みなさま、こんにちは。
全国の広い範囲で雪のちらつく寒い連休となりましたが、いかがお過ごしですか。

今日は見終えたばかりのヒョンビンさんとパク・シネさん主演のtvNドラマ『アルハンブラ宮殿の思い出』について、感想など綴ってみようと思います。


 

 

全然このポスターがイメージさせる内容じゃなかったのが、罠。(笑)

 

韓国で去年の12月1日から今年1月20日まで全16話で放送されたtvNのドラマ。

ヒョンビンさんとパク・シネさんという豪華な組み合わせもあり、初回7.5%の視聴率で始まったこのドラマは最高10%を記録しました。
とはいえ最高視聴率は最終話ではなく14話。最終回はわずかに二桁に手が届かない9.9%でした。(いずれもニールセンコリア調べ)

日本でもNetflixで韓国放送日の翌日には字幕付きで放送されていたので、ご覧になられたという方も多いかと思います。

私もようやくドラマを見るまとまった時間ができたので、こちらのドラマを3日間で一気見しました。

 

いやー、このドラマは。

すごくないですか?!

もう、予想していた恋愛ドラマとはぜんっぜん違いました!!(笑)

 

今日は前半はネタバレなしの感想を、途中からネタバレありで書き進めますので、これからドラマをご覧になられようというみなさまは、ネタバレがきましたら大変恐縮ですが閉じていただければ幸いです。

ドラマの感想に入る前に、ここはぜひ押さえておきたい「アルハンブラ宮殿の思い出」。
このドラマのタイトルになっているクラシックギターの名曲。

この曲がですね。
ドラマの視聴者には若干トラウマを発動させるんです。(笑)
まずは貼っておきましょう、ペペ・ロメロさん演奏による「アルハンブラ宮殿の思い出」。

 

 

 

こんなに美しくも悲しい旋律を、ホラー映画のBGMに感じさせるこのドラマって一体。(笑)

ちなみにドラマの中で実際に演奏しているのは、クラシックギター奏者のキム・ヒヨン(김희연)さんという方だそうです。実際に演奏している姿をyou tubeで拝見しましたが、見目麗しい女性の方でした。
まさにシネちゃんの代役を務めるのにぴったりな。

このドラマの脚本家の先生は、『W』の方だそうですね。
私はイ・ジョンソクさん主演ドラマを殆ど見ていないので、『W』については現実の世界とウェブ漫画の世界が入り混じる、非常に斬新なドラマという評判以外は殆ど予備知識を持っておらず。

今回の『アルハンブラ宮殿の思い出』も、拡張現実(AR)ゲームを素材にしていたそうですが、そんな基本的なことさえ知らずに何となく主演二人の顔ぶれから恋愛もの+サスペンス、くらいな感じだろうとざっくり推測して見始めたのですが、いやーほんとに。

初めの1話こそちょっと我慢の時間が長かったのですが、2話終了時で前のめりになり、4話で「天才じゃないの、この脚本家!」と叫ぶ状態に。

ええもう、めちゃくちゃ面白かったです。

こういうスリラーでありホラーとも言えそうな、ひたすら度肝を抜く展開を連打してくるドラマは、本当に好みのジャンルでした。
私は全くゲームをやらないのですが、ポケモンGOなど実際にARゲームを楽しんだことのある方は、是非ご覧になられたらいいと思います。
めちゃくちゃ怖くて、ゲームができなくなるのでは。(笑)

脚本家の方のインタビュー記事をドラマを見終えた後に読んだのですが、実際にこの方自身がゲームがお好きで、ポケモンGOで遊ぶ人たちの姿や、その人たちが現実の世界で様々な事故やトラブルを起こしてしまっているさまを見て、ドラマの着想を得たのだそうです。

ドラマの展開が本当に奇想天外で、素晴らしかったです。
「これ、最終回で見事に着地させたら、アメリカでリメイクくるな」とドラマを見ながらずっと思っていました。
こんなに興奮させるとは予想だにしていなかったので、正直、10話まで見ただけでも十分元とれました。
斬新な素材を扱いながら全16話のうち10話まで飛び上がるほど面白いドラマなんてそうそうないので、私はこのドラマに、まったく文句はありません。

そして正直驚いたのが、ヒョンビンさんの演技。
こんなにお上手でしたっけ?
物語が進むにつれ表情が深くなり、感嘆の域でした。

あとは、シネちゃんが、本当にかわいい。
シネちゃんは、子役の頃の表情がいまだに残っていますね。
見ながら何度か『天国の階段』を思い出しました。(笑)

シネちゃん演じるチョン・ヒジュの妹ミンジュ役のイレちゃんの成長ぶりにも、びっくり!

 

 

 

イレちゃん、もう今年で中学2年生になるんですね~。

小学3年生くらいのイメージで止まってました。(笑)

芸能界デビューを夢見る元気はつらつな女の子の役だったのですが、本当に芸達者にもほどがある。
韓国の俳優は、子役も含めて演技が上手すぎです。

多くを期待せずに見れば、きっと「思ったより面白い!」になるであろうドラマなので、気になっている方は是非機会があればご覧になられてみてください。

 

と、ここまでが一般的な感想。

ここからは、すでにドラマをご覧になった方向けになります。
ラストに触れていますので、未見の方は大変恐縮ですがここでページを閉じていただくか、薄目を開けてお進みくださいませ。

と毎度のセリフを繰り出しつつ。(笑)

 

*コメント欄にネタバレが含まれることがあります。ご留意ください*

 

では、ここからはネタバレを交えての感想を。

このドラマ、実は最終回の評判がすこぶるよろしくないことを、ドラマを見る前にうっかり記事のタイトルなどで知ってしまい。

事前情報なしで見たかったのですが不可抗力で知ってしまったので、「ラストがかなりいけてないらしい」ことを前提に見始めました。
視聴率も最終回のほうが下がっていたので、最終回前に視聴者が離れてしまうつまらない展開があったのだろうと念頭に置きつつ。

ところがいざ見てみると、これが驚くほど面白かったんですよね!

よって私の場合、「いつからつまらなくなるんだろう」と思いながら1話1話見続けるという妙なことになったのですが、これがなかなかつまらなくならない、いやむしろどんどん面白く展開していくという嬉しい事態が待っていました。
いつからつまらなくなるのかと身構えながら見るのも、おかしな話なのですが。(笑)

ファンタジーやSFのジャンルは、消費する側の立場からすれば既に数多くの作品が世に出ているのもあり、見る目は相当肥えています。つまり観客は手厳しいものなのです。
ところが作る側にすると、世界があっと驚くような、本気で斬新な「カラクリ」などは、それこそ一度幽体離脱でもしてこない限り、そうそう書けるものではありません。
SFやファンタジーは単なる恋愛ドラマや人間模様とは「想像力のレベル」が異なると思っているので、私は基本的にチャレンジ精神あふれる作品は大いに評価する傾向にあります。

という前提で書きますが。

私は最終回に関しては、ある意味作家の先生が限界を認めた正直な終わり方だったのではないかと、見終えた直後は思いました。
これ、もっと取り繕おうと思えば、作家自身の想像力の限界を覆い隠すために、二人の恋愛物語を成就させて終わったと思うんですよね。
「最後はヒョンビンとパク・シネの再会シーン見せときゃ視聴者は黙る」、みたいな。
それができずに限界を露呈させて終わってしまった点に、私はある意味一抹の「良心」すら直後は感じていました。

とはいえ私も、チョン・セジュ(チャンヨル扮)が戻ってくれば、なぜゲームの中で決闘に敗れた人間が実際に死に、なおかつゲームに登場してくるのか、なぜレンズを外してもゲームが始まってしまうのかなど、あらゆる「バグ」について天才的に解き明かしてくれるんだろうとは思っていました。そのために最終回間際まで戻ってこないのだろうと。
なので、セジュが何の役にも立たなかったのには正直がっかりしました。

 

 

 

 

顔が可愛きゃいいってもんじゃないのよ、アナタ。(笑)

おそらくこのドラマ、見終えて「大満足」という方は多くないと思うんです。
粗(あら)が多すぎるのは確かなので。

私が気になった粗は、1話でセジュ(チャンヨル扮)がユ・ジヌ(ヒョンビン扮)に電話した際、「チャ・ヒョンソク(パク・フン扮)は悪い人なのでゲームを売りたくない」と言ったこと。
これは、その後のホラー現象とチャ・ヒョンシクとの係わりを匂わせる大事なセリフだったのですが、全く関係なかったみたいですね。
どう「悪い人」なのか、ワクワクしてみてたのですが、あのセリフに特段意味はなかった模様です。(笑)

あと、筋とは関係ないですが、グラナダの時からヒジュ一家にまとわりついてるあのサンボムオッパは一体何者?

てかなんで一緒にソウルにきた?(笑)

 

 

 

しかもよく見たら、この彼までレクサス乗ってるんですよね。

家売ったお金、まさかこの人にも回ってる?!

色々間接広告の多さで物議を醸したドラマでしたが、サンボムオッパまでレクサスに乗せるのは、ちょっと控えて欲しかったです。(笑)

このドラマ、アイデアは抜群に良くて、特にヒョンソクが謎にも死んでしまい、ゲームの中で敵として復活する流れは視聴者を震え上がらせました。

 

 

 

この時までは、まさかこの後あんな展開が待ってるとは、誰も思いませんでしたよね。


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また、多くの視聴者が涙したであろう、この人。

 

 

 

 

この人は本当に生き返って欲しかったですよね。

死んでなお「同盟」としてボスを守り続けるなんて、泣けるにもほどがありました。

あとから思うにこの脚本家の方は、この二つの着想を具現化すること以外には、興味がなかったのではないでしょうか。

チャ・ヒョンソクとソ・ジョンフンがゲームの中でよみがえり、各々敵として、味方として主人公と相対するという点さえ描ければ、このドラマはそれで十分だと思っていたのではないかという気がします。
確かにこれは、心を揺さぶるものすごいインパクトを持つ設定でした。

ただし、作者がどう思おうが、視聴者はちゃんと辻褄合わせてくれて、まいた種を拾ってくれないと、納得しないもの。

例えばこの人とか、結局一体何者でしたっけ?

 

 

 

全然まいた種拾う気ないですよね。(笑)

韓国ドラマに登場しがちな「全知全能ゼウス君」的キャラ。
「調べてくれ」の一言で、なんでも調べ上げてくれちゃう便利屋さん。
でも、いくらなんでも使い捨てが過ぎます。
諜報機関のエージェントじゃないんですから、得体が知れなくても気にしない、とはなりません。
キャラの使い捨てはほどほどに。(笑)

言い出したついでに私が気になったのが、ユ・ジヌのことを「財閥」とヒジュたちが呼ぶ点。
ユ・ジヌはただのベンチャー企業社長です。
「財閥」は全く異なる概念です。
「金持ち」=「財閥」ではありません、先生。
こういう緩さが気になります。(笑)

あと、これを言ってしまうと身も蓋もないのですが。

私、ずっと思ってました。

「ジヌのどこがいいの?」(きゃー、ぶたないで)

どー考えてもヒジュはナイチンゲール症候群なんですが。

 

 

 

 

顔がいいと言われたら、返す言葉はありません。(笑)

 

性格も悪く、自己中ですよね、ジヌ。
女性の人格を軽視するキャラのようですし、ヒジュのことも自分のために利用してました。
正直、ヒジュがかかわっていいこと一つもない男です。
なのになぜあんな男に?(きゃー、ぶたないで)

一方、ジヌがヒジュを魅力的に思うのは、当然のこと。
なにしろ腹黒い自分のことをお人よしに信じて、つきっきりで看病してくれて、心から心配までしてくれるいい子な上に、美人ですらあるのですから。

 

 

 

ヒジュがもったいないです、正直。(笑)

ま、このドラマは恋愛がメインではないので、ファンサービス程度に受け止めてはおりますが。

このドラマ、初めからシーズン2を予定していたならあのラストでも問題なかったですよね。
ゲームのバグとして唯一削除できていないマルコの存在を絡めるなどすれば、もっと広げられる気がするのですが、脚本家の方のインタビューを読むにそんな予定はありそうになく。

だとしたら、やっぱりセジュが戻ってきた時点でなんらかの種明かしをするべきだったのですが、それはあくまでも視聴者の意見であり、肝心の作者は本当にあの「ゲームの中で生きていた」というラストに人々が感嘆してくれると思っていたようなので。

最終回に入る前から、ドラマの3分の1くらいは回想シーンで埋めてるんじゃないかという回が出始め、ラストに向けて急速に失速しているのは伝わってきていました。
ラストはまんまと視聴者大ブーイングの回となってしまったわけですが。

私自身は16話中15話まで面白いものが見れたなら、最終回はこのレベルでも十分でしたが、巷の怒りの声を引き出したのは他でもない脚本家自身の余計な記者会見のせいだったのかもしれません。
かくいう私も、ドラマを見終えた直後は、作者が正直に限界を露呈させたに過ぎない、何も目くじら立てるほどではないし、このラストもまああり得ると言えば、あり得る、と思っていました。

そして後から、ラスト2回を残した時点で脚本家の先生が記者会見を開き、エマに秘められた機能があること、エマがヒジュでなければならなかった理由が15話、16話で明かされると語った事実を知りました。

そんなことを言われたら、視聴者はかじりついてみたに違いありません。

でも、そんなものはみじんもなく。(笑)

脚本家の方が本気で仰っているなら、構図に酔いすぎというもの。
「愛する人に消される運命、それを受け入れてこそヒジュが愛するセジュを救える」みたいな構図に視聴者が感じ入ることを期待されたのでしょう。構図としては確かに悲劇的で甘美かもしれませんが。

消すのはバグですよ?

バグ。

ユ・ジヌは、バグじゃないです。ほんとに生きてるリアルです。
脚本家の方がゲームの中に入り込んじゃったんですね。(笑)

ヒョンソクも、ソ秘書も、チャ教授も、「バグ」は全員本当に死んでいる人たち。
彼らと生きてる「プレイヤー」のジヌを一緒くたにしちゃったあたりから、とてつもないボタンの掛け違いが起きたんですね。
凄く残念なのは、それでもそこまで深刻にボタンを掛け違っていることに視聴者は気づかずに済むことができたかもしれないんですよね、直後の私のように。
作者さえ自らいらないことを言わなければ。(笑)

推測ですが、最後ジヌをゲームの中で「生きている」と思しき設定にしたのも、「ジヌが愛したヒジュがエマを生んだから、エマはジヌの“命”までは取らなかった」みたいな構図が作者の頭にある気がします。
なのでたまらなくロマンティックに終わったつもりだったのではないかと推察します。
作者の頭にあるこの後の展開で言うと、おそらくヒジュがゲームに参戦して、マスターになって、ジヌを「現実」に救い出すんじゃないでしょうか。
なぜそんなことが可能なのか?
理由は聞いてはいけません。愛の力は偉大なのです。(笑)

こう書くとけなしているかのようですが、決してけなしているのでなく、作者はそういう意図だったのだろうと私は受け止めたということです。
そしてもし仮にシーズン2があればそのあたりも「説明」をしてくれたと思うのですが、これだけの大ブーイングを浴びるとなると、次作は期待できませんよね。
残念です。米国のSFドラマのように、どんどん大風呂敷広げて次シーズンに持ち越すパターンを先駆けても良かったのでは。但し、想像力の泉に限界がきた場合、脚本家がスイッチする可能性は大ですが。




本来ならば、作品内で埋めきらなかった解釈の部分は、終わった後からでも脚本家の先生が「こういうわけでした」と話してくれると少しは視聴者も理解を示すと思うのですが、それが一切ないのもちょっと興味深いです。
おそらく「こういうわけでした」を喋ったほうが、さらに人々が「なにー?!」と怒るのが目に見えているので、ストップがかかっているのではないかと。(笑)
ラスト2回を前にして脚本家が自ら語った内容が、おそらくすべてなのでしょう。
だとしたら、何も言わないほうがいいですよね。
火に油を注ぎます。(笑)

でも私は、これだけ面白く見させてくれたら、十分です。
本当に面白くて、一気に見ることができました。
ソン・スンホンさんとコ・アラさんの『BLACK』は、のべ1年以上かけ、挫けてはまた続きを見るを繰り返し、意地でラスト3話地点までやってきたというのに、もうおそらく見届けることはないので、一気に見させる力は相当なものです!(笑)

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当初の期待よりはるかに面白かった『アルハンブラ宮殿の思い出』。

現実世界とゲームの融合を映像上で違和感なく表現したのも見事でした。
酷評に関係者はへこんでいると思いますが、私としてはまた次なるチャレンジングな作品を期待したいです。

このドラマ、AIの恐ろしさと絡めればもっと物語に説得力が出たかもしれませんし、いっそのことオカルトに舵を切って、実際にグラナダに伝承される心霊伝説、呪い、悪魔などと絡めてしまっても良かったかもしれませんね。
感情を表現し、人と対話できる人口知能ロボット「ソフィア」は、「人類を滅亡させたいか?」と尋ねられ「OK、私は人類を滅亡させます」と即答しています。
SF映画の中の話ではなく、実際にAIがそう答えている事実に、背筋が寒くなります。
例えばそんなことをセジュのプログラムと絡めたら、なんて想像してみます。
「超人間的」な事柄に対しては、たいてい人は「ありうるかも」と思考停止に陥るものなので、どんな無茶をやっても視聴者は納得したかもしれないのに、ああ、惜しい。

もしかしたらこのドラマ、脚本家の先生が実のところリアリストなのが災いしたのかもしれませんね。(笑)


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