みなさま、こんにちは。

毎日暑いですがお元気にお過ごしでしょうか。

私は寝不足にさらに寝不足が上積みされる日々で、すっかり体力消耗気味です。
毎年のこととはいえ、この気温と湿度は体に堪えますね。

さて、今日は映画の話題。
韓国で7月28日から劇場公開されている実話を題材にした映画『モガディシュ』(放題仮)の予告編などを取り上げてみます。

モガディシュは「アフリカの角」と呼ばれるソマリアの首都。
1980年代から始まった内戦が91年に本格化、現在も政情不安が続いているソマリアですが、映画は91年1月、首都モガディシュ(モガディシオ)に攻め入った反乱軍によって孤立した韓国大使が、同じく内戦ぼっ発によって孤立した朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮)の大使らとともにソマリア脱出を試みる、実際の脱出劇を題材にしたものです。

監督は『ベルリンファイル』、『ベテラン』、『軍艦島』のリュ・スンワンさん。
主演はキム・ユンソクさん、チョ・インソンさんらが務めています。

 

まずは映画のポスターをば。

 

孤立した都市 目標は脱出

 

映画のあらすじは、91年1月、韓国国連加盟に向けた支持を取り付けるため東奔西走していた駐ソマリア大使ハン・シンソン(キム・ユンソク)らが一触即発の内戦に巻き込まれ、通信が途絶えるなど孤立。大使館職員とその家族は銃弾が飛び交う極限状態の中耐えていたが、ある夜北朝鮮大使館の一行が助けを求めて韓国公館を訪れ、ともに脱出を期すことに・・・・・・といった内容です。

主なキャストとしては、キム・ユンソクさんが韓国駐ソマリア大使ハン・シンソン、チョ・インソンさんは参事官カン・デジン、ホ・ジュノさんが北朝鮮大使リム・ヨンス、キム・ユンソクさん演じるハン・シンソン大使の妻キム・ミョンヒ役にキム・ソジンさん、韓国大使書記官コン・スチョル役にチョン・マンシクさんが扮しています。

 

いくつかスチール写真を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

映画が実話をもとにしているため、「歴史がネタバレ」なこの映画。
調べると、何がどうなったかがすぐ分かってしまうのが難点と言えば難点です。
ですので私も詳しいことは触れないでおきます。

イ・ビョンホンさん主演の『KCIA 南山の部長たち』もそうですが、朴正煕暗殺という韓国では知らない人がいない歴史的事実であっても、他国の方々には昔のことでもありよく知らないことだったりしますよね。
ただしこの映画の題材となっている歴史的事実は、韓国でも広く知られていたことではないので、新鮮に映画を見た人が殆どかと思います。

韓国と北朝鮮の国連同時加盟から今年でちょうど30周年なのですが、それ以前は単一国号「高麗連邦共和国」の名称での加盟などが議論されてきた時期があったことを知らない方も多くいらっしゃると思います。北朝鮮側は、73年に朴正煕政権が提案した南北同時国連加盟は朝鮮半島の分断を固定化し、朝鮮半島に二つの国家が存在することを国連の場で既成事実化するため、統一後または単一国号による加盟を主張してきた歴史的経緯がありました。
それに先立って72年7月4日、朝鮮半島では世界的なデタント(東西冷戦緩和)の流れを受け「7・4共同宣言」を発表し、民族和解と平和に向けた対話を開始しますが、相互不信の払拭は容易ではなく、対話の中断と再開を繰り返してきました。80年代半ばには国連加盟問題は棚上げ状態になりますが、韓国は88年のソウル五輪後、盧泰愚政権がソ連・東欧情勢の激変を受け積極的に「北方外交」と呼ばれる社会主義国との外交及び国交樹立に動き出し、流れが大きく変化。

ソビエト連邦のゴルバチョフ大統領との間で90年9月に歴史的な韓ソ国交樹立を果たし、中国とも交流を加速化させ、社会主義国から韓国の国連加盟に理解を取り付けたため、単独でも加盟すると宣言し強硬姿勢をとる韓国だけが本当に国連に加盟してしまう事態だけは避けなければならない北朝鮮が結局同時加盟を受け入れ、91年9月17日に南北国連同時加盟の運びとなります。
ちなみに韓国は92年8月24日には中国とも歴史的な韓中国交樹立を果たしています。
残すは朝鮮戦争を終結させ、北朝鮮と米国が国交を樹立し、朝鮮半島に平和体制を構築することなのですが、ここだけが30年そのままであるのは、やはり異常なことですよね。

南北が分断しているのが当たり前という世代が増え、国連加盟に関してこうした歴史があること自体知らない人も多くなっていますが、映画を見ることで91年当時のみならずそれ以前の流れ、現在の状況についても人々に想起させているようなので、私も早く見てみたいです。

 

さて、実在の駐ソマリア大使について、もう少し触れておきましょう。
劇中ではハン・シンソンとなっていますが、実際のお名前はカン・シンソン大使です。

こちらの写真は91年1月当時、MBCニュースのインタビューに答えるカン・シンソン大使の様子。

 

 

 

 

 

 

 

カン・シンソン大使は退任後、5年間かけてこの時の話をまとめ、2006年に小説家としてデビューしています。

タイトルは、その名も『脱出』。

 

 

 

 

その後2014年に出された『古都を訪ねて』という短編集にもソマリア脱出を題材にしたものがあります。

 

 

 

ちなみに、北朝鮮のソマリア大使の実際のお名前は、キム・ヨンス大使です。

 

91年1月9日から12日までのソマリア内戦下における激動の4日間を描いたこの映画は、7月28日の公開以来コロナの影響もありながらクチコミで順調に観客を伸ばし、8月3日には100万人を突破。
8月6日現在で132万人の観客を動員しています。

映画館になかなか足を運びづらい状況なのに、かなりの好成績です。
これには主演のみなさまもお喜びの様子。

 

 

 

 

 

 

 

とにかく見てきた人の評判がとてもいいので、私も早く見たくてうずうずしています。

というわけで、予告編をご紹介いたしましょう。

 

いよいよ大統領と面談!
韓国の歴史的な国連加盟! 昇進!
なにごとだ?
バレー大統領宛ての物だ!
1991年ソマリア
私、統一ソマリア協議将軍アイディードはソマリアに駐在する各大使館に告ぐ
バレー政権退陣せよ!
内戦のただなかに
全部繋がりません
テレックスも切断されました
孤立した人々
死にたくなければすぐここを発て
走れ!
ハン大使!
警察もみんな逃げだしたのに大した度胸だな
私たちが手を組めば何かできると思うのですか?
〈ベテラン〉〈ベルリン〉リュ・スンワン監督作品
あなた!後ろから銃!
生きてる人は生き延びないと
目標は一つ
生きて脱出する
撃てるもんなら撃ってみろ クソ野郎!
ブレーキ!
ついてこい!

 

 

予告編をもう一つ。

こちらは「キャラクター予告編」と名付けられたもう少し詳しめのバージョン。

 

 

モガディッシュ キャラクター予告編
ソマリア首都モガディッシュ
駐ソマリア韓国大使 ハン・シンソン
これ全部ソウルの本部でプレスリリースで使うから
ソマリアの扁額もちゃんと映さないと駄目だぞ
長官のご子息に奨学金として5万ドル?
あれでも政府か?あんな奴らと何の外交をしろってんだ
いよいよ大統領と面談!
韓国の歴史的な国連加盟! 昇進!
バレー大統領宛ての物だ!
ソマリア駐在各大使館に告げる
ソマリア政府関連資料は全て破棄しろ
武装兵力もないのにここでしのげるとでも?
私たちはただこの戦場から生きて脱出するために集まったんです
駐ソマリア韓国大使館参事官 カン・デジン
あんたの大好きな韓国タバコ
CIAやMI6の連中はなんて?
ラインに繋げ!ライン!
何の用かと聞いてるんだ!
お元気でした?
俺は訓練を受けた人間だぞ
駐ソマリア北朝鮮大使 リム・ヨンス
私、統一ソマリア協議将軍アイディードはソマリアに駐在する各大使館に告ぐ
今すぐ逃げるんだ!
今から我々の闘争目的は生存だ
駐ソマリア北朝鮮大使館参事官 テ・ジュンギ
夜が明けたら我々は我が道を行けばいいのです
離れるな!
何の真似だ?
話が違うじゃないですか
駐ソマリア韓国大使館大使夫人 キム・ミョンヒ
ここのこと何がひとつでも正確に知ってるの?
娘が高3になるまで何もしてあげられずにここで3年も耐えたのに なんなのこれ
反乱軍のマークでは?
意識のない人間を追い出すの?
駐ソマリア韓国大使館書記官 コン・スチョル
低血糖 低血糖
公務員の生命保険 って子どもたち受け取れるよな?
縁起でもないことを!
駐ソマリア韓国大使館事務員 チョ・スジン
今日は子どもたちと電話することにしてまして
死なないわよ!
駐ソマリア韓国大使館事務員 パク・チウン
通信がすべて繋がりません
あなたたちの局長に伝えて
伏せろ
あなた ベルト!
生きてる人は生き延びないと
内戦で孤立した都市
目標は一つ
生きて脱出する
ついてこい!

 

リュ・スンワン監督のトレードマークであるアクション・シーン、予告編でも迫力満点です!

忌々しいコロナさえなければものすごい勢いで観客を伸ばしているであろうリュ・スンワン監督の新作映画。
それでも南北国連同時加盟30周年にあたる今年に公開することにきっと意味があったのだろうと思うので。
私も是非30周年の間にこの映画が見れればと思っています。