みなさま、こんにちは。

4月16日に韓国の全羅南道チンド付近で大型客船セウォル号が沈没する痛ましい事故から今日で10日目を迎えました。

乗客乗員476名を乗せた船の沈没。初日に救助された174名以外一向に生存者が増えない中、無情に過ぎていく時間。
この船には済州島に修学旅行に行くために乗船した京義道安山市のタノン/タンウォン高校2年生325名と教師14名(総数339名)、一般客137名も乗っていましたが、日本でも報道されているとおり救助された高校生は75名、教員教師は3名、一般客67名に過ぎず、船長以下乗務員は総数29名のうち23名が救助されました。

事故発生以来、1人でも多くの命が助かってくれることを祈っていますが、生存者数は事故当日以降、いまも増えていません。

なんと言葉を尽くしても言い表すことが出来ない、悲劇という言葉でも足りず、大惨事と表現してもまだ生ぬるい、今回の事故。
悲しみに暮れながらも日本に住む私に繰り返し思い出されるのは、過去になることのない2011年3月11日の東日本大震災とその後の原発事故です。
恐らく今回の報道を見ながら、日本でもあのときの恐ろしくてつらい記憶を呼び起こされる方がいらっしゃることと思います。

癒えることのない東日本大震災の痛みと今も続く放射能汚染。守ってくれるはずの人が守ってくれなかった絶望はいかほどだろうかと、船に取り残されたこどもたちと震災・原発事故被害にあった東北の人々のいまが重なり合って感じられます。

被害にあった人々と思いを共有し、孤立させない、絶望させない、ともに頑張って支えあいたいという思いで、日本でも東日本大震災の時、SNSを通じてたくさんのシンボルマークが広がり、今も使われていますが、韓国でもいま黄色いリボンを掲げる人が増えています。
ちょうど20日頃からでしょうか、韓国ではSNSで船に取り残された人々の無事の帰還を祈る黄色いリボンキャンペーンが人々の間に広まっているんです。

黄色い“リボン”といえば、日本でも映画でお馴染みですよね。
刑期を終えた夫を待つ妻の物語り。高倉健さんと賠償千恵子さんの『幸せの黄色いハンカチ』。
黄色は、もとは米国で「戦場からの無事の帰還」を祈る意味で使われていたそうで、今は大切な人の無事の帰還を願うシンボルとして使われているそうなのですが。

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セウォル号乗船者の無事を切実な思いで願う「黄色いリボンキャンペーン」。

図柄は数種類ありますが上記のものが代表的です。

共通で書かれている文字は“하나의 작은 움직임이 큰 기적을”.
「一つの小さな動きが大きな奇跡を」と記されています。

韓国で利用者の多いカカオトークやSNSのプロフィール写真を黄色いリボンの画像に変え、ともに無事の帰還を祈ろうという呼びかけなのですが、一般の人たちは勿論多数の有名人、芸能人も自らのツイッターやブログに黄色いリボンを掲げているので、既に目にされた方もいらっしゃると思います。

他にこんな図柄もあります。


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今日現在、いまだ見つかっていない人の数は121名。
奇跡的な帰還を願って多くの人たちが祈りを捧げているものの、「帰還」の意味するところが時の流れとともに変わっているのが残酷な現実ですが、大切な人が戻ってくれることを心から願ってやみません。
そしてまた改めて、まだ大切な人の元に帰れていない東日本大震災の行方不明者の方々が一日も早く家族のもとに戻られることを心よりお祈りいたします。

そしてなにより、こんな痛ましいことが二度と起きないよう、願わずにおれません。

安全な社会の仕組みをどうつくっていくか。どう作らせるか。
それは大人たちの使命。


まだ人生のとば口にも立っていない大切な命と引き換えにするしか教訓を得られないのかと、その愚かさが口惜しいばかりです。

犠牲となられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、すべての行方不明者が一日も早くご家族のもとへ戻ってこられるよう謹んでお祈りいたします。