです。

バンウォンへの信頼は厚くなるばかりの周囲と、傷ついて心が揺れ動き、結果として離れていくバンウォンのコントラスト。

隠し通すことが、騙すことが唯一出来ない、一番大切に思うプニを前に泣きながら「別れ」を告げるバンウォンの孤独が、本当に胸に迫る悲しい回でした。

一方でチョン・ドジョンの「泰平の世は強者の地獄」という言葉。

なんでしょうか、これは。

震えが来るほど素晴らしい対比。

乱世が弱者の地獄なら、泰平の世は強者の地獄だなんて、この脚本家たちは本当にすごiい真理を投げてきますね。

そして今私たちが生きている世界は、強者が好き放題の乱世ですよね。間違いなく。



バンウォンへの同情と共に、でも圧倒的多数を占める庶民を幸せにすれるデザインは、チョン・ドジョンのほうにあり。

太平の世、つまり平和な世で、強者が無力化され、常に監視され、検証されて欲しいと願う視聴者の心にとって、バンウォンのこれからの変化は見ていて本当につらいものになりそうです。

毎度毎度、気を抜けないドラマです。