みなさま、こんにちは。

九州地方は梅雨明けが宣言されたようですね。
気候変動の影響で大雨があちこちに災害をもたらしていますが、大過なく過ぎることを願います。
暑さで体力も奪われがちですので、どうぞみなさまも体調にご留意くださいませ。

さて、本日もBTSの話題。
7月9日に発表された新曲’Permission to Dance’のMVの話題などを取り上げてみようと思います。

 

まーほんとに我ながら、BTSファンブログと化してると思いながら、それでも新曲なのでね。
ええ。新曲なので。
何かと理由をつけてはBTSのことばかり取り上げているのがバレバレですが、ええ、新曲なので。
すみません。お許しくださいませ。
新曲は「ダンスに許可はいらない」と歌っていますが、私は一方的なご了承を取り付けたことに。(笑)

今回の新曲’Permission to Dance’は、5月21日に発表された’Butter’のカップリング曲で、7月9日発売のCDに収められたものです。
イギリス人のシンガー・ソングライター、エド・シーランが作詞作曲を手掛けたそうで、非常に明るいポップスに仕上がっています。

こちらがオフィシャルMVです。

 

 

 

初公開が7日9日の午後1時だったのですが、既に再生回数1億回を突破しています。

「24時間以内に1億突破できなかった」と残念がるむきありますが、いやいやいやいや。
BTSのファン基準ではそうかもしれませんが、24時間以内に1億回再生って世界規模でそんなしょっちゅうあることじゃありません。(笑)

新曲が思った以上に「洋楽」で、全編英語の歌詞、トレードマークの高難易度ダンスがない、ラップパートが皆無だったことなどなどから、当初は「韓国語の新曲が聞きたい」との率直なファンの声も散見していました。

かくいう私は「懐かしい曲調持ってきたな」が第一印象で、80年代に意識が飛んでa-haを思い出したり、ブライアン・アダムスを記憶のかなたから呼び起したり、「あ、この子達誰一人80年代に生まれてない。懐かしいの私だけだ」と現実に引き戻されたりしていました。(笑)

ですが、MVに秘められた意味が解き明かされていくにつれ、「もっとBTSらしさを」との声は消え、むしろ「これぞBTS」と感動する声が上がっています。

そうなんです。
初見では分からなかったメッセージが、実はそこかしこにあったんですよね。

直後から報道で明らかになったのが、振付が手話になっているということ。
国際手話を用いて、「楽しい」、「踊ろう」、「平和」を表現していたと知り、「韓国語の歌が聞きたかったー」と尖らせていた口が一気に引っ込み、みんな号泣したとかしないとか。

 

 

 

 

ええ、「号泣」は大袈裟ですけれども。

・・・・・・とも言い切れない。

私は、結構きました。(笑)

 

BTSらしからぬ簡単な振り付けが実は手話で、みんなで一緒に踊って欲しいという意味が込められていたことを知ると、まるきり違って見えてきます。
BTSファンの間では、過去に聴覚障がいのあるファンの方をコンサートに招いたことや、ライブ会場に手話通訳を付けたことがあること、リーダーのRMが聴覚障がいの子どもたちが学ぶ学校に寄付したことなどが知られており、他にもこれまで何度か手話で表現したことがあるため、「そうだったのか」と納得する声が多く聞かれました。

また、今回の曲のタイトルが’Permission to Dance’、「ダンスの許可」というちょっと不思議なフレーズであることを気に留めていたファンも多かったかと思うのですが、実はこのタイトル自体がアナグラム、つまり文字を入れ替えて違う意味になる言葉遊びであることに日本のファンの方が気づかれ、謎解きに成功するという出来事もありました。

‘Permission to Dance’、文字列を入れ替えると、なんと’Stories On Pandemic’(コロナの中での人々の物語)になるんです。

 

 

 

 

 

これに気づかれた日本のファンの方、素晴らしいです!
私は真面目に鳥肌が立ちました!

BTSのMVにしては、やけに登場人物が多いと思っていたのですが、初めからコロナ禍における普通の人々への応援を込めて作られていたんですね。
こういうことを仕掛けてくるところが、ホントに好きです。(笑)

これだけでなく、日々ファンの方々が謎解きの結果や発見をアップして下さるのですが、これがまたいちいち刺さります。

MVには様々な方が登場するのですが、その中のとある事務所の壁に注目すると、こんな言葉がかかっていたり。

 

 

 

踊りだしてる3人の右側に注目すると。

 

 

 

‘disABILITY’、’Resources’の文字。

‘disability’は「障がい」の意味です。

‘disability resources and Services’というまとまりでよく使われ、「障がい者向けの支援策」のような意味合いかと思いますが、「可能性」を意味する’ABILITY’を大文字にしてるんですね。

日本でも障「害」と書かずに「障がい」や「障碍」と表現することが広まっていますが、この書き換えの意図するところは、ハンディキャップは「害」ではない、ということですよね。
差しさわりがあるということがイコール「害」ではない、と。

障がい者の自助組織やエンパワメントを目的としたNPOなどが’disAbility’と「Ability 可能性」をあえて強調して表現したりしますが、このMVもまさにそれですよね。
本当に一瞬、2度ほど映るだけなのですが、これを目ざとく見つけられたファンの方、グッジョブです!

また、現在BTSの公式ツイッターには、説明文のところにこんな絵が加えられていたり。

 

 

 

 

おわかりでしょうか。

ダンスする赤い服の絵の下に、補聴器を付けた耳が。

いやいやいや、もうほんとにこの人たちったら。

 

実際に聴覚障がいをお持ちの方と一緒にMVを見たファンの方も、反応をシェアして下さっていて、それがまた心に響きます。

聴覚障がいのあるいとこの家に遊びに行き、一緒にMVを見たというファンの方は、ダンスシーンで「この人たち、僕に踊れって言ってるよ」と言われ、みんなで泣いたとツイッターに投稿。
いとこは12歳で、大きな手術を控えていることが続く投稿で明かされます。

 

 

 

手話ですぐに分かったのですね。「一緒に楽しく踊ろう」と呼びかけられたことが。
これはARMYだったら号泣です。

 

他にも、聴覚障がいを持つおじいちゃんとの逸話を披露してくれたファンの方も。

「私のおじいちゃんは聴覚障がい者です。おじいちゃんはいつも私がBTSの映像を見ている姿を見ています。私は一番好きな音楽グループだと話しましたが、おじいちゃんはそれ以上のことは聞いてきません。音楽の話はおじいちゃんを悲しませるためです。

ですが先ほど’Permission to Dance’のパフォーマンスの最後の部分にやってきたおじいちゃんは、手話のところを見て、私に微笑みながら初めてバンタンについて尋ねました。彼らはいい人たちみたいだねと言ってくれました。
これが私にとってどれほど大きな意味であるか、口で言い表せません。涙が止まりません。この歌に本当に感謝です。」

 

 

 

光景を想像すると、こちらも涙がきますね。

こういうお話をシェアして下さるファンの方々に感謝です。

 

さてこの’Permission to Dance’、歌詞の中にエルトン・ジョンが登場します。
リーダーRMが歌うこの部分。

 

When it all seems like it’s wrong
Just sing along to Elton John
And to that feeling, we’re just getting started

何もかもがダメになったように思えたときは
ただエルトン・ジョンの歌を一緒に歌うんだ
その感じそのままに、僕たちはこれからが始まりさ

 

これはきっと何か反応してくれるだろうなと思っていたところ、やっぱりありました。

歌詞を変えてBTSに答えてくれたポップス界の巨匠。

 

“When it all seems like it’s right, I sing along to bts”

“何もかもが正しく進んでるように思えるときは、BTSの歌を一緒に歌うんだ”

 

 

 

たまりませんね!

私もエルトン・ジョン、好きです。映画『ロケットマン』もすごく良かったですよね。

これを機にエルトン・ジョン、BTSのツイッターもフォローしてくれたとのこと。

 

 

21人しかフォローしてない中に、BTSのアカウントが2つも。
嬉しいです。

 

トランプ政権が統治手段として煽った人種差別がコロナの危機的状況を迎えてアジア人差別に発展し、深刻なヘイトクライムを全米で誘発したことは周知のとおりですが、BTSは昨年6月にBlack Lives Matter (ブラック・ライヴズ・マター/BLM、黒人の命は重要)運動へ100万ドル(約1億900万円)を寄付。BTSファンのA.R.M.YもBLMや人種的平等に取り組む団体への寄付を集め、BTSと同額を寄付したことがありました。
また、今年の3月30日にBTSが英語と韓国語でアジア人に対する差別に反対する声明を発表したことも記憶に新しいところです。

目下ビルボードのシングル・ヒットチャートであるHOT100で6週間1位をキープしているBTSの’Butter’ですが、’Butter’および今回発表された新曲’Permission to Dance’をレコーディングしたのは2月頃なのだそう。
まだまだアメリカでのアジア系に対するヘイトクライムがやまない時期でしたが、’Butter’をレコーディングしながらきっとこの歌、BTSの存在そのものが及ぼす影響についても想定していたのではないかと想像します。

BTSはさておいても、実際にアジア人の青年たちが真っ黄色、まさにアジア人への蔑称にも用いられてきたイエローに彩ってキラキラさせながら自信たっぷりに「僕のカッコいい容姿は母親譲りさ」などと歌い、それが全米で大ヒットするということ自体、状況を転換するエポックメイキングな出来事だった、と言えば言いすぎでしょうか。
ただ少なくとも、様々な出自、とりわけアジア系の人々に対し「あなたのルーツに自信を持っていい」という肯定的メッセージとして作用したであろうことだけは、間違いないように思います。

歌が誰かを慰め、励まし、勇気づける。
歌手であれば、一番望むのはそこですよね。
聞いてくれた誰かが共鳴してくれること。
言いたかったことを丸ごと受け止めてくれること。

彼らのそんな素朴な思いは、おそらく今回も届けたかった人に届いたのではないかと思います。