みなさま、こんにちは。

今日は1月4日の公開以来韓国で旋風を巻き起こしている日本のアニメーション映画<THE FIRST SLAM DUNK>について取り上げてみようと思います。
なんでも劇場に30代40代の男性が結集し、そこかしこで涙を拭ってるんだとか?!
そんな話を聞いたら、取り上げないわけにはいきません。(笑)

こちらが韓国でのポスター。

 

 

 

2022年12月3日の日本公開からひと月遅れの2023年1月4日に韓国でも劇場公開となったこの映画、昨日までに65万3375名の観客を動員し、100万超えを達成しそうな雰囲気になってきました。
とにかく観に行った人たちの感想がただならぬ様相を呈していて、やたらアツいんです。

というわけで、まずはこの映画に寄せられた観客のコメントからご紹介。

 

時代を超えた傑作の感動

 

TVアニメとは異次元の迫真に満ちた演出。原作漫画では見られなかった新たなシーン。みんなが結末を知っているストーリーをここまで没頭できるよう作るなんて、本当にすごいこと。

 

私の初満点映画!完璧な感動の再演、そして戦慄!
井上先生ありがとうございます~

 

40代半ばを13歳のあの頃に帰らせて下さってありがとうございました。
美しい時間でした。

 

オープニングでソン・テソプが描かれた時点で既に胸いっぱい

 

いまではおじさんになった30代40代をしばし学生時代に戻らせてくれたタイムマシーンみたいな作品。ありがとうございます、こうして帰ってきてくれて。単に最高という言葉だけでこの作品を修飾するのは、不可能に近いと思います。

 

この映画のフォーカスがソ・テウンやカン・ベッコだったならソン・テソプがサンワンの守備2人の間をほぼ這うように縫って抜け出すシーンで私はこんなにも泣かなかったと思います。劇場を後にし、現実のメガネ先輩に戻った僕たちみんなに、声の限りの応援を捧げます。

 

最初の5人のスケッチシーンでなんで涙が出るんだろ・・・・・・?

 

2時間ずっと涙が止まらなくて戸惑ってたんですが、他の方たちもみんな結構泣いてたんですね。僕は字幕で観たのですが、週末に吹き替えでもう一度観てきます~!!!スケッチで一人一人描くところから涙出ちゃいます・・・・・・

 

私の前の席の50代と思しきおじさんは2時間ずっと泣きっぱなしで鑑賞されてました。

 

これに10点満点未満の点数付ける人って、一体なんすか???

 

生まれて初めて感想書きます。それくらい説明が要らない、若かりし頃熱くたぎっていた心臓をまた躍らせてくれる作品です。肉体は時代をさかのぼれませんが、あの時の心臓だけはまた甦らせてくれますね。

 

 

アツイですよね!
私、感想読んだだけで涙目になりました。スラムダンク読んだこともないのに。(笑)

いやほんとに、ポータルサイトの映画観覧客寸評がこんなに10点満点と丁寧語にあふれてるのも、滅多にないことです。
それだけすごく真摯にこの映画に向き合って感想書かれてるのが伝わってきます。
恐らく本作をご覧になった日本の観客も同じようなことを感想を抱いたのではないでしょうか。あまりにおんなじで驚かれたかも知れません。

ただ、「ん?」となるのが聞きなれない名前。
日本のアニメなのにソン・テソプやらカン・ベッコやらソ・テウンやら。

そうなんです。韓国でスラムダンクはローカライズされて入ってきたので、名前が全て韓国名になってるんです。

 

カン・ベッコ

 

ソ・テウン

 

ソン・テソプ

 

チョン・デマン

 

チェ・チス

 

スラムダンクが週刊少年ジャンプで連載が始まったのが1990年10月1日発売の42号からだそうですが、韓国に輸入され「週刊少年チャンプ」で連載が始まったのが1992年から。
この頃はまだ日本の大衆文化開放前だったので、日本式の氏名や地名をそのまま使うことはできないということで、登場人物の氏名や名称などは韓国語にローカライズされました。

98年、初めて民主党政権となる金大中大統領の時に日本文化の全面開放がなされ、日本語を流したり、日本語の名称などそのまま使うことができるようになったのですが、既に韓国内で大きなファンを獲得していたスラムダンクは、そのままカン・ベッコ/カン・ベクホ以下全て変更なく使われ続け、今日に至ります。
これには、ローカライズされた韓国名がキャラクターの雰囲気にドンピシャだったことも大きな要因と言われています。
「そうそう、こいつまさにカン・ベッコって感じ!チョン・デマンって感じ!」みたいな。(笑)

ついでに余談ですが、日本文化開放後、一番最初に韓国に入ってきた日本映画が中山美穂さん主演の『ラブレター』です。映画の中で中山美穂さんが雪山に向かって「お元気ですかー?」と叫ぶシーンは新時代到来の象徴となり、とても暖かい記憶として多くの韓国人に今も残っています。

 

さて、そんなわけで日韓の30代40代、なんなら50代も国境を超えてこれで大同団結できそうな<THE FIRST SLAM DUNK>の予告編、この際日韓バージョンで交互に見てみましょう。
韓国劇場版のほうは配給会社の公式予告がyou tubeに見当たらなかったので、どなたかが上げているものを貼ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうですか。
大同団結起きますよね、これ。
世界が分かれますよね。スラムダンク劇場に観に行ったおじさんと、観に行かなかったおじさんとで。
観に行った人同士、絶対仲良くなりますよね。メイツですよね。国境を超えて。ARMYが国境超えて通じ合えるのと同じ現象起きますよねこれ。

ってすぐ関係ないところに関係ないもの挟んですみません。
だってBTS大好きだから。(笑)

私も”왼손은 거들 뿐(左手は添えるだけ)”というセリフやテロップはバラエティ番組などで時々見かけたり耳にしていたのですが、これがスラムダンクの有名なセリフだったと初めて知りました。
予告編には「予告だけで泣きそう」のコメントが見受けられ、字幕で観て吹き替えでも観たという声があふれてます。
韓国ではおじさんになったかつての少年たちが最低2回は観に行きそうな気配です。
ファン層がかなり限定的なのに既に65万の観客動員というのがすごいですよね。

スラムダンクは漫画として連載されただけでなく、テレビ放映され、さらにはレンタルビデオでも出たので、韓国版の歌も大人気です。
かつての少年たちは、テーマソングも難なく熱唱できるらしいです。(笑)

これまで韓国で公開された日本映画のうち、100万を超えたのはいずれもアニメーションで、世界的にも認められている日本のアニメ人気は韓国でも例外ではありません。
そのうち最も多くの観客を集めたのが、韓国で2017年1月に劇場公開された新海誠監督の『君の名は』。

 

 

日本語タイトルをそのまま直訳した「너의 이름은」は再上映を3度繰り返し、これまでに379万6,656人の観客を動員しています。
2位は2004年12月公開の『ハウルの動く城』でこちらは301万5,165人。(*261万から訂正しました。正しくは301万5,165人です)
379万はすごいことですよね。

『너의 이름은/君の名は』の場合は、監督のインタビューを知って見に行った人も、知らずに見に行った人も、同じコードを見出したことが韓国での大ヒットの要因でもありました。
セウォル号沈没事件。

新谷誠監督は公開前のインタビューでも、ヒットした後で出演した韓国のテレビ局でのインタビューでも、映画の製作を始めた頃に韓国でセウォル号沈没事故が起き、船内で「その場に留まれ」とアナウンスがあったとの報道に大きな衝撃を受けたと語っています。

東日本大震災で亡くなった人たちをあの日に戻って助けたいという思いを込めて作り始めた映画に、韓国のセウォル号犠牲者たちへの思いも新海誠監督は溶け込ませていたのですが、そうした監督の発言を知らずにいた韓国の観客の胸にもメッセージは明確に届いていて、多くの人がセウォル号の犠牲者を重ね合わせ、この映画を見ていました。
作品に込められた思いや願い自体が普遍的なので、恐らくどの国の人が見ても自分の知るなにかと重ね合わせて胸打たれるであろう映画ですよね。観客がたくさん入るのも頷けます。

一方こちらの劇場版スラムダンク。
一見するとごく限られたファン層に向けた映画かのようで、実際にあるターゲットに深く刺さる作品であることは間違いないのですが、なにやら聞くところによると、スラムダンクを全く読んだり見たことのない人たちが観ても、十分楽しめる作品だそうじゃないですか。

私もすっかり観たくなってしまいました。
やはり、映画のコメント欄から伝わる熱と真摯な思いが只事じゃないです。
それ読んだだけでウルッときたので、これはきっといい映画に違いありません。(そんな判断基準。笑)
しかも30代40代のおじさんたちが、一人で観にきて、一人で泣いて、でもあちこちみんな泣いていて、無言ながらものすごい一体感と連帯感を映画館で味わって満足して少年の顔になって帰っていったというじゃありませんか。
そんな魔法をかけてくれる映画、見ないわけいかなくないですか?

ええ、そんなわけで私も近日中に映画館に足を運びたいと思ってます。

最後に、映画スラムダンク人気について取り上げた韓国のニュースをご紹介しておきます。
ターゲットが絞られた映画なのにかなりの観客動員数が伸びているということで、韓国でも各放送局のニュースで取り上げらているのですが、ここではMBCの昨日付のニュースをご紹介します。
このニュースを見たら、恐らくみなさまも観に行きたくなるかと。

ニュースのタイトルは”내 가장 행복했던 시절”‥슬램덩크에 3040 ‘울컥’ (2023.01.13/뉴스데스크/MBC)。
意味は<「僕が一番幸せだった頃」・・・・・・スラムダンクに30代40代’ウルウル’>。
ニュースのタイトルが既に泣かせにかかってます。(笑)

 

『左手は添えるだけ』
アンカー:90年代に人気を集めた漫画「スラムダンク」が劇場に巻き起こしている旋風がただならぬ気配となっています。熱風の中心には、その頃に青春を過ごした30代40代世代の男性たちがいるのですが。
3、4回、もしくはそれ以上見るいわゆる「N次観覧(以下複数観覧)」は当たり前。主題歌を一緒に歌うシンガロングイベントも、全ての客席が埋まりました。
パク・ソヒ記者が伝えます。
記者:映画館に大合唱が響きます。26年ぶりに劇場版で帰ってきた漫画「スラムダンク」の主題歌を一緒に歌うスペシャル上映。400席を超える座席が予約開始2時間で完売になりました。
(ユン・ミョンフン、キム・ジュンス 41歳)
「会社に半休届を出して映画を見に来ました」
「私は仕事を定時に上がってきました」
『左手は添えるだけ』
記者:1990年代のバスケ人気に火をつけたスラムダンク。劇場公開から1週間で60万近い観客を集めました。ほとんどは原作に思い出がある30代40代の男性。複数観覧は当たり前。
(イ・ドウ 30歳)
「昨日吹き替え版を見たんですけど、字幕版も見なきゃと思って。
スラムダンクのファンなら、複数観覧は必須だと思ってます。なので、これからも3週目も4週目もずっと見るつもりです」
(アン・ヨンウク 41歳)
「3回目です。カン・ベッコとソ・テウンがハイタッチする場面をここでしっかり見せてくれるので、おかげでかなり泣かされました」
記者:40代の父と10代の息子が一緒に見にきたりも。
(ミン・ドンウン 49歳 ミン・ソジュン 13歳)
「胸がワクワクしました。映像を見ながら一緒に楽しみ、家に帰ってからも一緒に楽しめると思うと、すごく幸せですね」
記者:劇場に吹いたスラムダンク旋風は書店でも吹いています。
映画の公開に合わせて限定版として出版された特別版は、初版はすでに売り切れ、あるネット書店の上位30位にはスラムダンク関連書籍が18冊もランクインしています。
(パク・チウォン 42歳)
「スラムダンクといえば、私が最も健全だった時代が思い出されます。精神的にも肉体的にも最も幸せで楽しかった時代ではなかったかと思います」
『諦めるな』
(ユン・ソンウン/映画評論家)
「社会人として、あるいは親として責任の大きな年になったので、現実の難しい事柄をしばし忘れ、夢とロマンがあった自分たちの10代の思い出に浸らせてくれる映画でもあるんです」
「スラムダンク、ファイティン!」

 

「一番幸せだった頃」なんて言われたら、それだけでウルウルきちゃいますね。
青春時代の記憶と紐づいているなら、そりゃ泣きます。別に今がその頃より不幸であろうが幸せだろうが関係なく、人間そういうものです。
かくいう私はまるきり青春とスラムダンクが紐づいてませんが。(笑)

劇場にきている人たちが、それぞれ知らない人たち同士だけど束になって泣いて、言葉を交わさなくてもいい時間を人々と共有できたと感じて、熱い気持ちや温かい気持ちを持って帰路に着けるなら、それだけでものすごく価値があると思います。
ましてや国境を超えてそれが起きているなんて、一層素敵です。

私も近々こっそり混ざりに行ってみます。