みなさま、こんにちは。

2月に入ってもまだまだ寒い日が続きますが、みなさまお元気にお過ごしでしょうか。
能登半島大地震から丸ひと月が経ちました。
地面が盛り上がり、海岸線が拡大するほどの巨大地震でしたので、まだまだ復興には程遠い状況ですが、被害に遭われた方々が心身ともに少しでも安心できる空間でお過ごしになれるよう、必要な支援が届くことを願っています。

さて、今日は昨年11月22日に公開されたチョン・ウソンさん、ファン・ジョンミンさん主演映画『ソウルの春』の続報。
今週火曜日、1月27日になんと1300万人観客動員を突破したそうです。

 

 

 

いや~。1300万って!

先月末の1月31日付で1306万人だそうです。(韓国映画振興委員会映画館入場券統合電算網調べ)

この映画は公開と同時に「1000万は確実」と言われていましたが、1000万を超えてもなお増え続けているのがすごいです。今の韓国の人々の気持ちがよく表れてますね。
『ソウルの春』については2度取り上げているので、よろしければ過去記事もご覧ください。(こちら「映画『ソウルの春』予告編など ファン・ジョンミン チョン・ウソン」と、こちら「20代30代の支持で『ソウルの春』600万動員目前 心拍数チャレンジがトレンドに feat.キム・ウィソンさん」

 

封切から14日目にして500万を突破したということを以前の記事でご紹介しましたが、その後も客足は衰えず、とても早い段階で1000万突破を達成しました。

 

前回記事を書いた翌日の12月9日に600万突破。

 

 

 

 

公開から20日目の12月11日、「12.12軍事反乱クーデター」の前日に700万突破。

 

 

 

 

12月16日800万突破。

 

 

 

12月19日900万突破。

 

 

 

12月24日、待望の1000万観客動員達成!

 

 

チョン・マンシク
『ソウルの春』1000万ありがとうございました!

 

チョン・ヘイン
『ソウルの春』1000万ありがとうございました!

 

イ・ジュンヒョク
『ソウルの春』1000万ありがとうございました!
参謀総長警護員クォン・ジュニ役イ・ジュンヒョク

ハン・ギュウォン
『ソウルの春』1000万おめでとうございます!ありがとうございました。
総理公館ソン大尉役ハン・ギュウォン

 

パク・ウォンサン
「覚えていなければならない、つまりは戻ってはならない時間」
映画『ソウルの春』観客1千万を祝して・・・
3軍司令官コ・ジェヨン役パク・ウォンサン

 

キム・ウソン
1000万!

 

ファン・ジョンミン
みなさん!!!!!!お陰様です。1000万ありがとうございます

 

チョン・ウソン
1000万!マジ!!ありがとうございました!!!

 

イ・ソンミン
『ソウルの春』1000万ありがとうございました!

 

パク・ヘジュン
1000万です!1千万!!!観客の皆さん!本当にありがとうございます!

 

キム・ソンギュン
100000000 心よりありがとうございます。ヤッホー!!

 

キム・ソンス監督
私には夢がなかった・・・。ところが1千万だなんて。観客の皆様に感謝申し上げます。

(写真はいずれも配給元のplusm_entertainmentのインスタグラムより。リンクはコチラ

 

『ソウルの春』に主役としてクレジットされているのは、反乱軍と対峙するイ・テシン将軍役のチョン・ウソンさん、反乱軍のトップ、チョン・ドゥグァン役のファン・ジョンミンさん、参謀総長チョン・サンホ役のイ・ソンミンさん、ノ・テゴン役のパク・ヘジュンさん、憲兵監キム・ジュンヨプ役のキム・ソンギュンさんの5名。
他にも多くの出演者がおり、役柄の比重にかかわらず全員が韓国の運命を変えた1979年12月12日を熱い思いを込めて演じたと伝えられています。
掲載した1000万突破記念コメントはほんの一部で、この倍以上の出演者の皆さんが配給会社のインスタグラムでひとりひとり自分の言葉を掲げていらっしゃるのですが、数が多すぎるため全てご紹介できなくてすみません。
是非インスタグラムのポストを遡ってご覧になられてみてください。
「1000万人の映画に出演出来て、夢が叶いました」などのコメントもあり、読んでいてジーンときてしまいました。

今の韓国は、「きっと1987年の6月に民主化運動が勝利するまではこんな感じだったんだろうな」と想像してしまうほど、言論の自由も封じられ、三権分立も守られず、大統領の政敵は根絶やしにする勢いで警察・検察が取り調べるなど、驚くほどの検察独裁国家っぷりをみせているので、芸能人はことさらに社会問題への意見表明を控える雰囲気なのですが、こうした映画に参加することで思いを伝えるところが、韓国の俳優さんたちのカッコいいところですよね。

1000万人突破に寄せて「過去に戻ってはならない」との思いを綴っているパク・ウォンサンさんは、李明博政権下の2012年11月22日、くしくも『ソウルの春』公開日と同じ日に公開されたチョン・ジヨン監督の映画『南営洞1985』で主演を務められた方です。
『南営洞1985』はまさに『ソウルの春』の後の世界、80年5月に2千人もの無辜なる光州市民を虐殺した全斗煥(映画の中ではチョン・ドゥグァン)の凄まじい民主化運動弾圧を「拷問」の視点で描いた作品で、映画のモチーフとなった民主化運動のリーダー、キム・グンテさんは民主化後に民主党政権で国会議員や長官も務められましたが、1985年に受けた拷問で健康を著しく害し、生涯後遺症に苦しまれ、映画公開の前年に64歳で亡くなっています。
こうした厳しいテーマの映画に主演された方なので、今回の映画にも並々ならぬ思いがおありなのでしょうね。

たくさんの俳優たちの熱演の甲斐あって観客動員数1300万人を超えた『ソウルの春』は、韓国映画歴代動員数6位にランクイン。

すぐ上の5位は、ここでもファン・ジョンミンさんとユ・アインさん主演の『ベテラン』です。
『ベテラン』は1341万人動員なのですが、ひょっとしたら抜くかもしれませんね。公開から2か月以上たちましたが、相変わらず劇場にかかり、毎日少しずつ観客を増やしているので。

前回取り上げた時も書いたのですが、実は意外なことにこれまでの出演作に1000万超えの作品がなかったチョン・ウソンさん。
「チョン・ウソンを1000万俳優に」の掛け声がわりと早くから聞かれていました。
やはり夢の大台1000万超えの作品に出会うということは、監督は勿論俳優さんたちにとっても大きな意味になりますよね。なにしろ韓国の人口が5175万なので、相当な割合の人たちが観たということなので。

とはいえこの『ソウルの春』、複数回観た人が当然いますので、こんな笑い話も話題になりました。

「本当の意味での1000万人映画は『ヘウンデ』だ。普通はあれを二度も観に行かない」。

そんな言い草?
でも納得してしまいました。すみません。(笑)

ファン・ジョンミンさんは先述の『ベテラン』(1341万人動員)以外に『国際市場で会いましょう』(1426万動員)でも1000万超え記録を持つ韓国映画界を代表するスター俳優ですが、『国際市場で会いましょう』(原題:『国際市場』)では高スコアと同時に批判の声も上がりました。朴正煕の軍事独裁政権時代を舞台にしているのに、あまりにも政権に無批判なストーリーだったからです。
公開時期は2014年12月。朴槿恵政権がセウォル号の子どもたちを救助せず、300人以上も海に沈ませた大惨事が起きた年の暮れの公開。朴槿恵の父、朴正煕の軍事独裁政権下を時代背景に、「本当に苦労して働き、国を経済発展させたんだよ」という分かりやすいストーリーとメッセージ。年配者は昔を懐かしんで喜びましたが、あまりの批判精神のなさを疑問視する声も少なくありませんでした。批判の声はユン・ジェギュン監督に向けられたのですが、主演のファン・ジョンミンさんにもがっかりしたとの声が聞かれた時期でした。

植民地支配からの独立闘争、民主化運動の系譜の一方で、その独立運動家らを迫害・攻撃し日本の植民地支配に協力することで富と地位を得た親日派が長らく権力の座に着き続け民主化運動を弾圧してきたという政治のベースが韓国にはあるので、暴力的支配を行う側によるプロパガンダに人々は敏感なのです。

『国際市場』が描いた、政治に抵抗せず与えられた条件下で厳しくても懸命に生きていくという人は間違いなく大勢いたので、親の世代にありがとうの意味で描きたかった、家族にフォーカスを当てたかったという監督の言葉は、字義通り他意はないものだったと思うのですが、民主化運動弾圧という切り離せない事実を丸ごと欠落させて描いてしまったので、いぶかしむ人が出るのも当然のこと。それくらい、韓国では映画に対する評価の目が厳しいです。

そうした観客の厳しい目というものがなければ、韓国映画はこんにち世界に通用するものになっていなかっただろうと思うので、そうした批判は健全だと思うのですが、ただ、問題は俳優さんですよね。俳優たちにも批判は向くので。

明らかに歴史認識のおかしい作品に出演したなら、俳優もどういうつもりなのか問われるのは当然かと思うのですが、『国際市場』は描かなかったことに対する不満だったのと、指摘に向き合う監督の姿勢も真摯だったので、その後特にファン・ジョンミンさんに不満の声が飛び火することもなく終わったのですが、ご本人はあれ以来色んな思いを秘めてこられたのかもしれないなと思わせる場面が、今回映画の試写会の場でありました。
映画が800万観客動員を迎えたあと、ファン・ジョンミンさんが舞台挨拶で映画にかける思いを語る中涙を見せたのです。

それは12月18日、まさに光州での舞台挨拶の時でした。

 

 

マイクを持つ前から、既に目を潤ませていたファン・ジョンミンさん。

理由は、客席の最前列に座る観客の、こんなプラカード。

 

 


「ソウルの春」が光州にくるのを43年間待っていました

 

1980年5月、やっと来るかに思えた民主化の「ソウルの春」は光州には来ず、多くの市民が命を奪われました。

映画になってようやく光州を訪れた『ソウルの春』を歓迎する思いを、万感の思いが去来する言葉で表した光州の観客。

これに心を揺さぶられたファン・ジョンミンさんは、映画に託した思いを話し切ることができず、後ろを向いたまま涙を拭っていました。

こちらは、当日劇場にいた方が撮られたShorts映像。

 

すごく使命感をもってこの作品に臨んでました。僕たち俳優も・・・・・・。
ありがとうございました。

 

「使命感をもって臨んでいた」。

歴史の事実を捻じ曲げ、いまだに光州民主化闘争を「北のスパイが主導した」などとデマを吹聴して憚らない歴史修正主義者たちが韓国にはいます。
今の政権になって、その傾向はさらに強まっています。
いつまでも踏みつけられ傷つけられる光州市民。
監督も俳優さんたちも、本当に強い使命感で映画を撮られていたのだろうと思います。
そしてその甲斐があっての、1300万人なのでしょう。

こちらの映像も載せておきましょう。

聯合ニュースによるyou tube芸能ニュースアカウント「TongTongCulture」より。

 

「すごく使命感をもってこの作品に臨んでました・・・・・・ありがとうございました。」
17日光州広域市CGV光州ターミナル店で行われた映画『ソウルの春』の舞台挨拶。
感想を述べていた俳優ファン・ジョンミンは、こみ上げた涙に言葉を継げなくなる。
観客が掲げていたとあるプラカードのせいだそう。
「『ソウルの春』が光州にくるのを43年間待っていました」
俳優イ・ソンミンにマイクを渡すとファン・ジョンミンは背を向けて涙。
光州と映画『ソウルの春』は深い縁がある。12.12軍事反乱によって権力の座に着いた新軍部勢力に抵抗し、「5.18光州民主化運動」が起きた場所であり、映画の中で反乱軍に最後まで抵抗して亡くなった人物の実際のモチーフであるチョン・ソンヨプ兵長が光州出身でもある。

 

もう一つ。こちらも同じ日12月18日に放送されたJTBCのニュース。

 

「使命感をもってこの作品に臨んでました」。
俳優ファン・ジョンミンさんが、舞台挨拶の途中で急にマイクを渡します。
「ありがとうございました」。
しばらく床に目を落としていましたが、横を向いて涙を拭います。とうとう背を向け、もう一度涙を拭います。
光州で開かれた映画『ソウルの春』の舞台挨拶。観客は「43年間ソウルの春を待っていた」とのプラカードを掲げました。
映画の中の12.12クーデター成功から半年後、全斗煥は5.18光州民主化抗争を暴力で鎮圧しました。
そのため観客にとっても俳優にとっても、この日の舞台挨拶はより特別なものでした。
映画では悪役を演じましたが、ファンさんはこれに先立つ舞台あいさつで、このような感想も述べていました。
「正義は生きているということを、知って欲しいです」。
昨日まで観客数894万人を記録した『ソウルの春』は、今日900万を突破するものと予想されます。
『犯罪都市3』に次いで今年2本目の1000万映画なるか、関心が集まっています。

 

3月には、まさに『1980』というタイトルの映画が公開を控えている韓国。

歴史の事実を捻じ曲げようとする勢力が再び権力の座に着いた今、続々とこうした映画が作られ、公開を待っているんですよね。

こちらが映画『1980』のポスター。

 

 

 

ソウルの春は来なかった
1980

 

ポスターから感じる気迫がハンパナイですね。
左下段にある数字「062-518」はBTSファンならすぐ分かってしまうアレです。
アルバム「花様年華 Pt2」に収録されている「Ma City」のうち、光州が故郷のJ-HOPEが歌うパートの歌詞の一部。
「062」は光州地域の電話市外局番で「518」は光州民主化運動を示しています。

・・・・・・やだもう泣きそう。

『ソウルの春』の大ヒットを追い風に、今年はこうした社会派映画、史実に基づいた硬派な作品が目白押しなので、また色々取り上げてみたいと思います。