みなさま、こんにちは。

寒暖差が激しい今日この頃ですが、お元気でお過ごしでしょうか?
ポカポカ陽気から一転して粉雪交じりになったりすると、ちょっと調子が狂いますね。
私は今年2度目の新年のご挨拶をあちこちにお送りしながら過ごしています。
韓国はちょうど旧正月連休中なのです。
改めてもう一度、2021年の世界が平和でありますように。

さて、今日はIUちゃん主演ドラマ『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』より主題歌といえるOST曲、Sondiaの”어른/大人(Grown Ups)”を取り上げてみようと思います。

 

 

 

『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』は日本でもNetflixやBSなどでも放送されたようなので、ご覧になられた方もいらっしゃるかと思います。
韓国での原題は『나의 아저씨/私のおじさん』。

実は先日、今日ご紹介するこのドラマの歌がラジオで流れるのを偶然耳にし、心底驚いてしまいました。

『愛の不時着』や『梨泰院クラス』ならいざ知らず、『私のおじさん』の歌を流してくれるなんて、なんてお目が高いんでしょう!

BTSやBLACKPINKなど、K-popアイドルの歌がラジオから流れてくるのには慣れてきましたが、この一見地味なドラマのOSTが流れてくるなんて、韓流ブームもいよいよここまで浸透したかと感慨深いものがありました。

そのラジオ番組とは、前園真聖さんと丸山桂里奈さんというサッカー界のレジェンドお二人がお勧めの曲を交互に紹介するというコンセプトの『丸園音楽堂』。
カーラジオを付けたところ、いきなりこの歌が流れてきたので、なにかボタンを間違えたかと思わずパネルを凝視してしまいました。(笑)

この曲は、ちょっとさわりを聞くだけでも瞬時に持っていかれるんですよね。
サビで危うく泣きそうに。(笑)

その時のラジオで知ったのですが、前園さん、韓国ドラマがお好きなのですね!
しかも、私が暑苦しく一人盛り上がって書いた『アイリス』を番組内でお勧めされていて、とても嬉しくなってしまいました。
・・・・・・って、私が取り上げたのは『アイリス2』のほうでした。(笑)

前園さんは『私のおじさん』自体はご存じなくて、リスナーの方からのリクエストに応えた形だったのですが、もう、これを機に、見ましょう。見てください。かなりの名作です!

そしてもうひとかた、坂本龍一さんもこの曲をラジオでご紹介されていたことを、後から知りました。
さすがは教授!
素晴らしい!
しかもドラマを既に2巡されたとのこと。
素晴らしすぎます!(笑)

番組の内容をテキストで読めますので、リンクを貼っておきますね。(コチラ)

思いがけずこのドラマのファンがたくさんいらっしゃるようで、嬉しい限りです。

 

このドラマは、2018年3月から韓国のtvNで全16話で放送されました。

 

 

 

 

 

 

 

日本版のポスターの元になっているのは、こちらですね。

 

 

 

IUちゃんと『パラサイト』で一躍ワールドスターになられたイ・ソンギュンさんが主演されています。

監督は『ミセン-未生-』のキム・ウォンソクPD。
とくれば、感動は約束されたようなものですよね。

ですが実はこのドラマ、韓国では放送前から受難に直面していました。
イ・ソンギュンさんは放送終了から半年以上たった2018年12月24日、公開を控えていた『PMC: ザ・バンカー』のインタビューに際し、その時の心境をこう述べています。

 

放送が始まる頃、様々な論争が起きました。時期的に’Me too’運動も活発でしたし、ジェンダーの問題も(葛藤が)強まっていて。僕たちが「違う」と話しても「いや、そうだ」と決めつけてドラマを見る方々がいるので、もどかしかったです。
はなから先入観で固まっている方がいるので、当時は何を言っても弁明や言い訳にとられそうで、苦しかったです。良いドラマを作ろうと努力しているのに、最初から色眼鏡をかけられているので。
とはいえ、一番つらかったのは監督だと思います。なんの話を描いてもそう受け取られてしまうので。
こつこつと最後までブレずに作れば、最後には真心が伝わるんじゃないかと思っていました。
(ドラマが年末に賞を受賞し)とても気分がいいです。僕が賞をもらったわけではないですが、すべての面においていいドラマだったと記憶されることが一番です。俳優にとっては、誰に対しても胸を張って見て欲しいと言えて、恥ずかしくないということが、最も幸せなことなんです。『私のおじさん』はそういう作品でした。

(出典はコチラ

 

そうなんです。
このドラマ、イ・ソンギュンさんとIUちゃんの実年齢24歳差の二人が演じる恋愛ストーリーかと誤解され、描こうとしているのはもっと広義の人間愛だと監督がいくら説明しても、一部の人たちが聞く耳を持たなかったんですよね。
仮に年の差恋愛話だったとしても、好き嫌いのレベルを超えて中傷や非難を浴びせるのは全く不当で理解に苦しみます。完全に悪意が感じられました。
劇中でIUちゃん扮する主人公イ・ジアンが暴力をふるわれるシーンがあったのですが、そこもやり玉に挙げられ、中には「デートDVを肯定している」と曲解して批判するトンチンカンな声まで。
暴力シーンの是非を論じたいというなら分かるのですが、曲解に関してはほんとにドラマを見て言っているのか疑わしいです。

執拗なドラマ叩きがIUちゃん扮するジウンの暗く険しい表情とも相まって、なんとなく後ろ暗いドラマのような印象になってしまった『私のおじさん』。私はそのせいではないのですがずっと見ておらず、去年やっと見たのですが、本当に繊細なドラマで「こんな名作を、なぜに今頃!」と見終えて反省しきりでした。

IUちゃんの演技が本当に素晴らしかったのですが、是枝裕和監督がメガフォンを取る韓国映画『ブローカー(仮題)』に合流することが最近決まったそうですね!
絶対見ましたよね、是枝監督、『私のおじさん』。『私のおじさん』のイ・ジアンからのキャスティング、ですよね。私そう信じてます。ええ勝手に。(笑)

ちなみにこの『ブローカー』も、出演者の顔ぶれが豪華すぎて気絶ものです。
ソン・ガンホに、カン・ドンウォンに、ペ・ドゥナ!
どーゆーこと!(笑)

コロナが収まって、映画館で見られますように。

 

というわけで、『私のおじさん』のOST、Sondia “大人(Grown Ups)”をご紹介します。

この方、歌声の雰囲気がとってもIUちゃんに似ています。

公式MVはドラマの映像が用いられていますので、まずは音源だけのものを。

 

 

어른

고단한 하루 끝에 떨구는 눈물
난 어디를 향해 가는 걸까
아플 만큼 아팠다 생각했는데
아직도 한참 남은 건가 봐
이 넓은 세상에 혼자인 것처럼
아무도 내 맘을 보려하지 않고
아무도

눈을 감아보면 내게 보이는 내 모습
지치지 말고 잠시 멈추라고
갤 것 같지 않던 짙은 나의 어둠은
나를 버리면 모두 갤 거라고

웃는 사람들 틈에 이방인처럼
혼자만 모든 걸 잃은 표정
정신없이 한참을 뛰었던 걸까
이제는 너무 멀어진 꿈들
이 오랜 슬픔이 그치기는 할까
언젠가 한 번쯤 따스한 햇살이 내릴까

나는 내가 되고 별은 영원히 빛나고
잠들지 않는 꿈을 꾸고 있어
바보 같은 나는 내가 될 수 없단 걸
눈을 뜨고야 그걸 알게 됐죠

나는 내가 되고 별은 영원히 빛나고
잠들지 않는 꿈을 꾸고 있어
바보 같은 나는 내가 될 수 없단 걸
눈을 뜨고야 그걸 알게 됐죠

어떤 날 어떤 시간 어떤 곳에서
나의 작은 세상은 웃어줄까

 

疲れ切った一日の最後にこぼす涙
私はどこに向かっているんだろう
もう十分傷ついたと思ってきたけど
まだまだ足りなかったみたい
この広い世界で一人ぼっちかのように
誰ひとり私の心を見ようとしない
誰ひとり

目を閉じれば私の姿が見える
疲れちゃ駄目 少し立ち止まって
晴れることなどないかのような私の深い暗闇も
私を捨てればきっとすべて消えるよ

笑顔の人々の狭間で異邦人のように
ひとりすべてを失ったかのような表情
我を忘れて走り続けてしまったのかな
いまとなってはあまりに遠い夢
この長い悲しみに果てはあるのだろうか
いつの日か一度くらいは暖かい日差しが
降り注ぐだろうか

私が私自身になって 星は永遠に輝き続けて
眠らずにいられる そんな夢を見てた
馬鹿な私 私自身にはなれないことに
目を開けるまで気づかないなんて

私が私自身になって 星は永遠に輝き続けて
眠らずにいられる そんな夢を見てた
馬鹿な私 私自身にはなれないことに
目を開けるまで気づかないなんて

ある日いつかどこかで
私の小さな世界は笑ってくれるだろうか

 

悲しすぎる。(涙)

自分が誰で、何者なのか。
どうなりたくて、何を夢見ているのか。
そんなことを考えることも許されない、自分自身のために生きることが叶わない、透明人間のように現在も未来も喪失してしまったジアンの悲しみがこれでもかと詰まった歌です。

 

ドラマの映像を交えた公式MVも貼っておきます。

こちらはネタバレ映像そのものですので、ドラマ未試聴の方はご留意ください。

 

 

 

 

どう考えてもドラマを見た人を泣かせにかかってますよね、このMV。

ずるいわー。

これは見る場所を選びましょう。でないと人前でこっそり涙を拭う羽目に陥ります。(笑)

 

タイトルとなっている“어른/オルン”という単語は、文字通り成人を意味する「大人」の他に、身内・親戚の中で目上の人のことも指すのですが、それとは別に日本語で「長老」と言った時に漂うニュアンスがあります。対象年齢はミドルエイジ以上。
尊敬に値する人格の持ち主で、目下のものや守るべきものを守る、責任を果たす、懐の深さを感じさせる、そんな文字通り「立派な大人」を指して“어른/オルン”と。
この歌のタイトルが“어른/オルン”とされているのも、そんなところからきているのでしょう。
この悲痛な声なき絶叫に必要なのは、“어른/オルン”なんだよというメッセージ。

このドラマを見終えた韓国の多くのおじさんおばさんが、「私もあんな“어른/オルン”になりたい。誰かにとっての“어른/オルン”でありたい」とSNS上でコメントしているのをたくさん見ました。
本当に素敵な“大人/어른/オルン”がたくさん出てくるドラマ。
私もそんな「大人」でありたいと、ついつい真顔で呟いてしまうドラマです。