*記事はtvNの放送(全16話)基準のため、日本のテレビ放送とは該当部分が異なります*

みなさま、こんにちは。

とうとう『トッケビ』最大の山場、13話まできてしまいました。

さっそく振り返ってまいりましょう。

向かい合うなり死神の首を掴むトッケビ。

「将軍、キム・シン。陛下にご拝謁いたします」

「900年ぶりに、皇帝陛下にご拝謁いたします」

「俺の目を曇らせていたのは900年の年月か、それとも神の嫌がらせだったのか。お前を傍においても気付かなかったとはな」

怒りをたぎらせるキム・シンを悲しげに見つめながら尋ねる死神。

「結局俺があいつなのか? 俺がワン・ヨなのか?
若くて愚かしいあの顔は、結局俺だったのか?」

キム・シンは憎しみに目を血ばらせながら、言葉を続けます。

「戦場は常に地獄だった。そこから俺たちは帰ってきた。敵すらも俺たちを殺せなかった。そんな俺の部下が、幼い妹が、罪もない一族や親戚が、俺の目の前で刀で斬られ、弓で射られたんだ。王命によって! 若くて愚かな皇帝が吐いた一言で!」

その言葉にも、記憶を持たない死神は実感を持って応じることが出来ず、涙を流しながら呻きます。

「俺が、そいつなんだろう? 俺が本当にワン・ヨなんだろう?」

その様子に、これ以上怒りをぶつけられなくなるトッケビ。

「俺は今も毎日あの生き地獄の一分一秒を覚えたまま生きているのに、お前は記憶もなくさぞや気楽だろう」

「900年が経っても・・・・・・」

かつて若きワン・ヨに言われた言葉を思い出すトッケビ。

『天がいつお前たちの味方をすると?』

「天はいまだにお前の味方なのだな」

涙を浮かべて去っていくトッケビの背中を、苦しげに見送る死神。

一人になった死神は、トッケビが死を悼んでいる自分が殺した人々の名前の前で、尋ねるように呟きます。

「私は一体何をしたのですか? どんな記憶が消されたのですか? 
どんな選択をしたのですか?」

「私は一体、どこまで卑怯だったのですか?」

涙。

トッケビも死神も可哀相すぎますね。
勿論、一番可哀相なのはトッケビに違いないですが。

誰もいなくなった家に不安な面持ちでいたウンタクは、戻ってきたトッケビにパク・チュンホンに会ったのかと尋ねます。
パク・チュンホンにもワン・ヨにも会ったと答えるトッケビ。

トッケビは言葉少なに家を出てユ会長の本宅に行こうとだけ話し、ウンタクは10分で荷物をまとめると応じます。
その様子に、なにも尋ねないのかとトッケビ。

「知っていたのか? あいつがワン・ヨだと」

ウンタクは亡者がそう言ったのだと答えます。パク・チュンホンの意図が分からず、拙速に伝えるべきでないと思ったと。

「でも、私が伝えようが伝えまいが、避けられる運命なら避けられるだろうし、向き合うべき運命なら向き合うことになると思ったんです。ごめんなさい」

ウンタクの言葉に納得し、再度荷物をまとめるよう促すトッケビです。

こうしてわけも分からずいきなりトッケビとウンタクを迎えることになったドックァ。

視聴者、正直ドックァを見るたびに、まだあの残酷で意地悪な神が潜んでそうで不安なんですが。(笑)

ともあれトッケビは、住み込みの職員をしばらく休ませ、ゲストルームを一つずつ使わせてもらうと言います。
ただウンタクは、ドックァの家には留まらず、心配なのでサニーの家に行くことに。

なぜトッケビが突然自分のところに来たのかわけが分からないドックァは、死神と喧嘩でもしたのかとウンタクに尋ね。

「喧嘩したとしても、角部屋さんを追い出せばいいのに、なんで自分が出てきたんだ?」

「気を遣ったのでは? 死神さんは行くところがないから」

ウンタクの言葉に「それはそれで泣かせるな」と応じるドックァ。

トックァの言葉にまたウルッと乗せられる視聴者のループ。(笑)

その頃サニーは心配のあまりトッケビの家を訪ねていましたが、家には誰もおらず・・・・・・。

仕方なく、その場を後にするサニー。

ですがその場所には、ほどなく死神も姿を現します。

帰る場所がここしかない死神は、ひとしきり玄関前でためらったあと、静かに家に入ります。

自分を迎えてくれているかのように灯されている、玄関の灯りと部屋のろうそく。

明かりが灯されたままのリビングに、しばし立ちすくむ死神です。

なにこれ、完全に愛じゃないですか?

泣ける。

この家って、死神が一番最初に来た日はろうそくの火がついていなかったんですよね。
あの時はトッケビにとって邪魔な存在だったからろうそくを灯さなかったけど、今はワン・ヨだと知ってもなお、死神への愛があることを伝えようとしているという暗喩でしょうか、このシーン。

ほどなくサニーの家に合流したウンタク。

サニーは死神はどうしているのか気にしています。
家にいるようだと聞き、「生きてはいるのね」と呟くサニー。
「初めから生きてはいませんけど」といたずらっぽく笑うウンタクの言葉に、かすかな笑みを見せます。

どうやって前世の記憶を取り戻したのかと尋ねるウンタクに、死神とのキスを思い浮かべながら「やらしく」と答えるサニー。
お酒を飲みながら、自分は今生が四度目の人生のような気がすると話します。
少なくとも二つの人生を経験しているし、今生では兄にも好きな人にも出会えたから、と。

「あんたは?」

「私は、今生が初めてだったらいいなって」

「なんで? 二回目も三回目も四回目もお兄様に会いたいから?」

満面の笑みで頷くウンタク。

そんなウンタクにサニーは呆れ顔です。

「あんたは高麗時代のあの頑固さを知らないから。死ぬって分かってるのに、なんで戻ってきたのよ。自分だけでも生きればよかったのに」

サニーの言葉から、キム・シンが死を覚悟してまでワン・ヨに会いに戻ったことを知るウンタクです。

屋上では、そんな二人のやりとりが聞こえているかのような産神が、死神の後輩と話していました。

後輩、水をたくさん使う新しい階下の住人のせいで水道代金が上がったことを不当だと訴えています。
産神はそれに答えるようでいて、まったく違うことを考えている様子。

「悲しいね、運命が。結局こうやって高い代償を払うことになるのかしら」

ひとりごちる産神に苛立ち、名前を聞き出そうとする後輩です。

その頃トッケビは、一人酒をあおって苦しんでいました。

自分に剣を授けながら「壮絶に死んだと訃報を伝えよ。哀切であると申してやろう」と言った若きワン・ヨと、「お前に死んで欲しくない」と言った死神の顔が交互に浮かんできます。

今生でも互いに強く惹かれあっている死神とサニーを思い、一人苦悩するトッケビです。

翌日。

後輩の死神は、とある死神が亡霊の囁きにかどわかされ、死者と手を組んだとの噂があり、それが20年前に死神が逃した「その他漏洩者」ではないかと話しかけ。

ぼうっとしながらも、「その他漏洩者」に反応する死神。

一方女の死神は、パク・チュンホンと顔を合わせていました。

顔色を窺い、サニーの手を掴んだのだなとパク・チュンホン。

女は、サニーの記憶の中に自分はいなかったと答えますが、パク・チュンホンはサニーがかつて王妃だったと教え。
お前に似た細くて白い手も見えたはずだと続けます。

先皇に続きワン・ヨに薬を運んでいる、怯えたような女官の顔。

「あの薬の中に何が入ってるか知っているか? 私の罪がまさしくお前の罪だ」

そんな筈はないと否定する女に、薬を差し出しているのはお前の手だとパク・チュンホンは告げます。

「気の毒なことだ。記憶がないから見ても分からぬのだな」

怯えたように首を振る女にパク・チュンホンが続けます。

「案じるな。お前秘密は必ず守ってやる。何より、私的なことで能力を使ったことが知れたら困るだろう? だから私の罪も、お前の罪も、秘密にしておこう」

嫌過ぎる。

この女性の死神は、女官の頃、言われるがままに薬を渡すしかなかったような表情なんですが、勝手に「一味」扱いしてまたコントロールしようとしてますよね。
まったくもって邪悪の塊だわ。

サニーを狙って店にやってきたパク・チュンホンは、「今生でもお前を私の手で殺さねば」と密かに凄んでいたのですが、そこへ死神が立ちはだかり。

「その他漏洩者」

死神はパク・チュンホンの首を締め上げます。

「前にも会ったな。20年前にも感じたが、お前は悪霊だな。人間の暗い心、悪い気を吸って生き残っているわけか」

悪びれず、人間の黒い欲望に手を貸しただけだと応じるパク・チュンホン。

これまでもウンタクの生死に関わる邪悪な人々の行動の裏には、パク・チュンホンの黒い囁きが潜んでいたのです。

人間たちが自ら目を閉ざしただけだというパク・チュンホンに、禅問答はいらないので名を名乗れと死神。

パク・チュンホンは、名前を知ったところでお前には何もできないと余裕の表情です。だからこそ自分は900年を生き延びてきたのだと。

「ご託はいいから名を名乗れ」

力をこめて首を掴む死神の手をすり抜けるパク・チュンホン。

「自分が誰だか知って尋ねているのか?」

「教えてやろう。お前はいまだに卑しい者を手にしているのだな」

「大切そうに握っているところを見ると、今生でもきっと死ぬのだろう」

不気味に言い残して立ち去るパク・チュンホン。

自分のことを知っているのだろうかと不安げな死神です。

その頃トッケビは、深い悩みに落ちてしまっていました。

これまで培ってきた死神との友情。

互いに育んできていた愛情深い時間。

その瞬間を思い出してしまうトッケビ。

その時ドックァの電話に死神からの着信があり、トッケビは無言で電話に出ます。

『もしもし、ドックァ。俺だけど』

「もしもし?」

答えない相手に、電話先にいるのがトッケビだと気がつく死神。

何も言えず、ただ黙って相手を感じている二人です。

・・・・・・悲しい。
愛が感じられて悲しい。

死神は大学までウンタクに会いに行き、王がキム・シンに授けた剣の文様について尋ねます。

文様を描いてあげるウンタク。

「この剣を王に授けたのか・・・・・・」

ウンタクの差し出した絵を見ながら「何も聞かないということは、トッケビの肩を持っているのだな」と話しかける死神。

「すまないが一度だけ俺の味方をしてくれないか?」

そう切り出した死神は、サニーに指輪を渡して欲しいとウンタクに頼みます。

「こういう言い訳になりそうなものも、俺にはあるべきじゃないと思って」

その言葉に素直に応じるウンタク。

「俺のことを覚えていない筈だ。指輪はお前が誤魔化しておいてくれ」

そう言って立ち去る死神ですが、「覚えていると思うんだけど」と一人ごちるウンタクです。

店に行ったウンタクは窓の外を見つめているサニーの顔色を窺いながら、まだ王様を待っているのかと声をかけます。

「もう待てないよ」

「なぜですか? 前世を全て思い出したから?」

そう尋ねるウンタクに答えるサニー。

「王様を愛したあの女性は、謀反人の妹だから。だからあの人の手にかかって死んだの」

心配そうに見つめるウンタクに言葉を続けるサニー。

「分からなくなる。引き裂かれた心臓の痛みを感じているのが私なのか、それとも前世の私なのか」

「あの人も悲しかったのかな? 私は背を向けたあの人の後ろ姿しか見れなかったけど。
幸せな瞬間だけを残すように言われたけど、私にとってはあんなことすら幸せだったみたい。こうして全部覚えているところを見ると」

王との思い出を完全に覚えているサニーを前に、死神の指輪を渡すことが出来ないウンタク。

励ますようにサニーの手にそっと手を重ね、笑顔を見せるウンタクです。

ユ会長の家に訪ねてきたサニーは、キム・シンに死神に会ったか尋ねます。

「もう終わったことです。それもかなり前に。前世の出来事なのだから」

その言葉に、サニーには前世でも自分にとってはいまだに現世だとキム・シン。引き続き生きているから、自分はこのまま前に進むしかないと言います。

「あいつはお前を殺して・・・・・・」

「私じゃなくて、キム・ソンを殺したんです。私じゃない。私はサニーです。私の人生は、今の人生なんです!」

興奮するサニーでしたが、すぐに落ち着きを取り戻し、言葉を続けます。

「でも。お兄様が前に進みたいのなら、生まれ変わってもやはり私の答えはあの時と同じです。
お進みください、お兄様」

「今度の歩みは、ヨを許すためのものにはならないぞ」

釘を刺すキム・シンにため息をつきながらも、心配しなくていいと答えるサニー。

「今生では本当に、幸せになりますから。お兄様」

「今生では幸せになる」って言葉が、なんでこんなに悲しいんでしょうか。

不幸な前世なら、覚えていたくないものですね。

・・・・・・って、前世なんて覚えてるわけないですよね。
ドラマの影響で死生の概念がおかしくなってる視聴者。(笑)

一方。

自室でウンタクが書いてくれた絵をみつめていた死神。

これを900年も胸に刺したままなのかと呟いた直後、けたたましく風鈴が鳴り、瞬時に体が移動します。

死神は監査チームに呼ばれたのでした。

能力を私的な理由で使ったことが確認されたと監査。

人間の記憶を消したこと。
名簿を外部に漏らしたこと。
存在が知られたのに、適切な措置をとらなかったこと。
人間に前世を戻してあげたこと。

死神が犯してきた規則を一つ一つあげつらう監査部。

認めるかという問いかけに、認めると答える死神。
認めたからには懲戒処分を下すので、ことを深刻に受け止めるよう言われ、甘んじて受けると答えます。

「決して甘くはない。死神とは、生きている間に大罪を犯した者。幾百年を経て自ら記憶を消す選択をした者たちだ。ゆえにお前の罪と再び向き合え。それがこのすべての規律を違反した罰だ」

監査がそう言い終えるや、一気に過去生の記憶がなだれ込んでくる死神。

逆賊らを滅ぼしたため、百姓が王を褒め称えていると語るパク・チュンホン。

キム・シンとソンを殺した褒美を与えるがごとく、甘くて苦い食前酒を用意したというパク・チュンホンに、初めて逆らうワン・ヨ。

来る日も来る日も、ワン・ヨはパク・チュンホンの用意させたご馳走を床にぶちまけ続けます。

言うことを聞かなくなったワン・ヨに、とうとうパク・チュンホンは「薬」を出すよう女官に命じます。

「陛下の心身が衰弱しているので百姓が心配している。明日からは供御を減らし薬を差し上げよ」

「苦くてもお召し上がりください。肉体と精神を澄み渡らせ、ご強健さを・・・・・・」

パク・チュンホンが言い終わらないうちに、一気に薬を飲み干すワン・ヨ。

「これくらい強健であれば、満足だろう?」

ワン・ヨは毒の盛られた薬を飲みながら、弱った体で取り憑かれたようにソンの肖像画を描き始めます。

ソンの衣服を描き進める段になり、筆が止まるワン・ヨ。

そんなワン・ヨの元へ、ソンが亡くなった時に身に着けていた衣服を持って、王妃付きだった女官が訪れます。

「もしかしたら、いつかは必要になるかと思い・・・・・・」

ソンの胸を貫いた血痕と指輪。

ソンの服に顔をうずめ、ワン・ヨはむせび泣きます。

ソンの服を手に、市場町をさ迷い歩くワン・ヨ。

「この美しい絹の服、誰に着せよう・・・・・・。この美しい玉の指輪、誰にはめよう・・・・・・」

「この美しい絹の服! 誰に着せよう! この美しい玉の指輪! 誰にはめよう!」

まるで正気を失っているかのような王の様子に、ひれ伏したままおののく人々。

その中で一人、ワン・ヨに声をかける者がいました。

「その美しい玉の指輪、私にくださいな」

「その美しい玉の指輪を私にくださいな。いつか使い道があるだろうから」

老婆に近づくワン・ヨは、欲しければあげると指輪を渡します。
手元に残ったソンの服に目をやるワン・ヨ。

「この美しい服は主がおらぬのだな。もしやあの人が探しているのか? ならば、持っていけ」

ワン・ヨは道端の焚き火の中に服を投げ入れます。

魂を抜かれたように朦朧としながら歩いていくワン・ヨです。

王宮に戻ったワン・ヨに、ためらいながら薬を差し出す。

おりしもソンの絵を描き終えたワン・ヨは、絵を傍らに置くと一人呟きます。

「わが百姓も、わが臣下も、わが女人も、自分自身すらも、私を愛さなかったのだな」

「最後まで私は誰からも愛されなかった」

ワン・ヨは悲しげに女官に向き直り、言葉を続けます。

「薬をもっと持て。何が入っているかは分かっている」

その言葉に驚く女官。
ワン・ヨが言葉を続けます。

「一気に終わらせよう。薬をもっと持て。王命だ」

過去生の記憶をすべて取り戻した死神に、厳しい眼差しで監査が声をかけます。

「お前は今、この世での罪と、その罪の中でも最も重い、自ら命を絶った罪と、死後600年の地獄をすべて取り戻した」

業務を停止し、今後は指示があるまで待機するよう伝えられます。

自分がワン・ヨだった事実をいよいよ思い出した死神。

「俺がワン・ヨだったんだな。俺が彼らをすべて殺したんだな。自分を殺したんだな・・・・・・」

泣き崩れる死神。

その頃寺を訪れていたキム・シンも、あの時殺された一族の名前を前に、ワン・ヨをどうしていいのかと悩みを深めていました。

「お前たちはどう思う? 私はどうしたらよいのだ? あの者をどうすれば・・・・・・」

涙に暮れるトッケビ。

がなじずぎる。

視聴者も涙。

寺から家に戻ったキム・シンは、自分の部屋に置いておいた妹の肖像画を死神が広げているのを目にし、血相を変えて駆け寄ります。

「二度と触るな。お前にはこの絵を見て泣く資格はない」

絵を奪い、怒りをみなぎらせながら出て行こうとするキム・シンに口を開く死神。

「剣を授けた、お前に。俺が殺したんだ。俺が全部殺したんだ」

怪訝そうに振り返るキム・シンに死神が続けます。

「思い出したんだ。俺が、ワン・ヨだったんだ」

泣きながら話す死神の襟首を掴み、力任せに壁に押し付けるトッケビ。

「そうだ、お前だよ! お前がやったんだ! お前が全部殺したんだ!」

「殺すだけ殺して、最後は自分まで殺したんだ!」

「お前は自分の女も、俺の忠臣も、お前の高麗も、お前自身すらも、何一つ守れなかったんだ!
ソンが・・・・・・あの幼い妹が、命がけで守ったのがお前だった。お前は生きているべきだったんだ。最後まで生き残って、俺に切られて死ぬべきだったんだ。そうしてお前が俺に着せた謀反という罪を、お前は死を持って証明すべきだったんだ。
妹は知っていた筈だ。パク・チュンホンがキム・シンの名を口にした時、その次はキム・ソンだということを。自分がお前を苦しめる口実にされるだろうことを。だからあの馬鹿は、お前の弱みになるくらいなら、いっそあのまま謀反人の妹として死ぬことにしたんだ、お前を助けるために!」

キム・シンの言葉を聞きながら、ひたすら涙を流し続ける死神。

「指輪・・・・・・。あの指輪をあんなに乱暴にはめてしまった、彼女の指に。あの指輪が今生でもやりとりされてるんだ。頼む。お前が俺を殺してくれ」

哀願する死神を前に、怒りの持って行き場のないキム・シンは。

「またか? 今度も自分を捨てるのか?」

「お前を殺すのは、お前が自分を殺した罪だけで十分だ」

そういい残して出て行くトッケビです。

なるほどー。
自分を殺していたからこそパク・チュンホンに操られ、結果実際に自殺を選んだ死神。
その罪の本質を、トッケビは死神に思い起こさせようとしているのですね。再び逃げるのを許さないことで。

一方ウンタクは。

意を決し、サニーに指輪を渡すことにします。
渡していいものか悩んで数日かかってしまったと詫びながら、指輪を差し出すウンタク。

そんなウンタクに、謝らなければならないのは自分のほうだとサニー。

まさかこの指輪がもつ恨み、罪、恋しさが自分のものだったなんてと悲しげな笑みを浮かべるサニーは、なぜウンタクはトッケビの花嫁なのかと尋ねます。

「私とあの人は前世の縁だとしても、あんたとお兄様はなんで?」

「そういう運命だからです」

怪訝な表情のサニーは、もしやウンタクも空を飛んだりおかしなことが出来るのかと尋ね、ウンタクを笑わせるのですが、ウンタクの脳裏に自分がトッケビを消滅させるための道具だと言った死神の言葉が思い浮かびます。

ウンタクが剣を抜けば、トッケビは塵や風になってこの世のどこかに永遠に散り散りになると言った死神。

ふさぎこんだ顔をサニーに覗き込まれたウンタクは、自分は雨を少なく降らせたり、少し早めに初雪を降らせたりすることが出来ると健気に答えます。

「一番大事なことね。ところで、どうしてお兄様はトッケビになったの?」

「世の中には奇跡が必要だからです。不思議で美しい奇跡が」

「誰が言ったの?」

「私が」

「じゃあ、死神は? 人は誰しも死ぬから?」

「死があるからこそ、生が輝くから」

ウンタクの言葉に、「さすがは名門大学生!」と感心するサニーでしたが、その時ウンタクはサニーの後ろにパク・チュンホンがやってきたのを目撃します。

怖っ!!

瞬時にサニーの目の前まで近づき、口を開くパク・チュンホン。

「久しぶりだな。卑しい武臣の妹。卑しい武臣一家の皇后」

立ち上がりサニーの前に立ちふさがるウンタク。
サニーはわけが分かりません。

「お前はどけ。まだお前の番じゃない。お前はあの女の次だ」

「近づかないで! 社長、私のコートからライターを取ってください。早く!」

何も見えないサニーは突然の状況についていけません。

サニーを憎しみの目で見つめるパク・チュンホン。

「ヨは息子も同然だった。あの女がすべて台無しにした。殺してやる」

焦りながら、再びサニーにライターを催促するウンタク。

パク・チュンホンがサニーに襲い掛かろうとしたため、サニーに覆いかぶさってかばいます。

ウンタクの首筋にあるあざが光り、パク・チュンホンからサニーを守ったものの、ウンタクはその場に倒れこんでしまい。

サニーはウンタクを連れ帰りながら、さっきの黒い光はなんなのかと尋ねます。

自分も初めての出来事なのでわからないと笑いながら、ウンタクはキム・シンに会って部屋に入るので先に行っていてくれと促し。

一人になり、マッチを吹き消したウンタク。

現れたキム・シンに、ウンタクは「会いたかった」と抱きつきます。

すぐに迎えにくると謝りながら、キム・シンはウンタクの烙印が薄くなっているのに気付きます。

烙印がこれだけ薄くなったということは、それだけ自分がウンタクを危険にさらしたということだと心配そうなキム・シン。そのうちウンタクに呼ばれても感じ取れなくなるかもしれないと言います。

もしやパク・チュンホンが現れたのかと尋ねられ、確かに現れたのだが、ターゲットは自分ではなくサニーだったと話すウンタク。
心配そうなウンタクに、サニーは他の者に守らせるので、ウンタクは自分のことだけ心配するよう話すキム・シン。
あと二日だけ待って欲しいと口にし、神が語った言葉を反芻します。

『運命は私が投げかけた質問だ。答えはお前たちが探せ』

「質問を受けた。俺と死神は、その答えを探さなければならないんだ」

トッケビの言葉に頷くウンタクです。

一方。

記憶をすっかり取り戻した死神は、自室でパク・チュンホンの書類を作成。


パク・チュンホン
亡者は丁丑年申四月己卯日に死亡した。
その後、死者の呼びかけに応じず逃走した。
丁丑年癸卯月丙子日に偶然顔を合わせたものの
再び逃走し、捕らえられなかった。

翌日。

作成したパク・チュンホンの資料を持って後輩に会いに行く死神。
死神は業務停止中の自分に代わってこの書類を処理して欲しいと頼みます。

900年間この世を彷徨い、人間の暗い感情に寄生して今まで生き延びてきた者だと説明する死神。どこかで鉢合わせても自分たちの力だけではどうにも出来ない相手だが、名簿にあげておけばひとまず制御が可能になるだろうと言います。
出来れば明日の夜12時までに処理をお願いしたいという死神に、今日の12時までには処理すると請け負う後輩。

後輩は、死神に知らせるべきことがあると口を開きます。死神の管轄区域を引き継いだところ、ウンタクの名簿が入ってきたのだと。

「この方、あの時のトッケビの花嫁ではありませんか? 日付けを見たら・・・・・・」

素早く後輩を制する死神。

「話すな。名簿から手を放せ。俺が見たんだ。お前は何も知らない」

そう念を押して、一人名簿を開く死神。


池听晫
二十歳
丁酉年 癸卯月庚子日 二十時 三十五分 心臓麻痺

「一週間後か」と呟く死神です。

その頃ウンタクは。
鏡に映った、薄くなった自分のあざを確認していました。

まだお前の番じゃないといったパク・チュンホンの言葉に、自分も確実に狙われていることを悟るウンタクです。

死神はユ会長の家まで向かいますが、チャイムを押すことは出来ず。
帰ろうとしたところでちょうど家に戻ったトッケビと顔を合わせます。

「ウンタクの名簿が来た」と口を開く死神。

パク・チュンホンと関係がありそうだとする死神に、そうだろうと応じるトッケビ。
死神は日付けを知らせようとしますが、トッケビはもはや日にちを知っても意味がないのはわかっているだろうと言い。

それでも知ったほうがいいと思ったと言い残し去ろうとする死神に、パク・チュンホンが妹の傍をウロウロしていると告げるトッケビ。

「パク・チュンホンが妹の周りをうろついている。
守れ。一度だけでも俺の妹を守れ。妹がお前を守ったように」

家に入ろうとするトッケビを呼び止める死神。

死神はずっと尋ねたかったことを口にします。

「あの日お前は、なんのために前に歩み出たんだ? あそこがお前の墓場になることは分かっていただろうに」

「伝えられなかった言葉を伝えるためにだ」

振り返り、死神に向き合うトッケビ。

「剣をもらった後、何度も拝謁を求めたが、皇帝であり妹の夫であるお前は、辺境に発てとばかり伝えてきた。俺が死ぬと確信した日になってようやくお前は俺に顔を見せたんだ」

「それで。そこまでして一体何を・・・・・・」

亡くなる直前の先皇の遺言を回想するトッケビ。

「先皇は・・・・・・」

「お前を助けないことで、お前を保護していたんだと。
お前の異母兄弟だった先皇に、お前の愛する人だった俺の妹に、お前の高麗を守った俺に、お前は愛されていたんだと」

「だから一言だけ命じてくれと。
“怒りと憂慮をこめてこの剣を授けるゆえ、パク・チュンホンを斬れ”。その一言だけをと・・・・・・。
その剣が、俺の胸に刺さるとは思ってもみなかった」

誰にも愛されていないという恐れから数々の愚かしい罪を重ね、ついぞ自らの命まで奪う大罪を犯したワン・ヨにキム・シンが伝えた、思いがけない事実。

伝えられなかった言葉を告げ、再び背を向けるトッケビでしたが、突如何か思い当たったように胸を押さえて立ち止まります。

「なんということだ・・・・・・」

脳裏に蘇るパク・チュンホンの言葉。

自分もトッケビ同様900年を生きている。そんな水の剣では自分を斬れないと、パク・チュンホンは勝ち誇ったようにあざ笑ったのでした。

「これほど遠くに来てなお、最後はこの剣を手にすることになるのだな!」

胸を押さえたままのトッケビを案じる死神は、傍に歩み寄りまた剣が痛むのかと尋ねるのですが。

「この剣の価値は、結局それだったんだ! パク・チュンホンを斬ること!」

なんと!

900年前にすべきだった目的を果たせというのが、神の宿題への答えだったわけですね。
ワン・ヨに伝えられなかった言葉を伝え、ワン・ヨが与えた剣でパク・チュンホンを斬れるかどうかを試していたとは。

しかしそれは、愛する人の手を借りて胸の剣を抜けということ。

剣を抜き、900年前に断罪されるべきだった悪に止めを刺し、自らも死ねということ。

その過酷な「正しさ」に至れるか、「正しい結論」を選べるかを神に試されていたキム・シンが答えを知った以上、もはやそれ以外選ぶべき道はないわけで。

むむーーーーー!!

にわかに緊張走る視聴者。

そして死神は。
守れと言われたサニーのボディガードを密かに努めていました。

サニーは悲しみを堪え、尾行する死神に気付かないフリをしながら数日を過ごし。

初めて出会った時と同じ橋の上で、死神にようやく声をかけるサニー。

「なぜついてくるんですか? もう何日もそうやってるけど。ストーカーですか?」

「そんなんじゃありません。行き先が偶然一緒になっただけです」

うろたえる死神にサニーは笑顔を見せます。

「おかげでデート気分でした、私は。キム・ウビンさんと」

「どうして・・・・・・? どうやって記憶を?」

「あなたが催眠に失敗したから」

サニーが言葉を続けます。

「幸せな瞬間だけを留めてあなたを忘れろなんて、順序が逆でしょう? あなたといたすべての時間が、悲しくてつらかったことすらもすべて、私には幸せでした。
だから、私が死をもってあなたを守ったことが、あなたにとってハッピーエンドにはなりましたか? 今の姿がそれだけ若いということは、長くは生きられなかったんですね」

サニーの言葉に、堰を切ったように涙を流し始める死神。

「毎日、耐え難いほど恋しかった・・・・・・」

「だったらなんであんなことを」

「愚かだったから・・・・・・」

死神の頬を伝う涙を手で拭ってあげるサニー。

「もっと早く気づきなさいよ。でも、私はどうしてまた今生ですらあなたを好きになったんだろう。聖顔が麗しいから?」

笑顔を見せたサニーは、死神に指輪を差し出します。

「はい、これ。本当に別れましょう、私たち。今生では好きにならない。私があなたに与えられる罰は、それしかないから。
グッバイ、陛下」

  
涙が滝。

この二人はなんでこんなにまた泣かすんでしょう。

死神の涙が本当に悲しそうで、視聴者さらに胸が痛みます。

一方。

剣を抜いてパク・チュンホンを斬ることが答えだと分かったトッケビは。

ウンタクを誘って小旅行に出ます。

バーベキューをしたり、読書をしたりと幸せそうな二人。
そんな幸せムードが既に怖い視聴者。

どうせこのあと、ものっすごい球投げてくるつもりですよね。
お別れ前の旅行ですよね、これ。

と、視聴者ラブラブシーンが全然楽しめません。

ウンタクが以前、そば畑で剣を抜く前に渡した契約書を渡すトッケビ。

「もう大人になったんだから覚えておくんだぞ。こういうものは、本来一つずつ持つんだ」

「だから私が偽造したんです。なのにあの時バレちゃって・・・・・・。ところでどっちが原本なんですか?」

トッケビが持っているほうが原本だと気付いたウンタクは、原本のほうが欲しいと言いますが、ふざけながら渡さないトッケビ。

こうして散々幸せそうに愛を確認しあう二人でしたが。

トッケビはユ会長の家に戻り、一人になると、涙を流しながら契約書を見つめます。

『乙は毎年初雪が降る日に甲の呼び出しに応じること。甲が待っているため』

自分は運命を謙虚に受け入れて気丈に生きていくトッケビの新婦だと語っていたウンタク。
自分を愛さないうちには花嫁にならないと言ったウンタクの要求を口実に、いつまでもウンタクと一緒に生きていたいと告白したあの日。
千年続く悲しい愛があると思うと語ったウンタク。

ウンタクとの数々の思い出を回想し、泣き崩れるトッケビ。

殺す気なのね。
ほんとに殺す気なのね、この脚本家は主役を。

迫りくる悲しい足音におののく視聴者。

死を覚悟したトッケビは、さよならの代わりに黙って遠くからドックァを見つめ。

相変わらず職場で上司に怒られているドックァに、届かない声で声をかけます。

「会いたくなるだろうな、とても」

サニーの店も訪ね、働いている姿を外からじっと見守ります。

「平穏そうで、健康そうだから、それでいい。今生のお前として幸せに暮らせ」

ドックァとサニーに無言の別れを告げた後、ウンタクの大学にやってくるトッケビ。

ウンタクはトッケビの姿を見て満面の笑みを浮かべます。

どうしたのかと尋ねるウンタクに、「会いたくて。頼みごともあるし」とトッケビ。

「パク・チュンホンに関わることなんだ」

「それでなくても、考えてたところだったんです、気になって。どうして今なんだろうって。900年を彷徨ってたのに、どうして今現れたんだろうって」

「そのことで来たんだ。少し勇敢にならないといけないんだけど、できるか?」

その言葉に「私はトッケビの花嫁ですから!」と笑顔を見せるウンタクです。
もうこの時点で視聴者既に悲しすぎてます。

とあるビルの屋上にウンタクを連れてきたトッケビ。

「よく聞くんだ。俺がしばらくしたら電話をかけるから、すぐに俺を呼び出すんだ」

「お安い御用です」

頷いて出て行きかけたトッケビでしたが、急いでウンタクの元に戻り。

・・・・・・。

盛り上がれない。

こんなに盛り上がれないキスシーンがあるなんて。

だってこれって別れのキスですよね。(泣)

ウンタクも、トッケビの様子にただならぬものを感じ。

そしていよいよパク・チュンホンと向き合うトッケビ。

「言ったではないか。水で出来た剣などでは私は斬れないと」

「分かってる。だからそろそろ最後の戦場に行こうか」

「俺がどこに行こうとしていたと思って」

そう言ってトッケビの前から姿をくらましたパク・チュンホンは、ウンタクの前に姿を現します。

ところが、トッケビからもらった蕎麦の花束が風に散っていくのを呆然と見ているウンタクには、パク・チュンホンが見えません。

「やはりそうか。お前はもはや、私が見えないのだな」

オーマイ!

ウンタクが大学で幽霊に会った時に気づかなかったのも、これの伏線だったんですね!

危機の迫っているウンタクを感じ取ったかのように、死神はもう一度ウンタクの名簿を見直し。

その瞬間、ウンタクの死亡日が前倒しになるのを発見します。

ウンタクの死亡時刻が近づいていると知り、焦る死神。

屋上では危機が迫っているとも知らず、ウンタクが一人ごちていました。

「私のせいだったんだ。私の烙印が薄れるのを待っていたんだ」

「たいしたものだ。でももう遅い」と呟きながら近づいてくるパク・チュンホン。

ウンタクはその影に気付きません。

「私を利用して、おじさんの剣を抜くつもりなのね」

その時トッケビが電話をかけ、ウンタクに呼び出すよう伝え。
ライターを取り出し、吹き消そうとした瞬間。
ウンタクの首を絞め、ビルから落とそうとするパク・チュンホン。

「恨むなよ。これがお前の運命だ」

首を絞められながらも、どうにかライターを吹き消すウンタク。

トッケビに引き離されたパク・チュンホン。

引き離されながらも、むしろ不敵な笑みを浮かべています。

パク・チュンホンに向き合うトッケビでしたが、ウンタクは突如トッケビの剣を握ります。

驚いたトッケビは、ウンタクを守ろうと剣を収め。

ウンタクは涙を浮かべながら訴えます。

「私、分かったんです、今現れた理由! 私を斬ってください! 早く! 私の体に入ってきたらおしまいです。私の手を借りておじさんの剣を抜こうとしてるんです。
私はどのみちおじさんがいなければ死ぬ運命だったんです。早く私を斬って! 早く!」

ウンタクが言い終わるが早いか、ウンタクの体に乗り移るパク・チュンホン。

『この子の言うとおりだ。斬るべきだったんだ。』

『残るはお前が死ぬか私が死ぬかだが、お前は振り返るばかりだからな。私の手に殺されるだろう』

ウンタクの体を使い、トッケビの剣を抜こうとするパク・チュンホン。

トッケビはウンタクの体に攻撃を仕掛けることが出来ず、なす術なく立ち尽くしたままです。

パク・チュンホンが剣を抜こうとしたその時、どこかでパク・チュンホンを呼ぶ声が聞こえ。

死神の声でした。

「亡者は使者の呼びかけに応えよ」

「おのれ・・・・・・!」

「パク・チュンホン!」

死神の叫びによりウンタクの体から引き離されたパク・チュンホン。

ウンタクは衝撃で気を失います。

気を失ったままのウンタクの手を借り、自ら胸の剣を引き抜こうとするトッケビ。

ウンタクの手を添えて引き抜かれていく水の剣は、炎の剣へと姿を変え。

とうとう自ら胸の剣を引き抜きます。

トッケビは炎に包まれた剣をパク・チュンホンに振り下ろし。

かつてワン・ヨが授けた剣でキム・シンに斬られ、とうとう死の瞬間を迎えたことを悟るパク・チュンホン。

パク・チュンホンは最後まで邪悪な呪いの言葉を吐くのを忘れませんでした。

「こうして死ぬのか。だが虚しくはない。またしてもお前を殺したのだから。見よ。結局、破局だ」

炎に焼かれながら跡形もなく消えていくパク・チュンホン。

闘いを終えたキム・シンはもはや体を支えていることが出来ず、ガックリと膝をつきます。

自分を泣きながら見つめる死神に口を開くキム・シン。

「お許しください。壮烈に死ぬと、いまようやくお伝えします」

薄れゆく意識で朦朧とし始めるキム・シン。

手にしていた剣を落とすと、その剣は瞬く間に風に消え。

飛び起きたウンタクが泣き叫びながら駆け寄ります。

「駄目!」

泣きじゃくるウンタクを力なく抱きしめるキム・シン。

「駄目!」と叫ぶウンタクの声がますます大きくなり。

消えてしまわないように、キム・シンの体を力一杯抱きしめるウンタク。

泣きじゃくるウンタクを朦朧としたままなだめながら、キム・シンが口を開きます。

「お前に出会えたわが人生は、褒美だった」

「嫌です! お願い。私の手を放さないって言ったじゃない。約束したじゃない!」

取り乱すウンタクに静かに言葉を続けるキム・シン。

「雨になって来るよ。初雪になって来るから。それだけは叶えさせてくれと、神に頼んでみるよ」

息も絶え絶えのキム・シンに、深まっていくウンタクの絶望。

その泣き声は絶叫に変わります。

「やめて! そんなふうに行かないで! 
おじさん、愛してます。愛してる」

ウンタクを見つめながら、最後の言葉を搾り出すキム・シン。

「私も・・・・・・愛してる。それも、とうにしてしまっていた」

薄れゆく意識の中で、ウンタクをいつまでもいとおしげに見つめるキム・シン。

でもその体は、ほどなく炎に包まれ始め。

キム・シンの体がウンタクの前で燃え尽きていきます。

神の予言の通り跡形もなくなり、無に帰してしまったキム・シン。

屋上には、残されたウンタクの空を突き刺すような慟哭が響き渡り。

そして重なる、あの日のモノローグ。

「結局私は、それを選んだのだな・・・・・・」

息絶える最後の瞬間、『やっと分かりました』と神に呟いたキム・シンの声で、ラスト。

号泣。

これ書きながらも号泣。

なんちゅうことをしてくれてんですか、このドラマ。
そりゃみんな放心するわ。私も燃え尽きるわ。
いやはや。

これ、しゃっくりあげて泣かせますね。
まいりましたね、本当に。
死神が過去を思い出すだけでも相当の見せ場なのに、こんなに号泣シーンを盛り込んでくるなんて、13話、濃すぎです。(笑)

そしてこれだけの怒涛の展開の最中にも言及せずにはおれない、感動的な武将キム・シンの人となり。
キム・シンは「愛されている」と伝えるために、死を賭けてまで皇帝ワン・ヨの前に歩み出たのですね。
ワン・ヨに抱いている感情が憎しみだけではないことは、とっている行動から分かってはいましたが、トッケビは愛を掌る者だったんですね。

しかし本当に、この残酷で容赦のない神は、えらい宿題を出してくれたものです。
正しい答えにたどり着くまで900年。長すぎるよ!(笑)

それにつけてもワン・ヨへの復讐ではなく本来果たすべきだったことを二人に課したというあたりが、このドラマ、ニクイです。
それをやり遂げた暁に、ようやく人としてまっとうに人生を終えられるわけですから。
もし誤った選択をしていたらトッケビは永遠にトッケビのままだったでしょうし、生前に裁きを免れた邪悪なパク・チュンホンは、さらにその害悪を人間世界に撒き散らしていたことでしょう。
そういう意味で、とても「正しい問答」なのは、わかります。

ただですね。
ここからなにをどうするつもりなのか。
あと3回も残ってるっていうのが、謎です。
まだこのあと展開が3話分もあるなんて。(笑)

死神は、トッケビと約束したとおりウンタクの記憶を消すんでしょうか。業務停止中なので、この一連の動きで相当なお咎めを食らいそうですよね。
果たしてこれ以上のものをあと3回で見せてくれるのか。否、見せられるものなのか。
普通に考えたら相当ハードル高いんですが。
ええ、まだ私はこの先を見ておりません。(笑)

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死神たちが犯したという「大罪」も、この回で一定の答えが出たのでしょうか。
ワン・ヨの文脈からすると、それは犯した個別の罪を指していたのではなく、自ら命を絶つことですが。
このあたりのことも恐らくこの後出てくるのでしょう。

この回で涙が枯れ果てた人が続出してそうな、強烈な『トッケビ』13話でした。

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