コールドプレイの「弾劾平行理論」？最後のピースも完成｜The Mystery of Coldplay in Korea

Author: PAEK Hyang Ha

6 2025年4月

みなさま、こんにちは。

やっと春ですね。
短くは4か月、長くは3年。
多くの人が長い間つらい思いをしてきましたが、心新たに春を迎えられて嬉しいです。
さて、今日は英国のロックバンド、COLDPLAY（コールドプレイ）と韓国の大統領弾劾にまつわる、その名も「コールドプレイの弾劾平行理論」と呼ばれる都市伝説（？）をご紹介しようと思います。

･･････あ。すいません。
私情を挟みこんでしまいました。
ついうっかり。のわけがないですよね。意図的ですよね。バレてますよね。
すみません。(笑)

コールドプレイと言えば。コールドプレイです。ええ。
説明が要りません。
世界に名だたるスーパースターですが。
実はこのコールドプレイの方々のお名前が、およそ似つかわしくないものと関連付けれられ、韓国のオンライン上で「都市伝説」として広まっていたというお話を、今日はご紹介しようと思います。

始まりは、これでした。

2024年9月20日に発表された、コールドプレイ8年ぶりとなる韓国公演決定のニュース。

（記事の出典はコチラ）

8年ぶりの韓国公演。

この時点での8年前と言えば、2016年。

この時既にこの「法則」に気づいていた人がいたとしたら、すごいです。
私が探してみたところでは、この時点ではまだ誰も言い出していませんでした。

初めてと思しき言及があったのは、24年10月11日。
ハン・ガンさんがノーベル文学賞を受賞した日（現地時間10月10日）。

韓国中が受賞の喜びに沸く中、とあるオンライン・コミュニティに「平行理論」と題して上がってきたこの書き込み。

（出典はコチラ）

2016年
秋美愛（チュ・ミエ）国会議員5選当選
コールドプレイ来韓公演発表、2017年公演
ハン・ガン　ブッカ―賞受賞
朴槿恵弾劾訴追案発議、2017年弾劾

2024年
秋美愛（チュ・ミエ）国会議員6選当選
コールドプレイ来韓公演発表、2025年公演
ハン・ガン　ノーベル文学賞受賞(new!)

･･････あれ？

･･････あれ？！(笑)

「秋美愛」は、これを書いた方がファンなのかなくらいで、特に深い意味はないと思われます。(笑)
検察改革論者だったチョ・グク法相が尹錫悦検察総長によって一族もろとも魔女狩りに遭い、ボロボロになって辞職した後に法相に就任し、最後まで尹錫悦の検察クーデターを封じようと死力を尽くした方です。結局文在寅大統領が尹錫悦の肩を持ったため一人辞職に追い込まれ、4月の選挙で議員に返り咲いていました。ちなみに朴槿恵弾劾の時の民主党代表でした。

･･････あれ、ということは、意味はあったのかな？
「秋美愛」でゲン担ぎ？(笑)

勿論これはただの願望の表れにすぎないギャグなのですが、その後に続くこの方の当選で、「都市伝説」ににわかに真実味が。

11月6日、トランプ氏が大統領に当選。

これを受け、「平行理論」、アップデートされます。

並行理論（パラレルライフ）

2016年
秋美愛国会議員5選当選
コールドプレイ来韓公演発表＞ 2017年来韓
リオ五輪韓国総合8位
ハン・ガン　ブッカ―賞受賞
LoL WCS 2016 SKT T1&Faker優勝
米国大統領選共和党トランプ当選
朴槿恵弾劾訴追案発議、2017年弾劾

2024年
秋美愛国会議員6選当選
コールドプレイ来韓公演発表＞ 2025年来韓
ハン・ガン　ノーベル文学賞受賞
LoL WCS 2024 SKT T1&Faker優勝
米国大統領選トランプが出馬し当選
尹錫悦?????

うっそーん？！

と、どよめきました。(笑)
私がこの「平行理論」をオンライン上で目にしたのも、トランプ氏当選当日でした。
人によって、ここに差し挟みたい2016年と2024年の共通した出来事がもっとあったりするので、このバージョン以外のものも出回ったのですが、上記は要素は欠かさず入っています。

「一度あの壊れっぷりを見たのに、まさかまたトランプ氏を選ぶ？」という世界中の懐疑的視線をあざ笑うがごとくトランプ氏が圧勝したので、これは常識では考えにくいことも起きえるのかもと、残りひと月半の間に奇跡が起こることを願って、人々は面白がってシェアし続けたのですが。

ここでまさかの。

まさかの！

非常戒厳令＠12月3日。

あまりの事に頭が真っ白になり、この瞬間にこの「平行理論」を持ち出す人は見かけませんでしたが、12月14日、2度目の国会での弾劾決議が可決した後は、ホッとすると同時にこれを思い出した人続出。

「まさかこれが当たるなんて！」とネット上は騒然。

ここまで当たると、もはや「都市伝説」ではないですよね。完全に2016年と2024年が同期してます。(笑)

明けて2025年。
憲法裁判所がなかなか罷免の宣告をしないので、本当に不安でたまらない日々を人々は送っていました。
朴槿恵弾劾の時とは、やったことの次元が全く違いますので。
朴槿恵の場合は友人の利益のために大統領の権限と地位を乱用したこと、国家機密に相当する文献なども共有、流出していたことが問題となり、憲法裁判所が罷免を宣告しましたが、尹錫悦は全斗煥と同じことをやろうと銃剣を国民に向けたのですから、比較にならないほど重大かつ悪辣です。

この明確な不法行為、憲法違反を、何にそんなに時間をかけて検討しているのか、憲法裁判所がいつまでたっても結論を引き伸ばしているので、こうしている間にもまた軍や軍のOBを動かして騒擾を起こすかもしれないと人々は本当に震えていたのですが、そんな中でもかすかに脳裏にちらつく、この「平行理論」。
あの通りだとしたら、絶対、大丈夫。大丈夫なはず！

最後のピース。最後のピースが当てはまって欲しい、当てはまるに違いない、当てはまらないと困ると、私などはほぼ拝み倒す状態。

いやほんとに、拝むしか手立てがなくなったら、終わりですよね。(笑)

拝んだから最後のピースがはまったわけでは勿論なく、最後、本当に厳しいことになったら、腹を括って闘おうと韓国の多くの人々が覚悟し、憲法裁判所に怒りの声を上げたことが、結局この事態を封じ込める力になったのだと思います。

こうして、パズルの最後のピースもしっかり当てはまり、誰かの冗談で始まった「コールドプレイの弾劾平行理論」が、なんと完成してしまいました！

尹錫悦の罷免が言い渡された4月4日からは、こんなものがSNS上にお目見え。

コールドプレイの平行理論、完成

韓国に来る度、大統領がいません

笑っちゃう！

本当にそうなんですもん。2016年も4月にお越しになりました。
そして今年も4月16日から高陽（コヤン）市で4度のライブ。

いや、これ、完成すると、困ります。
コールドプレイに来て欲しいけど、来る時はまたそういう人が大統領ってことじゃないですか。
本当にこの法則はこれっきりにして頂いて、あとは外れてもらって大丈夫です。（笑）

実はコールドプレイ、この「平行理論」の都市伝説だけでなく、2016年の朴槿恵弾劾当時から、「韓国大統領弾劾」と縁がありました。

朴槿恵が2016年に国会で弾劾され、2017年3月に憲法裁判所で罷免された日。
その2016年3月10日、韓国で最も聞かれた曲がコールドプレイの”Viva La Vida”だったんです。
邦題「美しき生命」、韓国では「人生よ、万歳」。

2017年3月10日、コールドプレイの『Viva La Vida』(人生よ、万歳）が音楽ストリーミングサイトで1位になったことを伝える京郷新聞の記事です。（出典はコチラ）

「スペイン語で“人生万歳”という意味のこの曲はフランス革命をモチーフにし、没落した王の悲惨な最期を歌っている」と記事にあります。
歌詞に「Now the old king is dead! Long live the king!／かつての王は死んだ！王よ、万歳！」という個所があり、人々の心情とシンクロしていたことがうかがえます。

それにしても。
あの党が輩出した大統領が2代続けて弾劾・罷免という最悪の事態を迎えたこともさりながら、朴槿恵の時とは比べ物にならないくらい、たった3年で国がめちゃくちゃになってしまったことに、深い憂慮を拭いきれません。
あの者を選んでいない人たちも一緒にこの重荷を背負っていかなければならないのは、実に理不尽だという気もします。
民主的制度は、こういう脆さも内包していますよね。
有権者が自分の手で国を滅ぼす決断をしてしまうということ。
韓国の市民たちはギリギリのところで奪われかけた民主主義を復元させましたが、こんな痛みがなければどんなに良かったか。
まがいものを売りつけてくる声に騙されない、賢い有権者を多数派にするしかないのだと痛感します。

最後に、今また話題になっている、コールドプレイの”Viva La Vida”を背景にした映像をご紹介します。
尹錫悦の罷免に至るまでの3年間が込められています。
冒頭、あの者が話しているのは、まさに非常戒厳令を宣布する前日。
忠清南道の公州市を訪問した際、市場のFMラジオに出演し、唐突に「皆さん、（暮らしが）大変ですよね？ちょっと時間がかかるんですよ。皆さん、私を信じますよね？勇気を無くさず、元気を出してください」と声を張り上げたあの言葉の答えは、翌日戒厳令を宣布して国民に銃口を向けるというものでした。

では、ご紹介します。
こちらの動画は公式なものではないため、リンク切れになる場合があります。

「罷免大統領」尹錫悦1060日に捧げる曲 MV / Viva La Vida -coldplay